クローズUP
「東京暑さマップ」公開中2025.07.11
熱中症リスク確認
東京都は、熱中症リスクを1平方キロメートルごとに表示した「東京暑さマップ」を6月20日からウェブで公開している。
暑さ指数(WBGT)を1時間ごとに48時間先まで予測し、(1)ほぼ安全(WBGT近似値21未満)(2)注意(同21以上)(3)警戒(同25以上)(4)厳重警戒(同28以上)(5)危険(同31以上)(6)極めて危険(同33以上)(7)災害級の危険(同35以上)――の7段階に色分け、ピンポイントで確認できる。URLは次の通り。https://micos-sc.jwa.or.jp/tokyo-wbgt/
交通誘導警備では、照り返しや車両の排気熱により熱中症リスクがさらに高まる。
協定見直し、デジタル化2025.07.11
九州地区連 各県が計画説明
九州地区警備業協会連合会(折田康徳会長=福岡警協会長)は6月27日、福岡市内で2025年度の「定時総会」を開催した。九州・沖縄各県の会長と専務理事、来賓として警察庁九州管区警察局総務監察・広域調整部の曽根明文部長、全国警備業協会・黒木慶英専務理事、同総務部の小澤祥一朗次長が出席した。
折田会長は「一番の問題は人手不足。解決のためには警備員の処遇改善が大切で、警備契約金額をいかに上げていくかだ」と述べ、価格転嫁による適正警備料金の実現を呼び掛けた。
25年度の各県の取り組みを各会長が説明。意見を交わした。
大分は、全警協教育システムのデジタル化(▽特別講習の受講受付業務のオンライン化=4月から▽特別講習4時間分の学科講習のeラーニング化=10月から)対応について報告。デジタル環境が未整備の加盟社警備員のため、協会研修室でeラーニングが受講できるようウェブカメラ付きノートパソコンを増設する。
佐賀は、11月に県産業労働部産業人材課が開催するイベント「(仮)佐賀×Out of KidZania(キッザニア)2025」に青年部会が初参加、警備の仕事をPRする。同イベントは、小学生や中学生に県内で働くすばらしさを体験してもらうための試み。
福岡は、災害支援協定の見直しに取り組む。県警との細目を廃止、支援の適正料金による有償化のため協定を県と一本化する。また、有償警備活動までの間隙を埋めるために協会理事会社警備員で構成するボランティア部隊を編成する。
熊本は、1月に県と熊本市に行った警備業務入札の改善要望を報告。入札改善をはじめ、警備業の理解促進、自治体職員との連携強化――などの副次的効果も得られた。
鹿児島は、県内で警備員が関与する事件が発生、大きく報道されたことから、会員に「警備業経営者のための倫理要綱」「警備員規範」「警備員心得」の再確認と順守など警備員教育の徹底を会長名で行った。25年度事業計画にも協会各種委員会や青年部会などによる現場巡察実施を盛り込んだ。
「効果的な広報」2025.07.11
四国地区連 各県が発表
四国地区警備業協会連合会(北川豊彦会長=香川警協会長)は6月26日、高松市内で定時総会を開催した。4県警協の会長と専務理事、来賓として警察庁中国四国管区警察局四国警察支局・池政彦広域調整課調査官、全国警備業協会の黒木慶英専務理事と小澤祥一朗総務部次長が出席した。
北川会長は、警備員不足などの課題について「知恵を出し合い、一つひとつ解決していくことが求められている」と述べた。広報活動の重要性を強調、全警協が作成しウェブで公開中のプロモーション動画「静かなヒーロー」に言及し、次のように呼び掛けた。
「警備の魅力をアピールする素晴らしい作品です。特に警備員が青年に『誰でもチャンスがある仕事』と語る場面は“我が意を得たり”との思い。かつてNHKのドラマで警備員の仕事を題材に人間の価値観や信念を描いた鶴田浩二主演「男たちの旅路」を思い出しました。今回のプロモーション動画を効果的に活用して一人でも多くの優秀な人材を確保していただきたい」。
「効果的な広報」の取り組みを各県が発表した。
<徳島>国道55号線県庁前交差点設置の大型LEDビジョン「スペースビジョン」を活用してPR
<香川>大型商業施設での「警備の日」イベント、短編映画「静かなヒーロー」の活用を予定(仕事フェア)、グッズ作成予定
<愛媛>「お仕事フェスタ2025」、プロバスケットボールチーム「愛媛オレンジバイキングス」試合会場でのブース出展、ユーチューブ動画
<高知>青年部会が夏祭り会場にブース出展を計画――など。
各地の総会2025.07.11
熊本警協 土下座は必要ない
西利英会長(旭警備保障)は開催中の大阪・関西万博について「警備業の重要性を社会に再認識させるとともに、警備業界の更なる発展にもつながっていく」と期待を寄せた。
一方、警備員が土下座する動画がインターネット上に流れた問題について「土下座に至った経緯はわからないが、強要されたのであれば明らかにカスタマーハラスメントであり、自らしたのであれば全くする必要のない行為」と指摘。続けて「業界の課題に警備員不足と高齢化がある。決して土下座した警備員を責めるのではなく未然に防げなかった業界に課題がある」として、警備員として働きたいと思える勤務環境の構築の必要性を訴えた。
