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「検定合格証明書」を偽造2023.08.21

警備会社社長ら6人逮捕

大阪府警は7月26日、国家検定資格「交通誘導警備業務2級」の合格証明書を偽造したとして警備会社社長ら6人を逮捕した。同府警管内の警備業において検定合格証明書偽造容疑で逮捕者が出たのは初めて。

逮捕されたのは大阪市中央区の警備会社「ジャスト・ワン」の小田進代表取締役と2人の取締役、指導教育責任者1人、従業員2人の計6人。容疑は有印公文書偽造と同行使。全員が共犯として逮捕された。

同社は2020年3月に設立、同6月に府公安委員会から警備業の認定を得た。府警の調べでは、会社設立当初の20年3月から今年4月にかけて合格証明書21枚を偽造。22年2月に寄せられた匿名の情報提供を元に、翌3月に府警が立入検査した際に偽造した合格証明書を提示した疑い。

同社には10数人の正規の検定合格警備員がいたが、業務拡大が犯行の動機となったようだ。

捜査に当たっている府警本部生活安全部の「生活安全特別捜査隊」によると、偽造された証明書の存在は社内でも広く知られ「なんちゃって2級」と呼ばれていた。偽造合格証明書は、「大きさ」「記入してある文字数」「文字や印などの配置」も正規の合格証明書とは異なっており、警備業関係者であれば一目で偽造と分かる出来栄えだという。

同社は国家検定取得を偽り、府公安委が検定合格警備員の配置を認定した路線(配置路線)で無資格者が交通誘導警備業務を実施していた可能性もあることから、警察は今後、詐欺の疑いも視野に捜査していくとしている。

同社には今後、警備業法に基づく行政処分も行われる。警備業法第3条「警備業の要件」では、「警備業を営んではならない者」として同3号で「警備業務に関し、他法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者」と規定。詐欺罪(刑法第246条)で立件されれば、警備業法第3条第3号に該当することとなるため、警備業の「認定取り消し」は避けられない見込みだ。

特集ワイド 交通誘導、安全に2023.08.21

交通誘導警備は、底堅い需要がある一方で、慢性的な警備員不足など数々の課題を抱える。処遇改善に加え、屋外となる警備現場の環境改善を図る取り組みは重要だ。検定合格警備員の配置路線をスマートフォンで確認できるマップの作成など交通誘導警備に従事する警備員のための取り組みを取材した。

交通誘導警備は、猛暑や積雪など厳しい労働環境のもと、国民生活に密着して安全安心を提供している。

検定合格警備員の配置が義務付けられる指定路線は全国的に増加し、警備会社は資格者の育成、適正な配置を求められている。道路工事で交通誘導を行っていた警備員が、ユーザーの要請で急きょ別の道路に移動し警備を行ったところ、そこは指定路線で、巡回中の警察官により配置義務違反が判明した事例もある。警備先が指定路線に該当するか、関係者は事前の確認が不可欠だ。

夏場は、警備員の熱中症を防ぐため各種の暑さ対策用品の支給が広がっている。警備員自身が体調管理を心掛け、十分な睡眠と規則正しい食事を取ることも必須となるものだ。

屋外の現場ならではの課題にトイレの確保がある。トイレカー(自走式仮設水洗トイレ)を快適に利用できるようになれば、警備員のストレス軽減につながることだろう。

警備員がより安全に、少しでも快適に働くことができるよう、経営者・関係者が積極的にアイデアを出し、改善を進めていくことは課題克服の道に通じるのではないか。

「指定路線」ウェブで確認

◆静岡県警備業協会青年部会(佐藤和博部会長=ビオ企画)は、静岡県内の資格者配置路線(県公安委員会の指定路線32、高速自動車国道、自動車専用道路)を地図アプリ「Googleマップ」に色付きで明示するオリジナルのマップを作成した。5月30日の公開から2か月余りで閲覧数は3万6000回を超えた。

佐藤部会長は、資格者を育成する特別講習講師を務めている。「資格者の適正な配置を徹底するため警備会社と警備員、お客さまもスマホやPCで即座に見ることができる分かりやすいデジタル地図があればとの声が青年部会内で起こり、一致協力して進めました」と語る。

