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クローズUP

年頭の辞 いざ、本番の年2020.01.01

〝会員ファースト〟で課題解決
全国警備業協会 会長 中山泰男

7月24日から東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。1964年の前回東京大会において、オリンピック選手村の警備を担当したことにより警備業という新たな産業が広く国民に認識されてから、実に56年ぶりの開催です。

その間、社会環境は大きく変化し、警備業は先人達の努力と功績により、今や社会公共の安全の一翼を担う生活安全産業として、警備業者数約9700社、警備員数約55万人を擁するまでの発展を遂げました。この歩みを止めることなく、東京2020大会の開催に警備業として的確に対応し、安全安心な大会運営を築き上げることで、警備業の役割や存在をより一層認識していただける、またとない最大の機会と捉えています。

こうした中、全国警備業協会では昨年、警察庁をはじめ関係省庁、関係業界の皆さまの多大なご支援・ご協力をいただきながら、重要施策に取り組んできました。

自主行動計画を改定

第一に、警備会社各社が、適正な単価アップを元手に職場環境や労働条件を改善し、働き手の意欲を高めて採用増につなげるという「正の循環」を作るための「経営基盤強化」の策として、平成30年の策定から周知を図ってきた「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」の一部改定です。警備業界特有の課題ともいえる警備員の休憩時間中の代替人員への対応や、いわゆる付帯業務の問題等について具体的に記述するなど、状況改善に向けてかなり踏み込んだ内容を盛り込みました。

政府による全般的な指針や支援のもと、これまでの商慣習や警備現場でやむを得ず許容していたことを見直すために、業界として好機にあると判断、作成したものです。既に顧客との交渉時に、武器として活用できたとの声をいくつも耳にしています。

「契約単価引き上げ」という経営者の強い意志とともに、自主行動計画を武器として徹底的に活用することで、「正の循環」を産むことができると考えています。

「規則改正」を活かす

第二は、令和元年8月30日に公布・施行された「警備業法施行規則等の一部改正」への対応です。警察庁の規則改正の狙いは、警備員教育時間数の短縮、eラーニングによる講義方法の導入、雑踏警備と空港保安警備業務における配置基準の合理化――などの実現により、警備業界の生産性向上を期待し、支援するものと捉えています。

例えば、警備員の教育時間数短縮とは、教育の質を時間数で担保するという均一で形式的な手法でなく、提供する業務に沿った真に必要な教育を実施する裁量を各社に持たせ、各社の工夫により教育の質の向上と生産性アップを図ることが趣旨です。

eラーニングや雑踏・空港保安警備における配置基準等の合理化とは、ICT等の技術活用により、人的警備の質を高めつつ経営効率の改善に資することを狙いとするものです。

警備業法の歴史から見ても極めて画期的なこの規則改正は、警察当局からの「正の循環」実現に向けた業界へのエールであり、全警協としてもこのエールを的確に受けとめ、警備会社各社がこの効果を全面的に活かせるように全力を挙げて支援に取り組みます。

さらに昨年は、関係省庁から警備業に関連するいくつかの支援策がありました。

厚生労働省は、災害発生に伴い発生する警備時間が労働基準法33条に基づく「労働時間延長の対象になる」との見解を示し、また、未熟練な警備員を守るための「安全衛生教育マニュアル」の作成を安全管理支援事業として全警協と進めるほか、助成金制度の無料相談窓口設置などの支援を行っています。

国土交通省は、10月に地方整備局宛てに「国交省所管事業の執行における円滑な発注及び施工体制の確保に向けた具体的対策について」として、遠隔地から警備員を確保する場合は、労務管理費、交通費、宿泊費等を適切に経費に見込むなどの積算方法変更を指示しました。

こうした行政の支援や環境整備を追い風に、本年は警備業がさらに大きく飛躍し、東京2020大会の成功を警備業のレガシーとして、若者にも魅力ある産業へとジャンプする年にしたいと考えています。

