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クローズUP

年頭の辞 レガシー、後世に伝える2022.01.01

「会員ファースト」強める
全国警備業協会 会長 中山泰男

このたびの新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、警備業界もさまざまな影響を受けました。特に影響が大きかったのは、コロナ発生当初にイベントの中止または当面の延期等の影響を受けたイベント警備を中心に行っている加盟員や、国際便や国内便の飛行機の減便等の影響を受けた空港の警備業務を中心に行っている加盟員であると思われます。さらに、大手企業を中心としたテレワークの普及等に伴うオフィスビルのいわゆる空洞化現象により、ビルオーナーの収入が減少し施設警備業務の配置ポストの縮小等も余儀なくされたケースも見受けられます。

警備業界全体を見渡すと、感染症対策のためのホテル等一時滞在施設の警備増や、屋外を中心に行う交通誘導警備業務において影響が少なかったこともあり、飲食や宿泊等の他業界に比べると全体的には影響は少なかったと推察されます。

こうした情勢ではありますが、コロナへの対応は決して気を抜くことはできません。全国警備業協会は新たな変異株の状況、政府の動向等を注視しながら、警備業界に生じる問題点を常時検討し、必要があれば関係省庁等へ迅速適切な要望を行っていく方針です。

コロナへの対応に加え、警備業を取り巻く情勢は依然として厳しい状況が続いています。とりわけ、警備員不足の深刻化、技術革新などによる環境の変化等々、危機意識を持って取り組まなければならない課題が山積しています。そこで昨年の警備業における大きな二つの事項と、本年迎える全警協創立50周年への取り組みについて皆さまと共有させていただきたいと存じます。

第一は、警備業界のレガシーにもなった五輪・パラリンピックについてです。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が、昨年9月に無事閉幕しました。

警備業は、ロンドン、リオなどの過去大会における民間警備による失敗事例の教訓をもとに、史上初めて民間警備会社による警備JVを設立して臨みました。加盟社は全国の警備会社553社にのぼり、延べ50万人以上の警備員と、文字通り「オールジャパン」で大会警備に従事し、警察をはじめとする治安機関等とともにワンチームで大会の安全・安心を支える役割を担いました。

これにより、昨年10月には、東京都の小池知事、大会組織委員会の橋本会長の連名により、警備の分野で、東京警協、警備JVとともに、全警協も感謝状の贈呈を受けました。全警協としましては、身に余る光栄であり、かつ大変名誉なことでもあるとともに、レガシーとして後世に伝えていくことができます。

そして何よりも忘れてはならないのは、大会期間の前後を含め、数か月の長きに渡り大会警備に参画した加盟員各社のみならず、全国で、いわばその留守を守る形で地域の安全・安心を守り切った全国の警備会社の成果です。全警協は、全社でその栄誉を分かち合い、警備業の更なる飛躍に活かしていきたいと考えています。

第二は、基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)「アクションプラン」策定についてです。

山積する課題への取り組みのため、全警協内に一昨年7月に基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)を立ち上げました。同委員会では「外国人雇用」など5つのテーマに絞り込んで、アクションプランの案を取りまとめました。2021年度定時総会に報告後、10月開催の全警協第2回総務委員会、第3回理事会において各作業部会長から詳細な説明・報告が行われたことで、アクションプランを具体的に実行していく段階(フェーズ2)となりました。

今後は総務委員会を推進主体として各種委員会と緊密な連携を図りながら、迅速にアクションプランの実行を図っていきます。

本年春に全警協は創立50周年を迎えます。50年の時を経たことは、生活安全産業、エッセンシャルワークとして確立しつつある警備業とともに、協会もあらためて自らの役割をみつめ、見直していく良い機会になると考えています。

私は当初より申し上げている通り「会員ファースト」を強めてまいります。そのためには、机上ではなく実際に加盟会社の生の声が各都道府県協会へ汲み上げられ、各都道府県協会から全警協へ漏れなく正確に伝わることが肝要になります。アンケートなどを用いるなどして、皆さまの声を活かしながら、できるだけ実態に即し、効果が実感できる施策をひとつでも多く打っていきます。

