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クローズUP

年頭の辞 2019年、さらなる飛躍へ2019.01.01

着実に前進、課題を解決
全国警備業協会 会長 青山幸恭

昨年は、大阪北部地震、西日本豪雨、夏の猛暑や台風21号、そして北海道胆振東部地震など大規模災害が相次いで発生するなど、災害の年でした。

治安の面では、刑法犯認知件数は16年連続で減少しましたが、子どもや高齢者といった弱者を狙った犯罪が後を絶たず、国民の体感治安は必ずしも改善には至っていません。警備業も、適正な業務の実施により、社会のさまざまな安全・安心に関する要請に適切に対応していくことが求められています。

一方で、「2025年国際博覧会」の大阪開催が決定するなど明るいニュースもあり、警備業界としても今年のラグビーワールドカップ大会や各種重要国際会議、来年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会などの運営の安全面において適切に対応していくべく、気を引き締めているところです。

全国警備業協会では昨年、関係省庁や関係業界のご支援、ご協力をいただきながら重要施策に取り組みました。

第一は、警備員不足対策への取り組みです。

従来から労務単価アップへ業界を挙げて努力してきましたが、更に下請中小企業対策として「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」を策定しました。官邸の施策を踏まえた警察庁の要請を受け、警備業務の発注者の理解を得て、発注者と警備業者の協働により、取引上の問題やその他課題が解決されることを目指すために取り組むべき事項を取りまとめたものです。昨年は計画の趣旨や概要等を業界内や関係機関等に周知を図ってきましたが、本年も引き続き同様の取り組みを推進します。

第二は、「警備員規範」と「警備員心得」の策定です。

深刻化する警備員不足対策に資する警備員のイメージアップ方策として、「警備員規範」は警備員の守るべき規範を定めたものです。「警備員心得」は朝礼等で唱和できるような基本的な警備員としての心構えを取りまとめました。平成27年策定の「警備業経営者のための倫理要綱」と対をなすものとして普及活動を広く行い、業界のコンプライアンスと警備員の資質の向上を図り、警備の日(11月1日)の普及と併せ警備員、警備業界の地位向上に努めます。

第三は、ラグビーワールドカップ2019と東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会への対応です。

開会まで2年を切った東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において、警備業界として的確に対応し安全安心な開催につなげるために、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会主催のセキュリティ連絡調整会議に参加するなど緊密な連携に努めてきました。昨年は、オリンピックに従事する警備員の事前教育について、組織委員会、大会警備JV、スポンサー企業2社との間で検討会を開催し準備を進めました。本年は先ずラグビーワールドカップ2019をその前哨戦に位置づけ、警備業界として東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の安全安心な運営に寄与するため、組織委員会ほか関係機関と連携、関係各都道府県警備業協会とも漏れのない情報交換を行います。

第四に、防災対策です。

昨年の風水害や地震等の発生を含め首都直下型地震、南海トラフ地震、東海地震等の発生を視野に入れた防災・減災への取り組みは喫緊の課題です。各都道府県警備業協会と関係機関との災害時支援協定の見直しを含めさまざまな課題に対応していきます。

第五に、労働災害防止対策、働き方改革への対応や本年10月に予定されている消費税の引き上げ等についても各都道府県警備業協会と一体となって積極的に取り組んでいきます。

全警協は、警備業が生活安全産業として、社会的な使命と責任を果たすべく、本年も各方面のご理解とご支援をいただきながら、一歩一歩着実に前進して諸課題の解決に努め、ご期待に応えてまいります。

警備業務の適正実施を
警察庁生活安全局 局長 白川靖浩

皆さまには、警備業務を通じて、日夜たゆまぬ努力を続けられていることに対し、心から敬意を表します。

現下の治安情勢は、官民を挙げて犯罪抑止に向けた各種活動に取り組んだ結果、刑法犯認知件数等の指標の上では一定の改善がみられますが、国際テロ情勢は依然として厳しい状況であるほか、サイバー犯罪や特殊詐欺に代表されるような非対面型犯罪が増加するなど、犯罪の傾向自体に大きな変化が見られます。

