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警備業ヒューマン・インタビュー2026.02.01
堀川昌弘さん(ALSOK京滋)
「刃物女」を現行犯逮捕
滋賀県彦根市内の大型商業施設で防災センターの隊長を務める堀川昌弘さん(48、ALSOK京滋)は2024年7月3日午後6時ごろ、包丁を持った女(60代)がいる施設内のコーヒーチェーン店に、同じ職場の隊員と駆け付けた。フェンシングで培った判断力を生かして、女を現行犯逮捕した。功労に対し、県警彦根警察署から感謝状が贈られた。
<<刃物事案の発生は、大型商業施設内の総合案内所からの連絡で知りました>>
「刃物を持った女が暴れている」――。第一報が防災センターに入りました。
施設内の違う場所で勤務していた私は、防災センターから飛んで来た隊員と合流して総合案内所へ向かい、そこでコーヒーチェーン店に犯人がいることを聞き、二人で店へ急行しました。
刃物を持った女は、席数が30ほどの店内の真ん中あたりのテーブル席に座っていました。従業員の方はチェーン店のマニュアルに沿ってバックルームに避難していました。
<<女の様子はどうでしたか>>
包丁の柄をトントンとテーブルに打ち付け、周りを威嚇している感じでした。一緒に店に入った隊員と女の前に立ち、「こんなことやっても、いいことないから」と説得を試みましたが、首を横に振り、ずっと包丁を打ち付けていて、耳を貸さない状況でした。
刃物を持った人と向き合ったのは初めてです。女は体格がいいという感じではなかったですが、怖さがありました。何をしてくるか読めず、何を考えているか分からなかったので。それでも、早く何とかしなければと思いました。ガラス越しに店内を見ている人も増えてきていました。
私は正面から、横の方にずれてみました。すると女は、こちらに全然、関心を示さず、目の前で説得している隊員の方だけを見ていました。
そのまま私は女の背後に回り、包丁を持っていた右手の手首を両手で押さえ付けました。そして、右手で包丁を引き抜き、床に組み伏せました。
店に入ってから、5分もかかっていなかったと思います。女はうめき声を出して、頭を床に叩き付けることを繰り返していたので、持ってきてもらったクッション材を頭の下に入れました。
<<事案を振り返って思うことは、どんなことでしょう>>
一日1万人近いお客さんが来られている商業施設で、従業員を含めて被害が出なかったことは本当に良かったです。妻からは「無茶はしないでね」と心配されました。
現行犯逮捕し、警察に引き渡した女は約半年後、同じコーヒーチェーン店で同じ事案を起こしました。2回目の時には私が刺股で腕を押さえ付け、ほかの隊員が包丁を取り上げました。
警察から後で聞いた話では、「お金がなく、捕まりたかった。捕まれば、ご飯が食べられる」と女は話していたそうです。
<<ALSOK京滋には大学卒業後、新卒で入社しました>>
私は高校でフェンシングを始め、スポーツ推薦で大学に進学しました。フェンシングを続けられる環境がある地元の会社を探していた時に、ALSOK京滋を知り、入社することができました。
競技生活では、会社のバックアップで国体(国民体育大会)や全日本選手権などに出させてもらい、感謝しています。国体には入社後、16回出場することができました。
相手と駆け引きをして、それに勝った時の喜びがフェンシングにはあります。競技を通じて体力的にも精神的にも鍛えられました。いまは滋賀県フェンシング協会の理事として、ジュニア選手の育成に携わっています。
<<仕事では現在も、刃物事案があった大型商業施設で防災センターの隊長を務めています>>
私が勤務する商業施設は、滋賀県内でも大きさはトップクラス。不特定多数の方が出入りされる商業施設での勤務は毎日、同じことの繰り返しがなく、やりがいを感じています。
未成年者の不良行為をなくすなど、安心して買い物ができる環境を常につくれるよう、これからも努力していきます。
隊員(約20人)が自ら考えて仕事ができる環境づくりも心掛けています。支社勤務で課長をしていた時に、若い隊員を育成する大切さを実感したからです。
<<休みの日はどのように過ごしていますか>>
保育園に通っている子供と公園に出掛けたりしています。子供と一緒にいる時が一番安らぎます。趣味は神社・仏閣巡りです。
