クローズUP
2018 トップメッセージ2018.1.1
社会的な使命と責任果たす
全国警備業協会 会長 青山幸恭
全国警備業協会は昨年、警察庁をはじめ関係省庁、関係業界各位のご支援、ご協力をいただきながら重要施策に取り組みました。
第一は、深刻な人手不足に対応すべく、警備業をめぐる現下の諸問題に検討を加えた基本問題諮問委員会最終報告書の取りまとめです。一昨年5月、各分野の現場の代表や学者等を中心に警備業の目指すべき将来像を展望するための基本問題諮問委員会を設置し、その調査部会の下で人手不足への対応方針を主たる内容とする最終報告書を取りまとめました。
本年は、この最終報告書で提言されている警備員憲章の制定、経営指針、警備員の処遇改善等の各種施策を実施します。
第二は、警備業者の経営基盤強化への取り組みです。社会保険未加入問題については、期限とされた昨年3月末には取りあえず業界としての姿勢を示しましたが、社会保険加入促進の更なる取り組みの一環として、警察庁と当協会の連名によるポスターやチラシを作成し、各加盟員のみならず各都道府県警察本部にも送付しました。この問題を解決するためには警備料金自体の適正化による経営基盤の強化が不可欠であり、とりわけ官公庁関係が指標となっていることから、安倍内閣総理大臣をはじめ関係省庁等に対し、公共工事、官庁営繕など官公庁関係の警備業務に関わる国や地方の予算編成や執行・入札においては1号警備、2号警備について警備業の実態を十分に配慮するよう求めました。本年も昨年と同様に、かかる要請等を粘り強く行っていきます。
第三は、警備業の国際化への対応の一環として、我が国では初めての警備業のアジア大会となる「第24回APSA国際会議広島大会」を開催したことです。今後も、インバウンド観光客の増加等に対応して更なる国際化に向けて邁進していくことが肝要であるとの認識の下、2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、各種課題に鋭意取り組んでいきます。
第四に、警備業が直面する課題としては、犯罪抑止と事故防止という基本的な使命を果たすべく、首都直下型地震、南海トラフ地震、東海地震等の発生を視野に入れた防災・減災へのリスク軽減の取り組み、労働災害防止対策の推進等多くを抱えています。これらの課題につきましても各都道府県警備業協会と一体となり取り組んでいきます。
当協会では、警備業が生活安全産業として、より一層社会的な使命と責任を果たすべく、本年も皆様方のご理解とご支援を賜りながら発信力を高めて対外発信に努めるとともに、一歩一歩着実に前進して課題の解決に努め、各方面のご期待に応えていきます。
官民連携を強化
警察庁生活安全局 局長 山下史雄
警備業務を通じて、皆様には、平素から安全で安心して暮らせる社会の実現に向け、日夜たゆまぬ御努力を続けられていることに対し、心から敬意を表します。
現下の治安情勢は、官民を挙げて犯罪抑止に向けた各種活動に取り組んだ結果、刑法犯認知件数は平成14年をピークに減少していますが、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺の認知件数が増加したほか、サイバー空間における脅威が深刻化するなど、依然として予断を許さない状況です。
警備業は、生活安全産業として国民生活に不可欠な存在となっており、全国の約54万人の警備員の方々が、その業務を通じて犯罪抑止に寄与されています。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会においても、その円滑で安全な運営の一翼を担うこととなる警備業に対する期待が一層高まっています。
警察では、東京2020大会に向けて、地域の皆様が安全・安心を実感できるよう、官民連携を一層強化して、各種対策を推進してまいりますので、今後も御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
警備業界では、人手不足等の問題を抱える中、取引条件の改善や賃金引き上げなどに向けた取り組みが行われているところですが、こうした取り組みは、警備業務の実施の適正を図るためにも重要なものです。
警備業者の皆様方には、警備業の健全な発展のため、警備員の処遇の向上にも積極的に取り組まれますようお願い申し上げます。
安心して働ける環境整備
警備業の更なる発展を応援する議員連盟
会長 竹本直一(衆議院議員)