良好な治安の確保のためには、警察のみならず、事業者や地域住民の方々、関係機関・団体が緊密に連携して的確な対策を推進していくことが必要です。

こうした中、警備業は、国民の自主防犯活動を補完または代行する重要な役割を担っており、全国約55万人の警備員の方々が、国民に幅広く生活安全サービスを提供しています。

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における警備業務への期待も高まっています。警察は、今後とも良好な治安の確保に向けて、官民連携を図りながら、各種対策を推進してまいりますので、警備業者の皆さま方には、引き続き、ご協力を賜りますとともに、警備業への社会のニーズに的確に対応するため、警備業務の適正な実施に取り組まれますよう、お願い申し上げます。

警備業と共に汗をかく
警備業の更なる発展を応援する議員連盟 会長 竹本直一(衆院議員)

昨年は、地震や豪雨など多くの自然災害に見舞われ、改めて「災害列島日本」を実感しました。これら被災地の警備業は、自らが甚大な被害を受けつつも、地域の防犯パトロールなどを行うなど、「生活安全産業」として国民の期待に十分に応えられました。衷心より感謝申し上げます。

自由民主党衆参両院の有志議員80余名で構成する「警議連」(警備業の更なる発展を応援する議員連盟)では、警備業の皆さまが今後も国民の期待に遺憾なく応えていただくため、現下の深刻な人手不足や4月に施行される「働き方改革関連法」への対応、さらには、ラグビーワールドカップやG20などを見据え、全国警備業協会と歩調を合わせながら各種支援に取り組んでいく所存です。ハローワークによる警備員確保対策の拡充、建設工事に伴う交通誘導警備業務の“残業上限規制”から猶予措置、公共工事設計労務単価の毎年の引き上げなど、取り組みの成果が上がっていますが、今後も更なる支援策を講じていきます。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会はいよいよ目前に、その5年後の2025年には「大阪万博」の開催が決定しました。これら国際的大イベントの成功には、警備業の活躍は不可欠です。今後も警議連は警備業の皆さまに寄り添いながら、汗をかき続けて参ります。

「未来図」の実現を
セコム 創業者・取締役最高顧問 飯田亮

昨年、日本は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、好調な景気を持続しているものの、人手不足や各地での災害の発生など困難にも直面した。国際的にも米中や日米の貿易摩擦など不安定要因もあり、変化の激しい社会環境であった。

IT、特に5G(第5世代移動通信)やAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの急速な技術革新により、社会の変革は目を見張るものがある。自動車の分野では自動運転などが一段と進化した。オンラインショッピングが社会に定着、購買行動は大きく変化した。さらに、電子マネーの普及・促進によりキャッシュレス社会が進展するなど、社会は急速に様変わりしている。

最近、世界のITをリードする企業4社が「GAFA(ガーファ)」と呼ばれている(アメリカ企業のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字を取って「GAFA」)。これらの企業を筆頭に次々とイノベーションを繰り出してくる中で、日本の企業は「スピード感で見劣りする」と言われている。日本の企業にとって「イノベーション」と「スピード」は世界で勝ち抜くためには急務の課題になっている。

セコムは常に革新を、セコムの理念の柱として社会に新しい価値を生み出し続けてきた。「安全・安心」分野では、常に新しいシステムやサービスを創造してきたことから、社会から高い評価も得ている。ただこれまで革新的な成果を生み出したとしても安心はできない。なぜなら、未来が保障されるものではないからだ。

セコムは2017年5月、「セコムグループ2030年ビジョン」を制定、「あんしんプラットフォーム」という構想の実現に取り組んでいる。同プラットフォームの構築を、主体的かつ早期に実現するように取り組むことが重要である。なぜなら、我々セコムグループの未来図の実現に必要不可欠なインフラであり、何よりも社会の役に立つからである。

変革に「不易流行」の対応
ALSOK 代表取締役会長 村井温

昨年は6月の大阪北部地震をはじめ、集中豪雨、台風、地震等が相次いで日本列島を襲い、人や物に大きな被害が出ましたが、警備会社各社は、迅速に動員を行い、出動した各社員も適切な対応を取ったため、お客さまや地方自治体等から大変感謝されました。

