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クローズUP

念頭の辞 コロナに負けない2021.01.01

警備業の役割、世に訴える
全国警備業協会 会長 中山泰男

昨年は突如1月に発生した新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、警備業界も大きな影響を受けた年でした。とりわけテーマパークや各種イベントの警備について、イベント等は当初に比べて徐々に制限の緩和とともに再開されてはきましたが、規模縮小等の影響により、配置ポスト数の削減から警備業務の受注も減少し、事業活動を大幅に縮小せざるを得ない事態にも陥りました。

こうしたコロナへの対応に加え、警備業を取り巻く情勢は依然として厳しい状況が続いています。特に警備員不足の深刻化、技術革新などによる環境の変化等々、危機意識を持って取り組まなければならない課題が山積しています。

こうした中、全国警備業協会は昨年、警察庁をはじめ関係省庁・業界の多大なご支援・ご協力をいただきながら、主に2つの重要な施策に取り組んできました。

第一は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う対応です。

全警協では、昨年3月5日及び6日の第1弾の要望書を皮切りに、3月26日の第2弾、5月22日の第3弾にわたって、内閣官房等に対して要望書を提出しました。これを受けて、警察庁関係では「警備業法及び下位法令等によって定められている各種有効期間の延長」について、管轄する都道府県警察本部・警察署に問い合わせるよう警察庁ホームページに掲載をしていただきました。

国土交通省関係では、6月9日に各地方整備局等に対し、新型コロナウイルスへの感染症防止対策について、「警備業者を含む下請けの方々へも徹底を図ること」及び「かかる経費については、設計変更を行い、発注者(国交省)が適切に負担すること」等が盛り込まれた通達を出していただくなどの効果が出たところです。

さらに、全警協は5月4日に政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が変更されたことなどを踏まえ、各警備業者が新型コロナウイルス感染予防を行いながら、適正な警備業務を実施するに当たっての対策等を取りまとめた「ガイドライン」を5月14日に策定しました。ガイドラインについては、同日付で全警協ホームページに掲載するとともに、各都道府県警備業協会を通じて全国の加盟員に対し、ガイドラインを参考に各事業者の実情に合わせた対策を講じ、新型コロナウイルスへの一層の感染防止に努めていただくよう、周知徹底を行ったところです。

ここで本年の課題の一つとして、エッセンシャルワーカーとしての警備業の役割を世の中にしっかりと訴えていく必要があると考えています。

警備業はエッセンシャルワークの必要上、リモートワークの活用にも限界があり、自らのリスクを背負いながら、社会のセーフティーネットの役割を果たしていると言えます。「ウィズ・コロナ」が長く続くと想定される中、こうした警備業が果たしている重要な役割を世の中に強く訴え、警備業の処遇改善にも大きくつなげていきたいと考えます。従って、世の中に感染防止への信頼感を与えるガイドラインの役割は大きく、今後とも政府の動向やその時々の世の中の情勢を踏まえて、ガイドラインを随時適切に見直し、感染防止の徹底に努めます。

第二は、基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)の開催です。

全警協では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はもとより、警備員不足等、ここ数年で一段と厳しさを増した警備業を取り巻く環境を踏まえ、7月に基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)を立ち上げました。

(1)外国人雇用(2)CTテクノロジーの活用(3)成長戦略に資する警備業法の見直し(4)経営基盤の強化、単価引き上げ策(5)災害時における警備業の役割の明確化――の5テーマごとに作業部会を設け、喫緊かつ重要な課題に絞り込んだ議論を行っています。

それぞれの課題については、本年度の定時総会を目途にアクションプラン及び提言を策定するべく、今後も各作業部会を中心に積極的な議論を行います。

本年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって1年延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される予定です。

この一大イベントに警備業界として積極的に参加し、コロナを克服し安全安心な大会運営に貢献することが、警備業のさらなる飛躍にとってまたとない機会になります。

全警協は、皆さまのご理解とご支援を賜りながら、業界内外への発信力を高めつつ、会員ファーストの精神で一つずつ着実に諸課題の解決に努めます。

治安確保へ官民連携図る
警察庁生活安全局 局長 小田部耕治

現下の治安情勢は、官民一体となった継続的な犯罪抑止総合対策の結果、昨年の刑法犯認知件数は平成14年のピーク時に比べて約4分の1にまで減少し、過去最低となっています。皆さまには、安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向け、多大なご理解とご協力をいただき、心から感謝を申し上げます。

