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新卒女性を積極採用2021.02.21

21年度 警備大手の入社予定

警備業大手各社は4月からの2021年度、求人募集で女性の新卒を積極的に採用していたことが2月15日までの調べで分かった。労働力の確保と併せ、女性の持つ感性とデザインセンスなどを経営全体の成長戦略に取り込み、女性の活躍を促進する狙いが浮き彫りになった。

主な内容を“見出し風”に記すと、「セコム新卒採用の女性が3割を占めた」「ALSOK女性新卒は前年度比43人増の144人を採用」「セノン男子の1.5倍、150人の女性が入社」――といった具合なのだ。

セコムが女性を重用する取り組みを本格的にスタートさせたのは2016年春だった。同年4月に「女性活躍推進法」が施行されたのを受け、全社規模の「女性活躍に関する行動計画」を策定した。1期の期間は今年3月末までの5年間と定めた。

具体的に掲げた年度目標は(1)女性の役職者(役職手当支給)を30人以上誕生させる(2)仕事と家庭の両立を支援して女性の勤続年数を延ばす――だった。結果は初年度から目標を達成、さらに継続中だ。今回の「新卒女性3割採用」も計画を推進する過程で生まれたものと言えるだろう。

セコムでは警備部門に所属する女性社員の活躍を示す事例がある。コントロールセンターに勤務する女性管制員の働きぶりだ。セキュリティーシステムで異常を察知したとき、顧客への対応、緊急対処員に指示を出すなどの“司令塔”を任務とする。毎年、全国から30人を選抜して行われるコンテストの18年度は、女性管制員が優勝と準優勝者に選ばれた。

人事担当の栗原達司取締役は「気遣いの細やかさ、的確なコミュニケーション能力の高さが評価された。彼女らを含め、女性社員を幹部(役職者)とする登用を進め、地域の警備サービス、営業を統括する責任者になってもらいたい」と話している。

ALSOKは21年度の女性採用者の配属先については検討中だが、昨年度は101人の新卒女性を採用した。うち31人が機械、施設、現金輸送の警備部門に所属して男性警備員と肩を並べて活躍中だ。セントラル警備保障も21年度は22人が警備部門に配属される。

セノンは、全国の36空港で業界トップの航空保安警備を展開する。手荷物検査だけでなく身体検査の必要時には、当たりの柔らかい女性警備員の増員を重点課題としてきた。今回は過去最多の120人を各地の空港などに派遣するという。

22年度の採用規模について全日警は「コロナ禍の収束状況と景気動向を見極めながらの判断となる。その過程で女性の新卒者の採用数も決まるが、前年度並みの採用数を確保したい」としている。

警備業の新卒女性の採用増は、各社それぞれに処遇、福利厚生などに知恵を絞り、女性が働きやすい職場環境を整備して継続するものとみられる。

緊急事態宣言を延長2021.02.11

特別講習、再延期や中止に

政府は2月2日、新型コロナの感染者急増を受け1月に11都府県に出していた緊急事態宣言について、栃木県を除く10都府県の期間延長を決定した。延長は3月7日まで。期間延長を受けて10都府県の警備業協会は、引き続き特別講習の中止または延期などの対応を迫られるとともに、資格取得の遅れなどによる業務への影響が懸念される。

全国の新型コロナの新規感染者数は、1月中旬以降減少傾向となり、入院者数も減少している。一方、重症者数と死亡者数は依然高い水準にある。このため政府は、感染者数が減少した栃木県を除き、埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の10都府県に出していた緊急事態宣言の期間を延長、感染者数の更なる減少を目指す。

政府は期間が延長された対象区域では引き続き、飲食店に対する営業時間の短縮要請、午後8時以降の外出自粛のために企業には事業継続に必要な場合を除く同時刻以降の勤務抑制を求める。

一方、緊急事態措置の対象から除外される区域では今後、対策の緩和は段階的に行い、再度感染拡大の傾向が見られた場合には迅速かつ適切に取り組みを強化する。

外出については、日中も含め不要不急の外出自粛を求める。職場への出勤は、当面「出勤者数の7割削減」を目指し、在宅勤務(テレワーク)や出勤が必要となる職場でもローテーション勤務などを強力に推進することを求める。

期間延長対象区域の各警備業協会では今後、特別講習や研修会など各種教育の再度の延期が求められるが、警備各社では検定合格警備員の育成が遅れることとなり、業務への影響も懸念される。

新たな「男性産休」2021.02.01

厚労省、改正法案提出へ

厚生労働省の審議会は1月18日、現行制度よりも柔軟で男性が取得しやすい新たな育児休業「男性産休」創設などを盛り込んだ育休取得促進策を田村憲久厚生労働相に建議した。同省は、改正育児・介護休業法案を今国会に提出する。新制度には企業の準備などが必要なことから施行は2022年度以降となる見込みだ。

現行の育児休業を取得するには、子供が1歳(一定の場合は最長2歳)に達するまでの間に、従業員が休業開始予定日の原則1か月前までに会社に申し出ることが必要だ。休業は、特別の事情がない限り1人の子につき1回、休業の形態は「連続したひとまとまりの期間」とされている。

新たな取得促進策では、男性の休業取得ニーズの高い子供の誕生直後の時期に、柔軟で取得しやすい新たな仕組みとして「男性産休」(仮称)を創設する。

男性産休を取得できる期間は、現在育児休業している男性の半数近くが子供誕生後8週以内に取得していることなどを踏まえ、子供誕生後8週間以内。取得可能日数は4週間とする。休業取得のために従業員が会社へ申し出る期限は「原則2週間前」とし、妻の出産時や職場復帰時など休業を2回に分けて取得することも可能とする。

また、子供誕生後8週間以内は女性の産休期間中でもあり、家族など男性以外に育児をできる人がいる場合もあるため、男性の意向も踏まえ、休業中にも一時的な就労を認める。

男性産休や現行の育休を取得しやすい職場環境整備のため、事業主に(1)研修(2)相談窓口の設置(3)制度や取得事例の情報提供――などの措置を義務付ける。

現行の育休についても、夫婦交代で休業を取得しやすくするため、現在は認められていない「分割取得」を可能とする。

男性の育休取得促進のため、従業員数1001人以上の大企業には男性の育児休業や育児目的休暇の取得率公表を義務付ける。

中小企業には、休業取得に伴う代替要員の確保など負担が大きいことから、派遣による代替要員確保や業務体制の整備に関する事業主の取り組みへの支援、ハローワークでの代替要員確保のための求人に対する積極的な支援などを行う。

また、雇用形態に関わらず育児・介護休業を取得しやすくなるよう、現行の取得要件「引き続き雇用された期間が1年以上」について、無期雇用労働者と同様の取り扱いとする。

「育児休業」の2019年度の女性の取得率は80パーセントを超える。しかし、男性の取得率は7.48パーセントと依然低い水準にある。一方、実際に休業を取得した男性の多くは、子供が生まれた直後の時期に取得するなど「出産後の妻の心身回復が必要な時期にそばにいたい」「育児に最初から関わりたい」といったニーズが高い。

男性の育休取得が進まない理由としては「仕事の都合」や「職場の雰囲気」などが挙げられていることから、厚労省の審議会分科会では▽仕事とも調整しやすい柔軟で利用しやすい制度▽休業を申し出しやすい職場環境の整備――などの視点から、男性が取得しやすい制度のあり方を昨年9月から検討してきた。