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大規模災害に備える2022.10.21

中国・四国地区連 徳島で合同会議

中国地区警備業協会連合会(会長=吉岡健二郎・島根警協会長)と四国地区警備業協会連合会(会長=北川豊彦・香川警協会長)は10月13日、徳島市内で2回目となる「合同会議」を開催した。「災害時協定の課題と広域支援」のテーマで協議を行った。懸念される南海トラフ地震など大規模災害が発生した場合、両地区が協力して対応する必要があることから、合同会議の開催頻度を高める議論があった。

合同会議には、中国5県と四国4県の会長・専務理事、合計18人が出席した。全国警備業協会からは黒木慶英専務理事と小澤祥一朗総務部次長が参加した。

合同会議は各地区では対応しきれない大規模災害が発生した場合を想定し、地区の枠組みを越えて体制を構築することを目的に2018年、岡山市内で初開催された。以後、隔年で開催する予定だったが、新型コロナ感染拡大により延期となっていた。

四国地区連・北川会長は「ここ数年の間に発生した自然災害に対する各県協会の対応と課題を報告してほしい。生活安全産業の警備業にとって貴重な事例であり、共通認識として今後に活かしたい」と述べた。

全警協災害時における警備業の役割の明確化作業部会・松尾浩三部会長(岡山警協会長)は「西日本豪雨災害の復旧・復興のその後」と題し、資料を映写しながら岡山警協が有償で活動した事例を説明。

各県協会は、災害支援協定締結の現状とこれまでの出動実績を報告。瀬戸内海を挟んだ中国・四国の広域支援の在り方について中国地区連・吉岡会長は「中国・四国地区には原子力発電所が存在し全県が海に面しているなど類似点がある。災害に備える情報交換や協議は頻度を高める必要があり、合同会議の頻度を隔年から毎年開催に増やすことを各地区で検討してほしい」と意見を述べた。

全警協・黒木専務理事は「災害支援協定は可能な限り広域で締結した方が、被害が少ない地域が出動できるため効果的」と総括した。

合同会議に続いて、中国地区、四国地区はそれぞれ別室に分かれ、「人材確保」をテーマに臨時総会を開催した。中国地区は就職情報誌を使った広報活動など各県協会の取り組みを報告。四国地区は高知警協・国安秀昭会長からの提案で、高齢者雇用促進の現状について意見交換した。

「合同会議の毎年開催」について各地区で協議した。中国地区は「リモート開催も含め前向きに検討したい」、四国地区は「現時点では保留」の結論に至った。

若い警備員確保へ 処遇改善スローガン制定2022.10.11

全警協「倫理要項」「自主行動計画」を改訂

全国警備業協会(中山泰男会長)は9月28日、「警備業経営者のための倫理要綱」と「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」を改訂した。若い優秀な警備員確保のためには「警備員の処遇改善が不可欠」との観点から、経営者の意識改革を行うための活動の一環として、初めて「警備員処遇改善に向けたスローガン」も制定した。

「経営者のための倫理要綱」は、警備業経営者のモラル向上のために2015年3月に制定された。しかし、制定から7年が経過して経営環境などが大きく変化したことから全警協は、新たな項目も取り込んで改訂することとした。

同要綱は、新旧ともに「前書き」と、経営者として順守する個別の「取り組み事項」から構成。新要綱の「前書き」には、コロナ禍で改めて明らかとなった、警備業が“エッセンシャルワーカー”であることを明記した。「取り組み事項」には、国連が示した持続可能な開発目標である「SDGsへの取り組み」を追加、(1)法令遵守と警備業務適正化(2)経営基盤強化とモラル向上(3)労災事故防止と適正な労働環境の維持(4)暴力団等反社会的勢力の排除(5)地域社会への貢献(6)SDGsへの取り組み――の全6項目とした。

