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高知警協 高知市と協定締結2024.04.21

物資配送拠点で交通誘導

高知県警備業協会(国安秀昭会長)は3月6日、高知市(桑名龍吾市長)と「大規模災害時における交通誘導警備業務に関する協定」を締結した。南海トラフ地震などの災害時、発生から一定の期間が経過した後に警備員が支援物資貯蔵施設などを行き交う車両の交通誘導警備を有償で行う。

主な内容は▽物資配送拠点周辺における交通誘導警備業務▽災害廃棄物の仮置き場周辺における交通誘導警備業務――などで、費用の算出は「災害発生直前の適正な価格を基準として協議する」と盛り込まれた。

昨年9月に同市防災対策部の担当者から「市は災害時の物資配送拠点などでの警備で協定を結びたいと考えている」との申し出があった。協会は県との間で災害時協定を1996年12月に締結していたが、これは発災直後の緊急交通路確保に関する警備支援となっていた。今回、市との協定では、発災後、復旧に向かう時期に警備を行うものとして協議を重ねた。

市役所内で行われた締結式に協会から国安会長、藤﨑輝則副会長(西日本警備保障)、谷本秀一災害対策委員長(横田商事)、鈴木幸盛専務理事、協会顧問で高知市議の横山公大氏が出席した。

国安会長は、あいさつの中で「警備業は発災時に、安全を確保し状況を確認して『動ける状況の人が動く』ことが大切だと思う。交通誘導のプロとして培った経験を基に応援物資の輸送や廃棄物の輸送をスムーズに行えるよう取り組んでいきたい」と述べた。

広島綜合警備保障 東広島市と協定結ぶ2024.04.21

避難所巡回、ドローン活用

広島綜合警備保障(広島市安佐南区、山田積代表取締役社長)は3月26日、東広島市(髙垣廣德市長)と「災害時における地域安全の確保に係る警備業務等の実施に関する協定」を締結した。同市内で災害が発生した際に、避難所の巡回など実効性のある警備業務を有償で行って地域の安全確保につなげることを目的としている。

主な内容は▽避難所における巡回警備と運営支援▽自家用車専用避難場所における避難車両の警戒誘導と救援物資提供支援▽ドローンを活用した被災状況等の画像または動画の提供――などだ。

同社は、2022年8月に同市で開催された総合防災訓練の中で「避難所の遠隔開錠実験」として、オンラインのセキュリティーサービス「ALSOK―G7」の遠隔操作機能を活用。市職員がスマートフォンを使って避難施設の鍵保管箱を開けたシステムなどが評価され協定につながった。

締結式で、髙垣市長は「協定締結は安心安全な市民生活の実現につながる」とあいさつした。

山田社長は「警備会社として避難所で犯罪が起きないようにフォローすることができると思う。迅速に対応できるよう全力で取り組んでいきます」と述べた。

同社は、災害時の安全・安心に向けて他の自治体にも協定の締結やシステムの提案を進めていくとしている。

CSP 新社長に市川氏2024.04.21

澤本氏は会長に

セントラル警備保障(CSP・東京都新宿区)の代表取締役執行役員社長・澤本尚志氏は5月30日付で退任し、後任に取締役執行役員副社長の市川東太郎氏が就任する。澤本氏は取締役会長に就任する。

4月12日の同社取締役会で決議し、5月30日開催予定の定時株主総会を経て正式決定する。市川氏はJR東日本の副社長を経て2023年からCSP副社長を務めている。

市川東太郎(いちかわ・とうたろう) 59歳。群馬県出身。1988年、早稲田大学理工学部を卒業し、東日本旅客鉄道入社。2017年、同社執行役員鉄道事業本部運輸車両部長。18年、常務執行役員。21年、代表取締役副社長・社長補佐、鉄道事業本部長、安全統括管理者。23年、CSP取締役執行役員・副社長。

特集ワイド 「職場熱中症」防ごう2024.04.21

警備業、5年で417人死傷

職場での熱中症予防を呼び掛ける「クールワークキャンペーン」が今年も5月1日にスタートする。厚生労働省、中央労働災害防止協会(中災防)や全国警備業協会などが主唱し、9月30日までキャンペーンを展開する。警備業は熱中症の「多発業種」。過去5年間の死傷者数(死亡と休業4日以上の合計)は417人にのぼり、うち死者は16人。対策の徹底が求められている。

猛暑だった2023年の「職場熱中症」の死傷者数は1045人。前年比218人増となり、5年ぶりに1000人を超えた。過去10年では18年(1178人)に次ぐ数となった。

