クローズUP
宮城警協、仙台大との実習授業終了2018.2.11
学生2人、警備業へ
宮城県警備業協会(千葉英明会長)と仙台大学(阿部芳吉学長)が連携・協力し、昨年10月から計6回にわたり行っていた実習授業「警備塾」が1月13日で終了した。受講した2人の学生が警備業への就職を決めるなど若年新卒者確保に一定の成果を上げた一方で、学生へのアンケートや意見交換などから、若年新卒者を警備業界に呼ぶ込むための新たな課題も明らかとなった。
警備塾は宮城警協の「人材確保のための警備業の周知」、仙台大の現代武道学科の開設目的「武道を社会で活かせる人材の育成」という両者の目的が一致、正式な授業として同大学から認可され、試行的に実施された。受講したのは同大体育学部現代武道学科で学ぶ3年生13人、4年生7人の計20人で、主な研修内容は次の通り。
▽警備業概論=オリエンテーションを兼ね、同協会の高橋敦専務理事とワールド警備保障の中村仁氏の両氏が「警備業の歴史・現状と将来」と「現場から見た警備業界の現状と業務のやりがい」について説明した(10月11日)。
▽施設1級事前講習実技科目見学と学科模擬テスト=同協会が東松島市内で行った施設1級事前講習に参加し、実技種目の見学や学科模擬テストを体験。検定制度の概要や重要性、特別講習講師の役割などを学んだ(同15日)。
▽宮城警協青年部が中心となって開催した「2017警備業セキュリティフェア」の運営体験=フェアの運営体験と雑踏警備の見学など(同22日)。
▽企業見学=コスモ警備と日本パトロール警備保障、ワールド警備保障(いずれも仙台市)など地元警備会社3社と、セコムグループのセコム工業(白石市)など全国大手警備会社の見学(11月20日)。
▽セキュリティプランナー研修と青年部との座談会(1月13日)。
実習最終日に17人の学生に対して行われたアンケートでは、14人が「業界・職種に対する理解が概ね深まった」、6人が「警備業界の採用選考等に参加したい」と、約4割が就職への関心を示した。一方で、座談会では「警備業界への就職は家族から反対される」「街頭で見かける警備員の質が悪く、同じ業界で働く気持ちになれない」――などの厳しい意見も寄せられた。
宮城警協では、研修を振り返り「警備業務内容と安全安心産業としての社会貢献度のアピール不足が際立ち、警備業のイメージアップに向けた取り組みが最優先課題」と総括。今後は(1)大学に出向いてのプレゼンテーションによる研修参加学生の募集(2)学生の自尊心を高めるため、専門的警備を行っている会員企業との協働――などに取り組む。
全国警備業協会(青山幸恭会長)の基本問題諮問委員会調査部会が昨年6月に公表した最終報告書「警備員不足対策及び警備員の社会的地位の向上方策について」では、都道府県警備業協会が新卒者確保策として1〜3年の中期に取り組む課題として「地元大学の講義に警備業に関する講義の導入など」を明記、宮城警協の取り組みはこれをいち早く実現したものだ。