三重警協 結束と価格転嫁
5期目の舵取りを託された菊田喜之会長(キクタ総業)は「慢性的な人手不足の中で、いかに優秀な人材を確保し育成していくか。適正取引推進に加え、デジタル化の進展に伴う教育制度の導入やAIを活用した警備システムの導入、治安情勢や災害対策への的確な対応など、課題は山積している」と述べた。
その上で「安全安心な社会の実現のために、努力を重ね質の高い警備サービスを提供していかなければならない。今後さらに協会の結束と優秀な人材の確保、適切な価格転嫁対策が重要となる。協会員の皆さまから課題に対する建設的な意見をいただき、総力を挙げ取り組むことが業界発展につながるものと確信している」として協力を呼び掛けた。
特集ワイド スマホで業務効率化2025.07.11
「経路案内」「交通費精算」「警備報告書」
「ShiftMAX(シフトマックス)」は、KYODOU(東京都千代田区、澤橋秀行代表取締役)が開発・販売するクラウド型勤怠管理システムだ。現在各社から販売されている管制自動化システムのパイオニア(先駆者)的存在であり、使いやすさと豊富な機能により多くの警備会社に導入されている。今回は、警備員がスマートフォンを使用して業務を効率化する機能を中心に紹介する。
本紙が特集記事で初めて「シフトマックス」を紹介したのは、2014年2月21日号(第65号)のことだった。それ以降、主に「上・下番報告の自動化機能」について、警備会社の導入事例を挙げながら記事を掲載してきた。それは警備員が上・下番報告を携帯電話やスマホの指定番号プッシュ方式で行う機能で、管制員は同じ時間帯に集中する電話対応から解放される。
上・下番報告以外にも、シフトマックスは多くの機能を備えている。その一部である警備員のモバイル機器を活用した機能について、KYODOUプロジェクトリーダー・真田颯人氏に話を聞いた。
真田氏は「当社ではお客さまからの業務DX化の要望に対し『必要な機能に絞り込みコストが高くなりすぎないシステム』を提案しています。最近はモバイル機器が広く普及し、それらを活用する機能を求める声が多くなってきました。スマートフォンを活用したシフトマックスの機能を提案する機会が増えてきました」と話す。機能の内容と使い方は次の通り。
警備員がスマホで確認できるシフトマックスのウェブメニュー画面では、上部の円の中にその警備員の担当業務に関する情報が表示される。その下に並ぶアイコンをタッチすることで、さまざまな機能を活用できる。
「経路案内」は、警備員の自宅から警備現場までの電車や車、徒歩などによる最適な経路を紹介する。
「交通費精算」は、通勤で利用する電車駅やバス停留所など公共機関を記入して自己申告する。登録済みの路線情報サイトを自動検索して交通費を計算し精算を行う(オプション機能)。
「警備報告書」は、管制が入力した情報から氏名や開始・終了時間、勤務内容などが自動で反映され、現場責任者から手書きサインをもらうことで報告書が完成する。紙の報告書で必要だった回収作業が必要なくなる。自動チェック機能により、報告書の内容が契約書の内容と同じか確認する作業が必要なくなり作業負担の軽減と効率化を実現する。
警備員は年次有給休暇や時間外労働、休日出勤などの申請もスマホ上から入ることができるメニュー画面からワンタッチで可能。管制員はPCなどのシステム画面で承認の状況、適正な労働時間となっているかなどを一目で確認可能となる。
真田氏は「シフトマックスは管制・事務などの業務ごとに独立しないよう、システム間の接続を重視して開発されています。各警備会社でそれまで運用してきた基幹システムを活かすカスタマイズ(改善)を行い、会社ごとの細かい要望にも応えられるよう努力しています」と説明する。
シフトマックスの今後の開発計画については「管制員が使用する『配置画面』のリニューアルを進めています。画面から確認できる情報量を増やしながら、ホワイトボードのように直感的に現場の状況を確認しやすい画面にします。また、現場までの距離や警備員同士の相性、資格の有無などの要素から、最適な配置を提案する『AI自動配置機能』も開発中です」と構想を語った。
▽シフトマックスに関する問い合わせ先 KYODOU 担当・真田氏 フリーダイヤル0800―888―0058
KYODOU・澤橋代表取締役
KYODOUは1995年、富山市内で2号警備を主業務とする警備会社として創業しました。
私は当時、マイクロソフト社から発売されたばかりの「ウィンドウズ95」を使ってプログラミングし、警備員の配置や請求用のシステムを作成して社内で使っていました。やがてシステムの評判が地域に広まり、一部の警備会社から要望を受けて販売を始めました。
