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「労務費基準」スタート2025.12.21

原資を確保、適正賃金へ

国土交通省は12月12日、「労務費に関する基準(標準労務費)」導入を主な内容とする改正建設業法を全面施行した。今後、国が示した労務費の基準を著しく下回る見積もりや契約の締結が禁止される。官・民の工事発注者や元請け建設会社(ゼネコン)・下請け建設会社・警備会社は、それぞれの請負契約で適正な労務費を原資として確保し、交通誘導警備員や建設技能者に適正賃金として支払うことが求められる。

12日の改正建設業法全面施行に先立つ12月2日、国交省は中央建設業審議会の総会を開催した。審議会は同省に「労務費に関する基準(標準労務費)」の作成と実施を勧告。これにより12日以降、国交省が作成した労務費の基準値を著しく下回る見積もりや請負契約の締結が建設業法に基づき禁止される。違反した建設業者は指導・監督、発注者は勧告・公表の対象となる。同省は今後、公共・民間に関わらず、適正な労務費が全ての請負段階で確保されて建設技能者や交通誘導警備員の適正な賃金として支払われることを目指す。

適正労務費は同省が毎年都道府県ごとの参考労務単価として公表している「公共工事設計労務単価」を基本とし、同単価に労働時間や歩掛(作業手間や作業日数などを数値化した指数)、数量、必要人員などを乗じて算出する。交通誘導警備員1人当たりの適正労務費は「公共工事設計労務単価×労働時間」で計算するが、作業の危険度や難易度などによって上乗せされる。

国交省は適正労務費を得るための実効性確保策として、契約段階(入口)では警備会社や下請け建設会社に設計労務単価を元に算出した標準労務費と、法定福利費の事業主負担分や安全衛生経費などの必要経費の内訳を明示した見積書の元請け建設会社への提示を、元請け建設会社には同見積書の尊重と両者が対等な立場で合意した契約の締結を求める。

一方、適正労務費である適正賃金の支払い段階(出口)での実効性確保策として、契約の当事者間で労務費・賃金の適正な支払い状況を確認できる条項(コミットメント制度)の請負契約への導入、適正賃金の受け取りの有無を確認するための技能者通報制度の導入、悪質業者の公表などの取り組みを順次行う。

2日の審議会では委員から「適正賃金が行き渡るような適正労務費の支払いの徹底に努める。新しい仕組みが一歩踏み出した」(宮本洋一・日本建設業連合会会長=清水建設相談役)、「下流から上流の価格を決めるシステム。画期的な取り組みだ」(今井雅則・全国建設業協会会長=戸田建設会長)などの期待や意見が寄せられた。

解説

適正賃金の原資となる適正労務費の確保は、建設工事に携わる、特に下請け建設会社や警備業にとって大きな課題だった。国交省は毎年、労務費積算の参考値として「公共工事設計労務単価」を明示。しかし、下請け建設会社や警備業に額面通りの支払いは行われてこなかった。国も「民・民の問題」として、企業間の取り組みに委ねてきた。しかし、適正労務費(賃金)が現場従事者に行き渡らず「担い手」不足が深刻化したことから国交省は「労務費基準(標準労務費)」の運用に踏み切った。

建設業界にとっては、長年続いてきた商慣行の大きな変更となり、国は労務費基準導入を機に建設技能者の処遇改善を本格的に進めていく構えだ。12月4日には元・下請け82の建設業団体や行政・発注者団体など計106団体から構成する「処遇改善推進協議会」の第2回会合が開催。労務費基準推進を確認した。同協議会は、警備業にも大きな影響を及ぼした「社会保険推進協議会」が前身。社保同様、業界を挙げた取り組みが予想される。

一方で、同制度は国が示す標準労務費(設計労務単価)を警備員の賃金として支払うこと。同額は今後、交通誘導警備員の「最低保証賃金」ともなる。建設会社と十分な価格交渉ができずに標準労務費を適正賃金として支払うことができなければ警備員の流出につながる恐れもある。

