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クローズUP

千葉警協「被災地での活動に必要だ」2020.9.1

対策用物資備蓄始める

千葉県警備業協会(加藤智行会長)は、災害発生時に被災地の加盟警備会社や警備員、被災地で活動する千葉警協災害支援隊が使う食料や水、簡易トイレなど「災害対策用物資」の備蓄を開始した。

食料は、5年間保存でき、水やお湯を注げば食べられる「アルファ化米」を300人×3日間分。飽きないよう「わかめ」「五目」「カレー」の3種類を用意する。

水は、5年間保存可能な「非常用保存水」を300人分×3日分。トイレは、非常用トイレと簡易トイレの2種類を備蓄。尿を凝固剤で固める非常用トイレは、10年間保存可能。折り畳み式の椅子に便座を装着する簡易トイレは、使用時に簡易テントで周囲を覆う。トイレットペーパーは、10年間保存できる真空パック包装(1個200メートル巻き・12ロール入り)を10箱、それぞれ備蓄する。

備蓄品は、保存期限の1年前には防災訓練などで来場者に配布するほか、社会貢献活動として各種団体などに寄贈する。

静岡警協 緊急援助隊が訓練2020.9.1

手旗合図、車両・歩行者誘導

静岡県警備業協会(徳田和人会長)は8月22日、静岡県警察中部運転免許センター(静岡市)で会員各社で編成された「静岡県警備業緊急援助隊」による訓練を行った。緊急援助隊から近藤孝隊長(アン・シン)以下22社39人、徳田会長、県警本部生活安全部生活保安課・市川雅人管理官が参加した。

訓練は、近藤隊長と同警協特別講習講師の指導のもと、手旗による合図、警察官の手信号に連動した車両・歩行者の誘導、部隊活動の基本動作・礼式などを行った。

訓練後は同警協事務局の水野健次氏が「東北(東日本)大震災災害現場への派遣記録の紹介」と題し講話を行った。水野氏は震災発生後、全国警備業協会技術研究専門部員で編成された支援隊として被災地の警戒活動を行った。その経験から活動時に必要な持ち物や注意点等を説明した。

静岡警協は1996年8月、「大規模地震発生時における警備業務要請に関する協定」の基本協定を県知事と、細目協定を県警本部長と締結した。同基本協定は災害発生時に緊急交通路確保等の業務を警備業に要請する内容だ。

同警協は96年、細目協定に基づき緊急援助隊を編成。県警の指導のもと毎年1回、訓練を行ってきた。緊急援助隊は現在、加盟員23社89人で編成している。

今回の緊急援助隊による誘導訓練の様子は、動画サイト「ユーチューブ」で近日中に公開される。近藤隊長は訓練を振り返り「昨年から始めた6班に分かれて行う指導要領の実技訓練は隊員同士の交流・連携を図る上でよい効果も生んでいる。来年も続けたい」と成果を述べた。

特集ワイド2020.9.1

延期の聖火リレー警備 キャンセル料は?

本紙がこのほど全国の警備業協会に行った東京オリンピック延期に伴う聖火リレー警備業務のキャンセル料アンケートによると、協会を窓口とした代表企業が業務を受注したのは4県だった。長野は契約料金の80パーセントなどを請求し受け取った。長野警協の県との交渉を紹介する。

新型コロナウイルス感症染拡大により延期となった聖火リレー警備業務のキャンセル料問題。岐阜県警備業協会(幾田弘文会長)は見積書に「実施2週間前以降の中止の場合、合計警備料金の50パーセントを請求させていただきます」と明記したことにより、県に警備料金の50パーセントを請求し受領した(8月1日号既報)。

長野県警備業協会(竹花長雅会長)は県が用意した契約書に業務中止となった場合の料金の取り決めについて記載はなかったが、キャンセル料を請求した。県から警備業務を延期したいという連絡を受けたのは3月24日で、業務開始まで10日を切っていたからだ。

県は支払いを了解し、愛知県(大手旅行代理店への一括発注)が70パーセントのキャンセル料を払うという情報を基に契約料金の70パーセントの支払いを提案した。

協会を代表して業務を受注した全日警サービス長野(長野市)社長で協会理事でもある浅妻豊氏は県に対し、警備員による下見や人員の手配など準備がほぼ済んでいたことや、警備員を派遣する警備会社の多くが他の警備業務の受注を断って備えていたことから警備員人件費は契約額3280万円の80パーセント(2627万円)を請求。リース品であるコーンやコーンバーなどの警備機材も手配が済んでいたため契約額の50パーセントを求めた。

テープなど購入した警備機材については返品が可能となったため、料金は請求しなかった。

業務のための打ち合わせに要した経費や作成済みの看板などは実費を要求。契約は交通規制案内や看板設置による広報、長野県庁スタッフの輸送などを含む「一括発注」だったため、それらの費用も支払ってもらうことにした。

請求は県の要望に合わせて3月31日と4月23日の2回に分けて行い、5月1日と5月13日に入金された。警備業務に参加予定だった企業への入金もすぐに済ませた。

県との交渉に当たった浅妻氏は「聖火リレーが中止となって残念ですが、来年のリレー警備業務の成功に向けて気持ちを切り替えます」と述べる。長野警協は来年行われる予定の聖火リレー警備業務の契約では、業務実施までの日数別にキャンセル料の金額を定め、契約書に明記してもらうように求める。

このほかの協会では、5月16〜17日に県内12市町を延べ570人で警備業務を実施する予定だった島根県警備業協会(吉岡健二郎会長)は、業務まで2か月近く残していたためキャンセル料は請求しなかった。契約書に中止時の費用の扱いについて記載はなかったが、県から実踏調査費などの実費が補てんされた。

徳島県警備業協会(山下秀夫会長)は今回はあくまで「延期」のため、請求は行わなかった。

契約前に中止や入札未実施も

聖火リレー警備業務は協会が窓口とならず警備会社やイベント会社が一括発注で受注したケースが多い。アンケートではそれらのキャンセル料の扱いについても尋ねたところ「請求していない」(富山、聖火リレー実施日6月3〜4日)や「実費が補てんされ、キャンセル料は請求しなかった」(宮城、同6月21〜21日)、「契約締結前に開催延期が決まったため、見積書に記載した中止補償に関する条文に基づき『実踏調査費』200万円のみを請求した」(福岡、同5月12〜13日)との回答があった。

東京(同7月10〜24日)はセコムとALSOKが共同代表を務める警備共同企業体(警備JV)が組織委員会から業務を委託される予定だったが、未契約のまま延期を迎えた。

「聖火リレー警備業務の入札自体がまだ行われていなかった」との回答もあった。入札が未実施と回答した協会は▽佐賀(聖火リレー実施日5月10〜11日)▽鳥取(同5月22〜23日)▽石川(同6月1〜2日)▽新潟(同6月5〜6日)▽青森(同6月11〜12日)の5県だった。