警備保障タイムズ下層イメージ画像

クローズUP

広がる「新型コロナウイルス」2020.02.11

厚労省HP 職場のQ&Aを掲載

新型肺炎(新型コロナウイルス感染症)の患者が世界各地で見つかっている。世界保健機関(WHO)の緊急委員会は、日本時間の1月31日未明、同感染症関連肺炎の発生状況が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると発表。日本でも、同感染症が感染症法に基づく「指定感染症」に指定された。

厚生労働省は、職場で取り組むべき新型肺炎への感染予防対策として、風邪や季節性インフルエンザと同様、「咳エチケット(咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って口や鼻をおさえる)」や「手洗い」などを行うよう呼び掛けている。

2月1日には「事業者・職場のQ&A」を同省ホームページに掲載。労働安全衛生法第68条に基づく「病者の就業禁止措置」への該当の有無や、感染の疑いのある従業員に一律に年次有給休暇を取得させることの可否など、労務管理上の取り扱いについて、企業としての対応を示した。

同省は1月28日に新型肺炎の症状や対応などに関する「電話相談窓口」を開設した。同窓口の電話番号は03―3595―2285(受付時間 午前9時〜午後9時/土日・祝日も実施)。

警議連 総会・新春懇話会開く2020.02.11

自民党の衆参両院の有志議員などで構成する「警備業の更なる発展を応援する議員連盟(警議連、会長=竹本直一衆院議員、IT政策担当相)」は1月29日、千代田区永田町の自民党本部で総会と新春懇親会を開いた。所属議員100人のうち議員35人、秘書など代理31人の計66人が出席。警備業界からは全国警備業協会の中山泰男会長と福島克臣専務理事が参加した。

警議連最高顧問で、ともに国家公安委員会委員長を務めた野田毅、古屋圭司両衆院議員が開会のあいさつに立った。野田氏は「今年は東京2020大会。警備業の活躍を応援していく。バックアップする課題は多いが、議連を強化して取り組んでいきたい」、古屋氏は「警備業は“縁の下の力持ち”、なくてはならない仕事だ。オリパラでは覚悟を決めて頑張ってください」と、それぞれ警備業への支援と期待を表明した。

全警協・中山会長は、深刻な人手不足の現状と解決へ向けた取り組みを説明、更なる支援を求めた。東京2020大会については「安全安心を守り切る一翼を担うのが警備業。守り切ることによって警備業の役割、すばらしさを若い人にも知ってもらいたい」と、警備業界の決意を述べた。

国会予算委員会に出席していた竹本会長と武田良太国家公安委員長は途中から加わった。竹本会長は「警議連はそうそうたるメンバー。全国組織であり、各県の責任者を明確にし、今後も警備業界を支援していきたい」、武田委員長は「東京2020大会をはじめ警備を必要とするビッグイベントが盛りだくさんな年。警察を挙げて取り組むが、足りない部分は警備業に補っていただくことになる。日本の治安にとって警備業はかけがえのない存在だ」と、それぞれ警備業にエールを送った。

特集ワイド  「スマホ無線」で警備2020.02.11

サイエンスアーツ(東京都新宿区、平岡秀一社長)が開発したスマートフォンをIP無線として使うことができるアプリ「Buddycom(バディコム)」は、操作が簡単で高性能なことから警備業で広く活用されている。空港の保安警備で使用している、にしけい(福岡市、大坪潔晴社長)を取材した。

にしけいは、1975年に福岡空港の保安警備業務を受注した。現在は東京国際空港(羽田空港)に400人、福岡空港350人、伊丹空港200人、北九州空港50人、長崎空港70人と、5空港に合計1000余人の警備員を配置。国内線・国際線の受託手荷物検査やハイジャック等防止検査などを行っている。

空港保安警備では、手荷物検査レーンの混雑状況による人員調整や到着便の遅れなどについて、業務中・休憩中の警備員や事務所など全員で情報共有することが必要だ。同社では19年3月まで、警備員同士の連絡手段として社用携帯電話を使用していた。しかし1対1の通話では周囲に情報が伝わらず効率的でないこと、伝達の途中で内容に微妙な違いが生じてしまうことが課題だった。

特に緊急時には迅速で的確な対処が求められることから、IP無線(携帯電話網を使ってデジタルデータや音声通信を行う業務用無線)の導入を検討した。空港内で航空会社の整備士が専用アプリをインストールしたスマホを情報共有手段に使っていることを知り、その実績と機能が自社の業務にも適していることから採用することにした。19年4月に「Buddycom」をインストールしたスマホを、羽田・福岡・伊丹の3空港に合計60台配備した。

「Buddycom」は、スマホやタブレットにアプリをインストールしてログインすればIP無線として使用できる。警備業をはじめ交通インフラや物流などさまざまな業種で活用されており、音声テキスト化やパラレル翻訳(設定した言語への翻訳)、動画配信など、新機能を次々と追加している注目の通信サービスだ。

「Buddycom」を実際に使用してみて感じたことを、福岡空港国内線の空港保安警備を行う3人はこう語った。

福岡空港支社保安検査部業務課・藤本純課長(勤続20年)

業務用無線機を使用していた頃は、空港内で電波が届かないエリアがありましたが、「Buddycom」は空港のどこにいても問題ありません。そして何と言っても一斉送信がありがたい。何か事案があった場合、担当者が上司に報告するだけで全員に共有されます。以前は無線機のほかにボイスレコーダーも携帯していましたが、「Buddycom」にはボイスレコーダーの機能もあるので1台で済むようになりました。話した言葉をそのままテキストとして記録したり、ライブ動画で中継配信する機能もあるということで、今後は今以上に活用していきます。

同検査第1課・矢内真由美係長(勤続15年余)

音質が非常によいことに満足しています。情報共有が効率化されたことで、今まで以上にお客さまへの対応に集中できるようになりました。「Buddycom」を使うまでは、翻訳アプリや資料の閲覧などで使う社内アプリはスマホで、連絡には携帯電話を使用していましたが、今はスマホに一本化できました。

同検査第1課・菊原総司係長(勤続15年余)

事務所では各レーンの混雑状況をモニタリングしていますが、混雑時などの応援の指示をグループ通話で行うことで、全員が瞬時に情報共有できるようになりました。現在は有線のイヤホンマイクを使っていますが、Bluetoothのスピーカーマイクで無線化し、さらに業務効率をアップしたいですね。