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クローズUP

「警備の日」PRの季節2023.10.21

東京・神奈川の警協が活動

全国地域安全運動(10月11〜20日)に合わせ、警察と民間団体などによる防犯啓発キャンペーンが各地で展開され、警備業が参加した。10月11日に東京都警備業協会(村井豪会長)青年部会の部会員はJR上野駅構内で、神奈川県警備業協会(岩野経人会長)の会員と青年部会員は横浜市内の百貨店前で、それぞれ特殊詐欺や闇バイトなどの犯罪防止を呼び掛けるとともに11月1日の「警備の日」をPRした。

「ガードくん」参加

神奈川警協は、横浜駅西口と百貨店の間にある地下広場で、県と県警察が実施した「安全・安心まちづくり旬間出陣式」に参加した。

高木宏副会長(オールジャパンサービス)、横浜西支部の根岸強支部長(新日本警備保障)ら25人、青年部会「神鴎会」の高里憲悟部会長(アスカ)ら6人、協会事務局から宗廣中専務理事ら5人の36人は、警備の日を説明するチラシ、ポケットティッシュ、ハンカチを封入した啓発グッズ500セットを通行人に配布した。

今回、全国警備業協会から警備業のマスコット「ガードくん」の着ぐるみを初めて借り受け、PRに活用した。

根岸支部長は「人通りの多い横浜駅近くの地下街でしっかりPRできました」、高里青年部会長は「警備の日の関連では中学生向けの職業体験で警備業を知ってもらう活動も予定しています」と話した。

犯罪防止呼び掛ける

東京警協の安見竜太部会長(シンテイ警備)はじめ青年部会員15人、奥友芳信事務局長と職員らは、協会マスコットキャラクターのビブスを着用、「警備の日」ののぼりを立てて参加した。

警視庁上野警察署・末廣典明署長、上野防犯協会などの関係者とともに、青年部会員は防犯チラシやグッズの入った袋を通行人に手渡し「詐欺電話にご注意下さい」などと声を掛けた。

安見部会長は「防犯の呼び掛けに加えて、警備の日を広報しました。来年2月10日に予定する警備業PRイベント『東京セキュリティフェスタ2024』に向けて部会員一丸で取り組みたい」と話した。

東京警協は配布用の袋(エコバッグ、LEDライト付キーホルダー、『警備の日』ポケットテッシュなど)600個を提供し「官民連携による安全安心なまちづくり」をアピールした。

青年部サミット控え「プレミーティング」2023.10.21

東北地区連、北海道警協

東北地区警備業協会連合会と北海道警備業協会の「青年部サミットin北海道」に向けた「プレミーティング」が9月22日、北海道警協内で開かれた。

10月20日に札幌市内で開かれる5回目のサミットの内容について、オンラインを活用し26人が話し合った。当日は「人材」をテーマに討論と発表を行う。

北海道警協青年部会・大八木貴厳部会長(大光警備)は「人材の確保と育成、定着促進などについて東北地区のメンバーを迎えて活発に議論し、青年部の連携をさらに深めるサミットになれば」と話している。

特集ワイド セコム新ドローン2023.10.21

AI活用、DX実現へ

セコム(東京都渋谷区、尾関一郎社長)は10月12日、人工知能(AI)を活用し巡回・侵入監視を行う警備用ドローン「セコムドローンXX(ダブルエックス)」を2024年春に発売すると発表した。同日公開されたデモンストレーション飛行を取材すると、同社が8年越しで自社開発した「XX」にはさまざまな活用の可能性が秘められていることが見えてきた。

新型機の名称について上田理常務執行役員(企画開発担当)は「セキュリティーに関する用途だけでなく、撮影、点検、防災などさまざまな用途(X)に変革、トランスフォーメーション(X)できるのではないかという思いを込めてダブルエックス(XX)と名付けた」と説明した。セコムは最新技術の活用で自社だけでなく警備業界のDX実現に取り組み続けている。