「香川大会」を開催、宣言採択2025.12.11

四国地区警備業青年部会協議会

「四国地区警備業青年部会協議会・香川大会」が11月28日、高松市内で開催された。同協議会は、四国地区警備業協会連合会(北川豊彦会長=香川警協会長)に設置され、四国4県青年部会の部会長と副部会長で構成する。全国警備業協会・戦略広報WGメンバーを招いての講演に関係者70人が参加。警備業の未来を見据え、大会宣言を採択した。

四国地区警備業青年部会協議会は、2024年から会合を重ね、各県の活動報告を行い、警備業の課題について討議してきた。今回は、人材確保に向けて警備業の魅力発信が業界の課題となる中で、全警協が作成し公開中の広報動画「静かなヒーロー」の制作に携わった戦略広報WGメンバーの5氏による講演と質疑応答が行われた。

WGメンバーで開催県・香川の副部会長を務める平井俊氏(SHINWA)は、開催趣旨を説明し、次のように呼び掛けた。「警備業が課題を乗り越えて発展するために、青年部活動では行動力やチャレンジ精神に加え、学びと気付きも大切です。DXの時代に、全警協の広報戦略などについて情報を共有し、業界の動きに理解を深めることで四国の警備業は、より力強く前に進めると思います。本大会で得たものを社業と協会活動に役立てていただきたい」。

大会宣言では、香川・山下知宏部会長(Zeus警備事業所)、愛媛・高岡俊典部会長(北四国警備保障)、高知・岡林洋部会長(いの警備)、徳島・西村達也部会長(アルファ)代理の佐賀健一郎副部会長(新日警)が登壇。「ひと・想い・未来を大切に より良い未来へ」とする「みらい宣言」を採択した。

山下部会長は、大会を総括して「皆さまの協力により青年部会の盛大な集まりを実現することができました。これを機に参加した方々の縁がつながって警備業の未来に向けた交流の輪がさらに広がることを願っています」と述べた。

大会に先立ち27日に開かれた意見交換会で、北川会長は活発な青年部活動をたたえて激励の言葉を贈った。香川警協・川田幸範副会長(大和警備保障)は「教育と青年部活動は業界発展の軸」と強調した。

「未来という布を編もう」

四国地区警備業青年部会協議会・香川大会では、全国の青年部会長や前・部会長などで構成する全警協戦略広報WGメンバーの5氏が、それぞれ登壇した。

大八木貴巌氏(大光警備・北海道) 警備業の将来を視野にWGが組織された経緯を説明した上で「青年部会の役割と使命を飛翔させていきましょう」と述べた。

黒川智洋氏(スワット・千葉) 広報戦略について自社の動画を交えて解説し「会社の理念はブランドとなって地域社会の人々の心を動かします」と強調した。

水谷充宏氏(豊警備保障・愛知) 愛知警協青年部会の歩みや広報・社会貢献活動を紹介。「より魅力ある警備業に向けて『私たちが未来』との思いで積極的な活動を」と促した。

阪本健太郎氏(フォールズ・大阪) 業界内外への効果的な広報・情報発信について説明。「内向きの広報、外向きの広報が融合して好循環が生まれ、組織強化につながります」と述べた。

上川高太郎氏(CGSコーポレーション・山口) 人材や組織が成長するために、現在の強みを磨く「知の深化」と、新しい挑戦を恐れない「知の探索」を両立するバランスの重要さを語った上で「未来という布を編む」取り組みを呼び掛けた。

講演後、メンバー各氏は、四国4県青年部会員からの次のような質問に答えた。▽青年部会の運営方法▽中小企業の情報発信、自社の特色アピール▽人口減少時代の未来像、テクノロジー活用▽社業や青年部活動で人材の活かし方――など。

