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~2017年~トップメッセージ2017.1.1

創意工夫で課題解決
全国警備業協会 会長 青山幸恭

昨年は、4月14日と2日後の4月16日に連続して発生した熊本地震をはじめ、10月22日に鳥取県中部、11月22日には福島県沖を震源とし津波警報も発令された地震が発生するなど、地震の脅威を痛感させられた1年でした。熊本地震等により犠牲になられた皆様方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた皆様方に衷心よりお見舞いを申し上げます。

さて、当協会では昨年、関係各位のご支援・ご協力をいただきながら、次に掲げる重要施策に取り組んでまいりました。

第一は、基本問題諮問委員会と調査部会の設置です。昨年5月、これまでの常設委員会とは別に、幅広い知見を有する各分野の学者・専門家等を交えて、警備業のより良い今後に向けて充実した議論と深い考察を行っていくために新設しました。昨年は、調査部会の活動を中心に主に警備業の地位向上策や深刻な警備員不足対策等について協議を行い、本年度中に大規模警備のあり方を含め最終報告書を取りまとめる予定です。

第二は、警備業者の経営基盤強化への取り組みです。社会保険未加入問題の期限である本年3月まで残すところ僅かとなりましたが、この問題を解決するためには、警備料金の適正化による経営基盤の強化が不可欠であるとの考えから、安倍内閣総理大臣ほか関係省庁等に対し、公共工事をはじめする官公庁関係の警備業務に関わる国や地方の予算編成や執行・入札に当たっては、警備業の実態の一層の理解と十分な配慮を求めたところです。本年も引き続き同様の働き掛けを粘り強く行っていきます。

第三は、警備業の国際化への対応です。いよいよ3年後に迫った2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会において、警備業界として的確に対応し安全安心な開催につなげるために、リオ2016オリンピック大会の警備状況を視察するとともに、TOCOG(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)主催のセキュリティ連絡調整会議に参加するなどして緊密な連携に努めたところです。本年も引き続き、TOCOGほか関係機関と連携し綿密なる協議・検討を行っていく所存です。

更に警備業が直面する課題としては、防災、減災対策としての首都直下型地震、南海トラフ地震、東海地震等への取り組み、労働災害防止対策の推進、暴力団等反社会勢力排除の推進等がありますが、これら課題につきましても各都道府県協会とともに鋭意取り組んできたところです。

警備業界を取り巻く経営環境は依然として厳しいものがありますので、当協会としては、今後とも警備業が生活安全産業として一層社会的使命と責任を果たすべく、本年も皆様方のご理解とご支援をいただきながら、創意工夫を凝らして一つひとつ着実に課題の解決に努め、各方面のご期待に応えてまいります。

警備員の処遇改善を
警察庁生活安全局 局長 種谷良二

皆様には、平素から、犯罪のない安全で安心して暮らせる社会の実現に向け、警備業務を通じて、日夜たゆまぬ努力を続けられていることに対し、心から感謝と敬意を表する次第です。

さて、現下の治安情勢は、官民を挙げて犯罪抑止に向けた各種活動に取り組んできた結果、刑法犯認知件数は平成15年から14年連続で減少し、戦後最少の数値を更新しています。その一方で、ストーカー事案が高水準で推移しているほか、児童が被害者となる痛ましい事件や、高齢者を狙った特殊詐欺も後を絶たない状況にあります。

警察としては、世界一安全な国づくりのため、引き続き全力で取り組む所存ですが、良好な治安を確保していくためには、官民一体となったこれまでの取り組みを、更に発展させていく必要があると考えます。

こうした中、現在、約54万人の警備員の方々が日夜、各種警備業務を通じて国民の安全安心に多大な貢献をされており、3年後に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会においても、その円滑で安全な運営の一翼を担うこととなる警備業に対する期待が一層高まっています。

皆様には、警備業界がこれまでの適正な警備業務の積み重ねにより、国民の自主防犯活動を補完または代行する生活安全産業として発展してきたということを改めて認識していただき、引き続き、適正かつ質の高い警備業務の提供に向けて取り組んでいただきますようお願い申し上げます。

