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クローズUP

詐欺に注意を2019.10.21

千葉青年部 駅で呼び掛け

千葉西警察署(千葉市美浜区、小林経明署長)は10月17日、JR稲毛駅前で「振り込め詐欺撲滅キャンペーン」を行った。

署員15人に加え、同署管内の警備会社16社で組織する千葉西警察署管内警備業協議会(加藤智行会長=MSK)のメンバー10人も参加、署員と一緒に特殊詐欺未然防止のチラシや啓発品を駅利用者に配布した。

今回は初めて千葉県警備業協会の青年部会(岩渕克人部会長=エムサス)の12人も参加。全員が自社警備服に「青年部会」と記された腕章を着け、詐欺被害防止と目前に迫った11月1日の「警備の日」を、チラシや広報用ポケットティッシュなどを配布しながらPRした。

千葉西署が行う防犯や交通安全などの各種活動に協力してきた千葉西協議会の加藤会長は、青年部会の応援を「活気があって頼もしい」と歓迎。詐欺未然防止活動には「地道に続けていくことが大切」と、キャンペーン協力の意義を指摘した。青年部会の岩渕部会長は、「社会貢献活動の一環と警備の日PRのために参加した。(チラシや啓発品を手渡したとき)ご苦労さまと言ってくれる人が多く、警備業への社会の期待を感じた」と、初参加の感想を語った。

「氷河期世代」の就職を支援2019.10.21

全国初「あいちPF」設置

愛知県警備業協会(小塚喜城会長)は10月9日、県内に全国で初めて設置された「あいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム(あいちPF)」に参画した。

「あいちPF」の目的は、おおむね1993年から2004年に学校卒業期を迎え、バブル崩壊後の厳しい経済状況などで未就職や不安定な就労を余儀なくされた「就職氷河期世代」の就職や正社員化などの支援を行うこと。厚生労働省が今年5月に取りまとめた「就職氷河期世代活躍支援プラン」を受けたもので、同プランは6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」にも「就職氷河期世代支援プログラム(3年間の集中支援プグラム)」として盛り込まれた。

「就職氷河期世代」の中心層の35〜44歳では「正規雇用を希望していながら非正規雇用で働いている人」が約50万人、「就業を希望しながら、さまざまな事情で求職活動をしていないなど家事も通学もしていない人」が約40万人いると指摘されている。

「あいちPF」は、厚労省が都道府県プラットフォームのモデル的実施地域に愛知県と熊本県を選定したことを受け、県や愛知労働局が主体となって設置。今後の全国実施に先行した“モデル事例”として注目される。

9日に県庁内で行われた初会合には、関係機関23団体の一つとして愛知警協の田中正和専務理事が出席。委員に就任するとともに、あいちPFの設置要領や概要などについて説明を受けた。

あいちPFは今後、(1)不安定な就労状態にある人(2)長期にわたり無業の人(3)「ひきこもり」など社会参加へ向けた支援を必要とする人――など支援対象者を把握するとともに、事業実施計画の策定や県内機運の醸成、市町村との連携を図り、就職氷河期世代の活躍を支援する。

愛知警協などの業界団体は、同世代を対象とした求人募集や企業説明会・面接会を開催するとともに、正社員化を含む処遇改善などを傘下企業に働きかける。

特集ワイド 「警備の質」確保を2019.10.21

「警備業法施行規則」と「警備員等の検定等に関する規則」の一部改正が施行されて2か月となる。神奈川県警備業協会(畠山操会長)は10月9日、改正内容の理解を深めるため横浜市内で「警備業法施行規則等改正研修会」を開催した。県警本部の担当官が講師を務めた講話から、「警備員教育時間の短縮と頻度の見直し」に絞って改正内容を考察。「警備の質」確保の重要性を再認識した。

研修会には加盟会員260人が出席し、関心の高さがうかがえた。畠山会長はあいさつで「会員各社の業務に直接関係する重要な改正が行われた。内容をしっかり把握していただきたい」と呼び掛けた。

講師は、県警本部生活安全総務課の担当官が務めた。講話の内容は、教育時間短縮・頻度見直しのほかに、教育方法の拡大や雑踏・空港保安警備業務配置基準、講習会の実施基準など、多岐にわたった。

教育時間短縮と頻度見直しは今回の改正の大きな柱だ。新任教育は、教育の免除・短縮の対象とならない一般の警備員については今まで基本教育15時間以上、業務別教育15時間以上が定められていたが、基本教育・業務別教育を合わせて20時間以上となった。

現任教育は、一般の警備員は基本教育が半年ごとに3時間以上、業務別教育が半年ごとに5時間以上、年度ごとに合計16時間以上だったものが、年度ごとに基本教育・業務別教育を合わせて10時間以上と示された。

その他、検定合格証明書や資格者証の交付を受けている者などについては、個別の時間数が設定された。改正前に行った現任教育の時間数は、改正後の教育時間数に計上できる。例えば、前期に8時間の現任教育を終了している場合は、残り2時間以上を行えばよい。

現任教育の頻度が年度になったので「教育計画書」は年度ごとに作成し、年度の終了から2年間保存し営業所に備え付けることが義務となった。今年度(令和元年度)分は特別措置として11月30日までに作成し、備え付けなければならない。

差別化図るチャンス

改正では、警備員教育の時間数が大幅に削減された。しかし見落としてはいけない点は、時間数に続く「以上」の2文字だ。法令で示された時間数は、あくまで“最低限”の時間数。各社の裁量でいくらでも“上乗せ”できる。特に近年は、テロ対策や「サービス介助士」のような高齢者や身体が不自由な人への対応など、警備員に求められる能力は多様化している。これらの能力を身につけるには、十分な教育時間の確保は欠かせない。

教育の自由度が増した分、今後は各警備会社の「警備の質」に差が開くと予想される。警備業はこれまで、他の業界と比較して教育に大きく時間をとり力を入れてきた。その結果、「警備の質」が確保され、今日の警備料金上昇や需要拡大につながったことを忘れてはならない。

現任教育については、「主として従事させる警備業務の区分」を変えた場合に新任の業務別教育が義務づけられていたが、改正後は行う必要がなくなり、年度の現任業務別教育を実施することとなった。「本当に新任の業務別教育をやらなくてよいのか?」という質問が、会員から協会事務局に寄せられたそうだ。それは「やらなくてよい」のではなく「各社の方針に委ねられた」ということであり、「警備の質」を第一に考えれば答えは明白だ。

ある経営者は新任教育20時間の基本教育・業種別教育の時間配分を任されたことから「基本教育1時間・業務別教育19時間でもよいのか?」と疑問を呈していた。警備業法施行規則第38条で基本教育は警備業務に関する基本的な知識と技能に係る5項目について教育することが定めてある。内容は法令関係の知識や事故発生時の対処、応急措置など警備員が知っておくべき重要事項で、短時間で習得することは無理がある。

神奈川警協は研修会の中で、協会が実施している警備員教育の時間割を出席者に配布した。そのカリキュラムは、新任教育20時間を基本教育・業務別教育とも10時間ずつに設定。1号警備は24、2号警備は23の教育項目が3日間の日程で構成されており、加盟各社にとって参考になるものだった。

今回の警備業法施行規則等改正は、「教育に今まで以上に力を入れたい」「教育の幅をもっと広げたい」など、高い志を持つ警備会社が他社と差別化を図り飛躍するチャンスといえる。令和時代の警備業界は、各社のオリジナリティーが試される。