その一方で、SNSをきっかけとする女性・子供を対象とした犯罪や高齢者を狙った特殊詐欺が後を絶たないほか、新型コロナウイルス感染症に関連した犯罪等が懸念されるなど、依然として予断を許さない状況にあります。

こうした中、警備業は国民に幅広く生活安全サービスを提供する産業として発展し、全国の約57万人の警備員の方々が、多様な警備業務を通じて犯罪抑止に寄与されているところです。

また、昨年4月の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言時には、警備業は社会の安定の維持の観点から、緊急事態措置の期間中にも、企業活動・治安の維持に必要なサービスとして位置づけられ、最低限の事業継続を要請されることとなり、その重要性が改めて認識されたところです。

警備業に携わる皆さま方におかれましては、警備業が果たすべき社会的役割や責任を十分に認識していただくとともに、引き続き、警備業務の適正な実施に取り組まれますよう、お願い申し上げます。

警察は、今後とも良好な治安の確保に向けて、官民連携を図りながら、各種対策を推進してまいります。引き続き、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

警備業、警備員の地位向上
全国警備業連盟 理事長 青山幸恭(全国警備業協会 顧問)

昨年はコロナに明け暮れた一年でしたが、その中にあっても警備業連盟は昨年末現在で24道府県に設立され、今春には東京都においても設立が予定されています。

連盟の意義については改めて申すまでもありません。警備業協会は政府や知事・市長部局に意見を申し述べるところですが、議会制民主主義の下にあっては、政府、地方自治体は議会承認を経て政策が決定される訳であり、政策立案の政治過程において私どもの意見を申し述べ、協会運営と併せこの活動を着実に進めることにより、警備業と警備員の地位向上に資することを目指しています。

昨年は新年賀詞交歓会に自民党・鈴木総務会長(当時)、公明党・井上副代表以下14名の国会議員が出席されました。政府のコロナ禍対策立案と補正予算編成では、強力な要請活動の結果、警備業を「感染防止に配慮しつつ事業継続を要請すべき業種」に指定、信用保証の特例措置への追加など、所要の成果を収めたところです。

秋口からは補正予算対応で雇用調整助成金の期限延長と関係予算措置、所得拡大促進税制の延長と要件緩和等、中小企業税制の充実を各方面に働きかけ、宮沢洋一税調小委員長にもしっかりと説明させていただきました。

交通誘導警備と施設警備の単価引上げは引き続き強力に要望するとともに、災害と警備業の在り方については、要検討事項として今後の制度改正と併せて進めていきます。なお最低制限価格制度導入、分離発注については都道府県での徹底が最も重要であります。

今年は一年遅れの五輪、業界を挙げて対応が必要です。五輪は2022年冬の北京、24年夏のパリと続き、25年には大阪万博、27年には横浜で花博が開催されます。コロナに打ち勝つ五輪を目指し、東京のみならず日本全体の行事であり、警備業に期待されるところは極めて大きいものがあります。

2020年代の警備業の将来を確実なものとするためには、少子高齢化の中、他業界に遅れることなく人員の確保、更にはデジタル化やIoT化、ロボット活用等の生産性向上が極めて大切であり、このためには関係省庁や都道府県等の施策を私どもの方に向けさせなければなりません。

全力で警備業支援続ける
警備業の更なる発展を応援する議員連盟
会長 竹本直一(衆議院議員)

コロナ禍の中、国民生活に不可欠な仕事「エッセンシャルワーク」として日夜、感染の危険も顧みずに国民生活の安全安心を支えている警備業の皆さまには、改めて感謝を申し上げます。

自民党有志議員80余名で構成する「警備業の更なる発展を応援する議員連盟(警議連)」は発足以来、警備業の皆さまに寄り添ってまいりましたが、今般のコロナ禍に対しても、皆さまの苦境に耳を傾け、全力で支援していきます。

