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クローズUP

岡山警協 要望書を提出2026.02.01

県、岡山市、倉敷市に

岡山県警備業協会(松尾浩三会長)は12月18日、岡山県(伊原木隆太知事)に「要望書」を提出した。

要望書は、全国警備業協会(村井豪会長)が各県協会に、県などの地方公共団体に対する要望活動を促していることを受けて作成。同一内容の要望書を12月22日に岡山市(大森雅夫市長)に、12月17日に倉敷市(伊東香織市長)に提出した。

要望書では、政府が閣議決定した「骨太方針」において警備業での賃上げや価格転嫁の促進などが明記されていることに触れた上で次のような要望を行った。

▽県、市の入札における低入札価格調査制度や最低制限価格制度導入。適正な最低制限価格の設定。施設警備業務、雑踏警備業務における分離発注の徹底▽県、市の建築物等の警備業務発注者への「建築保全業務労務単価」適用の徹底▽スライド条項やキャンセルポリシーの契約条項への導入▽イベント警備、交通誘導警備で適正な警備員配置の指導――など。

県庁内で松尾会長は、県出納局・上川裕之会計課長に要望書を手渡した。

最高裁 18日に判決2026.02.01

警備員「欠格条項」訴訟

最高裁判所は2月18日、旧・警備業法に規定されていた“警備員になれない人”を定めた「欠格条項」に関し、憲法違反の有無について判断を示す。2018年から始まった裁判の結審。

交通誘導警備業務に従事していた警備員Aさん(30=当時)が、成年後見制度を利用して「保佐」開始の審判を受けたところ、警備会社の退職を余儀なくされた。理由は旧警備業法第14条と同第3条第1号の警備員の「欠格事由」に該当する――だった。

このためAさんは、同規定は憲法(第14条第1項=法の下の平等、同第22条第1項=職業選択の自由)などに違反し違憲だとし、国に国家賠償法に基づく損害賠償を求め提訴。一審の岐阜地裁、二審の名古屋高裁ともに「規定(旧警備業法の欠格条項)は違憲」と判断し、岐阜地裁は10万円、名古屋地裁は50万円を支払うよう国に命じていた。

最高裁は1月14日、訴訟当事者であるAさんと国から意見を聞く「弁論」を行い結審した。争点は一・二審で認められた旧警備業法欠格条項の憲法違反の有無と、国会がAさん退職の2017年3月末までに同規定を廃止する立法措置を取らなかったことの違法性。

警備業法など約200の法律にあった同制度利用を理由とする「欠格条項」規定は、2019年の法改正で全て削除されている。

特集ワイド「適正取引」進めよう2026.02.01

下請法改め取適法

価格転嫁が道半ばのなか、中小受託取引適正化法(取適法)が1月1日に施行された。約20年ぶりとなる下請法の改正と法律名の変更がセットで行われたもので、発注側と受注側の協議によって取引価格を決めることを新たにルール化。法適用の対象企業も拡大された。来月には取適法施行後で初となる「価格交渉促進月間」が控えており、適正取引が進むことが期待される。

中小受託取引適正化法(取適法、旧下請法)の施行に当たっては法律名に加え、用語の変更が行われた。親事業者は委託事業者に、下請事業者は中小受託事業者にそれぞれ改められ、下請という用語はなくなった。「主従関係でなく対等な関係」という意識を根付かせ、適正取引につなげる狙いがある。

取適法では、委託事業者(発注企業)の禁止行為に、「協議に応じない一方的な代金決定」が新たに加わった。中小受託事業者(受注企業)から価格協議の申し出があったにもかかわらず、委託事業者が協議を拒否したり、値上げ要請に応じられない理由を説明しなかったりすれば、法律違反となる。

また、旧下請法では資本金の額だけが法律の適用基準だったが、取適法では従業員数が基準に追加された。資本金を意図的に操作することによる「法律逃れ」を防ぐのが目的だ。

資本金基準を満たしていなくても、警備などの役務提供委託では発注企業が従業員100人超、受注企業が100人以下の取引であれば、法律の適用対象となった。

法改正では「面的執行の強化」も行われた。必要に応じて委託事業者に指導・助言ができる機関は、旧下請法では公正取引委員会と中小企業庁だったが、取適法では事業所管省庁(警備業は警察庁)にもその権限を付与。中小受託事業者による違反事案の情報提供先にも所管省庁が追加された。

民間信用調査会社が行った取適法の認知度アンケートによると、大企業に比べ中小企業で「知らない」割合が高かった。公取委と中企庁は、特設サイトやガイドブックで取適法の周知を図っている。