新年のお慶びを申し上げますとともに警備業の現状に鑑み、中期的な展望に立ち、将来の警備業のあるべき姿、また、誇り持って未来に向けて発展する警備業を創造するためにも、私なりの決意を述べさせていただきます。
警備業の今日における状況は、深刻な人材不足に喘いでいます。
2020年東京オリンピック・パラリンピックまでの間においては、公共事業などの増加に伴い警備料金が高騰し、一時的な好況感は生じるでしょう。しかし、実態としては、警備員の過半以上を65歳以上の高齢者が占めている状況の中、人材が資本である警備業にとっては、未来において事業を継続していくための不安は拭いきれない状況だと思います。
特に若年層及び女性の警備業における就業率の低下には驚かされるものがあり、今後、警備業を産業として発展させていくためには、多様な働き方により、男女ともに若者から高齢者までが充実して働ける労働環境を整備していく必要があります。
若者に対しては、福利厚生はもとより、警備業という仕事に充実を得ることのできるやりがい、高齢者に対しては、人生100年といわれる長寿社会の中、安心して働ける環境の整備が急務です。
我々と致しましては、警備業においても働き方の多様性に取り組むことにより、もっと多くの人が警備業界において活躍できるのではないかと考えます。
そのためには、業界と一致団結し、業界発展へ向けた制度の浸透、拡充のための活動をより活発化し、未来に向かってより良い警備業界つくりのお手伝いをさせていただければと思っています。
いよいよ、東京オリンピック・パラリンピックまで2年となりました。本大会では、警備業の活躍こそが、成功の条件だと考えます。まだまだ警備業に関する課題は山積していますが、早急に解決の道筋をつけ、必ずや皆様とともに成功に収める所存です。
社会の求める「安全・安心」を
セコム 創業者・取締役最高顧問 飯田 亮
いま、世界情勢は不透明で混沌としている。ここ数年、ヨーロッパやアメリカなどで相次いでいるテロ事件や、一段と脅威となっている北朝鮮問題、アメリカのエルサレムのイスラエル首都認定で不安定化が増した中東問題など、世界は先を見通せない“荒波の時代”を迎えている。
特に近年、情報通信分野の技術の進展は著しいが、サイバー犯罪の国際的な脅威の拡大は留まることを知らない。当然、サイバー犯罪を阻止するサイバーセキュリティー対策は格段と強化されないと、健全な社会の発展はおぼつかない。
サイバー犯罪を例に出したが、国内では物理的な犯罪件数は減っているものの、大規模スポーツイベントや国際会議、多くの観光客が来日する中で、人が多数集まる施設や広場、行楽地はテロをはじめとした犯罪への備えは欠かせない。
また日本は世界でも有数の災害大国であり、大災害を軽減するような防災対策が不可欠である。さらに世界で最も高齢化が早く進んでいる日本の社会は、医療・介護・予防のサービスの充実が喫緊の課題である。
社会を取り巻く脅威は枚挙にいとまがないが、社会やお客さまの求める「安全・安心」のハードルは一段と高まった感がある。
まず、われわれが「社会システム産業」の構築を加速するため、昨年5月に「セコムグループ2030年ビジョン」を制定し、新しい飛躍の時代へのスタートを切ったところである。これからの成長・発展に向けて、セコムグループの総力を挙げて、「あんしんプラットフォーム」の構想実現に取り組んでほしい。
変革へ、直ちに行動
ALSOK 代表取締役会長 村井 温
世の中の変化が激しいこと、それに速やかに対応しなければ取り残されること、これは企業の経営者なら皆十分承知していることです。
すなわち、既に少子高齢化と景気の回復により、各産業とも人手不足が深刻化しており、今後も緩和される見込みがないこと、AIやIoT、ICT等の進化の速度は目まぐるしく、1年前の知識や技術等は直ぐに陳腐化して時代遅れになること、特にサイバー関係の技術の発展は凄まじく、ビットコインなど仮想の通貨が実際の金融にも影響を及ぼすようになること等々で、この種の評論や解説書は街に溢れています。
各業界とも、これらの変化が現在の自分達のビジネスモデルに大きな変化をもたらすことは当然と受け止めています。
となると、経営者としてやらねばならないことは、直ちに立ち上がり、速やかに時代に適合した(と自分で信じる)方向へ思い切って舵を切ることです。「よく見極めてから」などと言って小田原評定を重ねていると、戦いでは必ず負けます。日本陸軍の作戦要務令には、「為さざると遅疑するとは指揮官の最も戒むべき所とす」とあります。
一時、「茹でガエル」という言葉が流行りましたが、本当はカエルは直ぐに飛び出すそうでして、それよりは、決断できない経営者には「熱いトタン屋根の猫」の方が相応しいかもしれません。