五輪史上初めて1年延期となった「東京2020」が今夏開催されます。わが国警備業は、大会スポンサーでもあるセコム、ALSOK両社を中心に、五輪警備で初めて民間警備会社による共同企業体を組織して“オールジャパン”の警備体制を整え、万全の準備をしてきました。コロナ感染の猛威は収まらず、依然予断を許さない状況ですが、大会は日本の警備業の実力を世界に見せつける絶好の機会であり、1964年大会に続き、警備業のさらなる発展の原動力となることと確信いたします。

警議連発足以来、会長を務める私は、昨年9月までIT担当相を拝命しておりました。その間、警備業をはじめとする中小企業のIT化に取り組んできました。菅政権は「行政のデジタル化」などを推進していく予定です。これに伴い警備業でも各種申請や手続きのデジタル化が予想されますが、これまでの経験をもとに警備業のデジタル化・IT化にも引き続き尽力してまいります。

コロナ禍によって改めて明らかとなった国民生活に不可欠な警備業。事業者や警備員の皆さんが安心してこれからも活躍できるよう、警議連はこれからも警備業を支え続けます。

コロナ禍にやるべきこと
セコム 創業者・最高顧問 飯田亮

昨年、日本は新型コロナウイルスの感染拡大で、社会も経済も戦後では経験したことのない苦難を強いられた。これは日本のみならず世界の多くの国がコロナ禍で苦闘した。新型は第3波の渦中で、コロナ後の明るい兆しはまだ見えてこないが、我々は新型コロナ対策と経済の両立を図りながら、社会にとって不可欠な「安全・安心」の提供に努めなければならない。こうした困難な仕事の環境や社会生活の中で、グループの仲間が日々懸命に安全業務に邁進してくれたことにお礼を申し上げます。

新型コロナの根本的な対策としては、開発されたワクチン供給が重要な鍵となる。政府は今年前半にはすべての国民に提供できる数量のワクチンを確保すると発表しているが、多くの国民がワクチンを接種して、約7割の人が抗体を持つと感染は終息に向かう。ただ多くの人がワクチンを接種するには時間がかかるだろうし、それまでにまた何回目かの感染拡大の波が来るかもしれない。

引き続き、マスクの着用、検温、出社時・帰社時・帰宅時などの手洗い、手指消毒の励行、3密を避けるなど、感染防止対策を徹底し、万全を期すことが重要である。「うつらない、うつさない」ことで、自分を守るとともに、お客さま、ご家族を守ることに最大限の注意を払って、仕事に精励してほしい。

7月23日からは1年延期となった東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される。

コロナ禍で難しい警備となるが、大会の基盤である「安全・安心」を、我々がこれまで準備してきた訓練を生かし、他社の協力も得て、万全な警備を提供したいと考える。

また、3月11日には2011年の「東日本大震災」の発生から10年の節目を迎える。地域によってはまだ復興途上のところもあり、グループの社員や家族も数多くの方が被災され、いろいろとご苦労されたものとお察しします。日本は新型コロナのような疫病だけでなく、大地震や台風・集中豪雨などによる自然災害はいつなんどき発生するかもしれない。いかなる時も「常在戦場」の気構えで、コロナ後の「より良い社会」の構築に向けて貢献していかなければならない。

周到な準備、訓練を
ALSOK 代表取締役会長 村井温

今年は、いよいよ東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開かれます。我々は日々の業務に努めるとともに、その準備に万全を期していかねばなりません。

警備の成否によって、日本の国際的な評価が大きく左右されるのみならず、日本の警備業の鼎の軽重が問われることにもなります。いささかの遺漏も許されませんが、これまでの大規模警備の経験や実績に鑑みれば、我々は自信を持って対処しても大丈夫です。

本番を立派にこなすためには、その何倍もの周到な準備が必要であることを念頭に置いて、細部について今のうちに徹底的に点検するなど、後悔のないよう更なる準備、訓練等に励んで下さい。

