警備保障タイムズ下層イメージ画像

クローズUP

「安全安心に役立てて」熊本の警備会社が贈る2020.04.11

県警に防犯機能付き電話機100台

九州警備保障とキューネット(ともに熊本市、西川尚希代表取締役社長)は3月31日、「防犯機能付き電話機」100台を熊本県警に贈呈した。

同電話機は、家族などあらかじめ登録された以外の電話番号から電話が掛かると、「迷惑電話防止のため録音されています」と音声が流れる仕組み。振り込め詐欺などの特殊詐欺防止に効果があるとされている。

県警本部内で行われた贈呈式には、小山巌本部長をはじめ県警委嘱の「特別防犯対策官」を務めるタレントの栄太郎さん、吉田至生活安全部長、德本和浩生活安全部参事官が出席。西川社長は「地域の安全安心のために役立てて欲しい」と述べ、目録を小山本部長に手渡した。県警は今後、同電話機を被害相談があった高齢者などに貸し出す。

熊本県内で2019年に発生した振り込め詐欺による被害状況は、認知件数が前年比13件減の72件だったが、被害総額は約800万円増の約1億3100万円だった。20年1〜2月は認知件数7件(前年同期比1件減)、被害総額は約850万円(同1370万円減)と、件数・被害額ともに減少しているが予断を許さない状況だ。

賃金の時効、5年に延長2020.04.11

改正労基法が4月1日施行

改正労働基準法が3月27日に参議院本会議で可決・成立、4月1日に施行された。今後、従業員が未払いの残業代などを会社に対して過去に遡って請求できる期間(時効)が、現行の2年間から5年間に延長される。“当分の間”は経過措置として3年間の延長となる。

今回の労基法改正は民法の約120年ぶりの改正を受けたもの。これまで民法では、給料などの債権の時効(短期消滅時効)は1年間とされていたが、労働者保護の観点から労基法で特別に2年間とされてきた。

今回の民法改正では、短期消滅時効が廃止された。一方で、一般債権の時効が(1)権利者が権利を行使できることを知った時(主観的起算点)から5年間(2)権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間――となった。

このため、労基法も民法改正に合わせ、賃金請求権の時効を5年間とした。

しかし、賃金請求権を直ちに5年間に長期化することによる会社側の保存書類や支払い額の増加などの負担軽減のため、“当分の間”は時効を3年間とした。

賃金以外の請求権の時効は、退職手当が5年間、年次有給休暇と災害補償が2年間。いずれも、これまでと同じ時効期間が適用される。

会社に保存義務が課せられている労働者名簿や賃金台帳などの記録の保存期間は、原則5年となるが当分の間は3年間。割増賃金などの支払い義務違反に対する制裁金に当たる「付加金」を請求できる期間についても、原則5年となるが当分の間は3年間。

改正法には、施行5年経過後の状況を勘案して検討し、必要な措置を講じる「検討規定」が明記。経過措置の「3年間」が、法律の原則である「5年間」に見直されるのは、この時期となる見込みだ。

また、衆参両院で(1)賃金台帳などの記録の保存期間延長が可能となるよう、中小企業の記録の電子データ化の支援(2)賃金の未払いを発生させないよう事業所の指導・監督の徹底(3)労働者が消滅時効により請求権を失うことがないよう相談・支援の充実・強化――などの「附帯決議」が行われた。

特集ワイド 運転資金、確保へ2020.04.11

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の経済に与える影響が深刻になっている。政府が緊急事態宣言を行ったことで更なる経済活動の停滞が予想され、警備業でも予定していた業務が中止になり業績への影響が大きくなる事態が考えられる。警備会社は従業員の雇用や自社の経営を守るために、助成金や融資などを積極的に活用すべきだ。

警備業では3月以降にスポーツ大会や文化行事などが中止になったことで、イベント警備を手掛ける企業は警備業務のほとんどがキャンセルされた。現時点では4月以降の売り上げも見込めない状況となっている。施設警備は年間契約のため業績に与える影響は少なかったが、新型コロナの収束が見通せないため今後の契約では警備員数を減らされる心配がある。