県公安委員会による同路線の一覧表は、文字のみで地図はない。顧客に配置基準を説明する際の分かりやすい資料となり、関係者が確認する際に役立つ資料を目指した。

Googleマップには、道路に色を塗るなど“自分の地図”をカスタマイズできる「マイマップ」機能がある。作業マニュアルを作成し、部会員18人が分担してマップの同路線に色付けを行った。作業期間は4か月ほどで、佐藤部会長は「指定路線それぞれの範囲を正確に明示するため、自治体や道路管理者に問い合わせて確認しました。特に曲線の多い山間部や、長距離の路線を担当したメンバーは時間が掛かり苦労したようです」と振り返った。

同青年部会は昨年発足し、今回が初の活動となった。5月30日に開催された静岡警協の定時総会で同マップの「QRコード」を会員に配布、企業サイトにも掲載するなどして周知を図る。

佐藤部会長は「閲覧数が3万を超え思っていた以上に関心が高いことを実感しました。デジタル活用は大切であり、今後もアンテナを広げ新たな発見などを青年部メンバーと共有し、警備業発展に向けて取り組みを進めていきたい」と述べた。

「トイレカー」巡回、話も聞く

◆セキュリティロード(宮崎市、齊藤慎介代表取締役社長兼グループCEO)は、交通誘導警備の現場でトイレカーを運用している。

2022年10月に1台を導入。より効果的な運用方法を検討しながら30年までに5台を導入し段階的に警備現場の環境改善を進める方針だ。警備員を大切にするとともに、SDGs(国連が掲げる持続可能な開発目標)の「安全な水とトイレを世界中に」を踏まえた取り組みの一環となる。

警備員の話を聞くメンター(相談者)の役割を担う社員「警備スタッフサポート」(男性、女性)が、トイレカーとともに各現場を巡回。警備員はエアコン付きの快適なトイレを利用し、相談したいことなどをメンターに話すことができる。

同社は「交通誘導警備で男性・女性警備員の雇用拡大を図るうえでトイレ問題の改善は肝要です」と指摘する。また、SDGsについて「新卒の学生が就職先を選ぶ際、企業がSDGsに取り組んでいることは大事なポイントになっています。企業として水とトイレを安心して利用できる環境を持続的に整え、国際社会の目標を共有し取り組みを進めます」としている。

「熱中症対策」「物価高支援」手当をW支給

◆サンプラス(新潟市西区、加藤洋晃代表取締役社長)は、警備員約100人に対し「熱中症対策費」を6月中旬から順次支給した。合わせて処遇改善の一環として「物価高騰支援金」も支給した。“ダブル手当”の支給に警備員からは感謝の言葉が寄せられている。

同社は従来から熱中症防止策として小型ファン付き作業着(空調服)、ヘルメット後部に取り付けて日差しから後頭部を守る防暑垂(た)れ、ナトリウムなどの電解質を多く含む「経口補水液」やドリンク類、塩飴などを配布してきた。

2020年からは毎年、熱中症対策費と名付けた手当を支給している。同社の福原要専務取締役は手当の趣旨を次のように話す。

「最近は、暑さを防いで快適さを追求する商品として放熱・冷感機能を備えたインナーシャツをはじめ、さまざまな商品が販売されるようになっています。会社が一律に選ぶのでなく、隊員それぞれが商品の中から自分に合った物を選ぶことで、熱中症予防の意識をより高く持つことにつながると考えています」。

物価高騰支援金は、昨年来、生活必需品の価格が上昇していることを受け「隊員の日々の貢献と努力に対する感謝の思いを会社が具体的な形で示すもの」として支給したという。

また、同社は警備現場の安全対策として年間を通じ、福原氏と県内各営業所の所長による警備現場の安全パトロールを頻繁に行う。警備員の立ち位置、いざという時の退避場所、各種資機材の適切な配置などを確認して労災事故の予防に努めている。7月は、全国安全週間(7月1〜7日)に合わせて安全パトロールを実施した。