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クローズUP

埼玉警協「キャンセル料」実態を調査2020.02.21

半数が契約先に請求

埼玉県警備業協会(山﨑守会長)は2月5日、川越市内の同協会総合センターで「今すぐ役立つ研修会」を開催した。同協会の適正取引対策分科会(三角栄二郎座長=KSP)は、業務の突然の中止に対する料金の支払い「キャンセルポリシー」実態把握のために実施したアンケート結果を報告した。回答企業のうち全ての業務契約先にキャンセル料金を請求したのは約半数に上ったものの、「契約した金額を全額請求できていない」「請求しても払ってもらえない」などの回答も寄せられ、今後の課題が浮き彫りになった。 

無記名で行われた同アンケートには、66社から回答が寄せられた。約半数が「全契約先または90パーセント以上の契約先にキャンセル料を請求できている」と回答した一方で、「請求できているのは契約先の50パーセント未満」との回答も目立った。

金額については、「契約した金額を全額請求」が26社で最も多かったが、「半額以上」と回答した会社が21社あるなど、多くの企業で契約金全額を請求できていない実態が明らかになった。

キャンセル料金を請求できていない契約先の割合は、「5パーセントから10パーセントくらい」との回答が8社から寄せられたほか、年間契約や業務の性質上キャンセル料金が生じたことがないといった事例も含め、全ての契約先に請求していないケースもあった。

その理由として、「請求について取り決めがない」23社、「請求しても払ってもらえない」11社、「請求できることを知らなかった」3社と続いた。

アンケートを取りまとめた分科会メンバーは、自社の取り組み事例を以下の通り紹介した。

▽キャンセル料金請求のために2年を費やした。他社の動向やお客さまの反応が怖く、契約が打ち切りになってしまわないか不安だったが、地道に訪問して丁寧な説明を続けている。

▽労働基準法第26条や下請法を根拠として、お客さまに個別説明した。

▽社内でヒアリングを行い、前日・当日にキャンセルが頻発する契約先を洗い出し、全国警備業協会のリーフレットを活用した営業活動を行った。

キャンセルポリシーの実態を受けて三角座長は、「人手不足は警備業に限ったことではない。警備会社同士の料金競争をしているうちに、他の待遇のよい業種に人材は移ってしまう。そうした事態を避けるためにも、適正取引を推進し、会員各社一体となって適切な警備料金を確保していきましょう」と訴えた。

同分科会は、2018年11月に東京2020を契機に想定される課題への対策を検討するため、各社の実務者レベル7人の委員で組織された。主に全警協が発行したリーフレット「警備業における適正取引の推進」の活用促進など、適正取引のための各種施策を検討・実施している。

女性が活躍2020.02.21

埼玉警協「求人募集ポスター」

現場で活躍する女性警備員――。埼玉県警備業協会は、昨年に続き女性警備員をモデルにした「求人募集ポスター」を作成した。

モデルとなったのは、加盟社のゼンコー(さいたま市、海野弘幸代表取締役)の女性警備員4人。いずれも同社の女性社会人野球チーム「ZENKOBEAMS」のメンバーで、普段は施設警備や交通誘導警備などの業務に従事している。メンバーの大半が検定合格警備員で、なかには警備員指導教育責任者の資格取得者もいる。

ポスターは、加盟社のほかに県内の全ハローワークなどにも配布し、警備業への入職促進のための“PRグッズ”として活用していく。

特集ワイド 
セキュリティーショー2020「これからの警備」 2020.02.21

今年は東京2020開催と次世代通信システム5Gの提供開始により、最先端テクノロジーを駆使し未来を見据えた警備が本格化する。幕張メッセ(千葉市)で3月3〜6日に開かれる日本最大級のセキュリティー展示会「SECURITY SHOW 2020」では、人と機械が役割分担した「これからの警備」が紹介される。警備会社2社とメーカー4社の展示に焦点をあてた。

次世代サービス紹介 ALSOK(ブースSS3211)

ALSOK(東京都港区、青山幸恭社長)は、「警備の枠を超えて提案する2020年代の安全安心社会」を展示のテーマに掲げている。

“次世代の警備サービス”を中心に、労働人口減少をはじめとする社会の課題へのソリューション(問題解決)を紹介する。展示内容は6つのエリアに分かれている。

「プレゼンテーション・エリア」では、先進の画像解析技術を活用した最新の警備システム「ALSOK―G7」や自律走行型警備ロボット「REBORG―Z」などの実機を使った“次世代警備”のプレゼンテーションを行う。

