警備保障タイムズ下層イメージ画像

クローズUP

関東地区 通常総会2018.4.21

島村会長が続投

関東地区警備業協会連合会(会長=島村宏・茨城警協会長)は4月12日、2018年度の「通常総会」をさいたま市内で開いた。茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨、長野、新潟、静岡の各警協の会長・専務理事、来賓として全国警備業協会の福島克臣専務理事と小澤祥一朗総務課長、関東管区警察局の広域調整部広域調整第一課の藤井雅弘課長が出席した。

議事内容は2017年度の事業報告・収支決算、2018年度の事業計画(案)・収支予算(案)それぞれの承認と、任期満了に伴う役員選任など。役員選任では、全ての理事・監事の再任と、島村会長と横倉健副会長(千葉会長)の続投が全会一致で承認された。

続投が決まった島村会長は、会長指名に対する謝辞を述べるとともに「これが最後の2年」と、今期限りでの会長退任を表明した。

また、東京五輪・パラリンピック大会について意見が交わされ、全警協・福島専務理事が大会警備についての現状などを説明した。各県会長からは警備員宿泊に要する経費、3日に設立した大会警備JVと全警協や各県警協との関係などついての疑問が寄せられた。島村会長は「五輪については今後、さまざまな情報が錯綜してくるだろう。関東地区全体で考える問題があれば、地区連でも対応していきたい」と述べ、情報共有を訴えた。

CSP 澤本氏、社長就任へ2018.4.21

鎌田社長は会長に

セントラル警備保障(CSP・東京都新宿区)は4月12日、澤本尚志・取締役執行役員副社長(61)を代表取締役執行役員社長とする人事を発表した。鎌田伸一郎社長は取締役会長に就任する。5月24日の同社定時株主総会で決議する。

澤本氏は京都府出身。1979年3月神戸大学工学部卒。同年4月に日本国有鉄道入社。1987年東日本旅客鉄道入社。執行役員鉄道事業本部電気ネットワーク部長、常務取締役鉄道事業本部副本部長などを経て2015年6月にJR東日本ビルテック代表取締役社長。2017年5月セントラル警備保障取締役、2017年6月から現職。東京都警備業協会前会長の白川保友氏は、取締役相談役を辞任する。

特集ワイド2018.4.21

警備JV 配置計画に全力

本紙は「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体(大会警備JV)」共同事務局長のセコム・杉本陽一執行役員とALSOK・村井豪取締役常務執行役員に、大会警備の課題や今後の計画について聞いた。JVは今後、山積する難題に全力で挑み、来夏までに競技会場ごとの警備員配置計画などを完成させる予定だ。

――警備員1万4000人・参加企業100社以上のオールジャパン体制が目標です。

杉本  5年前の五輪招致以来、1万4000人という数字がひとり歩きしてきましたが、実際に必要とされる人数は警備計画に基づいてどう運用するかで決まります。それに対して「大会警備JV」として何人配置できるかを早期に確定していくことが今後の課題となります。

参加企業100社以上という目標については、大会警備JVに参加いただく際の条件の一つ「10人の警備員を出せること」に関連しています。10人で一つのスクリーニングユニットを受け持つ構成で、なるべく多くの会社にご参加いただきたいとの考えを100社以上という言葉で表現させていただきました。

――各警備会社が人員計画を立てる上で重要な警備料金については?

村井  われわれ「大会警備JV」は大会組織委員会に対して受注者の立場であり、警備料金について早く決めてもらえるよう申し入れていくつもりです。それによって大会前のお客さまからの警備員の依頼について、上手な調整をとることができるからです。ただ発注までには、警備計画や制服の決定、宿泊施設の問題などいくつかのステップがあり、それらをクリアにする必要があります。われわれは遅くとも大会の1年前までには詳細の契約を締結し発注に結びつけたいと考えています。4月3日に締結した「覚書」を皮切りに、今年の夏に大会組織委員会と大会警備JVとの間で基本契約を締結し、警備計画を策定した上で大会の1年前の来年夏までには、競技会場ごとの配置計画まで完成させたいと思っています。

――女性警備員の確保は大きな課題になりそうです。

村井  例えばイスラム教徒の女性には親族以外の男性が触れることができない宗教上の規定があります。そこで女性警備員が手荷物検査やボディーチェックを行う「女性専用レーン」を設ける必要がありますが、現在警備業に携わっている女性だけでは不足する懸念があります。実際に警備計画を策定する中で不足する人数を割り出し、対策を検討することになります。東京都警備業協会の女性部会を通じて女性警備員を集め、教育を担当してもらうことも案として考えています。大会期間中は空港の警備も強化されて女性警備員配置の必要性が出てくるので、調整が必要になります。