そのためには、警備業経営者が自主自立の精神のもと、知恵を絞り、「正の循環」を達成する行動力により、警備員一人ひとりへ恩恵が行き届く成果を上げることが肝要です。そのためのツールや環境が整い、それらを活用して各経営者が自らの足で踏む出す一歩こそが、令和の新時代に警備業が社会的使命を果たしていく大きな原動力になると確信しています。

全警協は、本年も皆さまのご理解とご支援を賜りながら、業界内外への発信力を高めつつ、会員ファーストの精神で一つずつ着実に諸課題の解決に努めて参ります。

警備業界の英知結集を
警察庁生活安全局 局長 白川靖浩

皆さまには平素から、安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向け、多大なご理解とご協力をいただいており、特に警備業務を通じて、昼夜を分かたずご尽力されていることに対し、深甚なる敬意を表する次第です。

さて、最近の治安情勢は、官民一体となった継続的な犯罪抑止総合対策の結果、刑法犯認知件数は減少を続けています。しかし一方で、特殊詐欺やサイバー犯罪のような非対面型犯罪やSNSをきっかけとする女性や子供の犯罪被害が相次いで発生するなど、国民が不安に感じる犯罪が後を絶たないことから、依然として予断を許さない状況にあります。

これらの治安上の課題に的確に対応するためには、警察のみならず、事業者や地域住民、関係機関・団体が一体となって、緊密に連携していくことが肝要であると考えています。

警備業は、国民の自主防犯活動を補完または代行する重要な役割を担っており、多様な警備業務を通じて社会の安全・安心の確保に貢献されてきましたが、警備業が果たすべき社会的役割の重要性を踏まえ、皆さまには引き続き、警備業務の適正な実施に努めていただきますようお願い申し上げます。

本年は、いよいよ東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。警備業界の英知を結集した本大会への取り組みが実を結ぶとともに、諸警備の目的が達成されることを期待しています。

協会と協力、地位向上めざす
全国警備業連盟 理事長 青山幸恭(全国警備業協会顧問)

昨年は6月まで全国警備業協会会長として、6月以降は発足したばかりの全国警備業連盟の理事長として大変お世話になりました。

全警協会長の5年は(1)対外発信として交通誘導警備と施設警備の単価引上げと働き方改革実施に際しての交通誘導員の5年間猶予措置の導入等の政府・官邸への強力な要請活動(2)警備業の将来を見据えた研究会報告の取りまとめと高齢社会を見据えた警察庁研究会への取り組み、官邸の下請け対策の遂行に伴う業界の自主行動計画の策定(3)APSA加入等国際化への対応(4)警備の日をはじめとする業界の広報活動の充実――などに努めてきました。

しかしながら、行政当局への要請要望活動だけでは今の警備業を取り巻く人手不足の厳しい環境を解決することは自ずと限界があります。そこで、全警協総務委員をはじめとする関係各位からの強い要請もあり、国会議員・政党に働き掛けて政策立案に直接つなげるための組織として中央に全国警備業連盟が、都道府県の議会に直接働き掛けて知事部局を動かすための都道府県政治連盟が鹿児島を皮切りに現在18設立されています。

今年は東京2020オリンピック・パラリンピックの年。鹿児島国体もあり、2021年は関西でワールドマスターズ、2025年には大阪万博も開催されます。東京2020後の我が国の経済社会の変化をも見据えつつ、タイムリーに建設業やビルメンなどに遅れることなく、警備業界の将来展望を切り拓くことが求められています。一人ひとりの警備員が意欲と誇りを持ち、日々の仕事に安心して邁進できることが必要です。警備業に期待しているお客さまからの声は誠に大なるものがあり、協会と協力して警備業界の地位向上に努め、早期にほぼ全ての都道府県で連盟の設立が実現するよう期待しています。

警備業への支援、続ける
警備業の更なる発展を応援する議員連盟
会長 竹本直一(国務大臣衆院議員)

相次ぐ台風により昨年は、全国各地で甚大な被害が発生しました。警備業は、被災地域の防犯パトロールや災害ごみ集積地での交通誘導警備を行うなど「生活安全産業」として積極的に活動されました。心より感謝申し上げます。

