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クローズUP

「身を守って、通報」2020.03.01

埼玉警協「不審者対応ハンドブック」

刃物を持つ不審者を発見した際、「逃げろ!」と大声で周囲の人々に指示し、自分の安全を確保して110番通報を――。埼玉県警備業協会(山﨑守会長)は、現場の警備員に向けた「不審者対応ハンドブック」(A5判、カラー、14ページ)を1000部作成し、会員などに配布した。

昨年来、全国で無差別殺傷事件が相次いだことを受け、警備員が不審者や不審車両、不審物に対処する指針となるよう作成された。「警備員の様子をうかがい、目が合うと足早に通り過ぎる」「一定の場所にたたずみ、警備員が近づくと移動する」など不審者の特徴や、声掛けする際に「犯人扱いしない」「近づかない」などの注意点を分かりやすく説明。刃物など凶器を持つ相手に遭遇した時は「逃げる、周囲の人を逃がす、通報する『Run&Call』が最優先」と訴える。

“教育や現場で、すぐ役立つものを”とのコンセプトで、協会のオリンピック等警備諸課題対策推進特別委員会が意見を出し合い、事務局が監修した。不審に見える行動に障害が関係する場合もあるため、知的障害などを持つ人への対応方法も盛り込んだ。

会員に好評で1000部増刷し、1部55円(税込)で有償頒布している。

警備員不足、国と県に提言2020.03.01

群馬の建設業界

群馬県建設業協会(青柳剛会長=沼田土建)は2月13日と14日の両日、国と県に「交通誘導警備員不足解消のための単価引き上げ」「行政機関と警備業団体との連携強化」などを内容とする提言書を提出した。

群馬県内では昨年10月、台風19号(令和元年東日本台風)により富岡市内で発生した土砂崩れで3人が死亡するなど県内各所で大きな被害が相次ぎ、土木施設の被害額は過去最高を記録した。同被害の復旧工事では、一部地域で人員や資機材の不足が発生したものの、「大きな混乱なく乗り切ることができた」(群馬建協・藤塚永治常務理事)が、同協会は各種課題を検証するために今年1月から2月にかけて加盟275社にアンケート調査を実施した。

約8割が回答した同アンケート結果では、被害が特に集中した富岡地区と吾妻地区を中心に建設作業員と交通誘導警備員が著しく不足していることが判明。両地区では、交通誘導警備員については「かなり不足した」と「やや不足した」を合わせると100パーセントとなるなど、県内の深刻な警備員不足が改めて浮き彫りとなった。

記述式での「意見」でも、▽交通誘導員は絶対数が不足している。改善は急務▽待機させておいて何もなかった場合の費用負担はどうするべきか▽深夜の被災だったため誘導員の手配ができなかった▽交通誘導員は普通作業員で対応した――などの現場の窮状を訴える声が寄せられた。

このため同協会は、交通誘導警備員不足を解消するための単価引き上げと、行政機関と警備業団体との連携強化など全5項目の提言書を作成。13日に県に、翌14日には高崎河川国道事務(高崎市)で開催された「国交省県内出先事務所長との意見交換会」で国に、それぞれ提言書を提出した。

今回の県内建設業界の動きに対し群馬県警備業協会は、歓迎の意向を示している。一方で、警備員不足が「自家警備」促進につながることを憂慮している。

群馬県警備業協会・山﨑松惠会長の話
深刻な警備員不足などの諸問題があり、賃金向上や労働環境の整備等処遇改善が重要問題である。警備員の労務単価引き上げへのご理解は喜ばしく、関連行政・業界と連携して“適正料金の確保”などの諸課題を解決したい。自家警備問題は、顧客や地域住人などの安全安心が最重点と考える。

特集ワイド 効率警備、スマホで 2020.03.01

警備員のスマートフォンと管制のパソコンをインターネットでつなぎ、指示や報告など情報を共有し業務の効率化を実現――。SynaptelJapan(シナプテル・ジャパン、東京都千代田区、ライゾ・コントル・コルネーリア社長)は、警備業向けモバイル型アプリケーション「Synaptel(シナプテル)」の販売を開始した。都内で行われた製品発表会を取材した。

発表会では「シナプテル・ジャパン」のライゾ・コントル・コルネーリア社長があいさつし、斎藤誠輝(のぶてる)取締役が、製品説明を行った。

「シナプテル・ジャパン」は2018年12月、コンピューターソフトの開発・販売を行う「イー・アンド・エム」(東京都千代田区、滝沢次郎社長)とハンガリー企業の合弁会社として設立され、「シナプテル」の機能拡張や日本向けのカスタマイズ販売を行っている。「シナプテル」はハンガリー国内でさまざまな産業で活用されている。日本ではその機能を最大限に活用できることから警備業に向けて販売をスタートした。

このアプリは、社外で働く従業員を多く抱える企業に特に効果がある。警備業では管制のパソコン(PC)と警備員のスマホを通じて、指示・報告の正確な伝達や情報共有を図ることができるアプリだ。管制が作業現場までの経路や業務に関する情報を添付した作業指示を送信すると、警備員はスマホで情報を確認しながら勤務地に移動しスムーズに業務につくことができる。管制は指示を送ったあと、警備員がそれを確認済みかどうか知ることができる。また警備員の現在地をグーグルマップで確認可能だ。

業務終了後は、作業現場の画像や音声メモ、発注元の手書きサインなどをスマホに記録・保存する。位置情報やタイムスタンプ(日時データ)も記録され、警備員は作業報告をスマホで現場や移動中の場所から行うことが可能だ。これらの機能により、作業ミスの削減、リアルタイムの情報共有、ペーパーレスなど経費削減、ルートに迷ったり報告書を書くためだけに帰社するなど、無駄な時間と手間の削減ができる。

万が一、警備員がスマホを紛失した場合、遠隔でスマホをロック可能だ。電波が届かない状態になった場合は、一時的にスマホに内容を自動で保存し、電波がつながったときに自動で管理者に情報を送信する。

同社では今後、警備業に向けて次の3つの機能を追加する予定だ。「出勤・退勤記録機能」は、警備員がスマホで出退勤報告を行うことにより、管制が警備員の勤務状況を即座に把握できる。「警備員配置簡略化機能」は、警備員の保有資格や経験値をデータ化し隊員の配置ベースを自動生成する。「給与計算システム連携機能」は、記録した出退勤時間を給与システムと連動させることで、出退勤時間の登録作業を省くことができる。

スマホ操作が苦手な警備員のための「AIアシスト音声入力」も開発中だ。音声を文字として記録できる機能で、作業中や運転中でスマホの操作ができないときでも、作業報告や出退勤時刻の記録が可能。使用を重ねるとAIが学習して精度が向上し、報告に最適化された文書の記録を行う。

「シナプテル」の使用料金は、初期費用が4万円。この料金には、約4時間の導入・運用サポート、マスタデータ登録、デバイス設定の費用が含まれている。月額利用料は3000円。契約は1ライセンスから可能で1年ずつ更新する。導入後もコールセンターで質問を受け付ける。

現在、「30日間無料お試しキャンペーン」を実施中だ。

▽問い合わせ先(平日午前10時〜午後5時)シナプテル・ジャパン☎03-6261-7718