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クローズUP

総会2020.6.21

山形警協

県議会に働き掛ける

総会は新型コロナを受け、“書面決議”で行われた。

連山富藏会長(ALSOK山形)が退任、我妻壽一氏(山形警備保障)が新会長に就任した。

我妻新会長は(1)青年部の育成と支援強化(2)「山形県警備業の更なる発展を応援する山形県議員連盟」への警備業の実態説明と要望事項の働き掛け――などを、会員の意見を聴きながら具体的に取り組んでいくことを書面で表明した。

熊本警協

健全な発展を推進

西恭介会長(ALSOK熊本)が退任し、西利英氏(旭警備保障)が新会長に就任した。

西恭介会長は「緊急事態宣言が出された中でも、警備員はあらゆる現場で社会の安定の一翼を担った。警備業は『生活安全産業』としてなくてはならない業種となっている」と述べた。

西利英新会長は「微力ながら警備業の健全な発展を推進すべく、誠心誠意努力する所存です」と語った。

特集ワイド 労災防ぐ安全教育2020.6.21

警備業の労働災害はこの5年では増加傾向にある。死亡事故も絶えない。労災を防ぐためには警備員自身が注意することはもちろんのこと、雇用する企業のしっかりとした安全衛生教育が必要である。業界団体は教育に役立ててもらおうとマニュアルや小冊子を作成している。それらの要点に共通するのは、実際にあった事故を題材に労働者に安全への理解を深めてもらうという点だ。 

「未熟練者」の考える力養う

全国警備業協会(中山泰男会長)の調査によると警備業の労働災害は勤続年数3年未満の「未熟練労働者」で多く、全体の約3分の1を占めている。未熟練労働者の労災を防ぐため、厚生労働省と全警協は3月に「未熟練労働者の安全衛生教育マニュアル警備業編」を作成し、厚労省ホームページで公開を始めた。

マニュアルは警備会社へのヒアリングをもとに、経験の浅い警備員に対して安全衛生教育を行う際に配慮するべき内容などをまとめたもの。安全衛生教育担当者に対して、未熟練労働者は職場での作業に慣れていないため、まずは職場にはさまざまな危険があることを十分に理解させることが重要だと説明。教育の際には過去にどのような事故が起こったのかを紹介し、どこに問題があったのかを受講者同士で話し合うことで、防止策を考える力を養うことが重要だと指摘した。

教育時の注意点でまず挙げているのは、受講者の立場に立って教えるということだ。受講者に内容を理解して実践してもらうことを目標に掲げ、各人のレベルやペースに合わせて理解を確認しつつ講義を行うように提唱している。

例えば「きちんと」「ていねいに」などと言ってもその程度はなかなか伝わらないとして、「きちんと置く」のであれば「Aの場所に3段まで積み上げる」など具体的に指示するようにと行動を求めた。

教育は繰り返して行うことも重要だという。安全を確保するためにはノウハウを知っているだけでは不十分だからだ。安全衛生教育は新任教育時だけでなく現任教育時や巡察時などにも繰り返すことで、警備員が事故を防ぐための行動を自然と行えるようになることが大切だと訴えた。

マニュアルのほかに受講者向けに安全のポイントをわかりやすくまとめた資料も作成した。厚労省ホームページからダウンロードできる。パワーポイント形式でダウンロードして、講義の際にスライド投影することも可能だ。

重点絞って対策を説明

各地の警備業協会も安全衛生教育に力を入れている。埼玉県警備業協会(山﨑守会長)は2018年から毎年、県内における警備員の労働災害の発生状況と、それらの労災はどのようにすれば防ぐことができるのかをまとめた小冊子「警備員の労働災害防止のために」を作成している。

労災の発生件数や内容の元資料となるのは全警協に報告するために会員にアンケートを取っている「労災事故実態調査」と、埼玉警協が毎年秋に警備現場を訪問して行っている現場指導監督運動の報告書だ。

小冊子を作成する以前は労災件数や内容を文書にして会員企業に配布していたが、担当者が閲覧するだけで活用されていないことが多かった。警備員向けに冊子を作ることも考えたが、現場では持ち歩くことは難しい上に閲覧する時間もない。そこで教育時のテキストや資料として使えるように編集し、全会員に配布。内容を理解しやすいようにグラフやイラストを多用した。

最新版である19年度版の作成に当たっては、前年度の労災は「施設警備業務と交通誘導警備業務での件数が多い」や「高年齢者や経験年数の短い人で発生しやすい」「転倒事故が多い」といった特徴があったため、これらの点に重点を絞って防止のポイントを説明した。

全体に共通する事項としては現場訪問の結果、ポケットに手を入れたりヘルメットを着用していないなどの事例が多く見られた。そのため不意の危険から身を守るとともに素早く対応できるように、勤務姿勢等の指導をしっかり行うようにと解説を付記した。

施設警備業務では危険箇所の周知が大切だとして、段差など足元の危険については過去の事故事例を活用し、事故回避または予知ができるよう工夫した。巡回時の警戒では、懐中電灯や打刻時計、鍵を束ねるキーストラップなどの携行品が突起物などに引っかかって転倒事故を起こさせないようにとも注意している。

交通誘導警備業務では保安用資機材の設置および撤去について解説。資機材は通行する車両の進行方向から設置し、撤去する場合は進行方向の逆の地点から撤去させるようにと指摘した。

後進車両の誘導でも事故が多いため、事前に誘導方向について運転者と打ち合わせを行わせるようにと注意、運転者の死角に入らないようにするとともに、音声または警笛を使用して誘導させることがポイントだと呼び掛けた。

今秋発行の3巻目となる20年度版の小冊子について貫田晋次郎埼玉警協事務局長は、「新型コロナウイルスの感染予防策を取り上げようと考えています」と述べている。