新型コロナの下での業績の拡大については、前々から「業績が悪いのを景気のせいにするな」と申し述べておりますが、これは新型コロナについても同じです。コロナのために世のなか全体の経済活動が低調になろうとも、必ず業績を上げるという決意を持ち、実現してこそ我が社の基本精神である武士の精神を体現したことになります。

そのためには、一本調子でこれまでと同じことばかりするのではなく、知恵を絞ることが必要ですが、人間には、そのために頭が付いていることを再確認して下さい。

特に、営業員の諸君は、運用現場では仲間の隊員たちがコロナの危険に曝されながら日夜業務に励んでいることに思いを致し、テレワークを含め、「フルに活動して確実に仕事を取ってくる」という気概を持って計画を達成して下さい。

環境変化に柔軟に対応
セントラル警備保障
代表取締役執行役員社長 澤本尚志

新型コロナウイルス感染症拡大の長期化による影響で経済のマイナス成長、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の加速、新しい生活スタイルなどさまざまな変化が起こりました。

セントラル警備保障(CSP)グループは、感染予防対策とその実行を徹底し、警備サービスへの影響を最小限に抑えられるよう努めています。

2020年2月期からスタートした中期経営計画「Creative 2023」は、コロナ禍においても変更はありません。

ブランドコンセプトを「Creative Security Partner(略:CSP)」として、単なる警備会社から「技術サービス企業」への変革を目指し、従来から取り組んでいる機械化、効率化をさらに推進してきました。

その中でも、JR高輪ゲートウェイ駅における「自律移動型警備ロボット」の試行導入、画像解析・AIを駆使して進化した新画像監視サービス「VACSシステム」のサービス開始、ウエアラブルカメラを活用した巡回業務など、先端技術を取り入れた“新しい警備のカタチ”を追求しています。

さらに、監視業務におけるサービスの平準化とサービス品質の向上を目的に指令統括事業部を新設しました。首都圏に点在していた指令機能の集約、画像センターの監視能力を拡充し、統合的な運用を実現させました。

SDGsに向けた取り組みでは、子育て支援を目的とした改札通過通知サービス「まもレール」の対象エリアを首都圏496駅へ拡大するとともに、サービス対象については18歳以下の子ども限定からシニア、障がい者の方にも拡大し、より多くの方がご利用できるサービスへと生まれ変わりました。

今後も続く不安定な社会情勢の中、人口減少、少子高齢化及び多様な人材、働き方といった社会を取り巻く環境の変化にも柔軟に対応できる企業として「Creative 2023」の実現を推進していきます。

本年もCSPグループ一丸となり「新しい警備のカタチ」を追求し、安全安心な社会づくりに貢献してまいります。

ポジティブに立ち向かう
全日警 代表取締役社長 片岡由文

昨年のコロナ禍、全日警の直面した課題に対し、社員の皆さま一人ひとりの力を結集し、ご尽力いただきましたことに心から感謝します。

今年もウイズ・コロナの状況は続くと思われますが、「今だから出来ることがある」とポジティブに立ち向かい、新たな実績を積み上げていきましょう。

延期された東京2020オリンピック・パラリンピックも開催されます。

警備業界が大きな転換期を迎えるこの時代に、IoTやAIといった技術を取り入れた新たな警備スタイルを皆さんと力を合わせ創り上げ、当社の価値を社会にアピールするチャンスの年にしましょう。そして新しい年が、皆さまとご家族にとってよりよい年になることを心から祈念します。

危機管理への対応力強化
セノン 代表取締役社長 小谷野宗靖

昨年は新型コロナウイルスが流行し、我が国の経済環境に大きな打撃を与えました。終息の兆しも見えない中、全社を挙げて徹底した危機管理体制のもと、お客さまへの影響を最小限に留める万全なサービス体制の構築に努め、無事に新しい年を迎えることができました。

本年はワクチン開発が進み明るい兆しもある中、セノンは新たな業務領域の拡充を図ります。昨年9月には、杉並区に開設したネットワークセンターにおいて、広範な遠隔監視、音声通信、ウェブシステムを駆使し、各業務部門に必要な情報の収集と提供を進め、通常時はもとより、危機管理への対応力を強化し、お客さまのニーズへの柔軟な対応に努めています。

