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札幌で青年部サミット2023.11.01

北海道警協・東北地区連

北海道警備業協会(長尾昭会長)と東北地区警備業協会連合会(氏家仁会長=宮城警協会長)の「青年部サミットin北海道」が10月20日、札幌市内で開催された。東北6県警協と北海道警協の青年部会員や来賓など67人が参加。「人材」の確保や育成などのテーマで活発な討議と発表を行った。

青年部サミットは5回目で、北海道警協青年部会は2回目から正式メンバーとなった。昨年2月には東北地区連と北海道警協との間で青年部の連携強化を図る協定が結ばれた。

北海道警協青年部会・大八木貴厳部会長(大光警備)は、あいさつで「警備業界の最重要課題である『人材』に焦点を当て、皆さんの知見や取り組みを共有し、業界の輝かしい未来につなげる機会としたい」と意気込みを述べた。

グループ討議では▽人材確保▽人材育成▽離職防止▽待遇や働き方の改善▽「全警協の広報プロジェクトチーム」への要望――などについて話し合い、各班の代表者が発表した。

討議に先立ち全国警備業協会・盾悦男常務理事、北海道警協・長尾会長は、青年部活動に寄せる期待をそれぞれ述べた。

全警協・小澤祥一朗総務部次長は都道府県青年部会の活動などを解説。宮城警協青年部・小屋広和部長(日本パトロール警備保障)は警備業の魅力発信を図る全警協・広報プロジェクトチームについて説明した。

大八木部会長、小屋部長のほか次の部会長が参加した(敬称略)。

【青森】種市貴史(北東ビル管理)【岩手】吉田繭(新生警備保障)【秋田】千種学(ALSOK秋田)【山形】松田大輔(山形警備保障)【福島】鹿島光太郎(コスモさくら警備保障)

次回の同サミットは秋田県で開催予定。

職場環境整え、PR促進を

青年部サミットで道県警協の青年部会は、討議内容を警備業の広報活動などで参考にしてほしいとする“要望書”を全警協に提出した。各班からは次の発表があった。

「広報では全警協の『ガードくん』などマスコットキャラクターの活用促進や、全国の警協で使用できる“警備業紹介動画”の作成がPR効果に結び付くのではないか」(部会長班7人)。

「女性の雇用拡大に向け、子育てしながら働ける短時間勤務など職場環境の整備が急がれる。外国人雇用では研修が課題となる」(1班8人)。

「若者や新卒者の採用では、SNSを活用し自社のアピールポイントを強調することが求められる」(2班8人)。

「社員に査定表を見せ“この点が良い”と具体的に評価することは自信や向上心を高める。教育する側のスキルアップも欠かせない」(3班8人)。

「管理職が警備員の悩みに耳を傾けて“愛着を持てる職場づくり”を進めることは離職防止につながる」(4班8人)。

「資格者や隊長などの業務内容に見合う待遇改善を進めて、従業員とのつながりをより深める。若者に警備業の魅力を伝えることが大事」(5班8人)。

特集ワイド 痴漢撲滅、官民挙げて2023.11.01

電車内などでの痴漢犯罪をいかに防ぐかが依然として課題になっている。コロナ禍で減少した痴漢に係る検挙件数は昨年、増加に転じた。警備業を含む民間事業者はキャンペーンやウェブサイトなどを通じて注意喚起。被害防止のための意識や行動について呼び掛けを行っている。関係府省庁は今年、撲滅への「政策パッケージ」をまとめた。成果に結び付くことが期待される。

国は今年3月、「痴漢撲滅に向けた政策パッケージ」を策定した。関係5府省庁(内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、国土交通省)が連携し、取り組みの強化を図っている。

国は基本認識で「痴漢は重大な犯罪である」「痴漢の被害は軽くない」「被害者は一切悪くない」「被害者を一人にしてはいけない」「痴漢は他人事ではない」を示した。その上で、痴漢を防ぐ施策として▽痴漢事犯の実態把握▽重点的な取り締まりの強化▽防犯アプリの普及▽女性専用車両の導入・定着▽鉄道事業者間での効果的取り組みの共有▽車内防犯カメラの設置・設置基準の策定▽通学路における安全確保・教育▽生命の安全教育――の8つを掲げた。