いずれにせよ、どうしようもなくなり、やおら動き出すのでは手遅れです。「本降りになって駆け出す雨宿り」とならぬよう、直ちに行動を起こすべきです。
時代に乗り遅れない
セントラル警備保障 代表取締役執行役員社長 鎌田伸一郎
日本経済は、緩やかな回復の兆しが見えつつも、国際情勢の不安定さが懸念されるなど、依然として先行きは不透明な状況です。
そのような中、「働き方改革」が提唱され、長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスなどは、警備業界でも喫緊の課題です。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて警備需要が高まる一方、警備業界では慢性的な人材(人手)不足の深刻化が続いています。当社を含め警備業界挙げて「人員の確保」に、一層の取り組みが必要となり、生産性向上が求められています。
セントラル警備保障は2017年3月より、4か年の中期経営計画「CSPパワフル2020」がスタートしました。技術とサービス力で戦うことをより鮮明にし、特に技術においては2つの分野が極めて重要だと考えています。ひとつは、“IoT、画像、ネットワーク、人工知能(AI)”を活用した今の警備ビジネスモデルの徹底的なイノベーションです。もうひとつはロボットです。警備の仕事は、最終的には人による対応が重要ですが、ロボット技術で人でなくても十分に対応できる領域、その可能性が急速に広がっています。CSPグループは、技術の変革、変化が起きるこの時代に乗り遅れることがないよう、この分野の研究、勉強に力を入れ、トップランナーを目指します。
自ら解決する力、高まった
全日警 代表取締役社長 片岡由文
昨年は「全日警創業ポスト50周年」のスタートの年で、全社挙げて積極的な営業推進と良質な警備サービス提供を目標にしてまいりました。その結果、売上高は新記録を達成しましたが、残念ながら利益の伸びが売上に併進することはできませんでした。
一方で、お客さまからは当社の警備に対し、お褒めの言葉や、高い評価をいただいた現場も多数ありました。
これは、皆さんが日頃から警備の品質向上に「謹厳実直」に取り組んできた結果であり、自ら問題を発見し、自ら解決する力を、教育・研修・巡察等を通じて高めてきたことの賜物です。
当社は、5000人以上の社員が警備の現場で日夜頑張っています。人材が財産です。
社員が、共通の価値観で結ばれ、個々人のパワーが最大限発揮できるよう、人材の育成と、明るく働きがいのある職場環境をつくりだすことを全社員の共通の認識として醸成してもらいたいと考えています。
挑戦する心を持って
セノン 代表取締役社長 小谷野宗靖
セノンが明治神宮野球場や東京ドームに掲げている「守りの名手」の看板。この看板の前で野球選手たちが見事なプレーで観客を魅了しています。そんな選手を翻弄させるのは小さな野球ボールです。選手はボールの動き、行く先に神経を研ぎ澄ませ、バットを振り、打球を追います。
当社も彼らのように小さな変化を見逃さず、先を読み、人々の安全と安心を守る「守りの名手」であり続けたい。そうあり続けるために昨年から掲げている「CHALLENGE FOR THE FUTURE」の言葉通り、あらゆる問題の解決に向け、当社は挑戦することを止めません。
深刻化する「人手不足」で、業界を問わず一人あたりの業務負担が増えている中、昨今では働き方改革の必要性が叫ばれています。当社は人手不足にあえぐのではなく、人工知能(AI)の活用にも視野を広げ、昨年の危機管理産業展で展示した「ビッグニプロン」「アイタウン」の実現に向けプロジェクトを進めます。
また、社員満足度向上の取り組みとして、昨年はスポーツフェスタや明治神宮野球場での冠試合を開催しました。そのほかに会社の思いや取り組みについて、社員に広く理解してもらうため、社員ポータルサイトを開設しました。当サイトを通じ、社員一同で働きやすい環境づくりを模索し、実現に向け取り組んでいきます。
野球もチームで行うように、会社も一つのチームです。一人ひとりポジションは違えど、皆で挑戦する心を持って、我々に投げかけられているボールに挑んでいきます。
業務の高付加価値化
トスネット 代表取締役社長 氏家仁
トスネットは、創業以来41年間、着実に業容を拡大し、現在1都1道18県に76の拠点を擁する企業集団となりました。
