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クローズUP

5警協「青年部」集う2018.3.1

石川警協が呼び掛け

石川県、東京都、大阪府、愛知県、広島県の警備業協会青年部会は2月23日、石川県加賀市内で「5都府県青年部会・情報交換会」を開催した。

同会は、1月30日発足の石川警協の宮本克喜部会長(國際警備保障)の呼び掛けにより実現。活動報告や意見交換を通して、各青年部会の発展と連携を図ることが目的だ。11月1日「警備の日」に向けた活動予定や人材確保への新たな取り組みも発表された。

同会には東京警協・安見竜太部会長(シンテイ警備)や大阪警協・徳田祐己部会長(国際警備保障)、愛知警協・梅田重則元部会長(豊田東海警備)、広島警協・山根久和部会長代行(セフトHD)をはじめ、次代の警備業を担う若手経営者・幹部19人が参加した。

特集ワイド 「青年部会で情報交流」2018.3.1

警備業の未来を担う若手経営者と幹部で構成される都府県警備業協会青年部会。その数は現在18と、全体の3分の1を超えるまでに広がった。今後は新たな発足とともに、部会同士の横のつながりが進む。1月30日に発足した石川警協青年部会の呼び掛けで、東京都、大阪府、愛知県、広島県の青年部会が石川県加賀市内に集まり「5都府県青年部会・情報交換会」を行った。

情報交換会を企画した石川警協青年部会・宮本克喜部会長が進行役を担当した。「当青年部会は先月発足し、本日が最初の活動となります。5つの都府県青年部会が一堂に会し、相互に情報交換を行い交流を図りたい」と、会の趣旨を述べた。

活動報告と今後の取り組み

愛知警協青年部会

2013年から15年まで2代目青年部会長を務めた梅田重則氏と部会員2人が報告した。

「11年8月に発足し、警備料金問題や社会保険未加入問題などをテーマとした研修会やグループディスカッションを定期的に行ってきた」

「16年10月の『愛知警協法人化30周年記念式典』では、青年部会の今後の活動について検討した結果を発表した。警備業の対外的な広報活動が少ないという意見があったことから17年10月、警備の日広報活動として青年部会が地元アイドルグループ『OS☆U』を起用した広報活動を企画(11月11日号6面既報)。商店街で唄を披露して集客を図り、クイズ形式などで警備業の広報を行った。事前のツイッターによる告知などが功を奏し、高校生から会社員まで多数集まった。業界における新しい試みとして、手応えを感じた」

大阪警協青年部会

青年部会長の徳田祐己氏が活動を報告した。

「15年5月に発足し、50歳未満の経営者や幹部など26人で構成。防犯や警備業法をテーマに講演・勉強会を行ったり、警備現場の視察を行ってきた」

「1月24日に京都警協、兵庫警協の青年部会と合同で意見交換会を開催(2月1日号3面既報)。業界で大きな課題となっている人手不足をテーマにディスカッションを行った。今後は特に若年層を対象にした人材確保について、インスタグラムやフェイスブック、ツイッターなどSNSを活用し、警備業のアピールを積極的に行っていく」

東京警協青年部会

青年部会長・安見竜太氏が説明した。

「18年4月に発足し、担当理事と部会員17人で構成。部会長と副部会長2人を頂点にそれぞれテーマを持ち、『人手不足対応』『広報活動』『警備業の慣習見直し』の3部に分かれて活動している。このうち『警備業の慣習見直し』は、例えば2号業務で天候などによる警備中止=料金未払いなどのリスクについて是正を図る取り組みだ」

「今年の警備の日の広報活動として10月28日、廃校となった千代田区立錬成中学校の体育館、屋上、1階フリースペースを利用して、警備業をアピールするイベントを開く予定だ。企画内容について意見を出し合い、検討を重ねている。業界内だけでなく、広く一般の人たちに来場してもらい、警備業への理解につなげたい」

広島警協青年部会

山根久和氏が、青年部会長を代行し報告した。

「12年4月に発足。13人で構成し年齢制限はおおむね55歳までとしている。部会員は、総務、業務、教育の3委員会のいずれかに所属し、各委員会の副委員長2人のうち1人は、部会員から選出している」

「17年2月に部会員全員が『第24回アジア太平洋警備業協会(APSA)国際会議広島大会』準備委員会の総務・運営の各部会に所属し、企画段階から9月13〜15日の大会当日まで運営に携わった(10月1日号1・3面既報)」。

「17年10月、広島警協内で若手県議会議員(同警協顧問就任)と『広島県議会の動向』『警備業界の当面の諸問題』をテーマに勉強会を行った。部会員は県議会の生の動きを知ることができ、議員には警備業界の人手不足の実態を知ってもらう絶好の機会となった」

意見交換

活動報告の後、業界の課題をテーマに意見交換が行われた。

人材確保について

「大都市における一部の警備会社の募集広告には面接に行っただけで支払う『面接交通費』や入社時に払う『入社祝い金』などを謳い、入社後は『研修終了後の入職手当』、夏場には『ドリンク手当』を出すなど、警備員の定着に向けて待遇が加熱しているとの意見があった。ほかの参加者は「目先の手当だけでは、人手不足の根本的な解決にはつながらない」と指摘した。

石川の部会員からは「当社は2号がメイン業務で、一年の中で仕事量の波があるのが課題だ。秋は金沢マラソンなどのイベントが続き警備員が不足する状況となる。冬は地域的な問題として、繁忙期でも雪による自宅待機が多くなる」と訴えた。「2号業務におけるこうした発注量の波は警備員の賃金に直結し、業界が社会的な地位を得られない大きな理由の一つになっている」との声があった。

自家警備について

石川・宮本部会長は「昨年9月の集中豪雨で金沢市東荒屋町の県道10号が約50メートル崩落し、全面復旧目指して工事を進めている。しかし22年を目標にした北陸新幹線の金沢・敦賀延伸工事に警備員が対応していて人手が不足している」と状況を報告。

ほかの参加者からは「県内では建設会社が、配置路線で交通誘導業務中の検定資格を持つ警備員を好条件の処遇を提示して勧誘し警備部門を作る建設会社が増えている」と自家警備の拡大を危惧する意見もあった。


◇今年も各協会で新たに青年部会が立ち上がる見込みで、すでに青森県と富山県で発足することが決まっている。3月5日には全国警備業協会主催の「第2回青年部女性部部会長会議」が開かれ、18青年部会29人が出席する予定だ。警備業の発展に向けて若い力の連携が広がる。