旧要綱にもあった取り組み項目「法令遵守と警備業務適正化」には、経営者が遵守する法令として警備業法に加え、経営に関係する全ての法令を追加した。

「経営基盤強化とモラル向上」には、「適正取引推進のための自主行動計画」の実践、公正な競争による適正警備料金の確保と、これを原資とした警備員の処遇改善や職場環境の改善、ICT・テクノロジーの活用による生産性の向上とともに、「ダンピング禁止」を明記した。

「労災事故防止と適正な労働環境の維持」は、旧要綱では「労働環境の維持」を文頭に置いていたが、警備員の死亡災害が後を絶たないことから「労災防止」を前面に打ち出した。労働環境では「休日・休憩への配慮」「感染症防止」など具体的取り組みを示した。

スローガン
「適正取引・適正料金で処遇UP!!」
~好循環を目指して~

倫理要綱改訂に併せ、警備員処遇改善に向けたスローガン『「適正取引・適正料金で処遇UP!!」〜好循環を目指して〜』を初制定した。名刺などへの明記で経営者自身の意識改革はもとより、警備業の姿勢を対外的にもPRする。

石川で初の意見交換会2022.10.01

警備業と建設業の青年部同士

石川県警備業協会(上田紘詩会長)の青年部会(島本久嗣部会長=日章警備保障)は9月8日、石川県建設業協会(平櫻保会長)の建設青年委員会(みようがん圭佑委員長=明翫組)と金沢市の県建設総合センター内で初めての意見交換会を開催した。業界の次世代を担う青年グループが人材確保など共通する課題について活発に話し合った。

意見交換会の発端は2年ほど前、島本部会長が県建設業協会の青年部会「建設青年委員会」の存在を知り「人手不足など共通する悩みを抱える業界の青年部として、課題克服に向けた意見交換を行いたい」と県建協に提案した。コロナ禍により延期されていたが感染状況が落ち着きを見せたことから実現したもので、会場は県建協が提供した。

島本部会長はあいさつで「青年部は業界PRを行うとともに『子供たちが憧れ、夢を持てる仕事』をめざし活動しています。同じ志を持って活動されている諸団体と連携して、活気あふれる業界にしたい」と意見交換の目的を説明。明翫委員長は「業界が一層の発展に向かうために、2つの業界は、どのような取り組みを行っていくべきか。意見や提案については、建設業協会を通じて発信していきたいと思っています」と応じた。

島本部会長の話 警備業と建設業が共に発展していく「ウィン・ウィンの関係」に向けて、意見交換を重ね職場環境の改善などにつなげることが大切です。

料金アップに理解求める

意見交換は、警協青年部会メンバーが事前に用意した10項目の問いに、建設青年委員会メンバーが答える形で行われた。主な内容は次の通り。

――人材確保はどのように行っているか。

従来の採用活動を進めるとともに“今いる人を大切にする”取り組みが大切。待遇改善、職場環境の整備、福利厚生の充実など定着を促進している。夏場は熱中症対策に加えて“日焼けをしない工夫”など女性への心遣いも必要になっている。警備員のためにパラソルを設置してあげても良いのではないか。

――警備員の処遇改善に向けて、警備料金の上昇傾向に理解をいただきたい。

人材確保のうえで適正料金は必須と理解しているが、現状、料金は警備会社によって差がある。

――警備のキャンセル料をどう考えるか。

前日の場合、当日の場合など、警備業協会が一定の支払い基準を定めることで明確になり、支払いの理解がさらに進むのではないか。現状は警備会社ごとに支払いの基準が異なる。

――警備以外の仕事、例えば看板の設置や撤去などを警備員に求められることがある。万一、こうした付帯業務による労災事故が置きた場合、責任の所在について。

契約の際に、付帯業務の有無について契約書に明記することが重要だ。契約にない付帯業務で事故が起きれば、作業を命じた側に責任があると考える。

――閑散期、繁忙期の仕事量に対する対策や工夫は。

閑散期を利用して従業員の技能向上に取り組み、年次有給休暇の取得を推進している。

ほかにAI搭載の工事用信号機など資機材の有効活用、資格者配置路線が増えた場合の資格者育成の重要性などについても意見が交わされた。