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実技訓練、リモートで2020.08.21

京都警協青年部会が提言

京都府警備業協会(宇多雅詩会長)の青年部会(市川良部会長=太陽保安警備)は、法定警備員教育での実技訓練に、インターネット回線などを用いた遠隔地からの非対面での「リモート教育」導入を提言した。コロナ禍を受けた“3密”回避と警備員教育の充実が目的。提言は「要望書」として既に同協会総務委員会に提出。京都警協は要望を理事会の審議議案とする方向で検討する。収束が見通せないコロナ禍とリモート技術・機器の進展・普及も相まって、今後、全国の警備業を巻き込んだ議論となりそうだ。

現行の法定警備員教育は、「講義(座学)」や「実技訓練」で行うこととされている。講義は、昨年の警備業法施行規則改正により教育方法が拡大。“一定の要件”を付した上で、eラーニングなど電気通信回線を使用した教育(リモート教育)が認められるようになった。

提言(要望)は、実技訓練についても教育方法を拡大し、リモートによる実技訓練を可能にしようというもの。新型コロナ感染防止のため、3密を避けて少数の受講者を支社や営業所などに集め、講師が本社など遠隔地からパソコンなどで実技訓練を行うことを想定している。

また、改正施行規則で基本教育と業務別教育の時間配分が警備業者の裁量に委ねられたように、教育方法についても警備業者に委ねることで、より効果の上がる教育の実現、ひいては警備員教育の充実につながると指摘している。

提言のきっかけは、京都警協青年部が5月に全国に先駆けて開催した「オンライン会議」(6月1日号・4面既報)。メンバーから「テレワークシステムの構築」や「オンラインによる随時面接」など、コロナ禍を契機とした各種取り組みが報告された。警備員教育についても議論が及び、「法定警備員教育におけるリモートでの実技訓練がダメなら3密は避けられない」との問題意識の共有が議論の出発点となった。実技訓練のリモート化の効果として(1)個々の警備員の訓練動作を「ストップ」「スローモーション」で確認できる(2)録画することで警備員と講師が一緒に検証可能(3)動作の良否を比較できる――などが挙げられた。

岐阜警協、県からキャンセル料金2020.08.01

中止の五輪聖火リレー

岐阜県警備業協会(幾田弘文会長)と岐阜県(古田肇知事)はこのほど「東京2020」の延期により中止となった今年の五輪聖火リレー警備について、事前準備などで費用が発生したことから予定されていた警備料金の50パーセントをキャンセル料として支払うことで合意した。同警協が全国警備業協会が策定した「適正取引のための自主行動計画」をもとに折衝を続けた結果、県の理解を得ることができた。元請会社のセキュリティー(岐阜市、幾田弘文代表取締役)は7月9日、県からの入金を確認した。

岐阜県内の聖火リレー警備は、4月4日・5日の2日間で予定されていた。交通誘導・雑踏警備業務の警備料金は、対策本部・警備責任者の検定合格警備員(時間単価3700円・8時間保障)90人、一般警備員(同3200円・保障時間は同)646人の合計736人・2315万円で決定していた。

警備料金の見積書は、末尾に「実施2週間前以降の中止の場合、合計警備料金の50パーセントを請求させていただきます」の一文が明記されていたことから、県は準備で発生した費用の負担を了承。聖火リレー警備に参加を予定していた警備会社34社は、7月21日までに各社で担当する警備料金の50パーセントを受領した。

同県の聖火リレー警備の一般競争入札は1月24日に行われたが、交通規制用資材(事前告知看板・横断幕を含む)の準備・設置などを含む「一括発注」だった。警備以外の業務を含むため警備会社は参加できず、大手イベント会社1社のみが参加し不調に終わった。

聖火リレーを担当する県・地域スポーツ課は3月初旬、同警協を訪問し意見を求めた。幾田会長は「警備業は“下請け”ではありません。発注は『警備業務』と『警備以外の業務』で分けてもらえないでしょうか」と分離発注を提案、県からの理解を得た。

岐阜警協は会員各社から入札参加企業を募り、説明会を開いた。出席した40社超の会員社による話し合いの結果、セキュリティーが元請けとなり警協加盟の警備会社に再委託して対応することとなった。

同警協は県から、2021年に延期された聖火リレーの警備についても分離発注で委託することで同意を得ている。

幾田会長の話

県は、コロナ対応で財政難の中、キャンセル料支出に理解を示していただき感謝しています。入札については、警備以外の業務を含む一括発注では警備会社は“下請け”として安い金額で業務を行うことになる。警備業は今後、強く主張していく姿勢が大切と思います。