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クローズUP

セコム「ココボ」運用開始2022.02.01

放置物検知、不審者威嚇、点検も

セコム(東京都渋谷区、尾関一郎社長)は1月17日、AIや5Gなど最先端技術を活用したセキュリティーロボット「cocobo(ココボ)」の運用を開始した。

同社では警備員の負担軽減や労働環境改善などの課題解決を目的として最先端技術を活用したセキュリティーの創出に取り組んでいる。その一環として開発されたココボは2021年6月に発表、その後6か月余の試験運用を行っていた。

ココボは巡回ルートを自律走行し、搭載したカメラの映像をリアルタイムで解析して放置物や転倒者などを検知。不審者を発見した際には音声やライトでの警告、煙を使った威嚇を行う。装着したアームを使った点検業務もできる。施設の各種クラウド情報と連携させることで、エレベーターによるフロア移動や災害情報の提供なども可能だ。

セコムは今後、商業施設やオフィスビル、空港など同社グループの常駐警備サービスを導入している顧客にココボを有料でレンタル。2年目以降は年間20〜30台の導入、5年後は年間売上4億円を目指すとしている。

全国にまん延防止措置2022.02.01

「オミクロン株」感染広がる

政府は1月25日、新型コロナの変異株「オミクロン株」による感染者急増を受け、北海道、青森、山形、福島、茨城、栃木、静岡、長野、石川、京都、大阪、兵庫、岡山、島根、福岡、佐賀、大分、鹿児島の18道府県に「まん延防止等重点措置」を適用することを決めた。期間は1月27日から2月20日まで。

すでに1月9日から同31日まで同措置を適用していた広島、山口、沖縄の3県は期間を2月20日まで延長する。

1月21日から2月13日まで適用している東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬、新潟、岐阜、愛知、三重、香川、長崎、熊本、宮崎の13都県を加えると今後、全国で34都道府県が重点措置の対象地域となる。

政府は、まん延防止等重点措置の対象地域に対し、在宅勤務(テレワーク)の活用や休暇取得の促進などによる出勤者数の削減などのほか、接触機会の低減のため時差出勤や自転車通勤などを要請。職場では感染防止のために手洗いや手指消毒、せきエチケット、従業員同士の距離確保、事業場の換気励行、複数人が触る箇所の消毒、発熱などの症状が見られる従業員の出勤自粛、軽症状者に対する抗原簡易キットなどを活用した検査、出張による従業員の移動を減らすためのテレビ会議の活用などを求めている。

警備業でも今後、措置に伴う各種イベント・行事の中止や延期など発注警備業務量の減少や、感染防止のために教育機会や対象者数の削減などの影響が懸念される。

就業規則の変更を2022.02.01

10月からは「産後パパ休」

改正育児・介護休業法が4月から順次施行される。

改正内容は、従業員が育休を取得しやすい雇用環境の整備や従業員への個別の周知・意向確認の義務化など。4月1日までに就業規則を変更し、常時10人以上の従業員を使用する事業場は、同規則の労働基準監督署への届け出が必要だ。

環境整備は、育児休業や10月1日に施行される新たな制度「産後パパ育休」(子の出生後8週間以内に4週間まで分割して取得可能な育休)に関する研修会の実施、育休についての相談体制の整備など。

個別周知や意向確認は、本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た従業員に対し(1)育休制度の内容(2)申し出先(3)育休給付の内容(4)育休期間中に負担する社会保険料の取り扱い――の全てについて、申し出た従業員に面談や書面交付などにより行うことが必要だ。

特集ワイド 鉄道セキュリティー2022.02.01

首都圏の大手私鉄「小田急線」や「京王線」など、走行中の鉄道車両内で乗客が死傷する事件が昨年相次いだため、国土交通省が対策強化に動き出している。同省は車両内に防犯カメラの設置を「義務化」する方針だが、鉄道各社では警備員を車両に同乗させ社内の巡回警備を行う「警乗」を行うなど独自の対策に乗り出している。今後の車内の安全確保のあり方と、警備業の役割を考える。