例えば実態把握では都道府県別、場所別、月別、時間帯別の調査と分析をより詳細に行い、結果を定期的に公表。取り締まりは被害多発の場所、路線、時間帯を強化する他、被害者同行乗車や捜査員の集中配置を行う。

政策パッケージではさらに、▽加害者の再犯を防ぐ▽被害者を支える▽社会の意識改革を促す――ための具体策をまとめた。5府省庁の担当官で構成する実行連絡会議を設置した。

◇出典=内閣府ホームページ(https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/jakunengekkan/pdf/chikan_bokumetsu_seisaku.pdf)

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埼玉県さいたま市内で9月に行われた「痴漢犯罪防止秋季キャンペーン」。埼玉県鉄道痴漢犯罪防止連絡協議会(会長=緑川清士JR大宮駅長)の主催によるもので、大宮駅のコンコースなど3か所で啓発活動に取り組んだ。警備会社からも多くが参加した。

同連絡協は1998年、鉄道利用者の安全安心な通勤通学をめざして発足した。関連事業者や学校など45団体で構成し、春と秋の痴漢犯罪が増加する時期にキャンペーンを実施するなどしている。

今回は地元の高校生や女子プロサッカー選手を含む約130人が参加。人目を引くたすきを掛け、啓発品(ばんそうこう、ポケットティッシュ、うちわ)を鉄道利用者らに配布した。埼玉県警備業協会(炭谷勝会長)の大宮支部(狩野伸三支部長=太平ビルサービスさいたま支店)が作ったうちわは500本用意され、参加警備員は「いろいろな年代の方に受け取ってもらって良かった」と語った。

啓発品にはそれぞれ、埼玉県警鉄道警察隊(井出瑞穂隊長)が制作した啓発動画(3本、計約24分半)にアクセスできる二次元コードを印字した。

この動画は、高校〜大学や企業で行っていた「防犯講話」がコロナ禍によりできなくなったことを受けて考えた。2021年から毎年1本ずつ制作し、ユーチューブの県警公式チャンネルで配信。電車内での被害防止のポイントや被害に遭ったときの対応を分かりやすく伝えるとともに、目撃者の協力を呼び掛けている。今年作った「それまでをこれまでに〜私たちにできること〜」には高校演劇部が出演している。

伊東崇副隊長は「より多くの方に見ていただいている。確かな反響があり、続編を望む声がある」と話す。

同隊によると、被害相談の受付など痴漢に係る取扱件数は増加傾向。相談しやすい環境整備も背景にある。同行乗車など、被害者の意思を尊重した対応に当たっている。

伊東副隊長は「『何とかしてほしい』という思いに応えなければならない」と言葉に力を込めた。

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セコム(東京都渋谷区、尾関一郎社長)が運営しているサイト「女性のためのあんしんライフnavi」では痴漢対策について取り上げている。

サイト内の「防犯のキホン」で対策を紹介。犯人を寄せ付けないためにできることでは(1)露出度が高い洋服を避ける(2)行動パターンを変えてみる(3)電車で女性専用車両があれば利用する(4)防犯ブザーを持つ(5)隙のない女性を演出する(6)危ないと思ったらスマートフォンの着信を鳴らす――を挙げている。

具体的に(2)では、決まった行動パターンだとターゲットにされやすくなると指摘。時差通勤をしたり、通勤経路を変えてみたりすることを呼び掛けている。(4)では防犯意識の高さを周囲にアピールできるとし、防犯ブザーをバッグにぶら下げておくだけでも効果的としている。

電車内で特に注意が必要な場所については、「大きな駅の改札口に近い車両」(犯人にとって逃げ道がつくりやすい)、「連結部に近い車両の端」(奥まった場所で、被害者にとって逃げ場がなく、他の乗客の目が届きにくい)、「ドア付近」(一番混雑する場所で接触が容易)を挙げて注意喚起している。

セコムは「女性の安全・安心に関する意識調査」を行っている。2021年10月の調査(10歳〜39歳の150人)では、「不安を感じたことがある」は30.7%、「実際に被害に遭った」の18.0%が痴漢だった。

ストーカー、盗撮、ネットトラブルなどの割合を上回り、最も高かった。