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クローズUP

労災なくそう2022.07.11

全警協が「全国安全衛生大会」

全国警備業協会(中山泰男会長)は「全国安全週間」中の7月6日、都内で第24回となる「警備業全国安全衛生大会」を開催した。同日同じ会場で行われた全国専務理事・専任事務局長会議の出席者など約50人が参加した。

警備業で昨年、労働災害により死亡した28人と今年亡くなった5人に対する黙とうから始まった同大会では、中山会長が「警備業の労働災害は減少転じる気配がありません。極めて深刻な状況です。“ストップ・ザ・労働災害”は全警協の重点事業の一つです」と述べ、警備業からの労災撲滅を訴えた。

全警協・労務委員会の佐々木誠委員長(セシム)は「第一線の現場で日夜たゆまぬ努力を続けている警備員の安全確保と良好な職場環境を、他の産業以上に高い次元で整備していくことが強く求められている。これらを達成・維持していくには、経営トップ自らが率先して惜しみない努力を重ねなければならない。警備業を取り巻く環境は厳しいが、心身ともに健康で安心して働ける安全で明るい職場づくりに全力を挙げてまい進することを誓う」と“大会宣言”を読み上げ、参加者全員と労災防止への決意を表明した。

大会では全警協が募集した労災防止の「論文」「ポスター」「標語」の入選者も発表。それぞれの部門の入選者に中山会長が表彰状を贈った。入選者は次の通り(敬称略)。

【論文の部】▽第1位「見えない危険リスクについて」伊藤幸芳(愛知・アイシン・コラボ)▽第2位「プロパー事故をなくすために」中島智之(千葉・ALSOK千葉)▽第3位「労働災害防止への意識向上について」小屋広和(宮城・日本パトロール警備保障)

【ポスターの部】▽第1位・橘潤耶(大阪・ALSOK)▽第2位・阿部泰大(新潟・リリーフセキュリティ)▽第3位・坂田光伸(東京・協栄)

【標語の部】▽第1位「注意する 言える勇気と聞く心 絆で育てる安全意識」三浦雄太(福島・ALSOK福島)▽第2位「確かめる 心の余裕が 事故防止」長谷川幹洋(愛知・ALSOK)▽第3位「危ないと 気づいた時に 即改善」児玉智彦(長野・ALSOK)

セノン新社長2022.07.11

セコムの稲葉氏就任

セノン(東京都新宿区)は7月1日、取締役会を開き、新社長にセコムの営業第一本部長・稲葉誠氏が就任する社長人事を決めた。取締役会は、セコムがセノンの発行済み株式の55%を約270億円で取得して子会社化、グループ入りしたのを受けて開いたもの。

引き続きセノン本社で「社長就任式」を開催した。

セコムの尾関一郎社長は、「(今回の合流を)セノンの更なる成長につなげていきたい」と述べた。新任の稲葉代表取締役社長は「セコムとセノン、両社の良さを融合して、セノンの企業価値を高めたい。セノンというブランドに誇りをもって業務に取り組んでいきましょう」と呼び掛けた。

特集ワイド 警備業の動画活用2022.07.11

インターネットで配信される動画(ムービー)は、短時間で多くの情報を幅広く伝えることができる。警備業界の動画活用は、警備各社の企業紹介にとどまることなく、警備業協会による事業活動のPR、交通誘導警備の労災事故防止に向けた安全教育、女性警備員の活躍アピールなど多方面に広がっている。警備業の動画づくりを取材した。

誰もがスマートフォンを持つ時代、警備会社・業界が人材確保やイメージアップを図るうえで、インターネットを活用する情報発信は欠かせない。

警備各社は、顧客、求職者、一般の人々に向けた自社PRとして、手掛ける警備業務の内容や社員の声、職場の雰囲気などを伝える動画を制作し、ホームページや動画共有サイト・ユーチューブで配信している。

ある警備会社の経営者は、動画づくりの注意点として「警備員を美化しない」ことを挙げた。求職者の興味を引こうと警備の仕事を“カッコいい”イメージで描くと、入社後に「現実は違った」と早期離職につながりかねない。警備員の役割、現場の様子など具体的な情報を伝えるドキュメンタリーとして動画を制作しているという。

動画は、新しい撮影技術を取り入れ労災事故防止などの教材にも活用できる。専門業者に委託せず、カメラや動画編集ソフトを使用しての制作も可能だ。

警備業に携わる全国の関係者が、それぞれの観点から「伝えたい情報」をオンライン動画で発信すれば、警備業の認知度は、さらに高まるだろう。

京都警協青年部会
交通事故発生を健勝

京都府警備業協会青年部会(水上太一部会長=コトナ)は、交通誘導警備員の労災事故防止に向けて、VR(バーチャル・リアリティー=仮想現実)動画を制作し、5月13日からユーチューブで公開中だ。協会加盟員に動画の視聴、研修などでの活用を呼び掛けている。

