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クローズUP

警備員Aは1万4610円2021.12.21

国交省22年度「建築保全業務労務単価」

国土交通省は12月10日、2022年度の「建築保全業務労務単価」を公表した。警備業は警備員A・B・C平均で3.1%増と、今年度の前年度比1.7%増を上回った。

警備業の全国平均の労務単価(日割基礎単価/正規の勤務時間内の1日8時間当たりの単価)は、「警備員A」(施設警備1級の検定資格保有者または業務について高度な技術力・判断力・作業の指導など総合的な技能を持つ実務経験6年以上程度)が前年度比430円(3%)増の1万4610円だった。「警備員B」(施設警備2級の検定資格保有者または作業の内容判断ができる技術力と必要な技能を持つ実務経験3年以上6年未満程度)は同370円(3.1%)増の1万2470円。「警備員C」(AまたはBの指示に従って作業を行う能力を持つ実務経験3年未満程度)は同330円(3.1%)増の1万1030円だった。

正規の勤務時間を超えて午後10時から午前5時までの時間帯の業務に支払う割増基礎単価を算出するための率「割増基礎単価率」は、警備員A9.5%、同B9.7%、同C10.5%。宿直1回当たりの定額単価「宿直単価」は4100円となる。

建築保全業務労務単価は、国が管理する庁舎で行われる警備業務などを、施設管理者が外部業者に委託する際の費用を積算するための参考単価。

「護身用具」など2種の届け出2021.12.21

オンライン申請に追加

警察庁は2022年1月4日から、警備業者に義務付けている「警備業の廃止」と「護身用具」の届け出について、オンラインでの申請も認める。同庁が今年6月から運用を開始した「警察行政手続サイト」で可能な手続きに追加する。

「廃止」は警備業法第10条第1項に基づくもの。警備業者が警備業を廃業した場合に公安委員会への届け出が義務付けられている。「護身用具」は同法第17条第2項に規定。警備員に携帯させる、または変更する護身用具の種類や規格を届け出ることが義務付けられている。

現在、警察行政手続サイトで可能な手続きは警備業法第16条規定の「服装」のみ。新たな手続きは来年1月4日午前10時以降可能となる。

警備品質向上へ2021.12.21

ALSOK 第12回のグループ競技大会

ALSOK(東京都港区、青山幸恭社長)は12月5日、第12回の「グループ協働体品質向上競技大会」を本社安全ビルと東京研修所で開催した。

2010年から始まった同競技大会は、現場実務の競技化を通じてサービス品質の向上を狙うもので、毎年開催している。

大会を視察した村井温会長は「警備業は新型コロナのワクチン接種場の運営補助などで社会の期待に応えている。本大会をしっかり実施することが何よりも大切である」と述べた。

全国の予選を勝ち抜いた75事業所、158人の警備員が競技会に参加し、警備輸送品質や屋内消火栓操法など14競技を競った結果、「第一地域本部(東京)」が優勝した。

競技には、コロナ感染者が出た際の対応法を競う「感染防止対策に配慮した救命処置」も含まれ、客先で「人が倒れた」との一報を受けた警備員がAEDで救命処置を行ってから救急に引き継ぐまでの技が繰り広げられた。

警備業今年のニュース102021.12.21

JV553社が集結、大会の安全守る

新型コロナ感染拡大による1年延期、さらには公道での聖火リレーの中止や競技会場の無観客など、前代未聞の開催となった東京五輪が7月23日、パラリンピックは8月24日、それぞれ開幕した。

警備は五輪史上初めて民間警備会社553社による共同企業体「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会企業共同体」(警備JV・共同代表=セコム、ALSOK)が担当。準備期間を含め1月5日から10月31日までの間に従事した警備員数は延べ53万5000人、1都3県を中心とする首都圏会場の警備に当たった警備JV所属企業の延べ警備員数は46万7300人だった。

海外メディアからは「フレンドリー」「真のヒーローは彼らだ」など大会警備に従事した警備員に対する賞賛が相次いだ。

初の「車いす」警備員として注目を集めたゼンコー(さいたま市、海野弘幸社長)勤務の濱田久仁彦さん(61)も、パラリンピック大会警備に従事した。

全警協が成長戦略アクションプラン

全国警備業協会(中山泰男会長)は6月の定時総会で「全警協アクションプラン(案)」を明らかにした。

同プランは、中山会長を委員長とする「基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)」が取りまとめた。警備員不足や厳しさを増す警備業を取り巻く環境を踏まえ、(1)外国人雇用(2)ICT・テクノロジー活用(3)成長戦略に資する警備業法見直し(4)経営基盤強化・単価引き上げ策(5)災害時の警備業の役割明確化――の5テーマを設定。テーマごとに作業部会を編成し、課題を整理するとともに短期・中長期の取り組みをまとめた。

全警協はアクションプラン(案)を“たたき台”として理事や総務委員会などの意見を聞き、速やかな実行を目指す。

自主行動計画改訂、適正取引推進図る

全国警備業協会は10月7日、「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」を改訂した。感染症対策などで警備会社が一方的に負担を強いられないよう、発注者に必要経費、キャンセル料を求めることなどが明記された。