今夏は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。警備業の皆さまは、大会成功へ向け万全の準備を重ね、警備共同企業体を中心に“オールジャパン”の体制で警備に臨まれるとのこと、誠に心強い限りです。

多くの会員議員が政府や党で要職を務める、自由民主党有志議員80余名で構成する「警備業の更なる発展を応援する議員連盟(警議連)」は、警備業の東京2020大会での活躍はもちろんのこと、人手不足などの諸課題解決に向け、今年も全国警備業協会と手を携えながら、各種支援に取り組みます。

警議連設立以来、会長を務める私も、昨年9月の第4次安倍第2次改造内閣で科学技術政策などを担当する国務大臣を拝命いたしました。次世代通信規格「5G」など新たな科学技術は、多様化する警備ニーズに不可欠です。政府も人工知能(AI)や5Gの導入、中小・零細企業のIT化などで経済成長を目指す「デジタル・ニューディール」を推進します。私も内閣の一員として警備業の声に耳を傾けつつ、警備業の科学技術の進展に尽力します。

今や国民生活に不可欠な警備業。「安全・安心」の担い手・警備業の発展のため、警議連は活動を続けます。

1964年の恩返し
セコム 創業者・最高顧問 飯田亮

昨年は、9月に関東に上陸した台風15号や、10月に伊豆半島に上陸した過去最大級の台風19号によって関東甲信地方、東北地方などで甚大な被害を被った。亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた皆さまにお見舞いを申し上げます。また、懸命に復旧活動に取り組んでくれたグループの仲間にお礼を申し上げます。

昨年9月20日〜11月2日まで、日本で開催されたラグビーワールドカップは、セコムが協賛し、東京や横浜などの競技場を中心に警備を担ったが、日本代表チームが「ONETEAM」の精神で大健闘し日本国中、大いに盛り上がり、日本のみならず世界にも大きな感動を与えた。大盛況だった大会も「安全・安心」な環境があればこそで、他社の協力も得て、万全な警備を実施してくれた常駐警備を中心とした全ての仲間の奮闘に感謝したい。

そして、いよいよ今年は、7月24日〜8月9日に「東京オリンピック」、8月25日〜9月6日に「東京パラリンピック」が開催される。振り返れば我々は、創業間もない1964年に前回の東京オリンピックの選手村などの警備を担当した。当初、組織委員会の要請に、大規模受注になるが期間が短く、終了後の雇用確保など課題があるものの、社会的な意義も大きいので引き受けた。当時、数十名の社員だったが、倍以上の新たな警備員を採用・教育し、選手村や競技場の警備を行う一方、将来を見据え、オリンピック終了後の警備員の仕事を確保できるように営業活動を行い、将来の人員増を見越し機械警備システムの開発に着手した。

大会は無事故で幕を閉じ、社会からの信頼が増し、知名度も大きく向上した。我々のこの警備での成功は、その後の大きな飛躍の原点となったのである。今年の東京オリンピック・パラリンピックは、その意味で1964年の東京オリンピックへの恩返しをしなければならないと考える。また、社会情勢は大きく変化している。新しい技術革新が進む一方、人手不足が深刻さを増している。「現状打破の精神」で仕事のやり方を見直し、次なる成長につなげたい。

信頼のため「愚直に徹する」
ALSOK 代表取締役会長 村井温

今年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における警備の成否は、日本の警備業への評価を大きく左右します。我々は心を一つにして、万全を期していかねばなりません。

基本的には、これまでの大規模警備の経験や実績からして、自信を持って対処しても大丈夫ですが、本番を立派にこなすためには、その何倍もの周到な準備が必要です。今のうちに徹底的に点検して詰めるとともに、不足部分を補い、後悔しないよう更なる訓練等に励んで下さい。

次は、我々警備に当たる者は、常に仕事の原点について考えてほしいということです。原点とは、お客さまに対して日々の警備を「誠実・正確」に行うことですが、その積み重ねによってのみ、お客さまから信頼していただけるのであり、それは何物にも代えがたいのです。

