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クローズUP

濱田さん施設2級に合格2023.12.11

ゼンコー「車いす警備士」

警備員特別講習事業センター(東京都新宿区、藤本哲哉理事長)は11月25日、ゼンコー(さいたま市、海野弘幸社長)勤務の「車いす警備士」濱田久仁彦さん(63)に施設警備業務2級の「講習会修了証明書」を交付した。同交付を受け濱田さんは近く埼玉県公安委員会に「合格証明書」の交付を申請、初の「検定合格車いす警備員」が誕生する。

濱田さんの検定取得への挑戦は「会社のプロジェクト」(海野社長)として、特別講習実施日11月11・12日の約半年前からスタートした。濱田さんの娘ほどの年齢で既に検定資格を持つ同社先輩警備士が学科と実技の両面にわたり「送り出し教育」に当たった。

本番の講習で濱田さんは、練習同様、車いすを巧みに操作して携帯式金属探知機による不審物探査や警戒杖を用いた護身術を、車いすから降りて足を引きずりながらも負傷者搬送などの課題の実技を行った。

講習会場は埼玉県警備業協会の研修センター。学科は建物2・3階の教室で、実技は1階体育館などで行われた。センター内にはエレベーターはなく、建物上下移動はゼンコー社員1人が濱田さんを背負い、1人が車いすを抱えて運ぶなど4人がサポートした。

合格の報せ(修了証明書)を手に「ホッとしました」と今の心境を語った濱田さん。自身が取り組んだように来夏のパリ五輪で現地の車いす警備員が活躍することに期待を寄せている。

濱田さんは1歳でポリオ(小児麻痺)を発症、両足に運動機能障害が残った。2021年1月にゼンコーに警備士として入社。同年8月には「東京2020」パラリンピック競技大会で手荷物検査の警備業務にも従事した。

海野社長の話大変すばらしい結果となりました。会社のプロジェクトとして取り組んでもらいましたが、濱田さん自身にとっても、警備業界にとっても“新しいトビラ”を開けてくれました。濱田さんの存在は、会社経営方針の一つでもある「警備現場での障害者対応力の向上」に大きく貢献するものと期待しています。

ATU 警備業で初出展2023.12.11

「障害者ワークフェア」

ATUホールディングス(福岡市博多区、岩﨑龍太郎社長)は11月18日、愛知県国際展示場(常滑市)で開催された「障害者ワークフェア2023〜働く障害者を応援する仲間の集い〜」に出展した。警備業の出展は初となった。

同社は自社の障害者活躍事例を紹介したほか、7月に常滑市内で開かれた障害者が職業技能を競い合う「アビリンピック」での警備デモ競技の紹介映像を流すなど、警備業で障害者雇用が可能であることをPR。同社は障害者が必要なサポートを受け従業員と共に働く「ソーシャルファーム」の認定を東京都から受けており、その取り組みも紹介した。

来場者からの声として、大手企業人事部は「障害者の法定雇用率上昇に備え、障害者の職務開発を教えてほしい」、特例子会社からは「警備業務の具体的なノウハウを教えてほしい」などがあった。

障害者ワークフェアは独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED・輪島忍理事長)が主催し、障害者の職業能力や雇用に関する展示、作業体験などを通して障害者の職業能力への理解を深めることが目的。アビリンピックの一環として開催された。

岩﨑社長の話 人材確保が社会的課題となった今、「障害者が警備業務をできるのか」ではなく「障害者に選んでもらえる警備会社か」が問われる時代となりました。

特集ワイド 年末年始ゼロ災2023.12.11

「転倒」対策、5S徹底

2023年も残りわずか。中央労働災害防止協会の「年末年始無災害運動」がスタートした。労災事故で最多を占める「転倒」の防止チェックは欠かせない。北海道警備業協会は「車の死角」をテーマに研修会を開催。岩手県警備業協会は交通誘導警備の安全パトロールを行っている。警備業はゼロ災(無災害)に向けた一層の取り組みが求められている。

中央労働災害防止協会(中災防・東京都港区、竹越徹理事長)の「年末年始無災害運動」は、12月1日から2024年1月15日にかけて行われる。働く人が無事に新年を迎えることができるよう事業場の取り組みを推進する趣旨で、53回目を数える。

今回の標語は「健康と安全で幸せつなぐ年末年始」。

同運動では、慌ただしい年末は労働災害に対する注意が特に必要であるとして▽経営トップによる安全衛生方針の決意表明▽安全衛生パトロールの実施▽KY(危険予知)活動などによる対策と安全確認の再徹底▽安全保護具や安全標識の点検・整備▽作業手順を守る――などを求めている。