青年部会は昨年、安全教育に活用できる動画の撮影を計画。シナリオの作成では、事故事例や現場経験をもとに話し合い、警備員が事故に巻き込まれる次のような状況を想定した。

▽片側交互通行規制中、前方から近付く車に対し誘導灯を振って制止しようとして車と接触してしまう▽誘導中に周囲の状況を見ようと移動した結果、危険な立ち位置になる▽まぶしい太陽光のせいで接近してくる車を視認できない――などだ。

警備員役とドライバー役は、映画などに出演するスタントマンを起用。撮影はプロカメラマンがVRカメラを使用した。同カメラは撮影者の前方だけでなく360度の範囲が撮影可能だ。これによりスマホなどで視聴する際、警備員の立ち位置や車が接近する様子など見たい場面を選ぶことができる。

兵庫警協青年部会が協力し、兵庫警協の特別講習会場として利用される神戸市内の自動車教習所で撮影を行った。

6月15日に都内で開かれた東京・京都・千葉警協の「3都府県青年部会交流会」の中で、このVR動画が上映された。京都警協青年部会員が解説し「事故発生の過程を多角的に検証して『なぜ起きたか、どうすれば防げるか』など、警備員と教育担当者が話し合って安全意識を高めていただきたい」と呼び掛けた。

青年部会員からは「自社の教育に取り入れたい」「このような動画を無料で視聴できるのは、とてもありがたい」などの声が上がった。

熊本警協
1年間の活動紹介

熊本県警備協会協会(西利英会長)は、警備業をPRする複数の動画を作成し、ユーチューブで公開している。

5月23日から、昨年度の協会活動を紹介するフォトムービー「熊本県警備業協会活動記録」(10分35秒)を公開中だ。フォトムービーは“写真でつくる映画”で、デジタルカメラで撮影した静止画をつないで編集し、テロップや音楽を加えたもの。定時総会、会員が受けた各種表彰、特別講習などの教育事業、人材確保に向けた取り組みや社会貢献の詐欺防止キャンペーンなど一連の事業活動を見ることができる。

作成したのは西橋一裕専務理事で、動画編集ソフトを使用した。西橋専務理事は「業界内外に向けて警備業協会の活動を発信していくためインターネットを活用しています。会員はもとより、非加盟の企業も協会活動について知るきっかけとなり、加盟につながれば」と期待を寄せる。編集ソフトに慣れると、5分間ほどの動画は数時間で仕上げることができるという。音楽は「著作権フリー」の素材をダウンロードして使用している。

同協会は「協会活動や警備業の魅力・必要性を広報していく」との趣旨で、2018年にユーチューブの公式チャンネルを開設して情報発信に取り組んできた。

現在公開中の動画は「働く警備員フォトコンクール」「青年部会の活動記録」「令和2年7月豪雨・被災地防犯パトロール」「交通誘導警備業務1級・事前講習風景」「パパのお仕事 警備員編」など12本を数え、うち11本を西橋専務理事が作成した。

会員からは「協会活動が一目瞭然で分かりやすい」などの声があり、他県の警協関係者からの問い合わせも寄せられる。

大阪府警備業協組
「警備女子」インタビュー

大阪府警備業協同組合(大阪市淀川区、藤瀬経信代表理事=明星警備保障、29社)は、ユーチューブに専門チャンネル「MAMORUchannel(マモルチャンネル)」を2月22日に開設した。警備の仕事をわかりやすく広く伝えて、より多くの人に興味を持ってもらうことが目的だ。

「警備現場で働く人たち」「警備員が全力でダンスを踊ってみた」などの動画4本を配信している。このうち「警備女子」と題する動画は、交通誘導警備に従事する女性警備員3人のインタビュー映像だ。同組合によると、撮影・編集は映像制作会社が行ったが、女性3人の話す内容は事前に準備したものではなく“ありのままの言葉”を話してもらったという。

子育て中の女性(27歳)は、公園で鉄棒をして遊ぶ小学生の息子とともに出演し「すごく大変な仕事ですが、やりがいは見つかります」と笑顔で語る。

勤続5年の女性(23歳)は「働く前のイメージは悪かったが、現場に立つと楽しさも感じるようになります。ぜひ現場に立ってみて下さい」。転職して警備会社に入社した女性(20歳)は「女性警備員は少なく、しんどいと思う面もありますが現場の方々は優しい。この仕事を選んで良かったと思えます」と、それぞれ話している。

同組合の担当者は「動画を見て警備の仕事に親近感を持って『私も働いてみよう』と思ってもらえれば」と述べた。