★車両内の事件が続発

ともに10人以上の負傷者を出した小田急線(8月)と京王線(10月)の事件は、いずれも走行中の車両の中で発生した。11月には東京の地下鉄車両内で男が刃物を持ち出す事件が発生したほか、九州新幹線でも車両内の床に可燃性の液体をまいた男が自らライターで火をつけ逮捕される事件が起きている。

同様の事件は昨年が初めてではなく、2015年には東海道新幹線「のぞみ」車両内で男がガソリンをかぶって焼身自殺を図った事件が、また、18年にも同じ「のぞみ」車両内で無差別殺人事件が発生している。

15年の事件では隣の席にいた女性一人が巻き添えになって亡くなったため、とくにこの事件を契機に新幹線の車両内に防犯カメラの設置と常時録画化が進められるようになった。18年の事故後は鉄道営業法に基づく省令を改正し「適切に梱包されていない刃物」を車両内に持ち込むことができないよう規制が強化されている。

小田急線と京王線の事件の後も駅係員や警備員による駅構内の巡回や車内の警戒添乗、車内アナウンスを活用した警戒警備の周知、伝えたいことを簡単な絵で表した「ピクトグラム」を使った非常通報装置などの表示、乗客の安全な避難誘導、各種非常用設備の表示の共通化など、多岐にわたる対策を国土交通省が発表した。しかし、その多くが呼び掛けや要請の範囲にとどまるもので強制力がない。

★難しい「手荷物検査」

一方で、東京オリンピック・パラリンピックに向けて従来の扱いを見直した「手荷物検査」は一定の効果が見込まれている。以前は検査への協力を乗客に要請することしかできなかったが、昨年7月からは各種規則を改正し「必要に応じて」手荷物検査を行えるようになっている。

しかし、乗客のプライバシーや混雑時に行えるかという課題もあり、事実上、手荷物検査は行われていない。国民の理解も追い付いておらず、周知が行きわたるにはまだ相当の時間がかかりそうだ。

★鉄道規制に「防犯」が

それでも社会の環境変化には対応していかなければならない。鉄道はこれまで「運行の安全」と「事故防止」に各種対策の重点を置き、法に基づく省令相当の「技術基準」もそのような観点で運用、更新が図られてきた。今回も鉄道の技術基準が見直されることになるが、これまで存在しなかった「防犯」の観点が同基準の中に取り込まれる予定だ。

具体的には「防犯カメラ」の車両内設置を原則とする方針で、そのための議論が昨年末に同省に設置された技術基準検討会(座長=古関隆章・東大院工学系研究科電気系工学専攻教授)で始まった。

現時点の同省の考えは、車両を新たに製造する際、あるいは大幅に改修する際の防犯カメラの設置義務化だ。

不足しているように見えるのは「警備員」の活用についての考えが見られないことだ。「ハード」面の対策に重点が置かれる一方、「ソフト(人)」面からも防犯対策に力を入れようとする姿勢が感じられない。全国警備業協会の小澤祥一朗総務部次長は「鉄道施設に『配置基準』を設けるなどの対策が考えられるべきだと思うし、警察庁にも話はしてみた。しかし、現時点で前向きな回答は得られていない」と話している。

★「確信犯」を抑止できるか

現時点の状況をどう見るか、大手16社を含む全国の私鉄72社でつくる日本民営鉄道協会(民鉄協・野本弘文会長)の西尾佳章運輸調整部長兼地方交通室長に尋ねると「防犯カメラが一定の抑止力になるのは間違いない。しかし、小田急線や京王線の事件を見れば分かるように、犯人は自分の行いを正しいと信じて犯行に及ぶ『確信犯』だ。止めようがない」と困惑の表情を浮かべた。

設置する防犯カメラの台数も課題だ。1両に1台の設置では足りず、最低でも「4、5台」なければ犯人が映らない「死角」ができるためだ。

斉藤鉄夫国交相は12月3日の会見で「(防犯カメラが)満たすべき性能や費用負担のあり方など具体策を専門家の意見を聞きながら検討する」と述べた。新たに規制を講じる際は、企業の経営体力に応じて国の助成措置に差を設ける仕組みとなりそうだ。