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警備業ヒューマン・インタビュー2026.02.21
田邉政喜さん(ガイダブル 代表取締役)
外国人採用を支援したい
<<外国人求職者と企業をつなぐ求人サイト「Guidable Jobs(ガイダブルジョブス)」が警備業で注目されています>>
日本の人口はさらに減少し、25年後には1億人を割る見込みです。一方、勤労や勉強のために日本を訪れ、中長期にわたり滞在する在留外国人は2013年から毎年10%ずつ増えており現在400万人近くいます。
在留外国人はこれまで「外国人が働ける求人が少ない」「仕事を探す方法がわからない」「能力に比べて待遇が低い」などの理由で仕事を選べない状況でした。外国人に特化した求人媒体を作ることで、日本企業と在留外国人の双方の課題が解決すると考えたのです。
ガイダブルジョブスに登録している外国人は現在約40万人で、毎月1万人ずつ増えています。フィリピン、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、ネパールなどアジア圏の方が特に多いです。
<<外国人雇用に関心があっても一歩踏み出せない警備会社もあります>>
警備会社の皆さまは外国人から応募があっても「働いてもらって大丈夫かな」という不安があると思います。
外国人雇用にはハードルが2つあります。「ビザ(在留資格)」と「日本語力」です。当社のサービスの強みとして、応募があった外国人の「一次選考」があります。まず当社が面接を行って在留資格や日本語能力を確認し、それらがクリアになった外国人のみ企業に面接していただきます。
当社が企業にご紹介する外国人の約55%は、永住者・日系人などの定住者・日本人や永住者の配偶者など「身分系ビザ」の保持者です。「日本での生活が長く日本語力が高い」「在留期限に制限がない」などの特徴があります。特定技能制度の「就労系ビザ」約30%、「留学ビザ」約15%と続きます。
<<ガイダブルジョブスで採用に至った警備会社は約150社あると聞きました>>
外国人にとって警備の仕事は「社会の安全を守る」という観点からイメージがよく、オフィスワークや接客業ほど流暢な日本語が求められないこともあり、人気の業種です。特に交通誘導警備や雑踏警備に就く外国人が多いようです。採用される年齢は30代から50代までが多く、昨年の実績では女性が約45%を占めています。
警備業は人手不足が深刻だと聞いていますが、人を採用できないことで事業を継続できなくなったり事業拡大にブレーキがかかるのはもったいないことです。雇用対象を日本人に限定せず、外国人採用にぜひトライしていただきたいと思います。
<<田邉社長がこの事業を始めたきっかけは何でしょう>>
私は大学を卒業してソフトバンクに入社しました。業務に従事するうちに「グループ代表取締役会長兼社長の孫正義氏のように、社会にインパクトを与えるビジネスを立ち上げたい」と強く思うようになりました。祖父が建設会社を起業していた影響もあったのかもしれません。
当時、私は外国人7人とシェアハウスに暮らしていました。理由はソフトバンクが米国で新たな事業を始め語学力を高めたかったことと、海外の文化に触れて考え方の幅を広げたかったからです。
そのとき日本で暮らす外国人が多くの課題で困ってることを知りました。それは「行政手続き」や「家探しの方法」など多岐にわたりますが、難度が高い困りごととして「仕事探し」がありました。私は「共に暮らす仲間として何か支援できないか」と考えたのです。
起業してまず、「ガイダブルジャパン」という「外国人向け日本の暮らし方情報サイト」を立ち上げました。創業時の社員は私一人だったので、生活費を稼ぐため清掃業などのアルバイトをしながらの経営でした。約2年後に就職に特化した求人サイト「ガイダブルジョブス」をスタートさせました。
<<今後の展望は?>>
在留外国人の登録者数と求人数で日本最大規模を継続できるよう、しっかりした土台を構築します。採用後の外国人に定着してもらえるよう企業をフォローするサービスも拡充していきます。
現在は採用後の早期離職を防ぐ目的で「ガイダブルアシスト」というオプションサービスも行っています。採用後の「月に一度の面談」と「LINEグループによるチャット」の2点を行い、仕事の悩みなどの相談に乗っています。
