クローズUP
直下型地震に備え「九都県市訓練」2018.9.11
川崎の中央広場で開催
「防災の日」の9月1日、九都県市(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市)合同防災訓練のひとつ「川崎市総合防災訓練」が、神奈川県川崎市内で行われた。同市は今年の九都県市の幹事都市・中央会場で、安倍晋三首相、関係閣僚や警察、消防、自衛隊、災害ボランティアなど約140機関、約8000人が参加した。
訓練は内容に応じて、市内5か所の会場で実施され、川崎区東扇島の東公園がその中心となった。首都直下地震が発生した想定で、参加者全員が今いる場所で安全確保の行動をとる「シェイクアウト訓練」に始まり、婦人消防隊や消防ボランティアによるバケツリレーや消化器を使った初期消火訓練を行った。
道路に緊急交通路を確保する訓練や、倒壊したビルや多重衝突事故から負傷者を救出救助する訓練、ビル火災鎮火に向けた一斉放水の消火訓練を実施した。
閉会式で安倍首相は「地域住民と防災関係機関がつながりを持つことは大切。自分が住む地域にはどのような危険があるのか、災害時にはどう行動すればよいのか理解を深め、備えを確かなものにしていただきたい」と防災意識を持つことの重要性を呼び掛けた。
「自主行動計画」ブロック研修会2018.9.11
九州地区連で初開催
九州地区警備業協会連合会(会長=折田康徳・福岡警協会長)は8月31日、福岡市内で「ブロック研修会」を開催した。テーマは、全国警備業協会(青山幸恭会長)が今年3月に取りまとめた「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」。同計画に関しての地区連が主催するブロック研修会の第一弾だ。九州・沖縄各県警協の副会長、業務や労務、総務などの委員長や委員、専務理事など計23人が参加した。
あいさつで折田会長は、全警協が「自主行動計画」を策定した経緯を説明するとともに、「講演内容をよく理解し、各県に戻って研修会を開催し、加盟員に説明してほしい」と述べ、各県での取り組みを求めた。
九州経済産業局中小企業課の吉森英雄課長補佐は「下請等中小企業の取引条件改善への取り組みについて」と題して講演した。
同氏は、7月に中小企業庁が作成した資料を示して説明。特に「政府は“下請けGメン”や“下請け駆け込み寺”などの制度を活用し、全力でサポートしていく」と述べ、会員への同制度の周知を要請した。
全警協の警備業務適正化小委員会の髙谷幸一委員(ユニティ)は「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画について」と題して講演。同氏は不適正な取引の類型を示し、警備業者の取り組むべき事項を解説。適正取引実現へ向けた自主行動計画が政府を挙げた取り組みであり、全警協でも重点課題として取り組んでいることを強調した。
全警協は自主行動計画の周知・普及を図るため、都道府県警協が行う経営者研修会などに講師を派遣。7月には都内で都道府県警協での普及のリーダー的役割を担う担当者約70人を集め「代表者会議」を開いた。
同会議の席上、全警協の福島克臣専務理事は「年度内に地区連単位で(自主行動計画をテーマに)“ブロック研修会”を開催してほしい」と要請。今回の九州地区連のブロック研修会は同要請を受けたもの。今後、9月13日に東北地区連(会長=千葉英明・宮城警協会長)が秋田県で開催するなど、各地区連は順次ブロック研修会を開催する。
今回の九州地区連ブロック研修会を受けて傘下の各警協は今後、参加者を中心に各県で加盟員に向けた周知・普及活動を展開する。
特集ワイド 災害対応力を高める2018.9.11
集中豪雨、大型台風、近い将来の発生が懸念される首都直下地震、南海トラフ地震――。災害に備え、地域の対応力を高める防災訓練が各地で行われた。警備業は、住民の避難誘導や緊急車両の交通路を確保するなど重要な役割を担う。一方、各地の警備業協会が県や警察と結んだ災害支援協定については、時代に即した内容の見直しや、支援業務の有償化が求められている。
愛知警協=8月26日・津島市
愛知県警備業協会(小塚喜城会長)は「愛知県・津島市総合防災訓練」に参加した。
同訓練は、南海トラフ巨大地震が発生し津島市で震度7を観測、ライフラインなどに甚大な被害が発生した――と想定。85機関の2000人が参加し、協会から「災害支援協力隊」3社10人を含む14人が訓練に臨んだ。
