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クローズUP

各県と連携深める2021.07.11

中国地区連「意見・情報交換」年4回に

中国地区警備業協会連合会(会長=村本尚之・広島警協会長)は6月29日、広島市内で5県の警協会長と専務理事による「定時総会」を開催した。全国警備業協会から中山泰男会長、黒木慶英専務理事、小澤祥一朗総務部次長が出席した。

先の全警協総会で報告された基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)が作成した「全警協アクションプラン(案)」を主議題にすえて意見が交わされた(アクションプランの全容は本紙6月21日号特集ワイド面で既報)。

全警協の中山会長は「重要なことは業界全体で、アクションプランの内容を理解、共有し、一丸となって成果を上げることです。全警協はさらに総務委員会を中心に各種委員会や理事会の議論を重ね合わせて、具体的な施策に仕上げ、一つひとつをできるだけ早く実行していくことが肝要です」と成長戦略の理解と実践への協力を要請した。

小澤総務部次長が基本問題諮問委員会の経過報告として、アクションプラン5項目の概要を説明。同委員会では中国地区から岡山警協の松尾浩三会長、山口警協の豊島貴子会長の2氏が作業部会長として、報告書の取りまとめに当たった。

当面の諸問題では、村本会長の「地区連はこれまで以上に連携を深めていきたい」との発言を受ける形で、専務理事による意見・情報交換会の開催回数を年間4回ほどに増やし、各県警協会長も積極的に参加する方向で調整する。

また、今秋に四国地区連(会長=北川豊彦・香川警協会長)と一昨年以来となる2回目の「中国・四国広域連合会」を四国で開催することで合意していることが報告された。

認定業者、初の1万社超え2021.07.11

警察庁 2020警備業の概況

警察庁は7月6日、2020年12月末現在の「警備業の概況」を公表した。警備業法第4条に基づき、都道府県公安委員会の認定を受けた業者「4条業者」は1万113社となり、初めて1万社を超えた。警備員数は58万8364人と過去最多となった。

警備業法に基づく「認定業者(4条業者)」数は、前年に比べ205社(2.1%)増の1万113社、初めて1万社を超えた。

警備会社に所属する警備員数は「5人以下」が最も多く2571社(25.4%)。次いで「10〜19人」1873社(18.5%)など。100人未満は9056社(89.5%)だった。一方で「1000人以上」は51社(0.5%)だった。

全国の警備会社(4条業者)が都道府県に設けている営業所の総数は1万5765営業所。内訳は「主たる営業所(1営業所)のみ」が最も多く8417社(83.2%)だった。「5営業所以下」は9829社(97.2%)、「30営業所以上」は15社(0.1%)にとどまった。

認定を受けた都道府県以外の都道府県に営業所を設けている警備会社(9条前段業者)は、前年と同数の延べ2491社。認定を受けた都道府県以外の都道府県で営業所を設けずに警備業務を行っている警備会社(9条後段業者)は延べ5288社で、前年に比べ50社増加した。

警備員数は、前年比1万7637人(3.1%)増の58万8364人。19年同様、前年を大きく上回り、過去最多となった。

男女の内訳は、男性54万8832人、女性3万9532人。女性は同2559人増となり、全警備員数の6.7%(同0.2%増)となった。

年齢構成で最も多いのは「50〜59歳」の11万1503人(19.0%)。次いで「70歳以上」9万9956人(17.0%)、「40〜49歳」9万1523人(15.6%)など。

在職年数は、「3〜10年未満」が最も多く20万824人(34.1%)。次いで「10年以上」16万668人(27.3%)。「1年未満」は10万2046人(17.3%)だった。

雇用形態は、雇用契約で「期間の定めがない」または「4か月以上の雇用期間が定められている」常用が53万4584人、臨時5万3780人。常用は前年に比べ1万8753人増加、臨時は同1116人減少。16年を100とした「指数」では、20年は常用112、臨時80と、警備員の常用化が進んでいることが判明した。