今年はG20、即位の礼、ラグビーのワールドカップなどが予定され、大規模な警備については、更に運用レベルを上げなければなりません。来年はいよいよ東京2020オリンピック・パラリンピックです。本番ではいかなる事態にも適切に対応できるよう、今から各種訓練等を積み重ねることが必要です。

昨今、政治や経済が世界規模で大きく変動し、科学技術も目まぐるしいほどの速度で進化しています。それに伴い日本では経営環境のみか産業構造等も変化してきているため、我々警備会社も、後れを取らぬよう、変革を強力に推進しなければなりません。

その際、特に配意すべきは、「不易流行」ということです。即ち、時代の流れに動ぜず、しっかりと守っていかなければならないものと、変化に応じて変えていかねばならないものとを、明確に分けて対応していくということです。これを間違えて、変えるべきでない経営理念等をないがしろにすることは、その会社の存立自体が危うくなる可能性もあります。

会社が創立された基本精神を常に反芻し、変化の時代にも守っていくことを再確認しましょう。

人と技術の融合
セントラル警備保障 代表取締役執行役員社長 澤本尚志

警備業界においては、人的警備への需要は高いものの、慢性的な人材不足の深刻化が続いています。

セントラル警備保障は最先端の技術をいち早く取り入れ、人的警備主体から技術サービスとの融合を進めています。人的警備に最新の画像解析技術やネットワークインフラを活用した機械警備を積極的に組み合わせることで、幅広いニーズに対応します。たとえば機械が異常行動を検知しても、対処が必要かどうかは警備業務の知識がなければ判断できません。当社が長年蓄積してきた知見やノウハウがあるからこそ先進技術を生かすことができます。技術センサーや防犯カメラによるリスク検知、警備員による駆けつけ対応などをお客さまのニーズに合わせて組み合わせ、きめ細かなオーダーメイドの警備サービスを提供します。

2017年3月から4か年の中期経営計画「CSPパワフル2020」をスタートさせて2年目となります。売上、利益ともに順調に目標を上回るペースで伸びています。今年はさらに画像解析関連の警備サービスの拡販を図るとともに技術開発体制の強化及び生産性の向上など、社内改革を進めていきます。

JR東日本との共同事業で展開している子ども見守りサービス「まもレール」もご好評をいただいており、今後も安全安心な社会づくりや子育て支援の輪を広げていきます。

本年も全社一丸となりセキュリティーの未来をリードする「安心と信頼の技術サービス企業」を目指して進んでまいります。

より強い「現場力」を
全日警 代表取締役社長 片岡由文

私は、常々「現場力が重要である」と申し上げてまいりました。

昨年を振り返ると、日常業務は言うに及ばす、異常気象による猛暑、豪雨、そして台風、地震と枚挙に暇のないほど現場力を試される事案が多く発生しました。

そのような中、皆さんが持てる力を結集して、数々の困難に対し適切な対応で切り抜けていただきましたことに改めて感謝申し上げます。

今、私たちの会社は数々の問題に取り組んでいます。中でも慢性的な人手不足の解消と、それに関連した労働時間の適正運用が喫緊の課題です。

この課題の克服は、会社の「生々発展(せいせいはってん)」のために不可欠なものであり、本年も将来を見据えた人的基盤の整備、確立に取り組みます。そのためにも、私たち一人ひとりの知恵と力を結集したより強い「現場力」が必要です。

50周年はスタート
セノン 代表取締役社長 小谷野宗靖

昨年、セノンがトップスポンサーをしているFC琉球がJ3優勝・J2昇格を果たしました。2014年にスポンサーとなった当初は、「親父の背中を見て育て」との気概でユニホームの背中スポンサーから始めました。昨年より、「胸を張らないと前へ進めない」といった気持ちとともに、より一層の応援の意味も込め、胸スポンサーとしてサポートしてきました。

そんな気持ちが選手たちに通じたのか、チームはJ3最速の優勝を決めました。選手たちの希望に満ち溢れている姿に、自分たちの姿を重ね合わせました。

当社でも、諸先輩方が道を切り開き、時には道標となり引っ張ってきたからこそ、今私たちが希望に満ちた生活ができています。

創立50周年を迎える2019年は、大きな節目です。新たなステージに向けた進化と飛躍を遂げるための重要な一年になります。

そして次の50年、つまり100年存続する企業に向けた新たな礎を築く最初の年です。今度は、私たちが道を切り開き、道標となり、引っ張っていく、これまでよりも大きな存在とならなければいけません。

