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クローズUP

警備員の費用、直接工事費に2017.3.21

水道施設整備で積算変更

厚生労働省は平成29年度の「水道施設整備費に係る歩掛表」を改正、月内にも全国の自治体に通知する。3月7日に開いた、都道府県や市町村の担当者が一堂に会した「全国水道関係担当者会議」で明らかにした。

同改正により、地方自治体が4月1日以降に行う、同省が補助する水道施設整備工事では、交通誘導警備員に関する経費の積算方法が変更される。

これまで同省補助の水道施設整備工事では、交通誘導警備員に関する経費は、間接工事費の共通仮設費として積み上げられてきた。しかし、国土交通省が昨年4月から、直轄工事での同経費を、間接工事費から直接工事費に計上を変更する「土木工事標準積算基準書」を示したことから、厚労省もこれに倣い、変更することとした。

この積算方法の変更により、交通誘導警備員に関する費用は、現行より1割程度増加すると見られ、適正な警備料金の獲得につながることが予想される。

同省が29年度、地方自治体が行う水道施設の整備のために補助金や交付金として行う財政支援額は総額約354億円。老朽化施設の更新や耐震化などが対象となっている。また、自治体の自主財源で行われる水道施設整備工事も相当数あるが、これら工事についても、積算方法の見直しが進むものとみられる。

新・中期計画スタート2017.3.21

セントラル警備保障

セントラル警備保障(CSP、東京都新宿区、鎌田伸一郎社長)は3月10日、東京都町田市にある東京研修センターと、同社創業者・森田健三名誉会長と物故社員の業績を顕彰する森田記念館で「創業51周年記念式典」を開催した。

鎌田社長は「前期までの『CSPパワフル50計画』達成の上で、新しい中期計画『CSPパワフル2020』を策定し、今月からスタートさせた。計画の標語は『日本一の警備サービスと技術を提供し顧客満足を追求します』。森田名誉会長の『創業の理念と社訓』がますます重要になっており、社員全員で再確認して次の50年に向かって挑戦していきたい」と訓示した。

表彰状授与では、特別功労者2人、優良社員32人、永年勤続者(20年以上が表彰対象)143人、優良運転者14人が表彰された。

受賞者を代表して営業本部本部長付部長・加藤勉氏が「CSPパワフル2020初年度の目標実現を目指し、会社の発展のため最善の努力をすることを誓います」と答辞を述べた。

森田記念館に建立された「響和の碑」前で行われた慰霊式では、昨年永眠した同社関係者6人の氏名が読み上げられ、黙祷を捧げた。

記念館講堂で開かれた記念祝賀会では鎌田社長が「新たに始まった中期計画は、『技術とサービスで戦う意思』をより鮮明にしたもの」と強調。同計画の標語募集で入選した名古屋支社事務管理課・泉川寿子主任が、鎌田社長から表彰状を授与された。

特集ワイド 「講師」たちへの応援歌2017.3.21

検定合格警備員を増やし、育てるために欠かせない特別講習制度――。同制度を支えるのは、警備会社の仕事と特別講習講師の両立に挑戦し、日々、研鑽に励む全国の講師たちだ。警備員特別講習事業センターの考査員として、講師を見てきた前神奈川県警備業協会専務理事で、本紙「紙面向上委員会」委員の早川正行氏に、講師への“応援歌”を寄稿してもらった。

検定合格者育成は会社の隆盛

特別講習は、「検定合格警備員」を育成するために設けられた警備業法上の制度だ。全国の警備員の資質の向上に成果を上げており、業界の発展に大きく貢献していることは論をまたない。今や警備会社は、警備業務の質の向上を図るため、警備現場の最前線において警備業務というサービスを担う警備員の資質の向上に全力を挙げている。いわば警備業務という自社の商品価値を高めるための競争が行われているのである。

ユーザーは安全確保の観点から、従来にも増して警備業務の質のレベルアップを求めるようになっており、それにつれて警備料金のアップにも連動するため、警備会社の真剣な取り組みは高まる一方である。以前は、「安かろう、悪かろう」の警備に我慢していたユーザーも、多少高くても安全を買う意識が優先するようになり、警備業法上の配置義務に関わらず、検定合格警備員の配置を求めるようになった。厳しい受注競争を勝ち抜き、会社を隆盛に導くためにも検定合格警備員の育成は必須の要件となっている。

特別講習事業センターの役割

この検定警備員を育成するのが「特別講習」であり、警備業法上の登録講習機関である「警備員特別講習事業センター」が運営している。そして、講習の核となる優秀な講師陣を育成するのは全国警備業協会で、通称「技研」と呼ばれる技術研究専門部会が講師の育成指導に当たっている。

「研修センターふじの」で、定期的に開催される講師研修会は、時折、機関誌「セキュリティタイム」の記事にあるように、一糸乱れぬ統制のもとで、特訓とも言える厳しい実技訓練と学科講義を行い、講師としての知識と技能を修練する場となっている。