「先進性・5Gエリア」は、自動運転に関するソリューションや新サービスなどを紹介する。

「防災・パンデミック対策エリア」は、ウイルス対策商品として、サーモグラフィーカメラやオゾン脱臭機などを展示。

新型の「高齢者見守りサービス」は、実機の展示を行う。

近未来の警備サービスをイメージした「ロボット遠隔操作コンソール」では、コックピットシステム上で警備ロボット「REBORG―Z」の遠隔操作を体感できる。

画像解析で異常検知 セントラル警備保障(ブースSS2105)

セントラル警備保障(東京都新宿区、澤本尚志社長)は、「未来を見据えた先進的なセキュリティー」をコンセプトに出展する。

展示の目玉は大きく2つある。

一つは、画像解析システムを使用した新たなサービスの紹介だ。ブース内に取り付けたカメラ映像から各種の異常を検知するデモンストレーションを行う。

もう一つは、3月14日に東京都港区で暫定開業するJR東日本「高輪ゲートウェイ駅」に導入予定の、自律巡回警備ロボットの展示(3月3〜5日まで)。ロボットはブース内を巡回し機能や運用を説明する予定だ。

ほかに参考出展として一人乗りの移動手段「マルチパーパスモビリティー(mpm)」の試乗を予定しており、新しいサービスの需要発掘を図る。 

同社は今期(2020年2月期)から新中期経営計画「Creative(クリエイティブ) 2023」をスタートさせた。「単なる警備会社」から「技術サービス企業」への変革を進めており、今後はIoT、AI、ロボットなどの最新技術を積極的に導入していく計画だ。

交互通行を自動制御 KB―eye(ブースSS2206)

2号警備向けシステムの開発・販売を行うKB―eye(山梨県中巨摩郡昭和町、秋山一也・橘田孝一共同代表)は、交通誘導警備や駐車場警備、雑踏警備にAIを活用し、業務の省力化と効率化を図っている。

工事現場での脇道監視・誘導システム「KB―eyefor交通誘導警備」や移動式の駐車台数カウントシステム「KB―eyefor駐車場警備」のほかに、新たに開発したシステム「KB―eyefor交通制御」を発表する。片側交互通行の交通誘導業務を完全自動化する国内初のシステムで、特許取得済み。道路工事現場の配置人員を削減しながら安全性を確保する“新しい警備の形”を提案する。

システムの販売代理店・パートナーの募集も行う。

通信回線束ね映像伝送支援 朋栄(ブースSS1420)

朋栄(東京都渋谷区、清原克明社長)の出展テーマは、「確かな技術で安全を守る」だ。「セキュリティー分野の統合監視」をキーワードとして、「情報伝送」「情報可視化」「ONVIF監視」「画像鮮明化」に対応する各種ソリューションを紹介する。

「情報伝送」は、複数の携帯回線を束ね広帯域化して速度と安定性を備えた通信環境を構築し各種情報や映像を伝送する「Dejero製品」を紹介。インターネット環境のない遠隔地の現場から監視センターへの速やかな伝送をサポートする。

「情報可視化」は、テレビ画面の左と下に使われるL字型情報表示に対応可能な小型情報合成装置「CGーPotableAv」を紹介。パソコンを接続するだけで、カメラ映像に各種情報を追加できる。

全方位カメラで生産管理 日本防犯システム(ブースSS2601)

日本防犯システム(東京都港区、賀来泉社長)が展示する主力製品は次の2つだ。

ゆがみ補正機能を使った広範囲撮影が特長の全方位IPカメラシリーズ「ENJIN(エンジン)」は、工場の生産管理ソリューションに有用だ。

IPカメラで撮影した顔画像を基にAIが顧客属性を判別し自動でグラフを作る画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」は、小売店や飲食店の防犯と顧客管理、接客サービスの改善などを同時に実現できる。

同社は防犯カメラ専業メーカーとして日本製防犯機器の品質やコストパフォーマンスの向上に取り組んできた。今後は多様化するニーズにダイレクトに提案できるようソフトウェアやメンテナンス、情報インフラなどを包括的に強化していく。

「水」「火」の災害監視 プロテック(ブースSS1304)

プロテック(広島県福山市、永井健三社長)の展示のメインは、録画一体型防犯カメラ「安視(あんし)ん君」のラインアップだ。

「安視ん君」は昨年から防災分野にも活用の場を広げ、河川の水位上昇や道路冠水を映像監視するカメラ「見張り亀ら〜」を開発。画像を解析・グラフ化し、定められた危険領域に近づくと管理者のスマートフォンに状況画像を添付したアラートメールを配信する。

「見張り亀ら〜」の“熱監視バージョン”も展示する。サーモカメラで撮影画像の温度上昇をグラフ化しメール配信するもので、早期の検知が可能。自然発火の恐れがある施設の火災対策のほか害獣監視にも活用できる。

ブースでは新製品のLED照明付き防犯カメラ「街ほたる」も展示する。