業界や市場の変化をいち早く捉え、「innovation」を起こし続けていくことこそが当社の未来を切り開く道でもあります。困難ではありますが、全従業員が協力し団結することで克服できるものと確信しています。

J2で羽ばたくであろうFC琉球の選手たちに負けないよう、50周年をゴールとせず、新たなスタートとして邁進していきます。

自力更生を心掛ける
トスネット 代表取締役社長 氏家仁

2020年東京オリンピック・パラリンピックへの機運は高まり、大阪万博2025の招致決定で拍車がかかったように感じる。

歴史が物語る通り、大規模国際大会や世の中を震撼させるような大事件は、経済や文化に及ぼす影響は少なくない。国内警備業の草創期、1964年東京オリンピックは警備業のスプリングボードとなったことは周知の通りである。昨年12月で発生から50年の年月が経過した未解決窃盗事件「三億円強奪事件」は、現金からカード時代への加速を誘導。オウム真理教が惹起した凶悪事件の数々は、国民のテロリズムに対する認識と脅威について増長させる出来事であった。

警備業界では昨年、「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」の周知と実践が主体であった。しかし、業界内では温度差がある。引き続き社会的地位の向上はもちろんのこと、警備員不足への対策は大きな課題である。

各社が構造的課題をしっかりと把握し、自助努力だけでは解決できない課題だと諦めるのではなく、継続的な行動が最も重要だ。それを積み重ねることが温度差の払拭につながる唯一の方策だと考える。他力本願だけにすがるのでなく、自力更生を心掛けたい。

全警協が推進する施策への積極的な同調も、我が社の経営スタンスと捉え経営に精励していきたい。

重要問題に真正面から
東京都警備業協会 会長 中山泰男(セコム 代表取締役社長)

昨年は7月の西日本豪雨や台風、大阪や北海道での地震などで甚大な被害があり、市民生活に大きな影響を与えました。改めて大規模災害への備えの必要性を強く実感させられました。

協会活動においては、1年半後に迫った東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、協会の警備対策委員会を核にさまざまな事業を展開しているところです。

中でも人材確保対策は最重要課題として、東京しごと財団から受託している人材力支援事業をはじめ、広報活動を中心に推進してきました。

また6月には警視庁との間で特殊詐欺被害防止協定を締結、高齢者への警備員による声掛け運動を中心に被害防止対策を開始し、被害防止の啓発を行いました。協定の効果も徐々に表れており、今後も特殊詐欺の未然防止など犯罪抑止活動に貢献していきます。

本年は、4月の統一地方選挙、5月の改元、6月のG20サミット、7月の参議員選挙、9月からのラグビーW杯、10月の即位の礼等の皇室関連行事と国家イベントが連続して予定されています。

一方、業界では人手不足が一層深刻化しており、各種のイベントや東京五輪等への影響が懸念されるほか、働き方改革への待ったなしの対応が求められているところです。

協会としては、人材確保対策、働き方改革への対応や警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画の周知と関係機関への働きかけなど、業界の将来を左右する重要課題に真正面から取り組みます。

今年も警備業界を取り巻く内外の情勢は誠に厳しいですが、会員の皆さまとともに業界が一体となり、国家的イベントの安全に貢献し、その勢いをもって、2020年のオリンピック・パラリンピックに立ち向かっていく所存です。

「警備業の明日」信じ
東北地区警備業協会連合会
会長 千葉英明(ゴリラガードギャランティ 代表取締役)

東北地区警備業協会連合会は、「警備業界に新たな旋風を起こし、未来を創るのは東北から」との“合い言葉”を胸に、英知を結集し信念を持って大胆に活動してきました。警備業が突き進む将来の姿を描き、逃げず、課題に挑み、魅力ある産業へと変貌できるよう確かな未来の姿を描いてきました。谷が深ければ深いほど山は高くなると「警備業の明日」を信じてやみません。