そういう点で特に自戒すべきは、人間というのは、仕事に慣れてくると、ついつい効率性や迅速性に重きを置いて手順を省略したり、手抜きをしがちになるということです。

これは、最後は仕事のミスにつながり、お客さまの信頼を失うことになります。信頼を築くには長い時間と多くの努力の積み重ねが必要ですが、信頼を失うには一瞬で、それも、たった一つのミスで十分なのです。私がかねてから「愚直に徹する」ことを強調するのもこのためであり、警備会社は、細部にわたって一つひとつ「誠実・正確」に業務を執行することが求められており、その信頼に応えるためには、いささかの妥協も許されません。

人間だからミスは仕方ないと考えるのは、本物のプロではない証拠です。プロならば、自分の仕事については常に完全無欠で仕上げるよう心掛けなければならないのです。わが社の諸君は、このことをしっかりと肝に銘じて、ALSOK綜合警備が世間の「誠実・正確」の代名詞となるよう心掛けて下さい。

新しい〝カタチ〟創造 Creative Security Partner
セントラル警備保障 代表取締役執行役員社長 澤本尚志

セントラル警備保障(CSP)グループを取り巻く経営環境は、人口減少、少子高齢化といった社会構造の問題や「IoT」「AI」の急速な技術革新など大きく変化しています。大規模な国際イベントの開催が続く中、犯罪抑止やテロ警戒など警備業界への需要はますます高くなっています。

今年度(2020年2月期)から新中期経営計画「Creative2023」がスタートしました。新たにブランドコンセプトを「Creative Security Partner(略:CSP)」とし、単なる警備会社から「技術サービス企業」へ変革を図り、「人と技術の融合」を推進します。さらに6月から当社の「技術サービス企業」を目指す取り組み姿勢と、俳優として確固たる地位を築き、心身ともにストイックに鍛え抜かれた力強さを持つ岡田准一さんに高い親和性があると感じ、新イメージキャラクターとして起用しました。技術力と人による警備が融合したホスピタリティあふれる質の高い警備サービスを提供し「CSPに頼めば大丈夫」と感じていただけるよう尽力していきます。

「Creative2023」は5か年計画とし、前半の2年間は大型国際イベントによる警備需要の増加を確実に取り込むとともに事業基盤の強化を図ります。後半の3年間では、持続的な成長と更なる企業価値の向上のため、新たな事業展開を目指す予定です。事業施策の一つを紹介しますと、JR東日本向けの画像監視を目的とした「セキュリティセンター」を今年度の下半期より、JR東日本と連携して立ち上げ、新たな画像解析とリアルタイム監視による高付加価値な機械警備の提供を目指し、人的警備(常駐警備)との融合を推進します。

本年もCSPグループが一丸となって「Creative Security Partner」として、セキュリティーの“新しいカタチ”を創造していきます。

新たな提案を推進
全日警 代表取締役社長 片岡由文

今年はいよいよ東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されます。

大会の三つの基本コンセプト「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」は、まさに私たちにも求められているものでもあります。

一人ひとりが全日警の代表であり、それぞれの現場が皆さんのステージです。

警備業界にとっても大きな転換期となるはずです。

IoTやAIといった技術の波が今まで以上のスピードで押し寄せて来るでしょう。その波に乗り遅れることなく、人と機械の融合による新たなセキュリティーの提案を推し進め、皆さんと力を合わせ当社の価値を社会にアピールしていきましょう。

次の50年に向けて
セノン 代表取締役社長 小谷野宗靖

昨年セノンは、創立50周年を迎え、これまでの道のりを振り返り、そして次の50年のために何ができるかを考え、実行に移す年となりました。諸先輩方、ご愛顧いただいた皆さまに全社を挙げて感謝の意を示すとともに、社史をまとめた50年誌を発行。新たな礎を築くための確かな一歩を踏み出しました。