2014年から東京に拠点を置き、警備業に特化した管制システム「シフトマックス」の開発・販売を本格的にスタートさせました。2号警備のほかに1号警備向けのシステム開発にも力を入れて実績を伸ばし、2021年に開催された「大型国際イベント」に採用されるまでになりました。
当社はこれまで新機能の開発にも常に取り組んでまいりました。しかしながら、一番重要視している方針は一貫して「警備会社が困っている課題を解決すること」にあります。そのために社員は「技術力」のほかに過去の事例を用いたり提案を行うための「経験値」が必要となります。そうしたお客さまサポート力を高めるため、人事教育に一層力を入れていきます。
当社は品質マネジメントシステム「ISO9001」を2004年に、労働安全衛生マネジメントシステム「OHSAS(オーサス)18001」を13年に、それぞれ取得しました。お客さまに提供する製品や警備業務の品質管理、警備員の健康管理を意識して「PDCA(計画→実行→評価→改善)サイクル」をまわし、「システムがどうあるべきか」を常に考えながらシステム開発を続けています。
長年シフトマックスを活用されているお客さまの中には「シフトマックスに豊富な機能があること」を知らない方も多いと聞きます。スマホを活用したサービスを求める声も増えています。今後はお客さまの要望や状況を聞きながら、さまざまな機能の紹介や提案をしていきたいと思います。
東洋ワークセキュリティ
東洋ワークセキュリティ(仙台市、勝又和成社長)は1号警備と2号警備を中心に全国48拠点で業務を行っている。従業員数は約3000人だ。
同社は2009年の会社設立時からシフトマックスを活用している。導入の決め手になったのは「勤怠・請求・給与」の一元管理や管制自動化、法定備付書類作成などの機能を備えていたことだ。同社事務センター係長は、事務作業でのシフトマックスの効果をこう評価する。
「先進的で視覚的にわかりやすい画面構成は18年前の当時、本当に画期的でした。それ以来、拠点数が増えたり書類フォーマット変更などがある度にKYODOUにシステムのカスタマイズをお願いし、その都度、迅速・丁寧に対応してもらいました。使い慣れたExcel(エクセル)上でデータ変更や出力ができるので、営業所ごとなど大量データを一気に処理することが容易で助かっています。必要なデータがあるときは依頼すると、CSV(テキスト)出力できるように設定してくれます。有給休暇や連続勤務などのアラート管理も自動でできるように作ってもらいました」。
板場勝彦取締役副社長は「当社は『コンプライアンスの順守』と『従業員の安全』を重要視しています。そのため働き方改革関連法が施行されてすぐに勤怠管理に関するシステムを構築しました。警備員がスマホを使って行う上・下番報告に関しては現在、東京と大阪の拠点に限定してスマホ打刻による自動報告を採用していますが、他の拠点の警備員にも使い方を覚えてもらい、少しずつ自動報告を行う地域を広げたい。今後も働きやすい労働環境作りを進めるため、作業の効率化を実現できるシフトマックスを活用していきます」と話している。
同社は今後、シフトマックスが備える「36協定管理」などの機能や「給与ペーパーレス化」にも取り組み、さらに社内のDX化を進める予定だ。
SPD
SPD(さいたま市、高橋慶彦社長)は1号警備と2号警備を主業務とし、首都圏を中心にサービスを提供する従業員数約2700人の警備会社だ。
警備員に対し、同社は自宅出発時や現場到着時、業務終了時に管制室への電話報告を義務付けており、管制員は連日、電話対応に追われていた。
東京東支社・出井達也支社長は「朝夕に管制室の電話が鳴り続ける状況をなくしたかったのです」と話す。同社は2019年、管制業務の効率化を目的にシフトマックスを導入。システム導入後の効果を次のように説明した。
警備員がスマホや携帯電話から必要な番号を押すことで上・下番報告が完了する。管制担当者は電話を受ける必要がなくなり、PC画面で警備員全員の出退勤状況を把握できる。管制員は空いた時間を有効活用でき、急な警備依頼に対して迅速に対応できるようになった。
SPDはこれまで現場ごとに紙のシフト表を作成し、勤務実績は警備員からFAXなどで提出される「出勤票」で収集していた。管制員はこの「出勤票」と日々の配置記録を突き合わせ、月末に勤怠を集計して給与計算担当部署へ渡す手順で、毎月膨大な照合作業が発生していた。
システム導入後はシフト表から勤怠管理、給与計算用データ作成まで一元化され、重複入力や手計算が激減。警備員400人超の勤怠確認に9日間かかっていたのが2〜3日で済むようになった。さらに勤怠データをワンクリックで給与システムに取り込むようにして転記ミスも解消した。
法定労働時間の超過管理もシステム画面で確認可能で、長時間労働の兆候を見逃さずに管理できるようになった。
出井支社長は「KYODOUの担当者は我々の細かい要望に対し、何度も対応してくれました。その柔軟さと対応スピードの速さに満足しています」と話す。