<<忙しい毎日ですが、息抜きになる趣味はお持ちですか>>
高校・大学とバスケットボールをやっていました。今も毎朝7時から30分ぐらい近くの公園のバスケットゴールを使って一人で楽しんでいます。休日にはフットサルをやったり、体を動かす球技が今も好きですね。
警備業ヒューマン・インタビュー2026.02.11
稲村優子さん(京都府警備業協会 事務局係長)
出発点は「資格を取りたい」
<<京都府警備業協会に勤務し、特別講習講師を務めています>>
協会事務局の係長として、特別講習の受付業務をはじめ教育事業などに携わっています。
当協会の特別講習講師部会は私を含め20人です。2日間の事前講習と2日間の特別講習、限られた時間の中で、さらなる合格率向上をめざしチーム一丸となって取り組んでいます。
当協会事務局の中田多美子次長も特別講習講師です。私は警備会社に勤務した後、協会に入局して16年を数えます。中田次長にフォローしてもらい、交通誘導警備と雑踏警備の講師活動を続けてきました。理解してくれる人が身近にいる職場環境であることをありがたく感じています。
<<講習を行う時、大切にされていることは何でしょう>>
もともと私は緊張しやすくあがり症なので、人前に出ることや目立つことは得意ではありません。今でも受講生を前にすると、あがってしまいます。
それゆえ毎回、講習の準備に時間を掛けています。学科では法律などを説明する際に、より分かりやすく伝える言葉や参考となる事例を選び、適切な時間配分になるよう意識して臨みます。
合格者を1人でも多く出すために、講師はスキルアップが欠かせません。先輩方の講義を数多く聴講して研究し、「模擬講習」を行ってアドバイスをいただき、受講生のためになる効果的な講義の方法について模索してきました。日々勉強です。基本を確実に身につけて応用力を高めることや、コミュニケーションの奥深さなど、講師活動には多くの学びがあります。
<<特別講習講師をめざしたきっかけはどのようなものでしたか>>
学生の頃から資格を取ることに非常に興味がありまして、簿記検定などの資格を取りました。
警備会社に入社して新任教育を受けた際に、警備員は国家資格の検定があり努力次第でキャリアアップしていける職業であることを知って「ぜひ資格を取りたい」と張り切ったのです。
当時、特別講習の教本は現在に比べると難解な言葉も多かったのですが、私は読書が趣味なので辞書を引きながら、教本を繰り返し読み込んで覚えました。
実技は、昼休みなどの空き時間に少しずつ練習を重ねていると、体を動かす楽しさを実感して励むようになりました。おかげさまで所属会社の理解と応援のもと、施設・交通・雑踏の1級、貴重品2級を取得することができました。
資格へのトライを重ねるうち、講師に関心を持つようになったのです。26歳の時に所属会社と関係者の方々に背中を押してもらい、全国から特別講習講師の候補者が集まる研修会に参加しました。
研修会場は、鋭い号令や機敏な動作など熱気と緊張感に満ちて圧倒されましたが、思い切って取り組み、講師の委嘱を受けることができました。
講師を務めて1年ほど後に、府内の警備業発展に少しでも役立つことができたらという思いから協会職員になりました。
チームは藤野祐司主任講師のもと、まとまりが良くて率直な意見を言いやすい雰囲気です。特別講習を受講した時に「自分も講師になりたい」と憧れを持って努力し、実現した人もいます。教壇に立つことの重みを肝に銘じています。
<<近年、新人講師を発掘して育成することは全国的に課題となっています>>
当協会では、会員企業から推薦された方々に「補助員」として特別講習に関わってもらいます。実際の講習に触れながら練習を重ねたうえで、講師候補者研修会に送り出すようにしています。
働き盛りで毎日多忙な中、「自社の業務と講師活動を両立していこう」と決心してくれた人を大切に育てていきたいという思いをチームの皆で共有して、次世代の育成に励んでいます。
<<警備業界の女性活躍についてどのように思いますか>>
昨今、交通誘導警備の特別講習で女性の受講者は着実に増えています。警備員は社会に不可欠な存在であり男性も女性も活躍できる職業であることの認知がさらに広がって、働きやすい職場環境の整備も進むことで、より多くの人が警備業界に入ってほしいと思っています。
<<リフレッシュはどのように>>