今後は、ネットワークセンターを活用し、地域ごとの運用を徐々に統合、拡充を図り、機能性と効率性を備えたシステム構築を広域展開します。

昨年、コロナ禍により多くのイベントが中止される中、東京ドームや神宮球場などに『守りの名手』の広告掲出を通じて、各種スポーツサポートに努めてきました。今年は、特に未来を担う青少年の夢をつなぐためにも各種スポーツイベントをサポートします。

今夏は昨年延期された東京オリンピック・パラリンピックが予定されています。当社も警備共同企業体の理事会社として、大会警備の一翼を担い、是が非でも大会を成功裏に導くことができるよう、業界の皆さまと力を合わせ、全力を尽くす所存です。

事件・事故を起こさぬ会社
共栄セキュリティーサービス 代表取締役社長 我妻文男

新型コロナウイルス感染症に罹患された方々に謹んでお見舞い申し上げます。共栄セキュリティーサービスは医療コンサル機関と業務提携し「コロナ対策警備」を運用していますが、引き続き社員とお客さまの安全確保、感染拡大の防止を最優先に取り組みます。

警備という仕事は、常に危険や不安に向き合わなければなりません。それを吹き飛ばすためには、毎日やるべきことをする、日々の業務を誠実に実践することを積み重ねるしかありません。今年は延期となった東京五輪・パラリンピックも開催されます。1年後、振り返った時に「やった!」と言える年になるように、日々の業務に誠実に向き合ってまいります。

今年も教育スローガンである「教育のレベルは、会社のレベル」と「ワンパーソン、ワンライセンス(一人一資格)」を強力に推進し、警備の“職人”を育成していきます。当社は“ひと”に投資していきます。安全・安心のラストワンマイルは、“ひと”でしか守れないからです。教育訓練を積み重ね、ライセンス所有者である“職人”は、仕事への自信に満ちあふれ、モチベーションが向上します。

正社員採用と正社員化も進めます。正社員には「責任」が伴います。責任とは、誠実に毎日やるべきことをすること、発言や行動が正しくあることです。正社員比率を高めていくことによって、事件・事故を起こさない会社を目指します。

これらの実行と成果を積み重ね、業界の給与水準を高め、業界の地位向上にも貢献したいと考えています。また、業界の課題でもあるDX(デジタルトランスフォーメーション)にも取り組み、50年後まで持続可能なビジネスモデルの確立を図ります。

警備業の歴史を変える
東北地区警備業協会連合会
会長 氏家仁(トスネット 代表取締役社長)

東北地区警備業協会連合会は「警備業界の歴史を変えるのは東北」との強い“合い言葉”の下、信念を持って活動してきました。

昨年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で各種行事が中断、生活様式をはじめ社会構造が大きく変化した1年でしたが、私たちはさまざまなリスクと闘いながら第2回目の「青年部サミット」を開催しました。

何故、この活動だけは、こうした情勢下にも関わらず行ったのか――。参加した青年部員に問い続けました。警備業の経営戦略として、次の成長に向けた警備業の新しい挑戦を語る上で一番大切なことは「チャンスとピンチの見極め」と「マイナスをプラスに転じる」発想の転換革命が求められると訴えました。

青年部のこうした活動は、警備業の新たな挑戦として業界の地図を塗り替えるインパクトのある事業として、また、産業革命にも匹敵するほど業界に波紋を投げ掛けたものと信じています。強く成長する警備業を創るには、歴史上の著名人の言葉を引用するならば「古い地図を捨て新たな地図と羅針盤を持って、未来を切り開かなければならない」「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし」とエールを贈っています。

警備業界には、解決しなければならないさまざまな構造的課題がありますが、青年部を成長させ、私たちが柔軟に舵を切れば立ちはだかる壁を打ち破ることができると信じています。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、業界の「未来への継承と発展」を合い言葉に、魅力ある業界へと社会から必要とされる産業であり続けるためにも、若い力を育て、もって警備業の歴史を変える。警備業の夢という大義をもって“東北魂”を全国に発信するべく東北各県協会も団結し決意を新たにしています。