そこで一昨年、初の中期経営計画を策定しました。基本戦略は「警備業をコアとした新たなビジネスモデルの創造による業務の高付加価値化」の推進です。その一環としてAED及び培ってきたノウハウを活用した救急救命講習会開催という社会貢献活動にも積極的に取り組みました。一方で、弊社経営理念の漢詩の一節が示唆する「目先の利益にのみ捉われず、長期的視野を持って経営にあたるべし」を常に意識した活動も行ってきました。本年もさらに強力に両輪(計画推進と経営理念の実践)を回していきます。
自社のみならず警備業界全体の発展と社会的地位向上を遂げるため、業者間の切磋琢磨の一方で、警備業協会の施策への積極的な同調も持つべき経営スタンスの一つと捉え今年の経営に精励してまいります。
課題に挑戦〝東北魂〟
東北地区警備業協会連合会
(宮城警協会長、ゴリラガードギャランティ)千葉英明
「警備業界に新たな旋風を起こすのは東北から」との“合い言葉”の下、イノベーションを生み出すために信念を持ち活動を行い、広く東北の地に警備業の足場を築き広げてきました。こうした活動の傍ら、「人手不足」という大きなうねりが押し寄せてきました。
人材確保問題は、言わずもがな、適正な警備料金の確保による経営基盤の安定化と業界のイメージアップが解決の糸口です。
警備員の処遇改善、安定した収入と職場環境の整備に向け、東北地区が一丸となって英知を結集し、人を集める魅力ある業界へとまずは変貌しなければならないと鋭意努力しています。
東北地区連では、とりわけ警備業のイノベーションは人材育成と教育から生まれると、「人創り」に力を入れています。昨秋行われた会長等会議でも熱く検討を重ね、年度当初に予定されている会議は、検討時間の大幅な確保と従来にない進行要領により会議を充実させることとしています。
1964東京五輪を契機に、その存在を世に知らしめた警備業界。2020年東京オリンピック・パラリンピックはこうした業界の「未来への継承と発展」を合い言葉に直面する課題に真正面から挑み、私たちのレガシーとして未来に残す非常に重要な対応が求められます。魅力ある業界へ、社会から必要とされる産業であり続けるために、課題に果敢に挑戦し、本年も熱い“東北魂”を全国に発信すべく東北各県会長等も決意を新たにしています。
より質の高い警備へ
関東地区警備業協会連合会(茨城警協会長、日警) 島村宏
全国の約25パーセントの加盟員を擁する関東地区連内の県警備業協会では、安全安心な東京五輪・パラリンピック大会を目指し、開催に伴う施設をはじめとしたさまざまな警備業務に対応するため、対策協議会を立ち上げ、関係機関と協議を重ねています。まさに、国家の一大プロジェクトを成功に導くため、警備業界が果たすべき役割は極めて重要です。そのような中、現下の警備業界は「適正な警備料金の確保」「人手不足」「経営基盤の強化」の三つの大きな課題解消に向け、業界を挙げてあらゆる知恵を絞り、努力を続けています。
特に「適正警備料金の確保」は、他業種同様、慢性的な人手不足の中、警備員の労働環境の整備を図りつつ、一人でも多く優秀な人材を獲得し、ユーザーに目に見える形で、より質の高い安全安心というサービス提供に直結しています。
具体的には、交通誘導警備業務の料金は上昇傾向にあるものの、施設警備の労務単価が漸減しつつあるのが実情で、早急な改善が喫緊の問題です。まずは国交省はじめユーザーに、業界を挙げて施設警備業務の実態を理解してもらうことが必要です。同時にダンピング競争を絶対排除することも忘れてはなりません。
また、昨年6月突然、全国の警備業界が混乱に陥った「自家警備問題」は、私は通達を受け取った直後、この問題が業界に与える多大な影響を憂慮し、関係方面に大きく警鐘を鳴らしました。自家警備が安易に社会的に容認された場合、安全安心を提供する生活安全産業を根底から揺るがしかねない、極めて重大な事柄と考えたからです。各県の事情が異なり一概には論じられませんが、関東地区連としては、各県協会共通の理解として、生活安全産業として築き上げた「警備業」の誇りと信念をもって、より質の高い安全・安心の提供を目指します。
積極的に情報発信
中部地区警備業協会連合会(愛知警協会長、コアズ) 小塚喜城
日本経済の現状は、政府発表によると、有効求人倍率は高度経済成長期の水準に並ぶ1.5倍、失業率は2.8パーセント、最低賃金の5年連続の大幅な引き上げなどによる所得や消費の増加など、現在の景気回復期間は、昭和40年代のいざなぎ景気を超える可能性があると景気判断を示しています。
これに対して警備業界の現状は、警備料金は徐々に上昇しているものの警備員の給与水準、高齢化率、定着率など残念ながら他業界と比較して良好とはいえず、加えて慢性的な警備員不足問題に直面し、依然として厳しい経営環境にあります。