現在、警備業界もさまざまな課題を抱えていますが、大きな課題の一つである警備員不足については、警備員の処遇もその要因となっているとの声もあります。皆様には、賃上げ等、警備員の処遇改善に尽力いただきますよう、重ねてお願い申し上げます。

効果的な政策を実行
警備業の更なる発展を応援する議員連盟 会長 竹本直一(衆議院議員)

当議連は設立以来、警備業者の待遇の改善及び警備員の生活の向上を中心に取り組んでまいりましたが、昨年は、公共事業における交通誘導警備員の費用計上を従来の間接工事費から直接工事費へと変更する制度改革を行うことができ、一定の方向性を見いだしました。本年は、この制度改革を更にもう一歩前進させていきたいと思います。

まず、第一に公共事業における社会保険加入の義務化が挙げられます。

建設業では、本年4月1日より公共事業での社会保険加入が義務化されます。われわれも実際に現場で働く方々には、社会保障の充実は必要不可欠と考えます。しかしながら、現状の警備業界に目を向けると、直ちに公共事業での社会保険加入の義務を制度化し、実施したところで警備員の生活の向上ためという本来の目的は達成できません。

社会保険に加入すると、保険料の本人負担分を控除することとなり、可処分所得は減少します。ですから、われわれは、警備業者の方々が少なくとも保険料の本人負担分程度の支払い賃金を上げたうえで、社会保険に加入するという枠組みが理想だと考えます。

なぜなら、社会保障は充実したが、実際に使えるお金が減ったのでは消費は減少し、経済効果が得られないからです。

そのためにも、われわれは議連活動を通じて、しっかりとした警備員に対する予算を充実させ、警備業者、各警備員ともに社会保険に加入できる環境を早急に整備し、社会保険未加入問題を解決していく所存です。

次に、警備業界における人手不足対策です。

現在、厚生労働省を中心に建設業等に対する人手不足解消のための施策が講じられておりますが、われわれは、警備業に関しても人手不足解消の策を講じていかなければなりません。

警備業の現状は、高齢者の方の雇用が多いように見受けられます。高齢者の雇用も今後の日本には重要な課題ですが、やはり若い人に働いてもらえるような魅力ある業界にしていかなければなりません。

若い人たちが業界を活気づけ、高齢者の方々が若者に技術や経験を伝承することで業界がさらに発展する、これこそがまさにわれわれの目指す「一億総活躍社会」であると思います。

当議連としては、現状の人手不足の解消への取り組みを本年の課題とし、新しい制度、枠組みを創出することで警備業界の発展を更に加速させます。

このように、われわれは、業界の皆様の状況を的確に把握し、その状況に応じた効果的な政策を実行することにより、警備業が継続的に発展、成長していける業界となるための活動を充実させてまいります。

社会の課題解決に挑む
セコム 創業者・取締役最高顧問 飯田亮

いま、大きな時代の変革期を迎えている。この数年の変化は、将来、歴史を振り返ったときに、時代が変わる節目だったと言われるかもしれない。来年は、アメリカやフランス、韓国などで政権が代わり、イギリスのEU離脱の交渉も本格化する。難民問題やテロ事件も昨年暮れにドイツ、更に前年からフランス、ベルギーなどでも起こった。

もちろん先行きが不安なことばかりでなく、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)などによる技術革新は新しい産業や商品、サービスを生んだり革新をすることで、社会の変革や利便性を飛躍的に高める。激動の時代は大変なことばかりではなくビジネスチャンスの時代でもある。

ひるがえって日本はどうであろうか。いま、わが国は世界が経験したこともない大きな課題に直面し、それを乗り越えていかなければならないのである。

一つは超高齢社会への対応である。高齢者の急激な増大で、医療や介護の供給体制が追いつかず、それを支える医療や介護の従事者も不足している。また、高齢者を取り巻く環境は家族構成や健康度などにより、ひと様々であるが、高齢者の生活の質の満足度を高めるためには、多様なニーズに応える、きめ細かなサービスが必要となる。

