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警備業+自治体 災害に備える2025.05.21
南海トラフ地震など大規模災害に対する危機感が高まる中、自治体と警備業の間で災害時協定が相次いで結ばれた。エッセンシャルワーク・警備業と連携し非常時に備える地域社会の体制づくりが進む。
熊本警協 熊本市と協定
熊本県警備業協会(西利英会長)は4月25日、熊本市(大西一史市長)と「災害時における地域安全の確保等に係る警備業務の実施に関する協定」を締結した。
協定における業務の内容は(1)避難所、避難場所、帰宅困難者一時滞在施設における避難者または帰宅困難者の誘導、整理および案内、犯罪の防止等のための警戒(2)緊急交通路の確保のための交通誘導警備(3)災害廃棄物の仮置場等における災害廃棄物の搬入及び搬出車両等の誘導及び整理(4)その他、熊本市が指定する警備業務。熊本市からの要請に基づいて協会が調整し会員事業者が実施する。
業務の費用は熊本市が負担する。費用について「災害時等の直前における適正な価格を標準として熊本市、協会及び関係者が協議して決定する」と盛り込まれた。
協会では1月20日に「災害対策特別委員会」(稲葉義典委員長=協会副会長、キューネット)を新たに設置していた。協定の締結を機に、災害発生時に警備業界が行う社会貢献活動や方法などの調査研究を進めるとしている。
市役所で行われた締結式に大西市長、協会から西会長、稲葉副会長、下川源也副会長(にしけい)、災害対策特別委・福岡益委員(セーフティガード)、松尾毅専務理事が出席した。
西会長は、能登半島地震、南海トラフ地震臨時情報、2016年4月の熊本地震、20年7月の熊本豪雨に言及し「災害の発生は予測がつかない。各県の警備業協会では、警備業がより一層社会的使命と責任を果たせるよう災害対策を講じている。警備業が災害時に果たす役割はますます大きくなっていると認識し、新設した災害対策特別委員会を中心として本協定の効果的な運用を図っていきたい」と述べた。
ALSOK 山口市と協定
ALSOK(東京都港区、栢木伊久二社長)は3月19日、山口市(伊藤和貴市長)と「災害時における避難所等の安全確保と運営支援を目的とした協力業務に関する連携協定」を締結した。山口県内では同社による同様の協定締結は下関市、光市に次いで3市目。
協定により、災害発生時にALSOKは山口市と連携して次の5つの協力業務を行うとしている。
(1)市が運営する避難所等の警備(2)市が運営する災害物資の集積・配送拠点の警備(3)市が警備または誘導を実施する際に必要な助言(4)災害時、航空法に規定する無人飛行機による情報収集等(5)市が必要としALSOKが協力に同意した業務。
伊藤市長と同社山口支社(周南市)の猪木敏雄副支社長が協定書に調印した。伊藤市長は「災害時に避難所で不安を抱える被災者の方に少しでも安心して過ごしていただくことや、安定した物資の供給継続など被災者に寄り添った対応は重要」とあいさつした。
猪木副支社長は「社会を取り巻くリスクが多様化する中、対応範囲を広げる取り組みを進めて社会貢献性の高い企業をめざしています」と話した。
課題は「採用」「外国人雇用」2025.05.01
関東地区連 総会・会長会で各県が報告
関東地区警備業協会連合会(岩野経人会長=神奈川警協会長)は4月15日、群馬県高崎市内で2025年度の通常総会と会長会を開催した。総会は病気療養の中、今年1月に任期半ばで急逝した群馬警協の山﨑松惠前会長(享年86)の冥福を祈る黙とうから始まった。
故山﨑前会長の後を受けて群馬警協会長に就任した浦友治氏が「山﨑前会長の遺志を継ぎ警備業を盛り上げるために尽力したい」とあいさつ。故人に寄せられた全警協や地区連各協会からの弔意に謝意を述べた。
総会と会長会の両会議には、体調不良で急遽欠席した新潟警協を除く関東地区9県の会長(山梨は副会長)と専務理事が出席。全国警備業協会の黒木慶英専務理事と小澤祥一朗総務部次長、関東管区警察局広域調整第一課の鈴木美紀調査官が来賓として加わった。
岩野会長は開会あいさつで、1月に横浜市内で開かれた関東地区連青年部会総会に言及。同総会で報告された、埼玉警協青年部会作成の「闇バイト防止啓発ポスター」について、「(社会の)高い関心と評価を得られる大変素晴らしい社会貢献活動だ」と述べ、各県青年部活動にさらなる支援を求めた。
総会では2024年度の事業報告・収支決算、25年度の事業計画・収支予算などについて協議、いずれも全会一致で承認された。
会長会では、全警協・黒木専務理事が同協会の広報活動や外国人雇用対策などについて現在の状況を説明。また、各県会長が自県の状況などについて次のような報告を行った。
▽花火大会の中止に対して主催側から適正なキャンセルポリシーが獲得できる見込みだが、一方で「適正な人員を配置していたのか」など警備業務に対して厳しい目が向けられつつある(茨城・鴨志田聡会長)。
▽採用が大きな問題だ。当社でも定住権を持つ外国人を、警備の付随業務を行う人として雇用している。外国人がいることで(日本人の)社員も外国語を勉強するなど質が上がっている(栃木・青木靖典会長)。
▽会員の協会からの退会が増加傾向にある。(業界全体の)特別講習受講者の減少など協会加盟のメリットがなくなりつつあるのではないか。(埼玉・炭谷勝会長)。
▽協会では毎年「新入社員合同入社式」を開催しているが、参加企業も減少しつつある。会員への各種アンケート調査も同様だが、“会員のため”という取り組みの目的が理解されていない(千葉・加藤智行会長)。
▽課題は「人手不足」「この期に及んでもダンピングが行われる」「特別講習の講師不足」――などがある。プラス面では、青年部会が活発化し、(県内で発生した水害を受け)災害支援意識が高まった(長野・竹花長雅会長)。
▽会員が協会活動に関心を示さない。活動への参加・協力を点数化し、総会で表彰するようにしているが、表彰される会社は毎年同じになってしまう(静岡・立川勝彦会長)。