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クローズUP

来春、広島で開催へ2025.11.01

中国地区連 青年部会「ブロック会議」

中国地区警備業協会連合会(松尾浩三会長=岡山警協会長)は10月15日、山口県岩国市内で「臨時会」を開催した。全国警備業協会の委員会委員を務める各県会長が活動を報告。中国地区全県の青年部会設立を受け来春、同地区連初の「青年部会ブロック会議」を開催することを決定した。

「臨時会」には中国地区5県の会長と専務理事に加え、山口県警本部の山根保宏生活安全部長、全警協の黒木慶英専務理事と小澤祥一朗総務部次長が来賓として出席した。

松尾会長は、国土交通省が導入を進める「労務費基準(標準労務費)」に言及。「労務費基準は年末から来年1、2月には導入される」と今後の見通しを述べるとともに、全警協が同省に▽労務費基準の基本は公共工事設計労務単価とする▽人手不足対応のためにAIを活用した場合の適正な歩掛(作業を行う際に必要となる作業手間や作業日数などを数値化した指標)の採用▽警備計画の作成など建設業にはない業務に対する積算への反映――などを求めていることを明かした。

議事では、8月の鳥取警協青年部会発足により中国地区全県に青年部会が設立されたことから、2026年4月に広島で同地区連初の「青年部会ブロック会議」開催を決定した。

また、全警協の「防災」「経営基盤」「教育」「労務」の各委員会の委員を務める各県会長が、委員会の活動や課題を報告した。

防災委の藤田泰央・鳥取会長は、全警協が行った「災害復旧支援時の警備業と他の業界団体との連携」についての調査結果を紹介。同調査は、災害復旧時に現場で交通誘導警備や避難所警戒に従事する警備員に対し、食料や給油などライフラインに関する情報を求める被災者が多いことを受けたもの。

藤田会長は「石油業協同組合など5団体に連携を打診した。理解は示したものの関心は低かった」と述べ、さらなる働き掛けの必要性を指摘した。

吉岡健二郎・島根会長が所属する経営基盤委は、6月の全警協組織改編により新設された委員会。初会合は11月に開催される。

教育委の村本尚之・広島会長は、教育事業推進の柱「デジタル化」の現状について報告。これまで協会が対面で行ってきた特別講習の受講受付業務のデジタル化により自県で若干の混乱があったことを明かした。

労務委の豊島貴子・山口会長は、新設の経営基盤委と労務委との論点整理の必要性を訴えた。標準労務費に関しては「国交省のスタンスは(交通誘導警備員の労務単価が)軽作業員や一般作業員より安いから使っていた。高くなれば警備員が警備ロボットに置き換えられる」と私見を述べ、「デジタル化に向け警備士がどのようにオペレーションしていくかを論じていく必要がある」と指摘した。

特集ワイド 広げよう 健康増進2025.11.01

明るい健全な職場づくりと定着促進に向けて、働く人の健康増進に取り組む企業は増えている。厳しい人手不足が慢性的に続く中で、警備員が心身ともに健康を保ち、より長く勤務して質の高い業務を提供していくことは顧客満足と社業発展に直結するものだ。さまざまなアプローチによって健康増進に力を注いでいる警備会社3社の取り組みを紹介する。

セフティワン 「再検査」受診率を向上

セフティワン(山口市、加藤晋代表取締役)は、山口県と全国健康保険協会山口支部による認定制度「やまぐち健康経営企業」の認定を2023年から受けている。警備業で同認定を受けているのはCGSコーポレーション、機動警備保障、美祢警備保障、山口保安工業など。

セフティワンは主に交通誘導警備を手掛け、従業員は50人。「隊員自身の主体的な健康意識の向上」を目標に掲げている。

取り組みの重点項目として定期健康診断の「再検査」受診率を向上させようと検査費用を一部負担したところ、2022年度取り組み当初は30%だった再検査の受診率が、24年度は80%になった。

従業員の「歯の治療費一部負担」は2018年から開始。同社が健康経営にどう取り組むか検討を始めた頃「歯の健康は、身体全体の健康に影響するものです」という隊員の言葉がきっかけとなってスタートした。

24年4月に開催した「創立25周年社員集会」では、県歯科医師会の小山茂幸会長を講師に招いた。講演の演題は「自分の歯を守れずに、人の命は守れるか」。業務のため参加できない隊員には講演の動画を視聴してもらい情報共有に努めた。

「交通誘導警備は退勤時間が事前に把握しにくく、歯科受診を予約しづらい」という業界の課題に挑み、24年度に「当日予約なしでOK」と快諾してくれた歯科医院で20人ほどが歯科検診を受けた。

