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クローズUP

セコム、義援金・AEDを提供2018.8.01

健康管理、地域見守りも

セコム(東京都渋谷区、中山泰男社長)は「平成30年7月豪雨」被災地に義援金を支援、合わせてAED(自動体外式除細動器)を提供した。義援金は総額1000万円で、岡山県と広島県、愛媛県にそれぞれ300万円。日本赤十字社にそのほかの被災地用として100万円を提供した。

広島県には中山泰男社長が7月18日、知事室で湯崎英彦知事に目録を直接手渡した。

AEDの提供は、2016年12月に始動した広域災害発生時の被災地支援を行う「セコム災害支援プロジェクト」の一環。災害派遣医療チーム(DMAT)を通じて、避難所の救急時の備えとして60台を提供した。

「平成30年7月豪雨」では今後も、行政や災害ボランティア団体と連携しながら、被災者の健康管理や被災地域の見守りなど、セコムならではの安全・安心につながる支援を検討している。

同社はこれまで被災地支援として1995年の阪神・淡路大震災被災地に義援金1億円、2011年に東日本大震災被災地へマスクと手指消毒剤を合計約10億円分、16年熊本地震被災地にAED26台、17年九州北部豪雨被災地には避難所にダイヤル式ロッカーを提供した。

人手不足、改善へ2018.8.01

近畿地区連が定時総会

近畿地区警備業協会連合会(若林清会長=大阪警協会長)は7月24日、和歌山市で2018年度の定時総会を開催した。2府6県協会の会長と副会長、専務理事が出席。全警協から佐藤和博常務理事と小澤祥一朗総務部次長が参加した。

総会に先立ち、岡山県総社市で業務中に亡くなった警備員2人の冥福を祈り、全員で黙祷を捧げた。

若林会長はあいさつで、平成30年7月豪雨と6月に発生した大阪北部地震を振り返り、「安全産業に携わる警備業協会は、大規模災害発生時に何か支援することがないか常々考えておく必要がある」と述べた。

6月に成立した働き方改革関連法案については「残業時間の上限規制や有給休暇、残業に対する割増し賃金など、今回の改正は働く者にとっては労働環境が改善され歓迎されるものだが、経営者にとっては厳しい制限が設けられた。しかし、人手不足問題改善のためにも取り組むべきだ」と呼び掛けた。

各協会の専務理事は、課題とその取り組み状況を報告。全警協・小澤総務部次長は、「警備業における適正取引に向けた自主行動計画」についてダイジェスト版の資料を配布し解説した。

佐藤常務理事は同自主行動計画について、各地区連主催によるブロック研修会の開催を要請した。同研修会は、中小企業庁担当者と全警協業務適正化小委員会委員が講師となり、県協会のリーダーに向けて自主行動計画の周知啓発を図ることが目的。各県3人までの参加者の交通費、講師の費用一式、研修会運営費の一部を全警協が補助する。

26円増の874円に2018.8.01

2018年度の最低賃金

中央最低賃金審議会(会長=仁田道夫東京大学名誉教授)は7月26日、加藤勝信厚生労働相に2018年度の「地域別最低賃金額改定の目安」を答申した。

全国平均の引上げ額は対前年度比1円アップの26円。目安どおりに引き上げられれば全国平均の最低賃金額(時間給)は874円となり、最低賃金が時間給で決まるようになった2002年度以降で最高額となる。新たな最賃額は今後、地方最低賃金審議会での議論を経て、今秋にも発効する。

引上げ額の目安は、全国をA〜Dの4ランクに分けて示され、全ランクで前年度に比べて1円アップした。各ランクの地域と引上げ額の目安は次の通り。

▽Aランク(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪)=27円。

▽Bランク(茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島)=26円。

▽Cランク(北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡)=25円。

▽Dランク(青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)=23円。

今回の検討は、同審議会の小委員会で6月26日からスタートした。計4回の委員会開催を経て報告書が取りまとめられたが、労使の意見は一致しなかった。

労働側委員は、800円以下の最賃をなくすことが急務と主張。その上で、Aランクについては、2020年には1000円への到達を求めた。さらに、「最賃の最高額で2000時間働いたとしても年収200万円に到達せず、憲法第25条や労働基準法第1条に照らしても低水準」と述べ、大幅な引き上げを求めた。

