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視点

詐欺対策2026.02.21

「気づきと行動」広げよう

特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害が深刻な状況となっている。

2025年の合計被害額は11月末時点で2763億9000万円。24年同期と比較すると1千億円余り増えており、警察庁の年間予算に近い額だ。

これまで警備業界は、警察が行う広報啓発活動に積極的に参加したり、遭遇した詐欺現場で被害を未然に防いだりしてきたが、より一層の貢献が期待される。

25年の特殊詐欺の被害額は11月末時点で1213億3000万円。7月までで既に24年の年間被害額を上回り、過去最悪となっている。被害額の約7割を占めるのが「ニセ警察詐欺」だ。

この詐欺はその名の通り、犯人が警察官になりすます。そして、捜査名目で金銭をだまし取る。使うフレーズは「あなたの口座が犯罪に使われた」「あなたに逮捕状が出ている」――。これで不安をあおる。偽の身分証を見せ、警察官だと信じ込ませるケースがある。若者から高齢者まで幅広い世代が詐欺被害に遭っている。

警察庁は、「警察が捜査対象となっていることを電話で伝えたり、SNSで連絡をとったりすることはない」と注意喚起。SNSのビデオ通話で使われた偽の警察手帳、逮捕状の画像などをホームページで公開している。

警備業界では、各県協会がこれまで、ニセ警察詐欺の手口に関する広報啓発や、詐欺被害が多発している「+」(プラス)から始まる国際電話を固定電話やスマートフォンで受けないための手続きに協力。人が集まるスタジアム、商業施設などで活動してきた。

特殊詐欺では、架空の料金請求や還付金による被害も少なくない。そうしたなか、勤務中の警備員が未然に防ぎ、警察から感謝状の贈呈を受けた事例は多数報告されている。

被害防止への貢献は勤務外のケースもある。例えば、警備会社の本社管理部門の社員は、帰宅途中に立ち寄った買い物先で詐欺現場に遭遇。電話をしながらATMを操作している人を見かけて不審に思うと、居合わせた客と一緒に声掛けを行い、聞き取った内容から詐欺を見破った。

警備会社の社員が率先している「気づきと行動」が広く社会に認知され、その輪が広がっていくことを期待したい。

【伊部正之】

労務単価2026.02.11

堂々と適正料金求めて

国土交通省は近く、3月から全国の国発注の公共工事で適用する「公共工事設計労務単価」を公表する。検定合格警備員の「警備員A」、それ以外の「警備員B」の新たな単価は、交通誘導警備業務として建設工事に参画する警備会社にとって最大の関心事である。

同単価は社会保険への加入促進や実勢価格の反映などを理由に2013年度から毎年上昇。特に近年は、最低賃金の大幅引き上げや物価高騰、成長と分配の好循環など政策的・経済的背景を受けて交通誘導警備員を含め各職種とも大幅アップが続いている。

一方で、「公共工事設計労務単価は絵に描いた餅」との意見は今も多い。元請け建設会社に同単価に基づいた警備料金を求めても「われわれも厳しい競争により安値で受注した。労務単価通りは払えない」――。見積書を突き返された、という経験を持つ警備会社も多いに違いない。

国も毎年、労務単価を改定して活用を促してきたが、最終的には「元請け会社と請負会社の“民・民の話”」と直接的な関与を避けてきた。

しかし、時代は大きく変わった。「労務費に関する基準(標準労務費)」の導入である。

公共工事設計労務単価は今後、全国の交通誘導警備員の“最低保証賃金”となる。同時に警備員を雇用するために警備会社に不可欠な「法定福利費の事業主負担分」「安全衛生経費」「教育費」など同単価に約40%超の必要経費を付加した「労務費」は、適正賃金=公共工事設計労務単価の原資となる“適正労務費”として価格競争から除外、全ての請負契約段階での確保が求められる。

国交省の労務費基準検討の場で、都道府県の主要元請け建設会社で構成される全国建設業協会(会員企業数1万8475社、2025年6月末)会長の「下流から上流の価格を決めるシステム。画期的な取り組みだ」との言葉にすべてが集約されている。

制度はすでに昨年12月に全面スタートした。制度を拒否した建設会社には建設業法に基づくペナルティーも用意されている。

全国の交通誘導警備を行う警備会社には、これまでの建設会社との“しがらみ”を捨て、新たな制度で堂々と適正警備料金を求め、確実に手にしていただきたい。

【休徳克幸】

外国人雇用2026.02.01

業界全体で受け入れよう

国土交通省によると昨年、日本を訪れた外国人(インバウンド)は4000万人を超えた。前年から約16%増加し、過去最多となった。政府は2030年までに「訪日外国人6000万人達成」を目標に掲げている。

観光目的のインバウンドではなく、3か月以上の在留資格を持つ「在留外国人」も増えている、10年前から毎年10%ずつ増え続け、昨年6月には約370万人に達したことを出入国在留管理庁は発表した。日本の人口は減少傾向にあるが、日本に暮らす外国人は増加傾向にある。警備業の課題である人手不足を改善するために「外国人雇用」はこれから一層注目されていくだろう。

「外国人を警備員として採用できるのだろうか」と考える警備業関係者は今も多い。最大の問題となるのは「在留資格」だ。警備業は現在、「特定技能」や従来の「技能実習」など“就労系”在留資格の対象分野ではないからだ。

外国人向け求人サイト「ガイダブル・ジョブズ」を運営するガイダブルの田邉政喜社長は「永住者・定住者(日系人など)・日本人との配偶者など“身分系”在留資格を持つ外国人であれば、日本人と同じように警備員として働くことができます」と話す。

現場業務では「日本語力」が必要となる。ガイダブルでは、サイトに登録があった外国人に一次面接として在留資格や日本語能力を確認し、その上で企業面接につなげている。企業の「外国人雇用への不安」を軽減する取り組みだ。

筆者は2号警備が主業務の警備会社に勤務するベトナム人の警備部長を取材したことがある。管制を含む業務全体を任され、社内DX推進の責任者でもあった。「定住者」の在留資格を持ち、日本語を流暢に話す優秀な“人財”だった。

特定技能制度に加え、来年4月からは「育成就労制度」がスタートする。人手不足が深刻な分野で、外国人が働きながら技能を習得しキャリアアップを目指す。全国警備業協会は両制度の対象業種に警備業が追加されることを目指してワーキンググループを設置、12月の閣議決定に向けて協議を重ねている。

文化や宗教の違い、言葉の壁など課題はあるが、業界全体で知識を共有しながら労働環境を整え、外国人を貴重な戦力として受け入れるときだ。

【瀬戸雅彦】