更なる健全な発展を期待
警察庁生活安全局 局長 緒方禎己

昨年は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、猛烈な暑さや新型コロナウイルス感染防止対策等の課題を抱えながらも、警備業の真価が問われる大規模警備を見事に完遂され、わが国の警備員の規律正しさと質の高さを世界に知らしめることができたものと認識しており、心から敬意を表します。

さて、最近の治安情勢についてですが、昨年の刑法犯認知件数は、2002年のピーク時に比べて約5分の1にまで減少した一昨年を下回り、過去最少となる見込みです。これは、官民一体となった継続的な犯罪対策の成果であると認識しており、警備業に携わられている皆さまには、安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向け、多大なご理解とご協力をいただいておりますことに、心から感謝を申し上げます。

その一方で、SNSに起因する子供の犯罪被害や高齢者を狙った特殊詐欺が後を絶たないほか、サイバー空間をめぐる脅威等が懸念されるなど、依然として予断を許さない状況です。

こうした中、警備業は国民に幅広く生活安全サービスを提供する産業として発展し、全国の約59万人の警備員の方々が、昼夜を分かたず、多様な警備業務を通じて犯罪抑止に寄与されています。

警備業に携わる皆さま方におかれましては、警備業が果たすべき社会的役割や責任を十分に認識していただくとともに、引き続き、警備業務の適正な実施を通じて、警備業に求められる使命と役割を着実に果たされ、警備業界が更なる健全な発展を遂げられることを期待しております。

警備業法が施行されてから50年の節目を迎える本年が、警備業に携わる皆さまにとりまして素晴らしい年となりますよう祈念いたします。

懸案事項に本腰入れる
全国警備業連盟 理事長 青山幸恭

コロナ禍も昨年秋から収まってきましたが、年末からの新型変異種「オミクロン株」の今後は警戒すべきものであり、世界的な広がりには注意を要するところです。

昨年は空前規模のイベント東京2020オリンピック・パラリンピックが厳しいコロナ禍の中挙行され、成功裏に終えることができました。

わが国警備業界にとっては553社のJV結成も初めてであり、統制のとれた警備実施はバッハIOC会長のいう「solidarity(結束、団結、連帯)」そのもの。オリ、パラを通じて立派な警備は後世に名を残すとともに、民間警備会社のこれだけの活躍は初めてであり、世界にその名を冠するとともに、わが国警備業界の地位向上に貢献したことは疑いもありません。今後はこのレガシーを心に刻みつつ、業界の発展のために警備業連盟として政治の世界で更に一層展開してまいります。

昨年はコロナ禍の中で全国連盟の賀詞交歓会もできず、東京の連盟結成についても身内だけで発足したものとなり、都議選前の関係先への運動や各地の知事選、市長選、県議市議選等大変お世話になりました。

菅内閣から岸田内閣になって初めての10月末の衆議院選挙は全警連発足後初めての衆議院選挙であり、厳しい中、与党の絶対安定多数で政権維持ができました。今年は夏の参議院選挙がありますので私どもの意を汲んでいただける候補者を積極的に応援します。

内外情勢の変化は急を告げ、警備業を取り巻く環境は、コロナ禍を通じ、更に構造問題もあって引き続き厳しいことが予想されます。単価問題、分離発注、最低価格、キャンセルポリシー、航空保安、災害発生時の対応ほか懸案事項は山積しています。警備業法についても従来から主張している通り災害対策の取り組み、品確法との関連、デジタル化への対応等、業界として本腰を入れる時期です。

今後も警備業の応援団
警備業の更なる発展を応援する議員連盟 会長 竹本直一(前衆院議員・元国務大臣)

昨夏開催された東京2020大会は、コロナ禍により「1年延期」「無観客」という異例の開幕となりました。しかし、わが国警備業は大会スポンサーでもあるセコム、ALSOK両社を中心に、五輪史上で初めて民間警備会社による共同企業体を編成し“オールジャパン”の警備体制で大会の安全を支えられました。大会警備に直接携わられた皆さまはもとより、全国で通常の警備を通して「縁の下」で大会を支えられた警備業、警備員の皆さまに改めて敬意を表します。

