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福岡警協 県との災害協定を改定2025.09.21

対応の効率化、迅速化図る

福岡県警備業協会(折田康徳会長)は8月27日、福岡県(服部誠太郎知事)との間で締結していた「災害時における交通誘導その他の警備業務に関する協定」を全面改定し再締結した。

福岡警協は2000年に県・県警察本部と協定を締結していた。自然災害の発生時に災害支援対応の効率化と迅速化を図るとともに、適正価格により警備業務の受注と警備業務の実効性を高めることを目的として約1年半にわたり関係部局と協議を重ねて内容を見直し、再締結に至った。

改定のポイントは次の通り。

(1)協会は、県から警備業務を直接受託するのでなく、会員事業者による警備業務の受託に向けて調整する立場へ改めた。

(2)警備業務の内容は「緊急交通路の確保等」を廃して、「被災地の被害拡大防止、救援・救護活動等に関する交通誘導警備業務」などに改めた。具体的には▽災害時における被災地の被害拡大防止と救援、救護活動等に関する交通誘導警備業務▽避難場所その他の被災地における警戒活動警備業務▽立ち入り禁止場所や制限区域における出入管理、警戒活動警備業務▽その他必要と認める業務――とした。

(3)費用負担については「災害発生直前における適正な価格を基準とし、国土交通省の公共工事設計労務単価及び被災地における特殊事業によって生じる必要経費等の事情を踏まえ協議して決定する」と明記。業務請負時等における契約書面の交付について盛り込んだ。

県警察本部長との間で締結していた細目協定は、指示系統の単純化や迅速な対応のため廃止された。

県庁で締結式が行われた。生嶋亮介副知事は「協定締結は、災害時における県民の安全・安心の確保につながるだけでなく、被災者の速やかな生活再建や被災地の早期復旧・復興にも寄与するもので大変心強く思います」と改定に期待を寄せた。

折田会長は「警備業は生活安全産業として、平時に限らず災害発生の非常時においてはなおさら、真価が問われるものと考えています。協会会員一同決意を新たに、災害時には特に迅速・的確に対応できるよう努めてまいります」と述べた。

災害に備えを進める警備業2025.09.11

東京警協 都・羽村市・日の出町合同訓練に参加

記録的な暑さとなった今夏、警備業は災害に対する備えを着実に進める。9月1日「防災の日」を前に各地で訓練が行われた。東京都警備業協会(澤本尚志会長)は8月31日、「東京都・羽村市・日の出町合同防災総合訓練」に参加した。北関東綜合警備保障(宇都宮市、青木靖典社長)は8月30日、同市内で30回目となる防災訓練に取り組んだ。

東京警協から会員の警備員15人、災害対策委員会・中田文彦委員長(=協会副会長、ジャパンパトロール警備保障)と委員、特別講習講師、衣川淳一専務理事と事務局員が参加した。

多摩東部を震源とするマグニチュード7.3の首都直下地震が発生した――と想定し、羽村市内で警察・消防・自衛隊による救出救助訓練が行われた。警備員は、日の出町内で行われた防災事業の展示体験訓練の会場と周辺で、交通誘導訓練を行った。

訓練開始にあたり、中田委員長は警備員に趣旨を説明し「厳しい暑さの中で熱中症や事故のないよう十分注意して、いざという時に備え取り組んでほしい」と述べた。

警視庁生活安全部生活安全総務課・尾上成臣管理官があいさつし、警備員を激励した。

展示会場の東京警協ブースでは、警視庁との協定に基づいて毎年春に同庁と連携して「災害対策訓練」を行って警備員のスキルアップを図っていることなどを写真パネルで来場者に広報した。

閉会式で、阿部秀樹副委員長(協会常任理事、JTS)は警備員をねぎらうとともに、災害に対する一層の備えを呼び掛けた。

衣川専務理事は「訓練を通じて警備業の重要性、役割を関係機関に示すことができたと思う。引き続き誇りと使命感をもって業務に取り組み、残暑が厳しい中で熱中症防止に留意してほしい」と述べた。

北関東綜合警備保障 30回目の防災訓練

地震発生で建物内に人が取り残されていることを想定、迅速な捜索、救助を目指す――。北関東綜合警備保障の防災訓練は公開され、防災関係機関や警備契約先、自治会から多くの人が見学に訪れた。

今年で節目の30回目。例年は本社を訓練会場としていたが、工業団地内の社有地で初めて実施した。慣れない環境での活動を通じ、災害対応力を高めたいと考えた。

訓練では警備契約先の建物内に、地震でロッカーが倒れたり、天井が崩落した場所があると想定した。同社の災害救助犬やドローンによる捜索を行い、がれきの下や上階で助けを求める人たちを発見した。

応援要請を受けた「北綜警レスキュー隊」が障害物を突破して現場に到着。誘導ロープや担架を用い、救助した。警備会社でいち早く導入した消火用タンク車による放水も披露した。

訓練後は会場を屋内へ移し、非常食の試食体験やグループ会社の防災活動の紹介などが行われた。

同社は栃木県内の複数の自治体と災害時協定を締結している。

石川警協、「金沢エナジー」と協定結ぶ2025.09.01

災害時、ガス復旧へ提携

石川県警備業協会(上田紘詩会長)は8月8日、ガス供給や発電事業を手掛ける金沢エナジー(金沢市、手崎裕之代表取締役社長)と「災害時等における協力に関する協定」を締結した。災害発生時、相互に連携し応急対策を実施することが目的。同協会が民間企業と災害時協定を結ぶのは初めて。

金沢エナジーは北陸電力、東邦ガスなど6社が出資して2021年に設立され、金沢市が運営してきたガス事業と水力発電事業を譲り受けた。都市ガスの契約件数は25年度末の見通しで約6万2000件にのぼる。

協定の主な内容は次の通り。災害時、同社は(1)緊急修繕工事、災害復旧作業に伴う交通誘導警備業務(2)物資の集積・配送拠点の警備と交通誘導に関する業務(3)各業務に附帯関連する業務――について石川警協に協力要請ができる。

協会は会員との調整を行い、業務を受託した会員事業者または共同事業体が警備員を出動させる。

業務の費用は「役務の提供を受ける直前の適正価格」を基準とし、適正価格については「毎年度の公共工事設計労務単価に法定福利費などの必要経費を加えた額」と明記された。受託警備業者は、国土交通省土木工事積算要領・同基準と被災地における特殊事情で生じる必要経費を計上して算出した見積りをもとに同社と協議して決める。

2024年1月1日に発生した能登半島地震では、経済産業省のまとめによると石川・富山の両県内で、都市ガスの供給は148戸で支障が生じたが事業者の復旧対応により1月4日中に全て供給が再開された。

金沢エナジーは「復旧活動を進める中で、災害対応には迅速で的確な連携が不可欠であることを再認識し、地域住民の安全と安心を確保する大きな一歩」として昨年11月、協会に協定の締結を申し出た。

協会は災害対策委員会(北原泉委員長=アクロス警備保障)、理事会で協議し締結に至った。