転倒災害防止のため5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾=教育)の徹底を促し、注意を喚起している。

交通事故の死者・負傷者数、発生件数は、例年12月がピークとなることから「運転者は、夕暮時の早めのライト点灯を徹底する」「積雪や路面の凍結によるスリップを避けるため急ハンドル、急ブレーキは控える」ことを呼び掛けている。

健康管理では、業務開始前のミーティングなどで健康チェックを行い、体調に不安がある時は無理をしない・させないこと、インフルエンザや新型コロナウイルスの感染予防対策として定期的な換気、せきエチケットの徹底などを要請。「それぞれの職場の特性や実情を踏まえて活動・対策を計画的に進めていくことが大切」としている。

死亡災害は「交通事故」が最多

厚生労働省が取りまとめた今年の労働災害発生状況(速報値、11月7日現在)によると、1月1日〜10月31日に警備業で死亡した人は21人を数え、昨年同期より1人増えた。死亡災害を「型別」で見ると「交通事故(道路)」が最多の9人だった。

今年10月末までに発生した警備業の「死傷災害」(死亡と休業4日以上)は1583件にのぼった。型別では「転倒」が671件で最多、次いで「交通事故(道路)」が192件だった。

北海道警協 車の死角を再認識

北海道警備業協会(長尾昭会長)は11月8日、札幌市内で「労働安全衛生大会」と「交通事故を防止するために」と題する研修会を開催し、50社67人が参加した。

道内では今年、交通誘導警備業務中の警備員が後退してきた作業関係車両にひかれて死亡する事故が3月、5月、7月に発生。協会は“危機的な状況”として労働災害撲滅の緊急決起集会を開くなど対策を推進している。

同研修会では、日本自動車連盟(JAF)札幌支部・細川広夢氏が「車に潜む死角」をテーマに、事故発生時の動画も交えて講話を行った。

「交通事故の約8割は、発見の遅れから発生している」と指摘。留意すべきポイントとして▽車両の周囲を移動する際は、車の動きに注意する▽動いている車に背を向けない、目を離さない、車両の作業半径に立ち入らない▽周囲の関係者とコンタクトし連携を深める――などを挙げた。「作業車両を運転する側も警備する側も『死角の存在』を再認識することが重要だ」と強調した。

研修会に先立ち行われた労働安全大会では、北海道労働局労働基準部・佐藤浩一安全課長が、労働災害発生状況や第14次労働災害防止計画、冬季ゼロ災運動などを説明した。

札幌市建設局土木部雪対策室事業課・井上実課長は「除排雪作業における安全な誘導について」と題し、事故事例を説明して一層の注意を喚起。続いて、参加者一同は安全宣言を行った。

長尾会長は「あらゆる危険を想定して現場を検証し、不備な点があれば速やかに解消してください。警備員教育を徹底し、安全確保と良好な職場環境を確立することは必要不可欠です。経営トップは惜しみない努力を重ねていただきたい」と呼び掛けた。

岩手警協 交通誘導現場を巡回

岩手県警備業協会(及川明彦会長)は労働災害防止の取り組みとして、岩手労働局担当官を講師に招いての研修会、重大労災事故速報を会員に配布しての注意喚起などを行っている。

例年、交通誘導警備の現場を巡回する「交通誘導警備業務指導パトロール活動」を行い、今年は7月1日から来年2月29日にかけて実施中だ。

会員各社から推薦された「パトロール指導員」5班が、それぞれ現場を巡回。重点事項として▽資格者証携帯の有無▽受傷事故防止に向けた立ち位置や緊急時の避難場所、資機材の活用状況(4)安全衛生管理(夏場の熱中症対策など)▽制服関係――を確認し安全意識の向上につなげている。昨年度のパトロールは、合わせて35か所88人の警備員に対し行った。

東北道で失われた21歳の命

岩手県花巻市内の東北自動車道上り線工事現場で、交通誘導警備に従事していた女性警備員が死亡する事故が6月20日の午後1時50分ごろに発生した。

女性は21歳、従業員50人の会社に所属し、経験7か月。走行車両を監視中、後方から後進してきたクレーン付トラックにひかれ、病院に搬送されたが同日亡くなった。

7月7日、岩手警協は「労務災害防止研修会」を開催。労務委員会の吉田繭委員長(新生警備保障)は「労働安全衛生は会社の存続にも影響を与えかねない重要な取り組みの一つ」と指摘。同事故を説明し次のように述べた。

「安全に働ける職場を実現することは安全衛生担当者や経営者の責務であり、さらにはご家族の願いでもあるのです」。