当地区連では、「今が警備業発展の過渡期である。警備業に突き付けられるさまざまな課題を前向きに捉えれば、その先に明るい未来と発展が必ず待っている」と信じ、次代を担う青年部にも地区連の活動に一部参画してもらっています。共に考え悩みを共有し新たな視点で挑戦する。先を読む「人創り」に力を注いでいます。自主行動計画の徹底に向けた地区連主催の実務担当者研修会をはじめ会長等会議においても、こうした趣旨を踏まえ、従来の固定概念を破る柔軟な思考で物事を進めています。

2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の開催前夜年である本年は、警備業の「未来への継承と発展」を占う勝負の1年です。視野を広げ物事を見る眼が問われる1年となります。柔軟な眼をもって果敢に挑戦する“東北魂”を全国に発信すべく東北各県会長等をはじめ地区連一同、決意を新たに、心が勇み立っています。

荒波に知恵絞って
関東地区警備業協会連合会 会長 島村宏(日警 取締役会長)

将来の人口減少時代と高齢化社会を見据えた「検定や教育制度等の見直しに関するさまざまな施策」の検討、各地区連ブロック研修会や各県経営者研修会における「適正取引推進に向けた自主行動計画」の周知広報、軌道修正とはなりましたが「自家警備問題への対応」等、平成から新たな時代へと変わる昨年来、警備業界のターニングポイントともいえるさまざまな出来事がありました。

2020年東京オリンピックがいよいよ間近に迫っています。相当数の競技会場を抱え、全警協加盟社の約25パーセントを擁する関東地区連内の関係県協会では、組織委員会セキュリティー部門と協議を重ねながら実施している実戦的な教育訓練においても、参加警備員の顔からは使命感ととともに緊張感が伝わってきています。歴史的な国家の一大プロジェクトを安全・安心とともに成功に導くという警備業の真価を問われる機会であり、果たすべき役割は極めて重要で、警備を通じて得られるノウハウは将来に向けた貴重な財産です。

現下の警備業界は、「慢性的な人手不足への対応」、「適正な警備料金の確保」及び「経営基盤の強化」の3つの大きな課題に加え、社会保険加入の更なる促進や4月施行の「働き方改革」関連法への的確な対応と、課題は山積しています。

我々経営者は、山積する課題を一つひとつ解消しながら、警備員の労働環境の整備を図り、一人でも多くの優秀な人材を獲得して育て上げ、ユーザーに信頼され目に見える形で、品質の高いサービスを提供することがより求められる時代に直面しています。

この困難な荒波を乗り越えていくには、生活安全産業としてこれまで築き上げた「警備業」の誇りと信念を持ち各県協会が一致団結し、知恵を絞りより質の高い安全・安心の提供を目指していくことです。

「スリーアップ運動」推進
中部地区警備業協会連合会
会長 小塚喜城(コアズ 代表取締役社長)

平成の元号最後の新年を感慨深く迎えました。本年は天皇のご退位に伴う皇室行事に始まり、統一地方選挙、参議院議員選挙と続き、ラグビーワールドカップの開催から、いよいよ2020年東京オリンピック・パラリンピックへの流れとなります。また、働き方改革関連法の施行、消費税の増税など、警備業界も大きな影響を受けるものも多く、時の流れが一層早く感じられる年だと思います。

こうした情勢の中で全警協は、業界が抱える諸問題に対してここ数年、行政機関や関連業界団体との関係を深め、従来にない手法も取り入れた積極的な対応をしています。とりわけ当面の喫緊の課題である警備員不足問題、適正取引に向けた自主行動計画、働き方改革等への対応は、どれも古くて新しい問題であり、即効性を求めるより、将来に向けてじっくり腰を据えて業界を挙げて取り組まなければならないものです。

愛知県協会では、これらの問題の根幹部分に共通する事項は(1)業界のステータスの向上(2)業界・協会・経営基盤の向上(3)警備員の処遇の向上――が基本であり、これらが好循環することにより業界の健全な発展が図られるとの観点から、「(1)イメージアップ(2)料金アップ(3)賃金アップ」をスローガンとした“スリーアップ運動”を、会員各社が共通認識のもと業界ぐるみで歩調を合わせて継続的に推進していきます。