業界の更なる発展を期す
関東地区警備業協会連合会
会長 島村宏(日警 取締役会長)

昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い「東京2020オリンピック・パラリンピック大会」が延期となり、業界を挙げて大規模警備への準備を進めてきたところ、大変残念な結果となりました。

本年の開催形式は検討が進められていますが、いずれにしてもテロ対策と新型コロナ対策に万全を期して取り組んで参りたいと考えています。

一方、新型コロナの影響により、各種経済活動は低迷し、警備業界でも多大な影響を受けています。業績回復にはまだまだ相当な時間を要するものと思われ、長丁場の戦いとなる状況ですが、我々は手をこまねき、歩みを止めている訳にはいきません。

全国加盟員の約25パーセントを擁する関東地区連内の各県協会では、新型コロナに屈することなく、アフター・コロナ、ウィズ・コロナの時代を見据え、関係情報を収集分析して顧客の求めるニーズに応じた新事業サービスを創造、タイムリーに提供して「生活安全産業」としての責任と使命を果たし、業界の更なる発展を期していかなければならないと考えているところです。

「労働集約型産業」の典型である警備業は、深刻な人手不足や適正な警備料金の確保など克服すべき課題は山積し、取り巻く情勢は依然厳しいものがあります。これら課題を一つひとつ解決しながら、引き続き住民の皆さまの信頼に応え得る「より質の高い安全で安心できる警備業務」の提供を目指し、一丸となって努力していきます。

着実に前進する丑年に
中部地区警備業協会連合会
会長 小塚喜城(コアズ 代表取締役社長)

昨年は、中国に発生した新型コロナウイルス感染症が瞬く間に全世界に拡大し、我が国においても例外なく感染が拡大しました。まさに人類と目に見えぬ脅威との壮絶な戦いの中で、仕事への取り組み方、働き方を含め、日常生活を大きく変化させることを余儀なくされた1年でした。

戦いは現在も続き、警備業にも甚大な影響を及ぼしています。このような中、全国警備業協会はいち早く新型コロナウイルス感染症対策に着手、「警備業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」の策定をはじめ、政府等への各種要望等を行うなど、社会に安全・安心を提供する生活安全産業としていささかの間隙や質の低下を招くことのないよう尽力されてきたところです。

愛知県警備業協会や中部地区警備業協会連合会においても会員各社の警備員一人ひとりに至るまでガイドラインに則った感染防止対策の周知徹底と感染実態に合わせた各種感染防止対策を図りつつ、「エッセンシャル・ワーカー」として、良質な警備業務の提供が維持できるよう尽力してきました。

こうした中、東京2020オリンピック・パラリンピックが延期されましたが、今夏にはその開催も予定されています。アスリート、関係者、観客はもとより世界中の人々に感動を与える大会の成功を、警備面から一翼を担う警備業界がその力を全世界に示す好機と考えます。

業界を取り巻く現状には依然として厳しいものがあります。喫緊の課題であるコロナ禍の克服はもちろん、警備員不足への対応、業務の適正化や経営基盤強化のための各種施策の推進等取り組みを継続し、一歩一歩着実に前進する丑年であることを願っています。

大阪関西万博に備える
近畿地区警備業協会連合会
会長 宇多雅詩(全日本パトロール警備保障 取締役会長)

わずか1年前、穏やかに年初の挨拶を交わしたのも束の間、日を追うごとに見えない敵が活動を強め、ついには経済生活が完全にストップするという未曾有の事態を招き、日本は、世界はどうなるのか、誰もが経験したことのない巨大な敵との戦いを余儀なくされました。

一方で、この大きな試練によって、旧態依然とした発想を改め、全国警備業協会においては新たな警備員教育の必要性を検討されているほか、京都府警備業協会においても、若手経営者がコロナ禍における実効ある警備員教育のあり方を研究し、『実技訓練に電気通信回線を利用した教育方法を導入することは対面教育の足らざるを補完できる』として関係機関への働き掛けを要望したところです。