業種別では製造業が220人で最も多く、建設業(202人)、運送業(137人)、商業、(118人)、警備業(103人)が続いた。

死傷者数を月別でみると、7月と8月で全体の8割を占めている。時間帯は午前11時台、午前9時前、午後3時台の順に多い。年齢別では65歳以上が最多となり、次いで50〜54歳、55〜59歳だった。

一方、死亡者数は前年比2人減の28人。業種別では建設業が11人で最も多く、次いで製造業、警備業、農業が各4人だった。警備業では、工事現場で交通誘導警備業務に携わっていた警備員らが亡くなった。

死亡災害では、その多くで暑さ指数(WBGT)を把握していなかった。熱中症発症時、緊急時の措置の確認・周知や労働者への予防教育を行っていなかったケースも少なくない。発症に影響を及ぼすおそれのある疾病(糖尿病、高血圧など)を有した事例もみられた。

こうしたことを踏まえ今年のクールワークキャンペーンでは、暑さ指数の把握や作業現場におけるソフト、ハード両面の対策などを呼び掛ける。

暑さ指数は熱中症発症リスクの目安を示したもので、気温、湿度、輻射熱が構成要素。31度以上が「危険」、28〜31度が「厳重警戒」、25〜28度が「警戒」となっている。

交通誘導警備など、構成要素が変化しやすい屋外の現場では、日本産業規格に適合した指数計で測定し、こまめに確認することが必要。数値に応じ、作業を中止したり、単独作業を控えたり、休憩時間を長めに設定したりすることが求められる。

作業現場には休憩場所を設置。体を冷やすことができるおしぼりやシャワーなどを備えるとともに、水分・塩分を随時補給できるようにしておく。主唱者は補給状況について、表を作って管理することを一例として示している。

熱中症対策には、作業開始前に体内の深部体温を下げ、作業中の体温上昇を抑える「プレクーリング」もある。方法は▽体の表面を冷却する▽冷水やアイススラリー(流動性の氷状飲料)などを摂取して体内から冷却する――の二つ。

腕に着ける情報端末など、体調の変化をリアルタイムに、客観的に判断することができるデジタルツールの活用も有効な対策だ。

現場の管理者が作業開始前に、朝食の摂取、睡眠時間、前日の飲酒量を労働者に聞き取るとともに、作業中の巡視を徹底することも重要となる。

中災防はホームページ内の特設サイトで熱中症予防の図書、掲示物などを紹介。またリーフレットを作成し、熱中症の危険サインや現場での応急処置などをまとめている。

中災防 熱中症対策ウォッチ

中央労働災害防止協会(中災防・東京都港区、十倉雅和会長)は、熱中症になる前に音と光で知らせる「熱中症対策ウォッチカナリアPlus(プラス)」を4月に販売開始した。

「カナリア」は腕時計型のデバイスで、手首に巻いて電源ボタンを押すだけ。深部体温の上昇を検知するとアラームが鳴り、LED表示が緑から赤に変化することで熱中症リスクを知らせ、水分・塩分補給や涼しい場所での休息を促す。

2023年4月に発売し、完売した機種をバージョンアップ。製品名に「Plus」を付けた。バイブレーションでリスクを知らせる機能を追加したほか、LED表示を表面と側面の2か所に増やし、点滅間隔を従来の半分の「15秒に1回」に。また、バンドをシリコン製に変更、洗浄を容易にした。

バッテリー寿命はワンシーズン(5か月)に伸び、充電する手間はかからない。

大きさは高さ13ミリ×幅43ミリ×奥行43ミリ、重さは20グラム。IP67の防塵防水性能を完備。税込み5940円。

▽問い合わせ先 中災防 ☎03―3452―6844

23年警備業 主な死亡事例

▽6月(気温27.0度、暑さ指数26.3度) 80代男性は屋外の工事現場で警備業務に従事していた。途中で20分の休憩を取り、現場に戻ったところ、ふらついて後方に倒れた。意識があり、日陰で1時間の休憩後、タクシーで病院へ行ったが、死亡した。

▽7月(気温31.7度、暑さ指数不明) 50代男性は道路改良工事現場で警備業務に従事。待機中に突然地面に倒れこんだ。水分補給をしていたが意識を失い、搬送先の病院で死亡した。

▽9月(気温31.8度、暑さ指数29.3度) 60代男性は道路拡幅工事の現場で適宜休憩を取り、交通誘導警備業務に従事していたが、向かった休憩所の近くで倒れている姿で発見。病院に搬送されたが、死亡した。