ピンチの中からチャンスに変えることができるファクターやヒントを見い出し、平成の始まりが好景気であったように、新しい元号の始まりの時期も、日本経済の着実な進展を願い、警備業界もその潮流に乗り遅れることのないよう、不断の努力をしなければならない年だと考えます。

「近畿は一つ」の合言葉
近畿地区警備業協会連合会 会長 若林清(武警 代表取締役)

1970年の大阪万博から49年、再びこの大阪(関西)で「国際万国博覧会」が開催されることとなりました。バブル崩壊後、日本経済が長期にわたり低迷する中で、特に大阪は、府民所得を見ても東京、愛知に大きく水をあけられるなど地盤沈下が甚だしく、警備業も極めて低い単価に苦しんできました。

しかし、再びこの大阪(関西)に“脚光の陽”が射してきました。

インバウンドによる大阪観光の人気、また、イベントでは今年の「G20サミット」、「ラグビーワールドカップ」、東京オリンピック後の2021年開催の「ワールドマスターズゲームズ」があります。そして2025年開催が決定された「大阪万博」、さらにカジノを中心とした統合型リゾート開発の推進、これらに伴う鉄道・道路等のインフラ整備が進められようとしています。

このため協会では、10月の理事会で「イベント対策特別委員会」を設置しました。今後は関係機関、団体等との関係を密にして、安全産業としての責務を果たし、警備業の発展に寄与していきます。

しかしながら警備業は、警備員不足という問題が重くのしかかってきています。特に万博警備は開催期間も185日間という長期間の警備となります。今後ますます少子高齢化時代を迎える中で、これらイベント警備をなし得るには、警備員をいかに確保できるかにかかっています。このため協会としては、「近畿地区警備業協会連合会」の結束を強化し、「近畿は一つ」の合言葉の下、近畿地区連で万博を中心とした今後のイベント警備を乗り切っていきたいと思っています。

「広域連携」を推進
中国地区警備業協会連合会
会長 村本尚之(ケイビ 代表取締役社長)

中国地区においては昨年、広島県を含めて山陽3県で会長交代となり、引き続き広島県協会会長が、中国地区連合会の会長を務めることとなりました。よろしくお願いいたします。

この1年を振り返ってみますと、全国各地で大規模災害が続発し、特に中国地方において、7月初旬の西日本豪雨災害では岡山県での警備員の殉職も含め172名もの尊い人命が失われました。改めて、哀悼の意を捧げたいと思います。

広島県では今後、この豪雨災害に伴う復旧工事が約3倍に増大することが予想されており、交通誘導警備員の需給がひっ迫していることが大変深刻な状況となっています。

広島県知事部局においては、このような厳しい状況の中で、被災者の皆さんの立場に立って復旧工事を止めないようにするため、11月28日に「広島県交通誘導員対策協議会」を設立し、関係機関・団体により具体策を協議することとなりました。

昨今、全国で風水害、地震など大規模災害が至るところで発生し、しかも、「これまでに経験のない…」といったフレーズを何度となく耳にすることがありました。この度の広島県、岡山県での大規模災害発生においても、もはや自県だけでの対応では限界を感じざるを得ません。

また、県との災害支援協定についても、締結後20年以上を経過し、さまざまな課題も浮き彫りとなりました。

今年の干支は「亥年」です。ちなみに過去の亥年について見てみると、1923年の関東大地震、1983年の日本海中部地震、1995年の阪神淡路大地震など天変地異が多く発生しており、ここ瀬戸内地区でも南海トラフ地震に対して大きな脅威を感じているところです。

発生しないことを願うばかりですが、今後、いつ、どこでこうした大規模災害が発生するか分かりません。このような大規模災害に的確に対応していくためには、発生県だけでの対応には限界があり、まずはブロック内での緊密な連携が求められます。更には、隣接するブロックとの緊密な連携の必要性も強く感じているところです。

今年は、こうした大規模災害対策をはじめ、業界を取り巻くさまざまな課題に対して意見交換を深めてまいります。

四国・中国が連携
四国地区警備業協会連合会 会長 北川豊彦(讃岐 代表取締役会長)