まだまだ敵の活動に収束は見えず、第3波の動向を注視する必要があり油断は禁物ですが、このように雨降って地固まるの如く、次世代の警備への意識改革が進展し、さらに本年中には待望のワクチンが我々の下に届くとの期待が高まる中、希望の光が大きくなりつつあります。

今夏のオリンピック、そして4年後の大阪関西万博の開催と重大な国家プロジェクトが控えています。近畿地区警備業協会連合会では、これまで以上に各府県が密接に連携を図るとともに協力体制を確立して、万全の備えと細心の注意をもって、これらのプロジェクトの実現に尽力する所存です。

災害時の広域連携を強化
中国地区警備業協会連合会
会長 村本尚之(ケイビ 代表取締役社長)

昨年は、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、世界的にも経済活動に大きな打撃を受けました。国内においても、各業界が厳しい経営を強いられ、警備業界でもイベントが相次いで中止になるなど、大きな影響を受け、大変苦労した1年となりました。現在、欧米ではワクチン接種も始まりましたが、未だに先行きが見通せないという不透明な状況です。

一方で、毎年のように全国で発生している自然災害に目を向けると、昨年は中国地区の広島県内では大きな被害はありませんでしたが、九州地方では球磨川が氾濫、甚大な被害をもたらしました。

こうした自然災害に備え広島県警備業協会では昨年3月、県と「災害時における地域安全等の確保に係る警備業務に関する協定(災害支援協定)」を締結し、発生時に迅速・的確に対応できるよう部内規程を制定しました。こうしたことを踏まえ、災害時の広域連携を強化するため、今年は一昨年に続いて、第2回の中国・四国地区合同会議を開催したいと考えています。

また、今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催され、地方の人手不足が深刻さを増すとともに、新型コロナウイルス感染症の影響が懸念され、厳しい1年になろうかと思います。しかし、社会の安全・安心に寄与する警備業の使命を果たすために、牛の歩みのごとく地に足をつけ、一歩一歩たゆまなく進み続け、会員が一致団結して厳しい状況を乗り切りたいと考えています。

一丸で五輪の成功を
四国地区警備業協会連合会
会長 北川豊彦(讃岐 代表取締役会長)

新型コロナウイルスに明け、鳥インフルエンザに暮れた令和2年が過ぎ、令和3年がやってきました。

昨年は年当初から新型コロナウイルスが国内でも発生し、社会や経済、家庭にも多大な影響を与えた1年でした。今までの生活環境が一変し、人が集まるあらゆる行事が中止・延期となり、旅行や外食にも規制が掛かるようになり、自由な社会活動が抑制される日々が続きました。

四国地区警備業協会連合会でも、春の総会は書面決議とし、秋の臨時総会はコロナに気を遣いながら高知県で開催して、コロナ対策等について協議をしたところです。

年初からのコロナ感染拡大は、春の抑制でそのまま終息するように思われましたが、夏以降徐々に各県での感染が拡大し、何時何処で感染してもおかしくない状況が続いています。

また、本県ではコロナに追い打ちを掛けるように11月からは鳥インフルエンザが次々と発生し、大量の鶏が処分される結果となり、多くの警備員が防疫のために駆り出されました。24時間体制での防疫となり、警備に就く警備員には大変なご苦労をおかけしました。香川県での鳥インフルエンザ発生以降、他県での発生もみており、各県の警備業界も大変ご苦労されたことと思います。

今年は、昨年延期となった東京オリンピック・パラリンピックが開催される年です。一日でも早いコロナの終息と、オリンピックやオリンピックに付随する関連行事が円滑に開催されることを願うものであります。オリンピック警備ではコロナ対策として、昨年予定していた警備員より更に多くの警備員が必要になることが予想されることから、全国の警備業界が一丸となって取り組み、成功させようではありませんか。

九州から活力を発信
九州地区警備業協会連合会
会長 折田康徳(にしけい 代表取締役会長)

昨年はコロナ感染症の影響に振り回された年でしたが、九州においては7月に熊本で多くの人命が失われる豪雨災害が発生し、また、それまで九州経済成長の大きな要因であったインバウンドが消滅し、経済的にも大きな痛手を被るなど、厳しい一年でした。