二つ目の課題は自然災害への対応である。日本は国土の面積の割には、世界で最も地震など自然災害の多い国の一つである。1995年の阪神・淡路大震災以来、新潟中越地震、東日本大震災など多くの大地震に見舞われ、甚大な被害を被った。自然災害の発生をくい止めることはできないが、実施可能な防災対策や、被害を最小化する取り組みで、“減災”は決して不可能なことではない。どんなに難しくても果敢にチャレンジしなければならない。

役員、社員こそ主人公
ALSOK 代表取締役会長 村井温

昨年はリオ・オリンピックで、わが綜警から8人の選手が出場し、5人が入賞、金メダル2個、銀メダル1個を獲得した上、伊調馨選手が国民栄誉賞を受賞しました。一つの会社から国民栄誉賞受賞者を2人も出したのは初めてで、社名が一段と知れ渡るようになり、スポーツ戦略、広報戦略が成功したと言えます。

一方、世界に目を転じると、イギリスの国民投票によるEUからの離脱決定、アメリカの大統領選挙におけるトランプ氏の勝利など、後世、「2016年は時代の転換点であった」と言われる可能性のある年でした。

特にトランプ氏の当選は、英米を中心とした金融資本主義やグローバリズムの拡大による所得格差の深刻化に対する反省、揺り戻しとも言えますが、この流れは、ある意味でわが社の考え方に近いのです。

金融資本主義の下では「会社は株主のもの」ですが、わが社は、かねてから「会社の主人公は、株主よりも、そこで働く役員や社員である」と首尾一貫して主張し、ここ3年連続でベースアップを実現したのもその流れです。最近も、あるM&A案件で売り手の会社が「ALSOKなら、合併後もうちの社員を大事にしてくれるから」という理由でわが社に株を売ってくれたと聞いています。

それだけ社外にも評価され、世界的に行き過ぎた金融資本主義に対する揺り戻しが見られるのであれば心強いことですが、そこに留まっているだけでは会社は発展しません。主人公ならば、さらに売上を伸ばし、コスト削減によって利益を出し、自分たちの力で社員を大事にする会社を大きくして下さい。

破天荒に挑戦
セントラル警備保障 代表取締役執行役員社長 鎌田伸一郎

日本経済は、年末にかけ円安・株高の傾向から、やや緩やかに持ち直すなどの動きがあるものの、個人消費は依然低迷し、先行きの見えない状況が続いています。また、米国次期大統領のドナルド・トランプ氏のさまざまな政策によっては、日本経済への影響も少なくないと考えています。

昨年9月、首相官邸で「働き方改革実現会議」が開催され、日本人のライフスタイルや働くことに対する考え方が検討されるようになりました。長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを改善することで女性や高齢者が活躍できる環境を提供していくことが、各企業の重要な課題です。

喫緊の問題として、サービス業や建設業などと同様、警備業界でも慢性的な人材(人手)不足の深刻化という状態が続いています。そのような中、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、警備需要はますます高まりを見せていくと思われます。当社を含め全警備業界を挙げた「人員の確保」に一層の取り組みが必要となり、生産性向上を高めることが求められています。

当社は2017年2月、5か年の中期経営計画「CSPパワフル50計画」が終わり、新たな中期経営計画が3月よりスタートします。新しい中期経営計画の基本戦略は“IoT・AIの視点”で、今のセキュリティーシステムを全面的に見直し、イノベーションをいち早く行うことにあり、全力で取り組む所存です。

そしてCSPは、技術の変革、変化が起きるこの時代に乗り遅れることがないように、しっかりと将来を見据えた対策を講じ、トップランナーの一員として失敗を恐れず、さまざまなことに“破天荒に挑戦”し、取り組んでまいります。

心が通じるサービス
セノン 代表取締役社長 小谷野宗靖

2016年は弊社にとって、新たな一歩を踏み出した年でした。4月に私共若い世代が育つのを待って、ゆずり葉のように世代交代を迎えさせていただき、代表取締役に就任いたしました。ご愛顧賜りましたお客さまとご指導賜りました関係各位に心より感謝申し上げます。また、弊社の今日までの発展は、私共の業務が社会の安全・安心に寄与し、信頼をいただけたからこそと感じています。