とりわけ労働集約産業の典型の警備業界にとって最大の経営資源である警備員の不足は、業の根幹に係わる深刻な問題です。
昨年、全警協の基本問題諮問委員会が、警備員不足対策を中心に最終報告書をとりまとめ、全警協、都道府県協会、各企業が各々行うべき具体的な推進事項を整理し、本年から諸対策を推進するとしています。
報告書記載のとおり、警備員不足の背景には警備員の賃金の低さ、厳しい労働環境、イメージの悪さ等が挙げられますが、職業に対するイメージは長年にわたりその業界で作られてきたもので、急激にイメージアップに直結する特効薬はありません。また、会社の規模の大小、あるいは特定の警備種別の分野が行えばいいというものでもなく、警備業に携わる会員各社が問題意識を共有し、まさに業界が一丸となって取り組まなければなりません。
警備業は誕生してから50有余年、この間、社会経済の高度成長期の需要に応じて発展してきた歴史があり、現在の経済好況期の流れに乗り遅れないよう、必要な情報を会員に積極的に発信するなど、業界発展に向けて、それぞれの立場で努力をしていきたいと考えています。
後継者育成が重要
中国地区警備業協会連合会(広島警協会長、ニットー) 橋本満
輝かしい新年を迎えましたが、警備員不足の問題は、中国地区でも交通誘導警備業務を中心に大変深刻な状況が続いています。東京オリンピック・パラリンピックを控え、一過性のものと願いたいのですが、東京周辺に多くの警備員が流出することで一層増幅されると懸念しています。また、これに端を発して、自家警備の問題も派生させています。当地区の山陰鳥取・島根両県では、県の工事で一定の条件の下で自家警備を容認する動きも出てきており、いずれ山陽3県への波及も十分考えられます。
この警備員不足問題は、警備料金上昇への絶好のチャンスと捉え、納得のいく料金確保により、経営基盤の強化と健全化を図ることが必要不可欠です。そして、警備員の賃金アップ、福利厚生の充実など勤務環境の改善を通じて、若い優秀な人材が集まる魅力ある業界の実現が必要です。
ここで重要なのが、若い人たちの力です。立派な組織であっても、後継者を適切に育成しなれば、組織の健全な継続は望めません。昨年、日本初の「第24回アジア太平洋警備業協会国際会議広島大会」が広島で開催されました。全警協を支援する中で私は、こうした視点に立ち青年部会員を中心に若い人たちに企画の段階から大会運営に参画してもらいました。
その結果、若い柔軟な意見や考えが計画に反映され、大会当日は、きびきびとした行動で円滑な大会運営のため奮闘していただき、成功裡に終えることができました。彼ら自身も運営に携わったことで、達成感や充実感を味わうことができ、非常に良い経験になったと思います。「後継者の育成」が組織の経営基盤の強化、健全化にとっても、極めて重要なキーワードであると再認識しました。
我が業界も誕生から半世紀余を経過し、中小規模のところでは、ここ数年で大きく世代交代が進んでいくと思います。今年の干支“戌年”は、「守りの年」といわれますが、後継者にタスキを渡せるように守備固めにも配慮し、大きなビジョンをもって地区5県協会が力を結集し、業界をもっと盛り上げていきたいと意を新たにしています。
警備業の労災保険料率2018.1.1
4月から引き下げ
厚生労働省は4月1日から警備業の労災保険料率を現行の1000分の7から1000分の6.5に引き下げる。
労災保険料率は、法律で「将来にわたり労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるよう、過去3年間の災害率などを考慮し、事業の種類ごとに厚生労働大臣が定める」とされ、3年ごとに改定。今回はその3年目に当たる。
改定で保険料率が引き上げられるのは3業種、据置きが31業種、引き下げられるのが警備業など20業種。全業種平均の労災保険料率は現行の1000分の4.7から1000分の4.5となる。
また、改定に合わせて現行の「職場意識改善助成金」を拡充する。
昨年、時間外労働の上限規制の導入を含む働き方改革関連法案が労働政策審議会に諮問、9月に「おおむね妥当」と答申され、近く開会する通常国会に法案提出が予定されている。しかし、経営基盤が脆弱な中小企業が、時間外労働の上限規制に円滑に移行するためには支援が必要なため、労災保険料を原資とする現行の「職場意識改善助成金」を「時間外労働等改善助成金」に名称変更するとともに、助成対象や内容を拡充する。