年2回実施している「健康アップチャレンジ」では、筋トレやウォーキングなど健康に関する習慣づくりに一定期間取り組んでもらい、参加した従業員にクオカードを贈っている。

さらに24年度から「食」の充実にも取り組み、福利厚生の一環として「設置型の社食」を導入した。「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」という冷蔵・冷凍おかずの社内販売システムで、管理栄養士が監修した低糖質、高たんぱく質の食品を従業員は会社の補助により「どれでも100円」で食べることができる。

加藤代表取締役は「社内の健康づくりは、年月をかけて浸透していくものと考えます。縁あって当社で働いている皆さんが健康を維持して、より豊かな人生を過ごせるお手伝いを少しでもできればという気持ちで取り組んでいます」と述べた。

ATUホールディングス ウェブ日報

ATUホールディングス(福岡市博多区、岩﨑龍太郎代表取締役)は、社員のメンタルヘルスケアに向けて、心身の健康状態を把握する就労定着支援システム「SPIS」(エスピス)を活用している。

エスピスは、PCやスマートフォンを利用してウェブ上で業務日報を作成するツール。警備員は「睡眠の質」「疲労度」「不安度」「仕事に対する『個人評価』」について4段階(1〜4の数字。大きいほど良い)で報告。その日の現場の状況や現場以外のことも自由に記入して、社内の担当者がコメントを返すやりとりを毎日重ねている。

“いつもと違う”などの異変に気づいた担当者は、本人に確認。必要に応じて上司や産業医、保健師による面談を行う。社内の「改善相談員」は、現場からの改善提案や相談を口頭で受けている。

同社では次のようなエスピスの活用事例があった。

仕事熱心なある隊員は「仕事に対する『個人評価』」は良い点数が続き、日報コメントの情報量も多かったが、急に“コメントは1行のみ”の日が続くようになった。本人に確認したところ「仕事に対する過剰な責任感」を持っていることが明らかになった。改善相談員がヒアリングした上で、産業医が面談、仕事とプライベートのバランスに配慮した。

ほかにも「朝食を抜く」「就寝前のスマホ」といった誰もがありがちな習慣を、専門家の助言を受けて見直した隊員もいる。

同社はエスピスの担当者向けの研修を毎月、保健師を招いて行っている。担当者は研修で学んだ内容を次のように述べた。

「人と向き合うことは、聞き手の精神的な負担になりかねないため、第三者的な目線を保って聞くよう心掛けています。ヒアリングで感情的な相談を受けた時には“これは事実です。これは感情ですね”などと相手の思考を整理してあげることが大切になります」。

同社は「健康経営優良法人2025・中小規模法人部門」の「ブライト500」に3年連続で認定されている。「社員一丸となって心身の健康維持に努め、社会に貢献できる仕事を続けていきたい」としている。

津軽警備保障 5年連続「ブライト500」

経済産業省などが推進する「健康経営優良法人」で、中小規模法人部門の上位500社に付与される称号「ブライト500」。津軽警備保障(青森県弘前市、吉田勇太代表取締役社長)は今年3月、5年連続で認定を受けた。

同社は▽インフルエンザ予防接種の全社員実施▽定期検診の再検査受診率100%▽社内の喫煙者ゼロの達成▽フィットネスジムの利用費補助▽栄養バランスをテーマの社内セミナー開催▽ウォーキングを兼ねた地域の清掃活動――などを実践してきた。こうした取り組みなどを弘前市が評価。7月1日に「健康都市弘前」推進企業として櫻田宏市長から認定証が授与された。

10月9日には、同市と大手食品メーカー・カゴメが締結している包括連携協定に基づく「あと70グラム野菜を食べよう推進事業」で、調理イベントを社内で開催した。社員が本社前で栽培し冷凍保存したミニトマトなどを使い、弘前市食生活改善推進委員からアドバイスを受けて社員が調理、参加者は健康的な食生活に対する意識をより高めた。

山口道子代表取締役会長が積み重ねてきた健康経営を推進する吉田社長は「警備業の高品質なサービスを安定的に提供するうえで社員が心身とも健康であることは大切です。日頃の疾病予防はもとより、職場環境の改善も必要。古い習慣などから働きにくい環境となっていないか、社内の窓口で意見を聞いて柔軟に対応していきたい」と述べた。

5年続けての「ブライト500」認定については「健康経営は、採用活動で応募者の増加に結びつくものです。2024年度は71人に面接して32人を採用、18人が定着しています。また、お客さまからの企業選択にもつながっていると実感します。警備業のさらなるイメージアップを図って、若い世代や新卒者の親御さんに『魅力ある職業』であることを伝えていきたい」と話した。