取適法の実効性確保に向けて、2026年度に公取委は約60人を増員。中企庁は「取引Gメン」によるヒアリングを年間で1万件以上行う。

価格転嫁率53.5%

労務費などのコスト上昇分を取引価格に転嫁するための環境整備として、国は2021年9月から、毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」に設定している。価格改定を半期に一度、10月と4月に行う企業が多いことが時期設定の背景にある。

人材の採用・定着が大きな経営課題となっている中小警備会社などの受注側にとって、賃上げや職場環境改善の原資を確保する上で、適正な価格転嫁は欠かせない。

価格交渉促進月間で中小企業庁は、受注側を対象にフォローアップ調査を実施。通算9回目の月間となった25年9月の調査では約7万社から回答を得た。

コスト上昇分をどれだけ取引価格に転嫁できたかを表す「価格転嫁率」は平均で53.5%。上昇分の約半分を受注側で吸収している計算だ。前回調査(25年3月)の52.4%からは微増にとどまり、適正な価格転嫁が道半ばであることが浮き彫りとなった。

価格転嫁率が「10割」と答えた企業は全体の27.3%で、「7〜9割」21.0%、「4〜6割」10.5%、「1〜3割」24.4%となり、「全く転嫁できなかった」16.8%。前回調査から大きな変化は見られず、二極化の傾向が続いた。1次請け、2次請けなどと取引段階が進むにつれて、価格転嫁率が低くなる状況も同じままだった。

25年9月調査で価格転嫁率が10割に至らなかった中小企業に対し、発注側からの説明に関して尋ねたところ、「納得できる説明があった」63.4%、「説明はあったが、納得できる内容ではなかった」12.7%。取適法で違反となる「説明はなかった」は24.0%だった。

コスト別の価格転嫁率は「原材料費」55.0%、「労務費」50.0%、「エネルギー価格」48.9%で、前回調査との比較では労務費の増加幅(1.4ポイント)が最も大きかった。

25年9月調査では「見える化」の観点から、都道府県別の価格転嫁率を初めて公表。発注・受注企業の所在地別ともに、島根が50%台後半でトップとなった。1位と47位の転嫁率は10ポイント以上の開きがあった。

警備会社の交渉術

中小企業庁が運営する「適正取引支援サイト」に価格交渉・転嫁の取り組み事例が80例ほど掲載されている。その一つに「2〜3年後の最低賃金見据え顧客理解を得た交渉術」と題した警備会社の事例がある。

この会社は最低賃金の上昇に対応するため価格交渉を毎年行ってきたが、給与水準を十分に引き上げることができずにいた。それに伴い、退職者の増加や採用難が問題となっていた。

そうしたなか、再度の価格交渉に向けて、最低賃金の上昇分を人件費に上乗せした資料を作成。上昇分は2〜3年後を見据えて算出し、価格転嫁の必要性を訴えた。ロールプレイングの実施や成功事例の共有を通じて営業担当者の交渉力も高めた。

取り組みの結果、一部の契約で価格転嫁に成功。売り上げの増加や利益率の改善、従業員の賃上げを実現した。

会社は「最低賃金上昇という社会全体の動向を明確に示し、従業員の待遇改善という公益性を強調したことが、顧客の理解を得る上で大きな要因となった」としている。

「労務費転嫁指針」認知高まる

内閣官房と公正取引委員会が2023年11月に策定した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針(労務費転嫁指針)」についての公取委の25年度調査によると、指針を知っている企業は6割で、前年度を10ポイントほど上回った。

25年度調査では約4万社から回答があった。指針を知っている割合の業種別で「警備・ビルメンテナンス業」は71.4%。調査対象の43業種の中で3番目に高かった。要因の一つとして、全国警備業協会が24年2月に作成し、記載内容の更新を行っているリーフレットの効果が考えられる。リーフレットは全警協ホームページからダウンロード可能だ。

調査では、指針を知っている企業の方が、労務費上昇分を取引価格に転嫁しやすいことが分かった。警備・ビルメンテナンス業で価格転嫁できた割合をみると、「知っている」企業が82.3%、「知らない」企業が62.7%だった。

労務費転嫁指針は、発注者と受注者に求められる「12の行動指針」を明示。警備業の発注者行動の事例として、「経営トップの指示で少なくとも3か月に1回、担当者が受注者の事務所を訪問して、価格協議の場を設けている。担当者は四半期ごとに、協議内容を様式に記録し、価格を引き上げた場合に経営トップに報告している」との取り組みを指針のなかで紹介している。

警備業の受注者行動では、「公共工事設計労務単価の引き上げ率の範囲内で引き上げを求めた」「社員教育に力を入れるために必要な値上げであることを説明した」「コミュニケーションの積み重ねで満額回答を得ることができたと思う」といった声を取り上げている。