「東京2020」開催が1年延期になったことの影響も大きい。多くの警備会社では大会が予定されていた7月から9月にかけて、業務を減らして備えていた。今後は同業者間による仕事の奪い合いとなりそうだ。

従業員と会社守る

警備会社は今後、厳しい経営のかじ取りが必要だ。特に近年はG20サミットやラグビーワールドカップといった大型イベントが相次いで行われたことや、都心再開発が活発に行われたことによる新施設の開業で警備需要が増加したため警備員を増員した企業が多い。資金に余裕がある企業はともかく、警備業務の中止や減少が長引くと手当の支給が困難になる。

各社は従業員の生活を守るため、そしてコロナ収束後の業務に備えるため雇用の継続に取り組むことが求められる。

無利子で特別融資

イベント警備業務の中止などで現金収入がない状況下では運転資金の確保が必要となる。新型コロナの感染拡大で経営にダメージを受けている中小企業向けに、政府系金融機関は特別融資を用意している。

財務省が所管する日本政策金融公庫と官民共同出資の政府系金融機関である商工中金はともに、当初3年間を実質無利子とする融資制度を設けた。

2行ともに融資残高1億円まで規定の利率から0.9パーセントを差し引いた上で、残った利子についても後日国が補給する。利用できる条件はコロナの影響で売上高が20パーセント以上減少しているなど。

日本政策金融公庫の融資では企業は感染症の影響に伴い必要とされる設備資金および運転資金(上限3億円)の融資を受けることができる。

利用できるのは(1)直近1か月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5パーセント以上減少している(2)業歴3か月以上1年1か月未満の場合は最近1か月の売上高が「昨年12月と比較して5パーセント以上減少している」もしくは「昨年10月から12月の平均売上高と比べて5パーセント以上減少」との条件を満たした上で、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれる企業だ。

返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が15年以内。それぞれ当初5年以内は元本返済の義務がなく、利子のみの返済でも良い。基準金利(年利1.36〜1.65パーセント)が適用される。

つなぎ融資も

商工中金が行っている「新型コロナウイルス感染症特別貸付」では融資実行は4月中旬からを予定しており、それまでの間はつなぎ融資を行っている。

特別貸付の融資対象は株主である中小企業の組合と組合員となる。未加入の場合でも相談に応じる。融資額は3億円もしくは、ほかの政府系金融機関との合計で20億円以内。直近1か月の売上高が、前年または前々年の同期から5パーセント以上減少していることが条件となる。

商工中金所定の利率(貸出期間5年の場合、3月19日現在で1.11パーセント)が適用される。

商工中金では「新型コロナウイルス感染症に関する特別窓口」も設けており、感染症の影響で資金繰りに苦しんでいる中小企業の相談に応じている。

雇用調整助成金の活用も

厚生労働省は労働者を解雇したり契約解除しないようにするため、雇用保険を活用して休業手当額の一定割合を企業などに助成する「雇用調整助成金」制度を設けている。3月11日に新型コロナの影響を受けている事業主を対象に、通常の制度よりも利用できるハードルを下げていたが、感染拡大に伴い4月から6月30日までを緊急対応期間として新たな特例措置を設けた。

最大の特徴は、加入期間が6か月未満や被保険者でない人も対象となる点だ。アルバイトやパート従業員といった非正規社員にも適用されるのは制度上初となる。通常は雇用保険に6か月以上加入した従業員のみが助成対象となっている。

制度を利用できるのは売上高が直近1か月で5パーセント以上減少した企業。通常は直近3か月で10パーセント以上の売上減少が続いた場合のみだったが、緩和された。

助成率は特例では大企業が休業手当日額の3分の2、中小企業が5分の4。従業員全員を雇い続ける場合はそれぞれ4分の3、10分の9に上昇する。例えば従業員を1人も解雇しない中小企業の場合、平均賃金1万円で休業手当を60パーセント支給している場合は5400円が助成額となる。1人当たりの日額は上限8330円だ。

東京労働局によると制度への問い合わせが殺到しているという。統計は取っていないが、警備会社も複数含まれているという。制度を利用できるのは実際に休業手当を支払っている企業のため、申請件数ではまだ20件ほどだ。東京労働局は4月後半もしくはゴールデンウイーク明けから申請が急増すると予想している。