――女性警備員が不足した場合、女性ボランティアの活用は考えていますか。

杉本  先日、平昌五輪を視察してきましたが、会場では大勢の女性がボランティア、警備員を問わず活躍していました。東京2020では、大会ボランティアと都市ボランティアがあり、大会ボランティアの職務として「セキュリティチェックサポート」ということも挙げられています。警備は当然、警備員が担当することとなりますが、その上でボランティアとどう協働していくかが課題となります。東京2020を契機に、より多くの女性が警備業に関心を持ち、仕事として選択していただければ、と期待しています。

――自社以外の指揮者から指揮命令を受けて警備を行うことは、警備業法で禁止されています。そこはどのようにクリアしますか。

杉本  大会警備JVによる警備でも当然、コンプライアンスの遵守が鉄則です。とはいえ包括的で機動的な警備運用を行う必要がありますので、大会警備JVによる大会警備の運用を決めていく中で大会組織委員会や関係者の皆さまとベストな方法を協議していきたいと思っています。

村井  基本的な考えは「あくまで現状の枠組みの中で警備を行う」ということです。例えば、警備するエリアごとに警備会社を変えたり、大きな警備計画を組む場合には警備員を大勢準備できる会社に任せるなど、配置を工夫することになります。

また組織委員会は、競技会場など各施設に「指揮所」を設置し責任者を配置します。組織委員会は警備に関する指示はできませんが、発注者として依頼することは可能ですので、その依頼を警備隊の責任者が受けて指揮をとる流れはあり得ます。

――遠隔地から集まった警備員の宿泊施設確保については?

村井  設立した大会警備JVは1都3県の競技会場の警備について包括的に受注するということから、最初のステップでは1都3県の警備会社に絞って参加を募ることを予定しており、その場合は宿泊者は一部に限定されると予想しています。もし1都3県の募集だけでは警備員数が十分確保できなかった場合は次のステップに進み、全国から警備員を集めることになります。そのとき初めて宿泊が問題となり、警備員の宿泊費を誰が負担するのか、宿泊場所まで確保する必要があるかなどの課題が出てきます。現在はまだ募集が始まる段階ですから、宿泊については今後検討することになります。

杉本  警備員の宿泊費についてはまず「どこが負担するのか、どのように負担するのか」という問題もあり、それは大会組織委員会の予算組みと合わせて検討する必要があります。本件についても大会警備JVへの参加状況を勘案しながら、大会警備JVと組織委員会の間で協議を進めたいと思っています。

――警備服はJVで統一するのでしょうか。

杉本  大会組織委員会は制服を統一する意向と聞いています。IOCは「クリーンべニュー」というルールを規定していて、競技会場での商業的な活動は一切禁じられています。そのため大会警備JVの警備員は全員、大会用の制服を着用する必要があります。ただ帽子や靴などどこまで揃えるかといった詳細については現在組織委員会で検討しているところです。制服などを着用する側として大会警備JVとしても意見の申し入れてまいります。

――最寄り駅から競技場までの「ラストマイル」の警備はJVが担当するのでしょうか。

杉本  大会警備JVは1都3県の大会競技会場・非競技会場の警備を業務範囲としていますがラストマイルについてははっきり決まっていません。またその予算については組織委員会と東京都の役割分担の話になります。

――聖火リレーについては?

村井  セコムとALSOKの2社が、大会の「セキュリティサービス &プランニング」のカテゴリーでオフィシャルスポンサーになりましたが、そこに聖火リレーは含まれていません。

――大会警備に向けた警備員教育はインターネットを利用した学習形態「e―ラーニング」で行うとのことですが。

村井  大会警備JVがe―ラーニングを導入することは、大会後のことを考えると過剰な投資となる懸念があり、現実的とはいえません。全国警備業協会ではe―ラーニングの導入を検討していると聞いております。それを東京2020の教育用に活用することもでき、その先の各種研修でも使用できることから、業界のレガシーになると思っております。

杉本  東京オリンピック・パラリンピックに必要な専門的な知識や技能についてはこれから考えますが、手法については全国警備業協会が検討しているe―ラーニングのプラットフォームが利用できればよい結果につながると思います。

――今後、JVはどういう活動を予定していますか。

村井  「警備保障タイムズ」をはじめとした媒体に記事掲載してもらうとともに、大会警備JV専用サイトのURLを掲載し情報を逐次伝えていくことが有効と思われます。4月と5月に1都3県の各警備業協会で説明会を開き、JV発足の報告をいたします。第1弾として4月18日、東京都警備業協会の「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に伴う東京都警備業協会対策委員会」で報告いたしました。

杉本  5月から7月にかけては、協会加盟会社だけでなく非加盟の会社も参加できる合同説明会を予定していて、加入要項についての詳しい説明を行います。「東京2020の大会警備JVに参加した」という実績は、警備会社にとって大きなレガシーになると思われます。警備料金の課題がクリアになれば、多くの皆さまに参加いただけることを心より願っております。