改訂に先立ち、2018年に策定された同計画の進捗確認「フォローアップ調査」も行った。今回の改訂は、全警協、都道府県警協が業界内に浸透を図ってきた同計画を、コロナ禍の中で推進し経営基盤を強化するよう呼び掛けるものとなった。

東日本大震災発生から10年

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、今年10年を迎えた。震災翌年に創刊した本紙は、風化を避ける思いを読者と共有するため、被災地で復興に取り組む「警備業」に毎年光を当て続け、今年も現地の声を届けた。

復興庁によると、今年3月現在の同震災による死者数は1万9747人(関連死含む)を数え、行方不明者2500人を加えると2万人を超える。

ピーク時35万人近くいた避難者は、今年2月時点で約4万人まで減少したが、原発事故による放射線の影響などで自宅に帰れない人が、震災から10年経った今も福島県を中心に膨大な数に上る。

被災3県の復興工事が原発関連を除きほぼ終了した今、「真の復興」に向け国を挙げた現地への支援が求められる。

最賃大幅アップ28円の引き上げ

最低賃金が大幅に引き上げられ、過去最高の28円増となった。40都道府県が目安額の28円増、7県は目安額を上回り全国平均で930円となった。一方、コロナ禍で経営の厳しい中小企業などに対しては、助成金などによる支援も始まった。

警備業は他業種に比べ低賃金と指摘されてきたが、最賃引き上げは警備料金引き上げの好材料として注目されている。

コロナ禍の影響大、ガイドライン改訂

政府は1月、新型コロナの感染拡大を受け、昨年4月に続き埼玉・千葉・東京・神奈川の1都3県に「緊急事態宣言」を発出した。同13日には大阪・京都・兵庫の関西3府県と愛知・岐阜・福岡・栃木の4県を追加、対象地域は全11都府県となった。その後も感染拡大は衰えを見せず、一部地域の同宣言は9月30日まで続いた。

全国警備業協会は9月、感染力の強い「変異株」が相次いで確認されていることなどを受けて「警備業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を改訂、対策を強化・拡充した。

警備業は各種イベントの中止・延期、規模縮小などにより、特に雑踏警備を主体とする警備会社が大きな打撃を受けた。施設警備は、施設の休館・閉鎖、企業のテレワーク推進によりポスト数を減らされた会社もあった。警備員特別講習事業センターや都道府県警備業協会が行ってきた特別講習や各種教育・研修も延期や中止となり、警備員教育に遅れが生じた。

青年部活動広がる、全国30警協に設置

昨年はコロナ禍で中止となった「全国青年部会長・女性部会長会議」が3月10日、2年ぶりに開かれた。初のオンライン形式で29青年部会と4女性部会が参加し「警備料金問題」などをテーマに議論した。

「11月1日・警備の日」には、青年部が企画した警備業のPR活動が各地で展開された。コロナ禍による制約の中でイベントのユーチューブ配信、清掃ボランティアによるSDGsの取り組み、警備業のアンケート調査などが行われた。

東北地区警備業協会連合会が12月3日に開いた「青年部サミット」には、東北6県と北海道の青年部会が参加するなど、県境を越え横の連携を強化する取り組みも広がった。青年部は今年、島根警協と長野警協で新設され合計30となった。

eラーニング導入、内容充実し来春に

全国警備業協会は、10月に導入を予定していた「全警協eラーニング」を来年4月に延期した。コンテンツに磨きをかけるためで、内容充実に今年度いっぱい時間を割くことにした。

eラーニングは電気通信回線を用いたインターネットの活用を想定した教育。2019年改正の警備業法施行規則により法定教育の講義(座学)で使用が初めて認められた。「東京2020」の警備員教育でも活用され教育効果を確認。コロナ感染拡大で各種の複合教育が相次ぎ中止となり、感染リスクの低いeラーニングへの期待は高い。

全警協eラーニングは、受講時間「基本教育」5時間・「交通誘導警備業務」と「施設警備業務」は各5時間、受講料1年3300円(税込み)、受講場所は原則各社・1人の受講者に1つのID――などの制度設計となっている。

初の1万社突破、警備員58万人に

警察庁は7月、2020年12月末現在の「警備業の概要」を公表した。警備業法第4条に基づく都道府県公安委員会の認定を受けた業者「4条業者」は前年に比べ205社(2.1%)増の1万113社となり、初めて1万社を超えた。

警備員数は58万836人と最多を記録。警備員の男女の内訳は、男性54万8832人、女性3万9532人。女性は同2559人増となり、全警備員数の6.7%(前年比0.2%増)となった。

警備業から2人が叙勲

警備業から2人が叙勲を受章した。春の叙勲で、千葉英明氏(前宮城警協会長)と髙橋徹氏(東京警協副会長)が旭日双光章を受章した。警備業界の受章者は合計で32人になった。