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クローズUP

「APSA」開催2017.9.21

広島に7か国が集う

第24回APSA(アジア太平洋警備業協会)国際会議広島大会」が9月13日から15日までの3日間、「グランドプリンスホテル広島」で開催された。日本での開催は初となった。

加盟13の国と地域から、インド、インドネシア、韓国、タイ、中国、マレーシア、日本の7か国が参加。APSA日本支部(全国警備業協会)からは青山幸恭会長、福島克臣専務理事、橋本満理事(広島警協会長)等が出席した。APSAインターナショナルのワロップ会長(タイ)をはじめ73人の警備業関係者、国内の都道府県警備業協会会長など約140人の合計220余人が参加した。

13日は「総会」が開かれ、日本支部4人と日本事務局5人、各国支部からの代表者を合わせ、合計42人が出席した。はじめに青山会長がホスト国を代表して歓迎挨拶、ワロップ会長が開会挨拶をした。

会議は、前回の議事録内容の確認と各支部の活動報告、会計報告のほか、規約の改定などについて議論を行った。最後に来年のホスト国であるタイ支部ワロップ会長へ、青山会長からAPSA旗を手渡すセレモニーが行われた。

翌14日は国際会議オープニングセレモニーでは安倍内閣総理大臣と小此木国家公安委員会委員長からビデオメッセージが寄せられ、基調講演と各国支部によるセミナーに続いた。15日には、県内2つの世界遺産を巡るオプショナルツアーを行った。

CSPとJR東2017.9.21

ICカード使用情報 保護者の携帯端末へ

セントラル警備保障(CSP、東京都新宿区、鎌田伸一郎社長)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)と共同で、「子ども見守りサービス『まもレール』」のサービス提供を10月1日から開始する。

同サービスは、子どもが交通機関のICカード「Suica」「PASMO」で駅の自動改札を通過すると、登録した保護者のスマートフォンなどの携帯端末に「利用駅」「通過時刻」「チャージ金額」を通知するもの。

9月7日に都内で行われた「プレス向け発表会」にはCSPの鎌田社長のほか、JR東日本・表(おもて)輝幸執行役員事業創造本部副本部長、教育評論家・尾木直樹氏も出席し、同サービスの趣旨やサービス内容について説明した。

特集ワイド 警備業と労働衛生2017.9.21

10月1〜7日は「全国労働衛生週間」(主唱=厚生労働省、中央労働災害防止協会)、週間に先立つ9月は同準備期間とされている。

労働衛生週間は、7月の「安全週間」と並び、職場での労働安全衛生のあり方を見直し、更なる取り組みを進める絶好の機会となる。今年度の週間スローガン「働き方改革で見直そう みんなが輝く 健康職場」の下、全国の多くの事業場では、労働衛生意識の高揚や職場環境改善などの取り組みが進められている。

一方で、平成28年に仕事が原因で何らかの病気(職業性疾病)となり、4日以上の休業を強いられた人は全国で7361人。前年より7人減少したものの、ここ数年間は7000人を超え、高止まりの状態だ。さらに、定期健康診断で何らかの所見のあった人の割合(有所見率)も50パーセントを超えているなど、健康で快適な職場づくりはいまだ“道半ば”だ。

基本は健康診断

職場での健康診断は、従業員の健康状態を把握するための基本となる。診断結果は、従業員にとっては病気の早期発見につながり、会社にとっては警備員の適正配置などを行う上で欠かせない。また、労働安全衛生法令でも健康診断は会社に実施義務、従業員には受診義務がある。

警備業で必要な健康診断には(1)雇入れ時の健康診断(労働安全衛生規則第43条)(2)1年以内ごとに1回の定期健康診断(同44条)(3)深夜業(午後10時から午前5時までの間の業務)などに従事する場合、同業務に配置する際と6か月以内ごとに1回の定期の特定業務従事者健康診断(同45条)がある。これを怠ると法違反となるために注意が必要だ。昨年1月には、熱中症で死亡した警備員に「雇入れ時の健康診断」を行っていなかったとして、愛知県内の警備会社が書類送検された事例もある。

健康診断を行った事業者は、遅滞なく健康診断結果を従業員に通知するとともに、異常所見があると診断された従業員には、必要な措置について健康診断が行われた日から3か月以内に医師などの意見を聴かなければならない。その医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、従業員の実情を考慮した就業場所の変更や労働時間の短縮、深夜業の回数減少などの措置も必要だ。さらに、施設・設備の設置・整備、医師の意見の衛生委員会などへの報告など適切な措置も欠かせない。診断の結果、特に健康保持に努める必要があると認める従業員に対しては、医師または保健師による保健指導を行うよう努めたい。

「4つのケア」推進を

厚生労働省の調査によれば、強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者は、平成9年以降ほぼ6割前後で推移している。

同省が現在進めている「第12次労働災害防止計画」では、目標に「平成29年までにメンタル対策に取り組む事業場の割合を80パーセント以上」を掲げているが、目標達成には至っていない。そのような中、平成27年12月に施行された「ストレスチェック」は、メンタルヘルス対策を推し進めるものとして期待されるが、警備業のストレスチェックの実施率は64・5パーセントと、主な産業別では最も実施率が低いのが実情だ。

メンタルヘルス対策を進める上で基本となるのが、厚労省が平成18年に策定した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」だ。

同指針は、メンタルヘルス対策の実施に当たっては、ストレスチェック制度の活用や職場環境などの改善を通じ、メンタルヘルス不調を未然に防止する「1次予防」、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う「2次予防」、メンタルヘルス不調となった人の職場復帰の支援などを行う「3次予防」が円滑に行われるように、従業員への教育研修・情報提供を行い、「4つのケア」を効果的に推進する必要があると指摘する。

この「4つのケア」とは、従業員自身による「セルフケア」、管理監督者による「ラインによるケア」、産業医や衛生管理者などによる「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、事業場外の機関や専門家による「事業場外資源によるケア」のこと。

「セルフケア」では、従業員が会社が行う教育研修や情報提供により、ストレスやメンタルヘルスを正しく理解し、ストレスチェックなどを活用してストレスへの気付きやストレスへの対処を行う。

「ラインによるケア」では、管理監督者が職場環境などを把握して改善するとともに、従業員からの相談への対応や職場復帰における支援を行う。

「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」では、産業医など事業場内産業保健スタッフが、セルフケアやラインによるケアが効果的に実施されるよう従業員と管理監督者への支援を行うとともに、具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案、個人の健康情報の取扱い、事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口、職場復帰へ向けた支援など行う。

事業場内だけで解決しない場合は、事業場外の機関や専門家による「事業場外資源によるケア」による支援を求める。

ストレスに気付くこと

平成26年に改正された労働安全衛生法により従業員数50人以上の事業場に実施が義務化(50人未満は努力義務)されたのが「ストレスチェック」。翌27年12月に施行された。同制度は、従業員にストレスへの気づきを促し、ストレスの原因となる職場環境改善につなげ、メンタルヘルス不調の未然防止(1次予防)を目的とする。

事業者は検査で「高ストレス者」と判定され、面接指導を受ける必要があるとされた人から申し出があった際には、医師による面接指導を行うとともに、医師の意見を聴いて就業上の措置を行うことが必要だ。

また、ストレスチェックを受けなかったことや、同結果、面接指導の申し出などを理由とする従業員への不利益取り扱いは禁止されているとともに、チェックの結果は個人情報となるため、他の目的で使用することがないように適切に保護しなければならない。さらに、ストレスチェックの実施については、労働基準監督署に定期的に報告する必要がある。