一方で、全常用警備員に占める女性警備員の割合は6.1%だったのに対し臨時は13.0%。女性警備員が短期間の雇用など多様な働き方を指向していることがうかがえた。

特集ワイド 警備員になろう2021.07.11

全国警備業協会(中山泰男会長)は、業界の課題である人手不足の解消を目指し、厚生労働省からの委託事業「就職氷河期世代向け短期資格習得コース事業」に取り組んでいる。無料で10日間の講習を受けて資格を習得し“即戦力”となった受講者は就職支援も受けることができる。「警備員になろう」をキャッチフレーズに9か月が経過した同事業を取材した。

全警協が受託した就職氷河期世代向け短期資格習得コース事業は、2つの目的がある。

1つは、35〜54歳の“就職氷河期世代”の無職または他業種で働く非正規社員を警備業界に呼び込み、長引く人手不足を是正すること。もう一点は、同世代の非正規雇用の警備員が資格を習得することで正規雇用に転換、安定就労につなげることだ。社会保険加入など処遇改善で職場に定着、警備の質も向上する。

事業は2020年10月23日、愛知会場(愛知県警備業協会教育センター)でスタートした。以降、21年6月の宮城会場(東松島市大塩市民センター)まで合計8回開催された。これまでの受講者は101人で、21年7月7日時点で20人が正社員として警備会社に就職、または警備員として非正規雇用から正規雇用に転換した。

受講者が予想より少なかった理由として、受講前に辞退するケースがあった。20年11月の東京会場では当初38人の申し込みがあったが、受講要件を満たしていなかったり、教本や実技参考資料を読んで「難易度が高く自信がない」との理由で辞退があったりして、結果的に19人(非正規雇用警備員7人、無職・他の業種12人)の受講となった。

今後は21年12月までで10会場の開催を計画している。

全警協は周知活動として、都道府県警備業協会の加盟各社に向けた説明会を開き、募集活動を進めてきた。

特設サイト(http://www.ajssa.or.jp/hyougaki/)は、20年9月に開設。警備の業務・研修などの基本的な情報から現場での労働安全衛生対策の実施例、事業の内容や応募方法の説明など、求職者が必要な情報を確認できる内容だ。

そのほかパンフレット9万部を製作して各協会やハローワークに配布したり、駅やコンビニなどに置かれるフリーペーパーに広告を掲載するなどの周知活動を行った。

訓練カリキュラムは10日間で、講習を開催する各協会事務局と地元警備業者、全警協技術研究専門部会で構成する「策定委員会」の意見を反映させ年度はじめに策定する。カリキュラムは大きく3つに分かれる。1日目・2日目は全警協の講師が担当、ビジネスマナーやコミュニケーションなど社会人として必要とされる知識、各種警備業務に関する知識を習得する。

3日目から8日目までの6日間、受講者は特別講習事業センター主催の「警備員になろうとする者講習(なろ講)」に参加する。「なろ講」は一般の人を対象とした6日間(学科28時間、実技14時間、修了考査4時間)の講習で、特別講習講師が担当し交通誘導警備業務や施設警備業務の2級取得を目指す。通常の受講料は7万9200円(税込)だがコース受講者は無料だ。修了考査の学科試験・実技試験で90点が合否ラインとなる。

9日目と10日目は地元警備会社3社の「職場見学」を行い、自分に合った企業のイメージをつかむ。講習10日間のうち80%以上の出席で修了となる。その後、地元の求人会社による「合同企業説明会」に参加して警備会社への就職を目指す。検定資格を取得できれば、入社後の新任研修20時間が免除される。

受講者は、修了から3か月後に就労状況を全警協に報告する。報告書の多くにはお礼のコメントが添えられているという。埼玉会場の受講者からは、報告と別に次のような感謝の手紙が寄せられた。「心から感謝とお礼を申し上げます。この機会を無駄にすることなく就職活動を加速させたいと考えております」。後日、全警協に「警備会社に就職が決まりました」と喜びの報告があったそうだ。