読書は大切なひとときです。医師で作家の知念実希人さんの医療ミステリー、京都大学推理小説研究会出身の綾辻行人さんの「館」シリーズなどを愛読しています。演劇、ライブ、美術館めぐりも楽しく、発想を広げるヒントをもらっています。
警備業ヒューマン・インタビュー2026.02.01
堀川昌弘さん(ALSOK京滋)
「刃物女」を現行犯逮捕
滋賀県彦根市内の大型商業施設で防災センターの隊長を務める堀川昌弘さん(48、ALSOK京滋)は2024年7月3日午後6時ごろ、包丁を持った女(60代)がいる施設内のコーヒーチェーン店に、同じ職場の隊員と駆け付けた。フェンシングで培った判断力を生かして、女を現行犯逮捕した。功労に対し、県警彦根警察署から感謝状が贈られた。
<<刃物事案の発生は、大型商業施設内の総合案内所からの連絡で知りました>>
「刃物を持った女が暴れている」――。第一報が防災センターに入りました。
施設内の違う場所で勤務していた私は、防災センターから飛んで来た隊員と合流して総合案内所へ向かい、そこでコーヒーチェーン店に犯人がいることを聞き、二人で店へ急行しました。
刃物を持った女は、席数が30ほどの店内の真ん中あたりのテーブル席に座っていました。従業員の方はチェーン店のマニュアルに沿ってバックルームに避難していました。
<<女の様子はどうでしたか>>
包丁の柄をトントンとテーブルに打ち付け、周りを威嚇している感じでした。一緒に店に入った隊員と女の前に立ち、「こんなことやっても、いいことないから」と説得を試みましたが、首を横に振り、ずっと包丁を打ち付けていて、耳を貸さない状況でした。
刃物を持った人と向き合ったのは初めてです。女は体格がいいという感じではなかったですが、怖さがありました。何をしてくるか読めず、何を考えているか分からなかったので。それでも、早く何とかしなければと思いました。ガラス越しに店内を見ている人も増えてきていました。
私は正面から、横の方にずれてみました。すると女は、こちらに全然、関心を示さず、目の前で説得している隊員の方だけを見ていました。
そのまま私は女の背後に回り、包丁を持っていた右手の手首を両手で押さえ付けました。そして、右手で包丁を引き抜き、床に組み伏せました。
店に入ってから、5分もかかっていなかったと思います。女はうめき声を出して、頭を床に叩き付けることを繰り返していたので、持ってきてもらったクッション材を頭の下に入れました。
<<事案を振り返って思うことは、どんなことでしょう>>
一日1万人近いお客さんが来られている商業施設で、従業員を含めて被害が出なかったことは本当に良かったです。妻からは「無茶はしないでね」と心配されました。
現行犯逮捕し、警察に引き渡した女は約半年後、同じコーヒーチェーン店で同じ事案を起こしました。2回目の時には私が刺股で腕を押さえ付け、ほかの隊員が包丁を取り上げました。
警察から後で聞いた話では、「お金がなく、捕まりたかった。捕まれば、ご飯が食べられる」と女は話していたそうです。
<<ALSOK京滋には大学卒業後、新卒で入社しました>>
私は高校でフェンシングを始め、スポーツ推薦で大学に進学しました。フェンシングを続けられる環境がある地元の会社を探していた時に、ALSOK京滋を知り、入社することができました。
競技生活では、会社のバックアップで国体(国民体育大会)や全日本選手権などに出させてもらい、感謝しています。国体には入社後、16回出場することができました。
相手と駆け引きをして、それに勝った時の喜びがフェンシングにはあります。競技を通じて体力的にも精神的にも鍛えられました。いまは滋賀県フェンシング協会の理事として、ジュニア選手の育成に携わっています。
<<仕事では現在も、刃物事案があった大型商業施設で防災センターの隊長を務めています>>
私が勤務する商業施設は、滋賀県内でも大きさはトップクラス。不特定多数の方が出入りされる商業施設での勤務は毎日、同じことの繰り返しがなく、やりがいを感じています。
未成年者の不良行為をなくすなど、安心して買い物ができる環境を常につくれるよう、これからも努力していきます。
隊員(約20人)が自ら考えて仕事ができる環境づくりも心掛けています。支社勤務で課長をしていた時に、若い隊員を育成する大切さを実感したからです。
<<休みの日はどのように過ごしていますか>>
保育園に通っている子供と公園に出掛けたりしています。子供と一緒にいる時が一番安らぎます。趣味は神社・仏閣巡りです。
