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クローズUP

警備経験、東京2020へ2019.10.01

W杯ラグビー開幕

ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が9月20日、東京スタジアム(東京都調布市)で開幕した。大会には20か国が出場、11月2日まで全国12都市で48試合が行われる。

警備業界と関係機関は、万全の体制で警備に臨み、その経験を来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020)に生かす。

会場内・外の警備を担当する警備会社は昨年から社内研修や訓練を実施。協力企業とのミーティングや説明会、会場内警備を担当する企業と会場外を警備する企業との打ち合わせなども行ってきた。

政府は大会の安全を確保するために6月13日、「ラグビーワールドカップ大会特別措置法」を施行。会場とその周辺地域で重さや大きさに関わらず全てのドローン(小型無人機)の飛行を禁止した。ドローンを使ったテロを防ぐためだ。

警視庁や開催地の警察本部は、最寄り駅から会場まで監視カメラの設置や、気球による群衆監視でテロや雑踏事故防止に努める。

東京と横浜の会場では、メディア関係者の入場にNEC(東京都港区、新野隆社長)の顔認証システムを導入。事前登録の写真データに基づき本人か否かを識別する。東京2020でも採用される予定だ。

中山会長が初参加2019.10.01

APSAマカオ大会

「アジア太平洋警備業協会」(略称APSA、ワロップ会長=タイ)は、9月16〜18日の3日間、中華人民共和国マカオ特別行政区(通称マカオ)のホテルで「第26回APSA総会及び国際会議」を開催した。日本からは全国警備業協会・中山泰男会長が初参加し、青山幸恭同顧問、福島克臣同専務理事などAPSA日本支部8人が出席した。

大会にはAPSA加盟の13の国・地域のうち13支部全てが参加した。非加盟のオブザーバーとして、台湾、スリランカ、北朝鮮の3か国が出席した。

16日国際会議後のガラディナー(夕食会)では、新たにAPSA日本支部会長に就任した全警協・中山泰男会長と、日本支部会長を5年間務めた同・青山顧問が、それぞれ英語であいさつした。

中山新支部会長は「日本支部は更なる警備業界の国際化を図る観点から、加盟国と強力なパートナーシップを築いていく。開催まで1年をきった東京2020大会も視野に入れながら、国内はもとよりアジア太平洋地域における警備業の発展のため各種の取り組みを推進していきたい」と抱負を述べた。

青山前支部会長は「2014年のマニラ大会で正式に日本支部として加盟してから5年間、ワロップ会長をはじめ各支部に支えられ、職務を遂行することができた。特に2017年広島大会の成功は、日本の警備業界にとって意義があり私自身も感慨深いものとなった」と述べ、感謝の意を示した。

17日の総会では、各支部が活動報告。日本支部は「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」のフォローアップと一部改訂、「警備業法施行規則の一部を改正する内閣府令」等への対応、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会へ向けた取り組み――の3つの活動を挙げ、それぞれ説明した。

APSAインターナショナル会長を2期6年務めたワロップ会長が任期を迎え新会長選任の協議が行われたが、適任者がなく決まらなかった。特例としてワロップ氏の任期を1年延長することとなった。

特集ワイド 「新しい警送」を支援2019.10.01

「“小型入金機”で売上金を管理」――。決済装置の専業メーカーである日本コンラックス(埼玉県坂戸市、竹田清昭社長)は今年、中小規模の小売店舗に向けて小型紙幣入金機「Retail Safe(リテイルセイフ)」を発売した。この入金機は、現金回収の効率化を図って警備業の人手不足解消に貢献する。警備業のニーズを拡大し、“新時代の警送業務”を支援する製品だ。

「RetailSafe」は、中小規模の店舗や外食産業などの売上金管理を目的とした、店内に設置する紙幣専用の小型入金機だ。その最大の特長は、警送会社が提供するオンラインシステムへの接続が可能な入金機であること。警送会社は、入金状況に応じ“効率的な現金回収”が可能になる。

入金された売上金は、決められた時間で締め作業が行われ、警送会社との契約により最短で翌日に顧客の指定口座へ入金することができる。警送会社や顧客は、「入金」「締め」などの情報をインターネットで逐次、閲覧することが可能。画面には「操作日時」「金額」のほか千円札〜1万円札まで「金種別枚数」が表示される。入金については「操作者ID」が表示され、「誰が、いつ、いくら入金したか」が明確に示される。

このように売上金の状況をリアルタイムに把握できることから、警送会社の売上金回収は1週間に1回程度で済み、警備員不足の課題が解消される。

小売店の店長や従業員も人手不足の中、毎日大金を持って雑踏の中を歩き、銀行やコンビニで入金する必要がなく、まるで「店内にATMがある」ような感覚になる。コンビニエンスストアなどで日に何度か設定されている「シフト交代時の(売上金の)締め」が必要なくなり、従業員が現金に触れる機会が少なくなり、従業員の安全安心にもつながる。同入金機の導入で警備会社の警送サービスを依頼する店舗も増えると予想される。

「入金」「締め」「解錠」などの各種操作は、専用の「QRコード」をかざすことで実行される。大きさは、幅220×奥行440×高さ690ミリメートル、重さは約68キログラム(オプションの準備金金庫付きタイプ)。レジのカウンター下にも設営できるほどのコンパクトサイズだ。アンカーを使って床に据え付けることで、持ち出される心配はなくなる。

入金可能なのは、紙幣のみとなる。硬貨については店舗内にて循環運用し、必要に応じて余剰分を警送会社が回収する。容量は、紙幣4金種混合で1200枚までの入金が可能だ。紙幣詰まりの少ない実績のある紙幣識別機を採用しており、万が一詰まった場合でも現地で簡単に解消可能。保守期間は5年間で、電話対応は365日24時間受け付けている。

売上金の回収は、紙幣が入ったキャッシュボックスを取り出し、空のキャッシュボックスを代わりに入れるだけの最短5分以内の作業だ。キャッシュボックスの素材は、落としても変形・破損しにくい強化プラスチックを採用している。

日本コンラックスは、前回の東京オリンピック開催から3年後の1967年に創業。自動販売機や各種精算機における貨幣識別装置の開発と製造、販売に特化し、製品とサービスの提供を半世紀以上にわたり続けてきた。そこで培った技術やノウハウを活用し、付加価値の高い2製品を開発、今年販売をスタートさせた。その一つが「RetailSafe」で、もう一つはセルフ会計に適した釣り銭機「PayCube(ペイキューブ)」だ。

「RetailSafe」の実機は、10月23〜25日に幕張メッセ(千葉市)で開催される「第3回店舗ITソリューション展(秋)」の同社ブースに展示される。

▽問い合わせ先日本コンラックス☎03―3221―8466