1964年の東京五輪での選手村警備が、わが国警備業の発展のきっかけとなったように、東京2020で警備業が手にしたさまざまな“レガシー”は、新たな飛躍の原動力となることと確信いたします。

政府や党で要職を務める自民党有志議員80余名で構成する「警備業の更なる発展を応援する議員連盟(警議連)」は、2013年の発足以来、警備業の発展のために尽力してまいりました。この間、警議連は公共工事設計労務単価での警備員単価の引き上げや「自家警備」への歯止め策などに取り組んできました。今後も全国の警備業の皆さまの声に耳を傾け、全国警備業協会や全国警備業連盟とも連携しつつ、国政の場で警備業の発展に注力してまいります。

警議連の発足を呼び掛け、設立以来会長を務めてきた私は昨秋、25年間にわたる衆院議員生活に一区切りつけました。近く新たな会長にバトンを託すこととなりますが、これまで警備業の皆さまからいただいたご恩に報いるためにも、今後も「警備業の応援団」として歩みを続ける所存です。

今も続く変異株によるコロナの脅威、企業と警備員が共に幸せになれる警備料金の獲得、大幅に引き上げられた最低賃金やDX社会到来による待ったなしのIT化への対応など、中小企業の多い警備業にとっては課題が山積しています。25年間の国会生活で培ってきた私の知見・人脈の全てを、今後も警備業発展のために注いでいく覚悟です。

「不安のない社会」へ
セコム 創業者・最高顧問 飯田亮

新型コロナウイルスの第5波は日本の経済・社会に大きな打撃を与え、残念ながら世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が続いたまま年が明けました。ワクチン接種が進み経済・社会も日常を取り戻しつつありますが、世界的なオミクロン株の急拡大や年末年始の人流の増加もあり第6波への警戒は怠れません。

こうした厳しいコロナ禍のなか、昨年7月23日から開催の東京オリンピック、8月24日から開催の東京パラリンピックにおける選手たちの活躍は多くの感動と勇気を我々に与えてくれ、成功裏に閉幕しました。コロナ禍による緊急事態宣言で無観客開催となりましたが、205の国と地域から集まった多くの選手と関係者が選手村などの宿泊施設と各競技場間を移動することには変わりなく、新型コロナの感染拡大を封じ込めるバブル方式が採用されるなか難しい警備を全うし安全な大会開催に貢献することができました。

この成果は、大会開催の数年前の準備段階から大会終了までの長期間に渡る警備業界の一致団結と、大会警備に万全を期して取り組んできた全ての関係者の協力の賜物です。こうした国家的イベントの警備を行うことで得た経験とノウハウは、私達にとって代えがたい大きな財産となることでしょう。

今年7月、セコムは日本警備保障として創業してから創立60周年を迎えます。さまざまな社会課題の解決と持続的な成長を図るために、コロナ禍や地球温暖化、超高齢社会などによる社会や市場の激しい変化、ITなど加速度的に進化する技術革新を先取りし、これまで以上に「あらゆる不安のない社会」の実現に取り組んでいきます。

誠心誠意だけを念頭に
ALSOK 代表取締役会長 村井温

昨年、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が無事に終わりました。成功に大きく貢献した警備業に対して、社会的評価が一段と高まったのは誠に喜ばしいところです。

ただ、当然のことながら、我々は社会的評価を高めることを目的に警備をしているのではなく、お客さまの安全を守り、社会の安全の確保に寄与するために仕事をしているのです。

一生懸命、誠心誠意に仕事に取り組んでいれば、社会的評価は後から付いてきますが、これは望外の喜びとも言うべきもので、仕事をする上での心構えは、わが社の理念である武士の精神そのものの、

あれを見よ 深山に桜咲きにけり 真心尽くせ 人知らずとも

――という歌に尽きるのです。

褒められ、感謝されるのも結果としてであり、それを最初から期待していると、仕事の内容が中途半端になり、それを行う人間も卑しくなります。警備会社にとっては、余計なことは考えず、常に誠心誠意だけを念頭に置いて立派な仕事を成し遂げることが何よりも重要なのです。