 一方、経営側委員は、中小企業の経営者は賃金支払い能力が乏しい中で、深刻な人手不足に対処するために実力以上の賃上げを強いられていると主張した。

特集ワイド スマホで警備報告2018.8.01

東芝デジタルソリューションズ(川崎市、錦織弘信取締役社長)が6月に発売した「RECAIUS フィールドボイス インカムExpress」が注目されている。スマートフォンを使って無線機と同様に警備員が話した内容を他の警備員に音声配信するアプリで、話した内容が音声だけでなくテキストに変換されて一緒に配信される点が特徴だ。その詳細を紹介する。

この製品は、東芝が長年培ってきた音声認識技術を用い、警備報告など発話内容を音声とテキストの形式でリアルタイムに配信、現場のコミュニケーションロスを防ぎ業務改善や効率化に貢献するスマホアプリだ。

使用方法は、インカム(相互通信式構内電話)やトランシーバーなど無線機と同じで、スマホに接続したマイクに向かって話すと他のスマホに音声が配信される。発話した内容は可視化したテキストと、生の音声で記録される。

警備業務で実証実験

同社では、従来は無線機を使用していた警備員に同アプリを使用してもらい、導入効果を検証する実証実験を今年3月から行っている。「業務に耐え得るか」と「従来の無線機との比較」について検証し、支障がないことがわかった。また無線機で電波が届きにくいエリアがあっても問題なく利用できるなど、スマホの利点も確認できた。

具体的な現場の意見としては、(1)「言った、言わない」のトラブルがなくなった(2)音質がよく聞き取りやすい(3)誰が、いつ、何を言ったかの記録は業務精度向上につながる(4)相手に分かりやすく話すようになった(5)軽量で負担が少ない(6)アンテナがなく持ちやすい(7)操作が簡単――など好評で、警備業務の効率化につながっている。

警備の現場では、作業に集中して指示を聞き漏らしたり、ノイズで聞こえづらいなどの理由から内容を聞き直す余計なやりとりや、後で聞きなおそうと思って忘れてしまうコミュニケーションロスが発生している。同アプリは、テキストや記録された音声で各自がリアルタイムに確認できるため、受信者と発信者の両方にメリットがある。

精度の高い日報に

メリットは他にもある。イベント会場の警備でトラブルが発生した場合、これまでは、インカムで連携しトラブルを解消した後、報告書は記憶をたどって作成していた。しかし、同アプリを利用すれば「誰が、いつ、何を話したか」の記録をもとに、精度の高い警備日報など報告書の作成ができる。

また、現場の警備員だけなく管理者にとっても便利な機能がある。管理者はPCで発話内容を確認することができ、常時音声を聞いていなくても定期的に警備員同士の連絡のやり取りが成立しているか、欠落がないかをテキストで確認することができる。管理者にとっても負担軽減につながる。

発話内容は蓄積されていくため、分析にも活用できる。時間や内容、発話者から傾向をつかみ、警備業務の改善に向けたさまざまな分析にも取り組める。警備業における特有の専門用語や固有名詞などがあるが、同アプリでは、一般用語以外の語句についてはユーザー側で辞書登録をする機能があり、認識率を向上させることができる。

アラームを言葉で

同アプリは、人と人のコミュニケーションだけでなく、IoT機器との連携も実現している。例えば、立ち入り禁止エリアに人の接近や存在を検知する「人感センサー」を設置し、信号をクラウドにあげて、同アプリに人工的に人の音声を作り出す「音声合成」とテキストで配信することも可能だ。これまでは、管制室にアラームが発報され、人がインカムで連絡をとっていたが、管制室を経由せず警備員へ「どこで何が発生したか」を言葉で即座に知らせることができ、対応の迅速化と業務の効率化を図る機能といえる。