昨年1年間は、全国的に災害の年であったように思います。

主だった災害をあげれば、6月には震度6弱の大阪北部地震、7月には広島・岡山・愛媛に甚大な被害をもたらした西日本豪雨、9月には震度6.7の北海道胆振東部地震等と、今まで被害が予想されていなかった地域での自然災害が多発した年でありました。

香川県でも今後、南海・東南海における巨大地震による大災害が予想されているところです。最近の災害は、予想を遥かに超えた被害が出ており、一旦災害に遭うと、自県だけでは到底対応できなくなっています。

こうしたことから、四国地区連合会の臨時総会では、隣接地区である中国地区連合会との連携を図るために、中国地区連合会の会長にお越しいただいて協議した結果、今後は中・四国地区合同会議を開催して連携を図っていくこととなりました。

災害に限らず、高齢化や人口減少が進む中、警備員の特別講習についても今後、連携を図る必要があるように思われます。

また、高齢化が進む警備業界において、次代を担うであろう青年部を作ろうとする動きも活発化してきています。現在の警備業の経営者は高齢者が多く、次の世代に事業を引き継ぐためにも、若い経営者などで作る青年部会が中心となって、今後の警備業界を盛り上げていただきたいと思います。

今後、予想される災害をはじめとするあらゆる問題に対して、全警協をはじめとして全国の警備業者が連携し、心を一つにして対応していかなければならない時代に来ています。安全・安心に寄与する警備業界の更なる発展のためには、いかなる努力も惜しむものではありません。

ピンチをチャンスに
九州地区警備業協会連合会 会長 折田康徳(にしけい 代表取締役)

2018年を振り返れば、2025年大阪万博開催の決定、スポーツ界においては、野球、テニス、スケートの他さまざまな種目における日本選手の世界での大活躍等、明るいニュースがありました。

九州ではインバウンドの増加による好景気がありました。

一方で、7月には西日本豪雨など自然災害に見舞われ、この数年で発生した熊本地震や九州北部豪雨を経験した私どもは深刻な問題として捉え、今後の災害対策上、与えられた貢献要請に十分に応えられるよう、しっかりと受け止め、対応していかなければならないと考えています。

2019年は、新天皇即位、ラグビーワールドカップ、G20会合の開催など行事が大変多く、その経済効果が期待されています。このような中、労働人口の減少による警備業界の人手不足は深刻なものがあります。加えて働き方改革関連法が本年4月から随時施行されることにより警備業界を取り巻く環境は非常に厳しいと言わざるを得ません。とは言え、厳しい情勢であるからこそ、私どもはピンチを逆にチャンスと考え、この業界を魅力あるものにして、さまざまな問題に取り組んでいかなければなりません。

本年も九州地区連では、警備業界が組織を挙げて推進している適正取引に向けた自主行動計画を一層効率的に実践します。そして、定着を図ることで加盟企業の発展を図り、質の高い安全・安心を提供していく所存です。

警備員への感謝こめて2019.01.01

「子供作文・絵画」冊子が完成

岐阜県警備業協会(幾田弘文会長)は法人化30周年記念事業の一環として、「『警備の日』子ども作文・絵画」冊子をこのほど作成した。

冊子は、幾田会長の発案で2016年からスタートした「子ども作文・絵画コンクール」の受賞作品3回分を、同警協の森薫専務理事が中心となりパソコン上で行う卓上出版(DTP)でまとめたもの。

コンクールは毎年多くの応募があり、1回目には成人による「写真の部」も含め95点の作品が寄せられた。作文・絵画とも、「お父さん、安全に気をつけてがんばって」「女性警備員さんはすごい」など、警備員に向けた感謝と尊敬の気持ちが子どもの目線で表現されていた。

同年の「警備の日・全国大会」で活動を発表したところ評価され、翌年2回目のコンクール「絵画の部」では「全国警備業協会賞」の表彰状が授与された。

冊子はA5サイズ・50ページのカラー印刷。300部を印刷、作品を応募した子どもたちをはじめ、協会加盟各社、県警察本部、教育委員会、校長会、岐阜労働局などに配布する。

同警協は今年も4回目となるコンクールを開催し、作品を募集することになっている。