なのはな警備・田中一善社長、ジャガーノート・平井智仁社長、GMOペイメントゲートウェイの担当者はDXについて説明。セフティ繊維、持田の各担当者は制服を紹介した。

2地区連が総会、理事会2025.12.01

九州地区警備業協会連合会(折田康徳会長)は11月19日に長崎市内で「理事会」を、四国地区警備業協会連合会(北川豊彦会長)は同日に愛媛県松山市内で「臨時総会」を、それぞれ開催した。

九州 警備業の理解促進

九州地区警備業協会連合会「理事会」には、九州・沖縄各県協会の8人の会長が参加した。全国警備業協会からは村井豪会長、黒木慶英専務理事、小澤祥一朗総務部次長が来賓として出席。村井会長が同地区連の会合に出席するのは2024年の会長就任後初めて。

村井会長は8月に全警協が警察庁など関係機関との協議の場として設置した「官民協議会」に言及。「九州各県からの議論を協議会でも参考・活用させていただきたい」と述べ、活発な意見交換に期待を寄せた。

折田康徳地区連会長は「2026年8月に九州各県の青年部会が一堂に会した青年部長等会議の開催を予定している。協会活動を活発化する上で青年部会の意義は大きい」と述べ、各県協会活動の積極的な展開を呼び掛けた。

議事では「協会事業の諸問題・重点推進事項」と題し、各県会長が取り組みを報告した。

佐賀警協(高木進会長)は、11月8・9日に県が主催した佐賀県版キッザニア「佐賀×0ut of KidZania2025」に青年部会が参加、警備業をPRした。キッザニアは子供たちが仮想の街で、さまざまな職業やサービスを体験できるプログラム。東京や大阪など常設固定型のほかに、各地でも期間限定で開催されている。

報告を聞いた村井会長は、警備業の理解促進のために、各地で開催されるキッザニアに全警協や都道府県協会が参加することに関心を示した。

長崎協会(冨野官会長)は青年部会が勉強会「5年後の警備業を考える」を開催している。地域的な偏りがないよう県内各地で開催。10月の佐世保市内での勉強会では、青年部会のOB(協会理事)が最低賃金引き上げや労務単価などについて講話。部会員がそれぞれの意見を述べ、警備業の将来像に思いを寄せた。

このほか各県協会からは、自治体との災害支援協定の見直し状況や協定に基づく取り組み(福岡、熊本、大分、宮崎、鹿児島)、協会委員会の活動状況(沖縄)、「警備の日」活動(各県)――などの報告が行われた。

四国 「知恵出し合い解決へ」

四国地区警備業協会連合会「臨時総会」は、四国4県協会の会長、副会長、専務理事が参加し、愛媛警協(阿部克彦会長)内で開かれた。来賓として愛媛県警察本部・赤松憲一生活安全部長、全警協・楯悦男常務理事が出席した。

北川会長は「物価高に負けない賃上げが求められているが、警備業はコスト構造において労務費の占める割合が高い業種であり、労務費の価格転嫁は思うように進んでいないのが現状だ」と指摘した。その上で「慢性的な人手不足、デジタル化への対応などの課題に対し四国地区で知恵を出し合い、一つひとつ解決していくことが求められている」と強調した。

楯常務理事は、全警協の取り組みとして「警備業官民協議会」の初開催、「制度調査研究部会」設置などについて説明した。

参加者は、同協議会や同研究会を踏まえ「法制度全般に関する意見」をフリートーキング形式で活発に話し合った。次のような案件・課題をめぐって意見が交わされた。

▽南海トラフ地震の危機感が高まっている中、災害発生時の警備業者の対応や配置路線について▽国土交通省が導入を進める労務費基準(標準労務費)、適正な警備料金の確保、警備業者の立場▽匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)が社会問題化する中で警備員を採用する際の身元確認、コンプライアンスの徹底▽機械警備における駆けつけ時の社用車の駐車について――など。

青年部活動では、11月28日に「四国地区警備業青年部会協議会香川大会」を開催する。4県の青年部会が参加、全警協の戦略広報ワーキンググループのメンバーによる発表やブロック討論会、大会宣言などを予定。四国地区の青年部活動を推進していく。