葉は変わりましたが、根や幹に変わりはありません。創業以来の「人を思いやる心」「礼節」「団結力」という、変えてはいけないことはそのままに、若葉である私を含む社員全員で、幹に新しいものを付け加えていこうと考えております。その第一歩として、「CHALLENGE FOR THE FUTURE」をスローガンに、組織体質の転換に取り組んだ一年となりました。

昨今、国際情勢の一層の複雑化や経済環境の変化、技術革新は、わが国の安全・安心に大きな影響をもたらしています。2017年は「心が通じるサービス」を軸に、人材育成とノウハウの蓄積を図って参ります。また、オリンピックとその後の社会の変革に向けて、一層の体質強化に取り組んで参ります。

「意志あるところに道は開ける」の精神で、社会的ニーズや課題から新たな価値を見いだし、お客さまと成長するパートナー企業として、社員と共に「団結力」を持って邁進する年にする所存です。

次の50年の出発点
全日警 代表取締役社長 片岡由文

当社は、昨年10月、創立50周年を迎え、今期は全社挙げて営業推進と警備品質の向上に注力しているところであります。営業は、通期キャンペーンを実施し、拡販力を高めています。常駐警備では、情報交換や指示伝達の徹底による、業務遂行のレベルアップを図り、機械警備では、ビート員(緊急対処要員)の研修を強化し、顧客満足度の向上を目指しています。

また、50周年記念ステッカーをビート車に貼り、広報に努めています。

この間、お取引先様から、数々の激励と感謝のお言葉をいただき、社会の安全・安心を担う警備業務に対しての責任感と使命感を改めて強く認識いたしました。

本年を、次の50年に向けての出発点とし、常にお客さまの目線で考え、迅速に行動し、それぞれの持ち場での諸課題を克服していくことで、個々人のスキルアップとともに、お客さまからの信頼をより高めていきたいと思います。

さて、わが国を取りまく治安情勢は、世界中で起こっているグローバル化と民族主義の台頭で、安泰とは言えない状況が続いております。先のサミットの警備では、空港やライフラインの警戒は警備業界の貢献が評価されました。

2020年東京オリンピックに向けて、治安を守る重要性は高まってまいります。取りも直さず、警備業に対する需要と期待が高まる中で、当社の輝かしい未来を創造するために、全社員一丸となり頑張っていきたいと思います。

「現状打破」の精神で
トスネット 代表取締役社長 氏家仁

昨年は、当社にとって創立40周年という記念すべき1年でありました。

4月には記念式典を挙行し、ご来賓の方々を前に多くの功労社員を表彰することができました。

また、記念チャリティーコンサートでは、2000人の地域の皆様にご鑑賞いただきますとともに、熊本地震義援金にご協力を賜りました。

そして何より、1年間をグループ企業と共に大過なく事業推進できましたことなど、振り返れば、地域社会に生かされていることを改めて実感した年となりました。感謝の思いでいっぱいでございます。

さて、昨年のリオ・オリンピックにおいて日本選手団がメダル41個獲得と大活躍したことは記憶に新しいところです。

私が最も感動したのは、日本柔道の復活ですが、その裏には井上康生監督の並々ならぬ努力があったことを、大会後に知りました。監督は、ロンドン大会で日本柔道が大敗したことを受け、渡英して改めて世界の柔道を学びました。そして、接近戦に強い世界柔道に対抗すべく、ロシアの格闘技であるサンボを練習に採り入れたり、必要な筋肉を強化するためにボディービル日本代表をコーチに招くなど「現状打破による日本柔道改革」に努力しました。結果として強い日本柔道を取り戻したのです。

弊社グループも、今年1年「現状打破」の精神で、中期経営計画の基本方針に基づき、新たなビジネスモデルの創造による「高付加価値戦略」を推進してまいります。

さらに「事業を通じて社会に笑顔と安全・安心をお届けする」という変わらぬスタンスを旨として、次の10年を創造してまいります。

活動を全国に発信
宮城県警備業協会 会長 千葉英明(ゴリラガードギャランティ)