創立50周年として、さまざまな展開をしてきましたが、その締め括りとして、10月9日より東京ドームで行われたプロ野球「クライマックスシリーズセファイナルステージ」へ冠協賛しました。2017年から外野フェンスに掲出している「守りの名手」看板はもとより、セノンが4日間にわたる素晴らしい熱戦をサポートさせていただいた模様をテレビや球場でご覧になった方も多いのではないでしょうか。これまで「鷹のマーク」「四つ葉マーク」として認知いただいてきましたが、新たに「守りの名手」として、より多くの方々に当社を知っていただけたことは、次の50年に向けたとても力強い一歩目となりました。

また、新たな事業領域の拡大を図るべく、都内で地域に根付いた拠点開設を進めました。6月に杉並区にテクニカルセンター、7月に総合スポーツ施設「セノンスポーツゼロ」、12月に北千住サテライトをオープン。今後はさまざまな取り組みを通じて地域住民の皆さまにもセノンのことを知っていただき、頼れる身近な「守りの名手」となるべく、皆さまのお困りの声に真摯に向き合います。

今夏は東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。当社も警備共同企業体の理事会社として大会警備の一端を担う、是が非でも成し遂げなければならないビッグプロジェクトです。業界の皆さまと力を合わせ、記念すべき1年を支えることができるよう、さらに邁進してまいります。

温暖化防止、取り組み必要
トスネット 代表取締役社長 氏家仁

未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発災から9年の月日が流れようとしています。この間トスネットは、被災地の地元企業として、復旧復興への支援のお手伝いを最優先で行ってきました。被災者に向き合った救命講習会など社会貢献活動の取り組みも積極的に行ってきました。

そんな中、環境変動の影響からか、一昨年は西日本豪雨災害、昨年は台風15・19号が甚大な被害をもたらしました。被災地では、未だに避難所生活を余儀なくされている多くの被災者がおり、災害ごみの処理には相当時間を要するようです。このような環境下、警備業者の被災地出動のあり方など、警備業協会の主導の下、積極的な議論がなされることが望まれます。

労働人口減少の中、台風本州到来の比率が増し、地震も頻発している国内の状況から推測しても、自然災害に対する意識は、想定外から想定内にシフトし、その対策は必要不可欠です。

日本でも企業の持続的な成長を測る指数として、環境・社会・企業統治(ESG)への注目が高まっています。米タイム誌が昨年末「今年の人」にスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんを選び、COP25では小泉環境大臣のスピーチに石炭火力への対策が盛り込まれていないことが議論となりました。警備業界としても、持続的成長を図るうえで、地球温暖化防止などへの積極的な取り組みが必要となります。

今年はオリンピックイヤー、安全安心をおもてなしの心を持って提供し、国内での環境への関心度も海外へ発信できる絶好の機会ではないでしょうか。

夢に向け〝東北魂〟で挑戦
東北地区警備業協会連合会
会長 千葉英明(ゴリラガードギャランティ 代表取締役)

東北地区警備業協会連合会は「警備業界に新たな旋風を起こすのは東北から」との強い“合言葉”の下、信念を持って活動を行ってきました。とりわけ、昨年末に全国から注目される中、実施した「青年部サミット」は、これからの警備業発展の地図を塗り替えるほどインパクトのある事業として、また、産業革命にも匹敵するほど全国に波紋を投げ掛けたものと自負しています。

強い成長する警備業を創るには、古い地図を捨て、青年部が新たな地図と羅針盤を持って、未来を切り開くことこそが警備業発展永代への道と信じています。

警備業界には、さまざまな解決しなければならない課題がありますが、青年部が、この立ちはだかる壁を打ち破る。ラグビーに例えれば、タックルを振り切り、スクラムを切り崩し、ボールを敵陣地へと運びだそうと前へ前へとボールを運ぶゲーム展開を、大歓声の中、見事にプレーするものと信じています。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、業界の「未来への継承と発展」を合言葉に、魅力ある業界と社会から必要とされる産業であり続けるために、青年部を育て果敢に挑戦させます。

警備業の夢に向け熱き挑戦をする“東北魂”を全国に発信するべく、東北各県会長等も決意を新たにしています。どうぞ期待していて下さい。

「質」の向上に努める
関東地区警備業協会連合会 会長 島村宏(日警 取締役会長)