九州地区では2県で会長が交代し、新しい陣容で九州地区警備業協会連合会として活動を行っています。

各県ともコロナ感染症の影響としては、各種イベントの中止、クルーズ船の寄港中止、空港保安業務の減少などで売上は減少傾向ではありますが、施設警備や交通誘導警備業務についてはそれほど大きな影響は見られていません。

また、警備員の処遇改善、その前提となる適正価格の実現については、各県協会とも全国警備業協会が策定した自主行動計画を推進しており、経営者研修会での周知や自治体への要望書の提出、県建設業協会との意見交換会などを実施しており効果を上げています。

さらに青年部会は8県全てに設立されています。それぞれ警備の日のイベントへの参加や研修会の実施、イメージソングの作成など積極的に活動を行い、警備業のイメージアップに大きく寄与していただいています。

昨年は大変厳しい一年でしたが、最近になりクルーズ船の再開やコロナの影響による大都市から温暖な九州への移住の動きが話題になるなど明るい兆しも見られています。 

九州地区連合会としては今年、さまざまな施策を積極的に推進し加盟企業の発展に寄与するとともに、厳しい情勢であった昨年から一転して、九州から活力を全国に発信できるように努力したいと思っています。

2021年コロナ禍の初詣 2021.01.01

成田山新勝寺 ALSOK千葉が警備

ALSOK千葉(千葉市、長嶋義春社長)は、成田山新勝寺(千葉県成田市)の初詣警備を行った。

新勝寺は、三が日に300万人が訪れる人気スポット。今年はコロナ禍で参拝を控える人が多く、大晦日から元日までの参拝客は例年の5分の1程度となった。

ALSOK千葉は“異例の初詣”を想定し、昨夏から寺や県警と連携して警備計画を立ててきた。感染対策として消毒液を各所に設置、本堂は床に間隔を開けて並ぶ目印のシールを貼ったり、飛沫防止の透明シートを張った。

警備員数は大晦日130人、元日は110人と例年より増員。密にならないよう拡声器で呼び掛けたり、本堂の列が長くなった場合の対応要員などを確保して備えた。

警備部・小嶌栄担当部長は「成田市からの分散参拝の呼び掛けもあり、人出が大幅に減っている。列はソーシャルディスタンスがしっかり守られています」と語った。

「災害支援協定」見直し2021.01.01

費用は県・市・町が負担

広島県警備業協会(村本尚之会長)は12月8日、広島市内で経営者研修会を開催して、「災害時における地域安全の確保等に係る警備業務に関する協定」の内容を正式に発表した。

協定は県警協が県警と結んでいた災害支援協定を見直し、県警協・県警に県を加えた3者が連携して対応するもので、「基本協定」と「細目協定」の2項目が柱となっている。「基本協定」は県警協と県の2者間、「細目協定」は県警を加えた3者間で結んだ。

「基本協定」は業務を警備業法の範囲内に限定し、業務にかかる費用は県・市・町など「受益者負担」と明示した。警備員が被災した場合の補償についても明文化した。

「細目協定」は各機関の役割を示し、契約は警備業法に定められた手続きを遵守することとした。警備料金は、災害の特殊性を加味して見積もることを定めた。

協定の運用については、県警協が作業部会を編成して協議を重ね、警察署の管轄区域を基準に県内を11地区に分割。出動要請があった場合、県警協は災害発生地区から対応可能な警備業者を募ることとなっている。

県警協はこれまで県警と災害支援協定を結んでいたが、2014年の広島土砂災害、18年の西日本豪雨で被災地の防犯パトロールを行った際に、協定に条項がないため有償ではないボランティア活動に留まった。県警協は県警から「有償活動となるよう協定を見直したい」との打診を受け、県も加えた3者で協議を重ねていた。

研修会では村本会長が協定の見直しを報告、理解と協力を求めた。川上和樹専務理事は協定締結の要点と運用方法について解説し、周知を図った。

村本会長の話 協定見直しにより協会加盟社が社会貢献を目的とした“有償事業”として対応する道筋が確立された。災害が起こらないことを願いつつ協力の裾野を広げ、有事に際しては迅速・的確に活動を展開していきたい。