警備業は、生活安全産業として、常に安全・安心を高水準で提供できるよう努力をし、半世紀の歴史と実績を積み重ねてきました。そして、私たちには、次の半世紀に向かって新たな未来創造が求められています。東日本大震災からの創造的復興、東京オリンピック・パラリンピックでの安全・安心の実感、更には、政府が推進する「世界一安全な日本」創造戦略の一翼を担う責任があります。

しかし、現在、慢性化する人手不足が大きな問題となっており、その解決には、適正な警備料金の確保による経営基盤の安定と健全化が不可欠です。そして、これを軸として警備員の処遇改善と資質の向上を図り、社会的地位の向上と魅力ある職業への発展を成し遂げなければなりません。

各種業界が経営を健全化させ、社会的地位の向上を図ってきた道筋には「公正な経営競争環境」の形成があります。労働力は「低」から「高」へ、警備員はより待遇の良い会社に移行します。「適正労働力確保」を考えた時、次の3つの競争が必要と考えます。(1)法令遵守の精度向上(2)警備員の処遇改善と資質向上(3)料金算定基準の移行と確保――です。

今、東北では、六県の委員で構成する経営健全化推進委員会が中心となって、「経営健全化推進の道筋形成」と題する巡回研修を行っています。本県においても、警備業の社会的地位の向上と未来創造に向けて鋭意努力中であり、この活動を全国に発信していきたいと考えております。

魅力ある警備業へ
愛知県警備業協会 会長 松本圭一(ガード・リサーチ)

昨年、われわれ一般社団法人愛知県警備業協会は、法人化30周年を迎えました。準備期間2年間を経て、昨年10月に法人化30周年記念式典、並びに祝賀会を開催いたしました。全国及び各界よりご来賓も数多くお迎えし、われわれとしては、十分満足できる節目の行事となりました。

特に青年部による研究発表は、参加者の注目を集めました。各種アンケート調査や統計データを使った若手経営者によるこの発表は、警備業の抱える多くの問題点を明らかにしつつ、解決案についても言及し、大きな評価を頂きました。

われわれの協会としても特に、経営者の高い倫理観の醸成、業界内の団結、業界イメージアップ戦略、警備料金アップのため、この青年部の提言を真摯に捉え、できるところから実現しようと思っております。

例を申し上げますと2年前に建設業関係2団体に「警備業界が抱える深刻な問題に対するご理解のお願い」と題し、適正な警備料金の確保についての依頼を行いましたが、昨年暮れには、その2団体に加えインフラ工事関係の電気、ガス、水道の3団体1企業に同様の依頼文を協会として提出させていただきました。

各団体とも依頼の主旨をよくご理解頂き、各加盟各企業に徹底すると約束していただきました。今年は、他のユーザー団体にも同様の働きかけを実施していこうと考えています。同時にわれわれの会員に対してもダンピング競争を排除し、経営基盤の確立とともに公正な競争の中での適正な警備業務の実施につきましてもお願いを続けていく所存であります。

今年は、国交省による29年問題の年でもあります。これを契機として警備業界も大きく変わっていくと感じます。協会としても業界の抱える課題について加盟各社と共有し、魅力ある警備業の実現のための努力をしていきたいと存じます。

人手不足に立ち向かおう
島根県警備業協会 会長 吉岡健二郎(セコム山陰)

2020年東京オリンピック・パラリンピックの話題が世の中をにぎわしています。開催に伴う施設をはじめ関連するさまざまな構築物の建築ラッシュや各地で頻発する地震、先の大震災の復旧工事などで人材不足が顕在化しています。

人手不足により地方から東京や被災地に人が流れ、人口減少に悩む私たち島根県でも建設業のみならず警備業界にも深刻な影を落としています。

ご存じのように、県内国道をはじめ主要地方道は配置指定路線となっており有資格警備員の配置が義務付けられています。今年、島根県では人手不足を理由に警備業者が土木建設業者等からの交通誘導警備依頼に対応できないケースが継続しております。これを受け県では、警備業者3社から受注困難の書面を得た場合に限り、指定路線を除いて郡部の現場を中心に元請け土木建設業者等の自社警備を容認するとの対策を打ち出し実行しております。

この状態が続くことに私は大きな危惧を抱きます。警備料金の値上げやマーケットの拡大、警備の質を上げるための配置基準や検定制度は、少なくとも協会の成長戦略の中心ではなかったのかと思うからです。こうしたトレンドは、島根県の特定の問題ではなく、近隣県ひいては全国に波及するものと考えられます。

折角われわれが時間をかけて作り上げた警備マーケットを自ら放棄する過ちを犯してはなりません。

では、その解決策はあるのでしょうか?