昨年8月30日付で教育時間の削減や特別講習の実施基準の緩和など、警備員教育の合理化に関する改正警備業法規則が施行され、警備業界にとり大きな転換の年となりました。

茨城県協会でも早速、経営者研修会を開催し、県警担当者から改正概要や留意点について説明を受けましたが、参加者の関心は非常に高く、質疑応答も活発に行われました。

一方、業界内では、警備会社へのメリットは大きいとの声がある半面、「質」の確保に対する懸念を感じる経営者も少なくありません。

警備業にとりましては、この改正があったからこそ、これまで以上に「警備員教育」を最重点に「質」の向上に努めていくべきことは当然であり、よりその真価が問われるものと考えています。

さて、本年は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会や聖火リレーに伴う大規模警備が数多く実施されます。

全国警備業協会加盟員の約25パーセントを擁する関東地区連内の各県協会では、安全安心な大会につなげていくため、警察当局やオリンピック組織委員会などと緊密な連携のもと、万全の準備を進めているところです。

そのような中、茨城県協会では昨年11月、県知事及び県議会議長と直接面会し、(1)最低制限価格制度の導入(2)公共工事発注の平準化(3)庁舎警備の分離発注(4)自家警備の抑制――など4項目にわたる要望書を手渡しました。これに対して、お二方とも改めて警備業が抱える諸課題に深い理解を示しながら前向きに対応する旨の言葉をいただきました。

本年も、山積する課題に対し、あらゆる知恵を絞り、さまざまなアプローチをしながら一つひとつ解消していきます。そして、生活安全産業としてこれまで築き上げた「警備業」の誇りと信念をもって、より質の高い安全・安心の提供を目指していくことの大切さを感じられる年となることを願っています。

ワンチームで成長へ
中部地区警備業協会連合会
会長 小塚喜城(コアズ 代表取締役社長)

昨年は改元に伴う皇室行事をはじめ、統一地方選挙・国政選挙、ラグビーワールドカップ、大型台風がもたらした全国各地での大規模な被害、また、警備業界においても自主行動計画、人手不足対策、警備業法施行規則改正への対応等々、まさに“光陰矢の如し”のあっという間に過ぎた1年でした。

全国警備業協会では、山積する業界の課題に対し、関係省庁への働き掛けを行うなど、業界の健全な発展に向けて、ここ数年、従来とは違う視点・手法により諸対策を推進しています。各県協会においても、それぞれの地域事情に応じて、全警協と足並みを揃えた取り組みを進めているところです。

中部地区連の愛知警協では、昨年から実施している(1)イメージアップ(2)料金アップ(3)賃金アップをスローガンとした「スリーアップ運動」を、会員会社が各々の立場で一歩ずつ着実に前進するよう、活動の輪を広げ、更に実効性を高めていきたいと思います。

また、こうした業界の抱える課題に対する取り組みについては、将来に向けて業界の発展に欠かせない次代の業界を担う若手経営者などで構成する青年部会が多くの協会で設立されつつあり、当協会においても、平成23年に設立され、自主的な活動を積極的に推進しています。本年は青年部が、より活動のしやすい環境づくりなど、協会としての支援体制を強化して、一層の活動の活性化を図ります。

この夏には、東京オリンピック、パラリンピックが開催され、大会の安全、円滑な運営に寄与することにより、警備業界の真価を問われる年でもあります。オリンピック終了後の業界の更なる発展にも目を向けて、青年部会が中部地区内はもとより全国各地区協会、さらには異業種の青年部会との交流を深め、業界全体がワンチームとなって大きく成長、飛躍することを期待し、見守っていきたいと考えています。

底力発揮する絶好の機会
近畿地区警備業協会連合会 会長 若林清(武警 代表取締役社長)

令和元年は、天皇ご退位と新天皇ご即位など皇室行事に伴う警備が続き、さらにG20警備、ラグビーワールドカップ警備という慌ただしい一年でした。関西では「G20大阪サミット会議」が開催され、全国からの多大な支援の下、無事、警備が完遂され、警備業のオールジャパンの団結を改めて認識させられました。