セコムがセキュリティー分野でドローンを活用できないかと研究に着手したのは2011年頃。セコムIS研究所を中心にドローンに関する調査に着手した。

12年12月、「小型飛行監視ロボット」試作機を発表した。センサーが侵入者や車を検知すると敷地内でドローンが格納庫を自動で発進し自律飛行で追跡するというコンセプトだった。市販機では夜間・雨天・操縦者なし・目視外飛行ができなかったため、自社開発することとし、15年春のサービス開始を目指した。

しかし、15年4月22日、首相官邸にドローンが落下する事件が発生。法改正をはじめ小型無人機に関する規制の見直しに向けた検討が始まる中、政府から問い合わせを受けたセコムは、ドローンの産業利用のため、情報提供にも積極的に協力した。

同年12月10日、改正航空法施行日に合わせてセコムドローンによる侵入監視サービスを開始したと発表した。日本初の「レベル3」(別項参照)飛行の商用ドローンサービスだった。この発表は反響を呼び、特に離陸から充電まで全自動運用が可能であること、雨天・夜間の飛行が可能であること、24時間365日体制であることに関心が集まった。一方、耐風性能への要望、飛行時間・距離が短いこと、Wi―Fi通信が必要なため飛行対象エリアにアクセスポイントを敷設しなければならないことが高コストだといった点が課題として浮かび上がってきた。

18年、次世代機の検討が始まった。長谷川精也企画部担当部長は「初代の特徴を生かしながら、最新技術で飛行性能の向上とAIの活用など機能強化を図り、セキュリティー以外の周辺領域でも広く活用できるように開発した」と振り返る。

警備業界をはじめ人手不足が課題の日本社会でセコムは、ロボットの活用により省人化に寄与する。

XXと初代セコムドローンを比べて最大の進化は飛行性能だ。両者を比較すると、飛行時間は約2倍、飛行速度は約4倍、飛行可能距離は約7倍、飛行範囲は約50倍の広さで最大半径約6キロのエリアを警備することができる。耐風性能も約2倍向上し悪天候下でも利用できる。

次にXXの特徴でもある「24時間対応画像AI」と「追跡機能」の追加だ。365日昼夜を問わず監視を行うため、日中は可視カメラ、夜間は赤外線カメラ、LED照明付きの可視カメラを併用しAIが侵入者などを検出する。検出した人物や車を追跡し続ける「トラッキング」機能で監視をサポートする。

本体以外に格納庫の機能も向上した。格納庫にはこれまでも格納以外に離着陸台などの機能を有していたが、XXの格納庫には充電した電池を自動交換する機能が追加された。充電は1時間半、交換は3分を要する。格納庫には4セットの電池をストックしており、これまでできなかった遠隔操作による連続運用が可能となった。

他にも6つのローターのうち1つが停止した場合に対角のローターを意図的に停止し、4つのローターで着陸する機能や別売りのパラシュートによって故障時などに地上への衝突を緩和することができる。対空灯火を取り付けると夜間飛行時でも有人航空機などから視認することができる。オプション機能では音声拡声も追加された。スピーカーを取り付けると、定型の音声や管制卓からの通話音声を発することができる。侵入者への威かく、重要施設近くの釣り人への移動要請、災害時のアナウンスなどといった活用が見込まれる。

セコムはセコムドローンXXの機体をレンタルで提供する方針。レンタル料は未定だが、警備員による人的警備と同水準にするとしている。

施設周辺の監視などセキュリティー以外にも「公共施設の点検」や「災害時の見回り業務」などにも活用可能で、幅広い業務の自動化・省人化に役立つ。

警備業界でのドローンの活用は年々活発化している。セコム以外にも施設の巡回監視やパトロールにドローンを活用しているケースは珍しくない。一方、外国製品を使用した場合、重要施設の情報が外部に漏れる恐れがあるため、求めやすい価格帯の国産機が待ち望まれている。