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クローズUP

未来を考え、活動する2020.09.21

東北地区連 青年部会が「プレミーティング」

東北地区警備業協会連合会(会長=氏家仁・宮城警協会長)は9月11日、青森市内で青年部サミットの「プレミーティング」を開催した。

11月17日開催予定の「第2回青年部サミット」での研究テーマ設定などが目的。東北6県の青年部会(青年部)から部会長(部長)や副部会長、監事、事務局長など16人が出席。7人がオンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を使用し、それぞれの地元からオンラインで参加した。

開会に当たり開催地の青森警協・新山博毅専務理事は「新型コロナの影響で研修や教育などが中止になっている。しかし、青年部サミットだけは開催することとなった。全国が注目している青年部なので頑張りましょう」とあいさつ。東北地区連事務局長の高橋敦・宮城警協専務理事は「“青年部サミットは最優先”との思いから今回の開催となった。コロナ収束後の警備業のあり方も考えなければならない。未来のことは青年部が考え、活動することが必要だ」と述べ、ともに出席者・参加者に期待を寄せた。

プレミーティングでは、昨年のサミットの成果((1)適正取引推進等に向けた自主行動計画の周知徹底方策(2)人材不足対策(3)災害発生に伴う被災地出動に向けた有償活動のあり方と県などとの協定策定)の分析と第2回サミットでの研究テーマや現状の課題などについて意見が交わされ、次回サミットテーマを「人材問題」「労働環境」「勉強できる環境づくり」の3テーマに決定した。

安全・衛生委員会の開催2020.09.21

オンライン認める

厚生労働省は、労働安全衛生法で事業場に設置が義務付けられている安全委員会や衛生委員会、安全衛生委員会について、情報通信機器を活用したオンラインでの開催を認めた。8月27日、都道府県労働局長に通達した。

情報通信機器の活用は、デジタル技術の進展に伴う委員会への活用ニーズの高まりとコロナ禍を受けた「3密」防止も背景にある。

安全委員会などは、事業者が行う安全衛生対策について十分に調査・審議し、労使が意見を述べる場として設置・運営する。警備業は、常時使用する労働者が50人以上の事業場に「衛生委員会」の設置が義務付けられている。

情報通信機器を活用するには(1)委員会構成委員が容易に利用できる(2)映像や音声などの送受信が常時安定し、委員相互の意見交換が円滑に実施可能(3)取り扱う個人情報の外部への情報漏えいの防止や外部からの不正アクセス防止の措置が講じられている――ことが必要。運営に当たっては、対面での開催と同様に委員相互の円滑な意見交換が即時に行われ、必要事項について調査・審議が尽くされることが原則だ。しかし、資料の送付から委員が意見を検討するための十分な時間が設けられているなどに留意し、事前に委員会で定めた場合には電子メールなど即時性のない方法で開催しても構わない。

定期健診は10月末までに

同省は新型コロナへの感染予防のために延期を認めてきた定期健康診断など「一般健康診断」と「特殊健康診断」について、10月末までに実施するよう求めている。健診実施機関の予約が取れないなどの事情で10月末までの実施が困難な場合は、可能な限り早期に実施できるよう計画を立て、同計画に基づき実施するよう呼び掛けている。

特集ワイド2020.09.21

「あんしん教室」5万回 ALSOK

ALSOK(東京都港区、青山幸恭社長)が小学校で行っている防犯授業「あんしん教室」は今夏で17年目を迎えた。実施回数は5万1145回を数え、参加人数は160万2353人となった。教室は地域の治安情勢を熟知する現地支社の警備員や管理部門などの従業員が講師となり、学年に応じた内容の授業を行って子供の危機意識を高め被害の未然防止に貢献している。

2004年から開始

ALSOKが「あんしん教室」を始めた2004年は、全国で小学生が連れ去りや暴行の被害を受ける事件が多く発生した。同社は警備のプロとして子供の安全を守る活動ができないかと思案していたところ、同年9月に神奈川県茅ケ崎市の小学校から安全についての指導をしてほしいと依頼があり、最寄りの湘南支社と本社で引き受けることにした。