いよいよ「東京オリンピック・パラリンピック開催の年」となりました。警備員不足が叫ばれる中、自社の業務を維持しつつ、全国の警備員が一致団結して世紀の一大イベント警備を成し遂げなければなりません。日本の警備業の底力を発揮し、安全・安心の日本を世界に発信する絶好の機会ではないでしょうか。

近畿地区警備業協会連合会では、2021年の「ワールドマスターズ」、2025年の「大阪万博」、カジノを中心とした「統合型リゾート開発(IR)計画」が進行しているなど、東京オリンピック後は、いよいよ関西での課題が目前に迫ってまいりました。そのため、東京オリンピック警備に学び、関西の諸行事の警備に生かしていこうと思っています。

昨今の警備業は、多発する自然災害を含め、より一層オールジャパンとしての活動が求められています。それが警備業の発展に結びつくものと確信しています。当連合会は、これからもより一層、全国警備業協会、他の地区連合会と連携を図りながら一致団結して、これらの諸課題に取り組んでまいります。

中国、四国の連携強化
中国地区警備業協会連合会
会長 村本尚之(ケイビ 代表取締役社長)

昨年を振り返りますと、大きな変化の年であったと思います。元号が平成から令和と改まり、警備業界でも「教育時間の規制緩和」などを内容とした規則改正が行われました。中国・四国地区では、管区警察局が統合、中国・四国管区警察局となるという大きな組織改編が行われました。

このため、去る11月19日に全国警備業協会の中山会長にもお越しいただいて、岡山市内で第1回目となる「中国・四国地区警備業協会連合会合同会議」を開催し、「大規模災害対応を含めた今後の中国・四国地区の連携の在り方」について協議を行いました。

その結果、各県とも
▷豪雨や南海トラフ地震といった、いつ、どこで発生するか分からない大規模災害が想定される中で、広域連携は大きな課題であり、これを両地区合同で協議する意義は大きい
▷定期的に合同会議を開催し、両地区の情報共有と連携の強化を図る必要がある――との認識で一致しました。私は、これにより両地区の連携が一層深まっていくものと確信しています。

今年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、地方における人手不足が深刻さを増すことが予想されます。また、その後にどのような変化が起こるか、なかなか見通せないという厳しい1年になろうかと思います。中国地区連は、この難局を「ワンチーム」で乗り切っていきたいと考えています。

巨大地震に備える
四国地区警備業協会連合会 会長 北川豊彦(讃岐 代表取締役会長)

昨年も一昨年同様、各地で大きな災害が発生してしまいました。7月の九州南部を襲った大雨、8月の九州北部の大雨、9月の台風15号による千葉県を中心とした被害。追い打ちをかけるように、10月の台風19号により、各地に甚大な被害をもたらす災害が発生しています。

最近の自然災害は、50年に一度、100年に一度という発表であり、今までに経験したことのない大規模な雨・風です。さらに、災害経験の無い地域に被害をもたらしています。そのため、防災対策が不十分な地域にも災害が及んでいるのです。一旦災害に遭うと、今まで対策を考えたこともなかったことがクローズアップ・問題視されるのが災害の恐ろしさです。災害対策に「これで十分」という対策はありません。

四国四県は今後、南海・東南海における巨大地震による大災害が予想されています。災害発生時に、協力をお願いしなければならない隣県である、瀬戸内海を挟んだ中国地区連合会との初会合が、昨年11月に中国地区5県・四国地区4県が岡山県で一堂に会し、災害時の実態等について合同会議を実施したところです。今後も、両地区の合同会議を定期的に実施して、あらゆる情報を共有することで、いざという時に協力できればと願っています。

また、昨年は働き方改革の一環で、労働者に優しく経営者に厳しい労基法等の改正があり、経営者の皆さんはご苦労されていることと思います。さらに、警備業法規則の一部改正により、教育時間の短縮が図られたところですが、限られた教育時間をより充実したものにして、警備員の質の向上・警備業の発展を目指して一層努力していかなければなりません。