野村頼理副会長(中部安全サービス保障)は訓示で、西日本豪雨など自然災害の発生に触れて「油断できない状況だ。特にこの津島地区は海抜ゼロメートル地帯で、災害対応の意識が高い地区と考える。災害支援協力隊の精鋭として、警備業の社会貢献を広く知らしめてほしい」と激励した。
隊員は、県民が見守る中で緊急車両の誘導を行ったほか、協会の自主訓練として大旗による交通誘導や、姿勢を低くして頭を守るシェイクアウト訓練、負傷者の搬送訓練などに取り組み、一層のスキル向上を図った。
また、愛知県警が8月31日に名古屋市内で実施した「緊急交通路の確保訓練」には、同隊の5社10人が参加した。
警察官と連携して、歩行者の誘導や障害物の除去支援、信号減灯対策訓練の交通誘導などを行う中で、緊密な連携の重要性を確認した。
山梨警協=8月26日・甲府市
山梨県警備業協会(真壁昌三会長)は「甲府市総合防災訓練」に参加した。
駿河トラフを震源とする東海地震が発生し、建物の倒壊や火災を想定。防災無線による「避難指示」の放送を受けて、自治会の住民を避難誘導した。警備員はこまめな声掛けを心掛け、道路を斜め横断しようとする人を止めるなどして安全を守った。また、緊急車両の交通誘導も行った。
協会の牛田一夫専務理事は「訓練後に市の防災担当職員から『言葉の掛け方が丁寧で柔らかく、避難誘導の質が高い』という感想があった。年配の警備員ならではの良さが発揮されたと思う」と話した。
宮城警協=9月1日・七ヶ浜町
宮城県警備業協会(千葉英明会長)が参加した「宮城県9・1総合防災訓練」は、今年で50回目を数える。今回は七ヶ浜町内の小・中学生約1500人が訓練を体験して災害時の対応などを学んだ。
宮城県沖を震源とする地震が発生し、大津波警報が発令されたと想定。協会の災害緊急援助隊13人は、同町の交通安全指導隊と連携し、会場の七ヶ浜サッカースタジアム周辺で車両や避難者を誘導。“いざという時に頼りになる警備業”をアピールするものとなった。
岐阜警協=8月26日・羽島市
岐阜県警備業協会(幾田弘文会長)は「羽島市総合防災訓練」に参加した。
南海トラフ地震を想定。住民の努力で守る「自助」、地域の人々が互いに協力する「共助」、防災関係機関による「公助」が連携して被害の軽減を図るため、自治会などの自主防災組織と地域の各種団体が訓練を通じて協力関係を深めた。
協会から14人(うち女性警備員1人)が参加し、避難する住民を誘導した。
東京警協=9月2日・中央区
東京都警備業協会(中山泰男会長)は9月2日、「平成30年度東京都・中央区・港区合同総合防災訓練」に参加した。同訓練は「九都県市合同防災訓練」の東京会場。マグニチュード7.3の首都直下地震が発生したという想定で、中央区の浜町公園で行われた。
同警協は警視庁との災害時支援協定に基づき、災害対策委員や警備員など合計130人が参加。警備員はA〜Dの4班に分かれ、来場者の誘導案内を行った。
髙橋徹・災害対策委員長(高栄警備保障)は集合時の訓示で「先日の西日本豪雨では、信じられないような甚大な被害が起きた。政府の地震調査委員会によると、いつ大きな地震が首都圏で発生してもおかしくないという。大災害に備えるため、全員で頑張って素晴らしい訓練にしてほしい」と励ました。
会場では地域住民をはじめ、警察や消防、自衛隊などによる消火、救出・救助訓練が行われた。地震で発生した負傷者に対し、病院内に隣接する緊急医療救護所で手当ての緊急度に従って優先順位をつける「トリアージ」や応急処置の訓練も行った。同警協は会場誘導のほか、警備の仕事を紹介するブースを出展した。
警備員は防災訓練終了後、別会場で指導講師によるAED操作と三角巾の使い方を学んだ。
群馬警協=9月1日・藤岡市
群馬県警備業協会(川﨑弘会長)は「群馬県総合防災訓練」に参加した。
訓練は、マグニチュード8.1の直下型地震が発生して藤岡市は震度7を観測、土砂崩れや家屋の倒壊が発生、ライフラインが寸断された――との想定。協会から齊藤忠好指揮官(平成警備)ら9人が参加して、救援物資輸送車両の交通誘導を行った。
今回は、テロ対策訓練を合わせて行った。市内のイベント会場で観覧中の男性が有害物質を散布し、多数の負傷者が発生した状況を想定。警察、消防、自衛隊が連携して住民の避難や原因物質の特定、負傷者の救出、除染作業の動きを確認した。