第1回の授業は同年10月に開催。内容は試行錯誤した結果、児童が最も犯罪に遭いやすい登下校時や留守番時の注意点を支社の警備員や内勤スタッフが説明した。教諭からは「子供が自らの身を守るための方法を分かりやすく説明してもらった。内容もすぐに実践できるものなので役立つ」と高い評価を得た。

大手警備会社による危機回避を学ぶことができる授業の評判は教諭や保護者を通じて県内に広がり、複数の学校からリクエストが寄せられた。それらに応えるうちにマスコミに取り上げられようになったこともあり、全国から依頼が相次ぐようになった。

防犯授業が広く求められていると感じた同社は、村井温社長(現会長)が「子供の安全を守ることは警備会社の社会的な使命だ。全国で授業を行おう」と決断、47都道府県で実施することを決めた。

学校との連絡や日程調整、講師の派遣など授業に係わる全てを現地の支社やグループ会社が担い、05年4月から全国展開を始めた。事前に研修を受けた警備員から管理職までの幅広い職種の従業員が講師となって、45分の1授業につき2〜4人が担当。同じ学校で学年を変えて1日に3、4回行う。今年はコロナ禍の影響で4、5月は陽性者がいなかった岩手県以外では開催しなかったが、6月から全国で再開している。

年間の開催数は平均3000回で10万人の児童が参加している。子供を狙った犯罪が発生すると学校からの依頼が増える傾向がある。

学年に応じた内容

授業では初めて一人で登下校をするようになった1年生を中心とした低学年(1〜2年生)向けには、警備員が不審者役となってロールプレイ形式で危機回避の心構えを説明する。中学年(3〜4年生)向けには帰宅して留守番をするときには家に入る前に周囲を確かめることや、すぐに玄関の鍵を閉めるようにと注意。高学年(5〜6年生)向けにはインターネットを使用する際の注意点やAEDの使い方を学ぶ授業もある。

授業内容や進行についてのマニュアルは本社で作成する。それに沿った上で地元に拠点の従業員ならではの「あの道は人通りが少ないから、できるだけ避けた方がいい」や「最近、この町ではこのような不審者の目撃情報があるので、見かけたらすぐ逃げるように」といった情報を織り交ぜる。東北の山間部での授業ではクマに遭遇しないように鈴を持ち歩こうなどといった、その地域ならではのアドバイスも行う。

授業を行う上で難しい点は、いかに興味を持ってもらうかだ。低学年は集中力を持続することが難しいため、できるだけ多くの児童に発言させたり体を動かすなどして飽きさせないようにする。高学年の場合は内容に興味を持たないと私語を始めることが多いため、いかに学んでいる内容が自らの身を守ることにつながるかを実感してもらう。

授業で重視することは、児童自らで危険を避けるためにはどうすれば良いのかを考えてもらうこと。いざという時に正しい判断ができるようにしてほしいという願いからだ。

内容は時代の変化に応じて刷新する。留守番の授業ではこれまで固定電話での受け答えを含めていたが、携帯電話のみを使用する家庭が増えたため今年6月に削除した。

新たに今年7月から追加したのは大規模災害への備えと新型コロナウイルス感染症対策だ。災害は留守番中に水害や大地震が発生し、自宅からの退避を余儀なくされた状況を想定。避難・集合場所を家族と決めておくことの重要性を説明する。災害用伝言ダイヤルの解説も行い、実技では保護者が望んでいる情報は何かを想像して話す練習を行う。コロナ対策では手を洗うタイミングや咳が出そうになった時にはハンカチや腕で口を覆うように呼び掛ける。

警備員の訓練にも

同取り組みはALSOKにとっても効果のある活動だ。「あんしん教室」の管理を担当する広報部の瀬戸拓郎主任は「警備員は普段の業務では人前で説明する機会は少ないため、論理的かつ簡潔にものごとを伝える訓練になります。私も講師として教えた経験がありますが、子供たちはヒーローを見るような目で話を聞いてくれ、とてもやりがいを感じました。従業員のモチベーションアップにもつながっています」と述べる。

児童に警備業を身近に感じてもらう貴重な機会でもある。普段は接することがない警備員が「昨日は侵入犯を発見して逮捕に協力しました。でもみんなは悪い人を見つけたら、すぐに逃げて周りの大人に知らせてね」などと話すことで、警備の仕事に憧れを持ってもらい、将来の就職先の選択肢となることにも期待している。