「九州は元気」を合言葉に
九州地区警備業協会連合会
会長 折田康徳(にしけい 代表取締役会長)

昨年は令和元年という新たな時代の始まりでした。新天皇陛下のご即位、ラグビーワールドカップでの日本の活躍など明るい出来事があった半面、豪雨や台風による災害も昨年に引き続き発生しました。

そのような中で九州地区は、韓国からの観光客の減少というマイナス要因はありましたが、クルーズ船の寄港が全国一とインバウンド客で観光地は賑わっています。福岡をはじめ各県では地域開発のプロジェクトが進んでおり、九州は色々な意味で元気が良い地域と言われています。

九州地区連では昨年、青年部活動の活発化に取り組みました。10月28日、地区連主催の「青年部G8会議」を開催し、部会結成県(4県)からは活発な活動状況について、未結成県からは結成の見通しについて発表があり、11月21日早速、大分県が青年部会を発足しました。11月に沖縄で開催した地区連理事会でも青年部会の在り方について話し合っています。現在警備業界は人手不足問題が最大の懸案ですが、若者・女性にとって魅力のある業界となれるよう、青年部の斬新な知恵と行動力が突破口になってくれるものと期待しています。

また、地区連理事会では各県警備業協会から自治体への要望書の提出についても議論しました。いくつかの県では「入札に向けた警備業務に関する要望書」を県や市に提出し、上級幹部と意見交換を行っています。長崎県では自主(自家)警備に関し、県、警備業協会、建設業協会等で作っている協議会に道路舗装や造園等の団体が加入を申し入れ、協議会が充実してきているとの紹介がありました。行政や他の関係団体と問題意識を共有し、警備業界の課題について理解を求めていくことの重要性を再確認しました。

今年も「九州は元気」を合言葉に、安全安心に寄与する警備業界の更なる発展のため、従来の殻を打ち破った積極的な活動を展開していきます。

2020年初詣を守る2020.01.01

川崎大師に警備員251人

“警備業の仕事始め”――今年も多くの警備員が各地で初詣の安全を守った。

「川崎大師・平間寺(へいけんじ)」(神奈川県川崎市)では、ALSOK(東京都港区、青山幸恭社長)とテイシン警備(さいたま市、加藤保仁社長)が警備を行った。

川崎大師は関東厄除け三大師の一つで300万人超の参拝客が集まる人気のスポット。両社による初詣警備は今年で8回目を数える。ALSOKは警備計画と資機材提供、テイシン警備は雑踏・交通誘導警備の実務と業務を分担した。警備員251人は大晦日午後5時に配置についた。

警備総責任者のALSOK川崎支社セキュリティサービス部・米田広行部長は「3が日の正午前後は混雑がピークとなり大山門と大本堂の2か所で規制をかけます。今年は交通規制を一層強化し4か所で計10人を増員しました」と語った。

両社は1月31日まで延べ1938人の体制で参拝者の安全を守る。

子供病院にプレゼント2020.01.01

埼玉警協大宮支部が児童書15冊

埼玉県警備業協会の大宮支部(炭谷勝支部長=協会副会長、トップセキュリティ)は12月16日、県立小児医療センター(さいたま市)に児童書15冊(約4万円相当)を寄贈した。

同センターは埼玉県の小児医療の中心施設。多くの子供たちが入院や通院治療を受けている。長期間にわたり入院し、クリスマスや年末年始を病院で過ごす子供も多い。

大宮支部は、これまで警察などの行政機関が行う地域安全活動や犯罪抑止活動などの各種キャンペーンに協力。しかし、「今後は社会奉仕の観点でも意味のある活動を行っていこう」との協会事務局の呼びかけに応じ、今回初めて書籍を寄贈することとなった。

同センターを訪れた炭谷支部長と支部事務局の百瀨啓司氏(太平ビルサービス)は、特大のサンタの靴下2足でラッピングした児童書(ページをめくると絵などが飛び出したり動いたりする「仕掛け本」など)を同センターの総務担当者に手渡した。

同センターでは「(警備業寄贈本)コーナー」を設け、多くの子供たちに読んでもらうこととしている。