大前提として仕事は断らないこと、その中で次の方策を組み合わせ受注できる体制を作ることです。

一、働き方を考える。今までのようにシフト表を作り警備員に押し付けず、働きやすいシフトを作る。

二、女性警備員の採用など大胆な活用を進める。ポストによっては男性でなくても務まるポストもあるか検討を加える。

三、賃金を含め勤務時間、休憩、休暇などの大幅改善を段階的に行う。

こうした対策が行われない場合は、警備員離れが現実のものとなり会社運営が立ち行かなくなるケースも出てくると思います。

人口減少問題が声高に叫ばれ、超高齢化社会と少子化が年を追って深刻化する昨今、われわれ警備業界も近未来の警備マーケットの動向を真剣に考えてみる必要があります。

初詣の“安全安心”を担う シンテイ警備2017.1.1

シンテイ警備(東京都中央区、安見正彦代表取締役)は大晦日から正月3が日にかけて、「高幡不動尊」(東京都日野市)の初詣警備を行った。

高幡不動尊は成田山新勝寺などとともに「関東三大不動」に数えられ、初詣に約30万人の参拝客が訪れる人気スポット。同社は初詣警備を昭和61年から担当し、今年で32回目となる。

警備内容は、参拝客の案内・誘導、車両祈願の対応と案内、一般車両や歩行者の安全確保、周辺地域への配慮および対策など。同社は12月31日午後9時から警備を開始、1月1日は午後8時まで、2日と3日は午前6時から午後7時まで、連日96人体制で対応した。

警備隊隊長を務める国分寺営業所・安田真二所長(39)は「臨時駐車場として使用している公園のひとつが工事のため使用できず、車両の混雑があるが、誘導し対応を図っている」と語った。

厚労省 過労死ゼロで緊急対策2017.1.1

「企業名公表」の範囲を拡大

厚生労働省は12月26日、第4回の「長時間労働削減推進本部」(本部長=塩崎恭久厚労相)を開き、新たな長時間労働対策『「過労死等ゼロ」緊急対策』を明らかにした。対策の概要は次の通り。

▽新ガイドラインによる労働時間の把握徹底

従業員の「実労働時間」と「自己申告した労働時間」に乖離がある場合に、使用者が実態調査を行うことなどを内容とした労働時間を適正に把握するための新ガイドラインを策定する。また、使用者の“黙示の指示”を含む指示で、従業員が自己啓発などの学習や研修を受講していた時間を、労働時間として取り扱うことなどを明確化する。

▽企業本社への指導

従来、長時間労働に関する労働基準監督署の指導は、事業場単位で行われていた。今後は違法な長時間労働などを複数の事業場で行わせていた場合、企業本社にも是正指導を行い、改善状況について全社的な立ち入り調査で確認する。

▽企業名公表制度の強化

月100時間超などの違法な長時間労働が、1年間に3事業場であった場合に行っていた“企業名の公表”を、月100時間超と過労死や過労自殺が2事業場であった場合にも実施する。また、(1)月80時間超(2)過労死や過労自殺で労災支給決定――が、2事業場であった場合には、まず企業本社への指導を行い、是正されない場合には企業名を公表する。

▽36協定未締結事業場への監督指導強化

最低賃金の履行確保を重点とする監督などの機会に、36協定(労使による時間外労働の基準を定めた協定)の未締結事業場への指導を徹底する。

▽メンタルヘルス対策問題企業の特別指導

複数の精神障害の労災認定があった場合、企業の本社にパワハラ防止も含め個別指導を行う。特に未遂を含む過労自殺があった場合には、新たに“改善計画”を策定させ、1年間の継続的な指導を行う。

これら一連の対策は、早いもので平成29年1月から実施される。