特別講習は、難関と言われる検定合格者の育成を目的とするため、まず、講師陣の質を確保し、学科の講義要領、実技の訓練要領など、教える側が実力を涵養できるよう、そのための体制が確立されている。

また、特別講習は、公安委員会の検定合格を伴うため、厳正・公正な運営が生命とされるが、北は北海道から南は沖縄まで全国一律の基準で検定の質を保持する必要があり、都道府県警備業協会が事務局となって、事業センターから派遣される考査員と協力の上、厳正・公正を担保するというシステムが機能している。

講習支える三つの善意

私が特別講習に初めて接したのは、平成20年4月、神奈川県警備業協会の専務理事に着任して間もなくのことである。講習の主体は、特別講習事業センターであるが、会場の確保、受講申し込み、受講受付など講習事務の一部を県協会が委託を受けていることもあり、専務理事の重要な業務として引き継ぎを受け、講習の状況もつぶさに観察することとなった。

交通誘導、施設警備、貴重品運搬、雑踏警備など、それぞれ1級2級と全く内容の異なる検定資格を指導するため、種目の都度、講師たちも変わり、講習の内容も変わることから、講習の度に、気分を新たにしながら関心を持つようになった。

そして、ほどなく、特別講習は業界にとって検定合格警備員を育成するための重要な制度であるが、それを支えているのは、「三つの善意」であることに気が付いた。平成21年からは考査員として全国を回るようになり、この「三つの善意」は全国に共通することも確信するようになった。

〈一つ目の善意〉

一つ目の善意は講師自身である。すべての講師は警備会社の幹部社員で、それぞれ会社の中核として仕事を持ち、会社の仕事と兼務しながら、講師の委嘱を受けている。委嘱を受けるためには、全国警備業協会の講師養成研修会において厳しい審査に合格しなければならず、更に、講師としての実力を維持するために、日常の研鑽も求められる。

若干の講師手当があるとはいえ、講師としての負担の大きさを考えた場合、ボランティア活動に近い業務であることは間違いない。講師としてのプライドがなければ挫折してしまうだろう。警備員の資質を高め、業界の発展に貢献するという使命感こそが講師を突き動かしているのである。

講師の委嘱を受けている以上、自社の受講生も、ライバルである他社の受講生も、いずれの受講生に対して、厳正・公正な態度が求められ、この点は全国的に見事なまでに徹底されている。講師研修会の成果もさることながら、個々の講師自身が「公的業務」の立場をわきまえていることの証であろう。

私は、老婆心ながら講師たちに対し、ここでいう講師の善意はあくまでも第三者の評価であり、講師自身が自分たちは善意でやっているのだという意識を持つと、それは善意ではなくなることを肝に銘じ、自己研鑽を続けていただきたいと話しかけている。

〈二つ目の善意〉

二つ目の善意は講師が所属する警備会社である。講師は会社の理解のもとで講師としての力量を養い、自分の知識と技能を磨きながら特別講習に臨む。どんなに熱意のある講師であっても、会社の理解がなければ講師活動は成り立たない。そういう意味においても講師が所属する警備会社の存在は極めて大きいものがある。

私が神奈川警協の専務理事時代、特別講習を陰で支えてくれる講師の所属会社に対し、何らかの敬意を表しようと考え、当時の原田篤二郎会長をはじめ理事の皆様の賛同を得て、公的な栄誉である警察本部長の表彰を検討したことを覚えている。警察本部に相談を持ち掛けたところ、特別講習が警備業の発展に貢献していることの意義を認めていただき、講師所属会社10年以上という功労の基準を設けて授与することとなった。

平成24年11月8日、神奈川警協設立40周年記念事業の一環として、講師所属会社に対し、神奈川県警察本部長と警備業協会長連名の表彰を行った。講師所属10年以上の会社は7社を数え、喜んで連名表彰を受賞していただいた。その後、全国的に講師所属会社に対する警察本部長表彰が定着したことは、二つ目の善意に対する感謝の表れであろう。

〈三つ目の善意〉

三つ目の善意は、特別講習の会場を提供してくれる民間会社や行政機関である。特別講習の重要性を理解していただき、若干の使用料のもとで、会場を提供してくれている。協会の研修施設が充実している埼玉県など数都府県を除いて、会場の確保は都道府県協会の悩みの種となっている。

特に、特別講習の会場は、学科講義の教室と実技訓練の会場がセットで必要であり、定められた経費の範囲内で、これだけの条件を備えている会場を選定することは極めて困難である。それだけに、快く会場を提供してくれる民間会社や行政機関には、三つ目の善意として感謝しなければならない。

厳正・公正、全国均一で

こうして、全国47都道府県警備業協会は特別講習の受託を受けて、三つの善意に支えられながら、特別講習の質の向上を図ってきた。私は、これまで考査員として全国の特別講習を実施してきたが、どこに行っても、厳正・公正でかつ技術的にも実に均一な講習が行われていることを実感している。講師たちの努力の賜物であろう。三つの善意を大切にし、特別講習の更なる発展を祈念したい。