そして、その立派な仕事をするために、かねてから「愚直に徹する」ことの重要性を力説してきたところですが、諸君がこの言葉を肝に銘じて仕事に当たることを祈念して止みません。

最先端の安心創造へ挑戦
セントラル警備保障 代表取締役執行役員社長 澤本尚志

大型国際スポーツイベントが開催され、景気の回復や持ち直しが期待されたものの、新たな変異株の出現など依然として不透明な状況が続いています。セントラル警備保障(CSP)グループは引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策を継続し、警備サービスへの影響を最小限に抑えるよう努めています。

このような状況の中、中期経営計画「Creative2023」を見直し、2年間の期間延長と新たな取り組みを加え、中期経営計画「Creative2025」と改め、安心と信頼を創造する技術サービス企業を目指して事業を展開しています。主な取り組みとして、世界でも指折りの産業用小型ドローンを活用した屋内の設備点検や監視巡回サービスを開始しました。これまで実証実験を重ねてきた自律型警備ロボットも、1月より商用サービスを開始する予定です。今後は、2024年以降の東京・品川地区大規模開発事業へ向けたエリアマネジメントの展開を目指します。

SDGsでは、事業との関係性を明確にした取り組みを行っています。

先端技術を取り入れた警備サービスによる安全・安心な社会づくりをはじめ、多様な人材が共存できる職場環境整備、制服管理システムによる適正な在庫管理で廃棄物削減にも取り組んでいます。研修施設をモデル施設とし、太陽光発電や蓄電池設備の設置による再生エネルギーの利用率向上も積極的に検討しており、地球環境保全や災害時の停電にも強い施設を目指します。

CSPには「仕事を通じ社会に寄与する」という創業の理念があります。全社員がその志を胸に真摯に仕事に取り組み、警備事業を通じて安全・安心な社会づくりに大きく寄与しているものと考えています。

本年もCSPグループ一丸、新しい技術で最先端の安心創造へ挑戦します。

勇猛果敢にチャンレンジ
全日警 代表取締役社長 片岡由文

昨年は一年を通してコロナ禍が続き、全日警は物心両面において多大な影響を受けました。

このような中にあっても、直面した課題に対し社員の皆さま一人ひとりの力を結集してご尽力いただき、健やかに新しい年を迎えることができたことに心から感謝します。

コロナ禍のさなかに開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において当社は、競技会場警備に社員一丸となって安全安心の向上に取り組み、その結果「大会の成功に大いに貢献した」と数多くの大会関係者から高い評価をいただきました。

これは当社社員の警備業務に対する日頃からの真摯な取り組みが世間に高く評価されたものとうれしく思います。

今後はワクチン接種や治療薬の開発が進むことなどが予想されますが、本年こそコロナ禍を克服し人々の生活を本来の姿に戻すための要の年になると考えています。

今年は寅年です。「寅」のように周囲を見渡す力をもって気を緩めず感染予防に努めコロナ禍で失ったものを取り戻し、そして警備業界が迎えている大きな転換期の流れに後れをとることなくより高みを目指し、勇猛果敢にチャレンジする年にしましょう。

革新を起こす企業に
セノン 代表取締役社長 小谷野宗靖

昨年は無観客ながらも東京2020オリンピック・パラリンピックを無事に終えることができました。セノンも警備共同企業体の理事会社として、大会警備の一翼を担うことができたこと、非常にうれしく思っています。警備業界各社がワンチームとなり、前例のない警備業務を完遂できたことは、業界全体のレベルの底上げにつながるとともに、業界にとってマイルストーンとなる出来事と認識しています。今後も業界全体で競い合い、サービスの向上を図っていきます。

昨年10月の緊急事態宣言解除後、新規感染者数が大きな広がりを見せずに推移し、飲食や宿泊などの業種をはじめ、国内の経済活動は再開が進んでいます。ワクチン接種や医療体制の強化などにより、今後もこの状況が続くように見えますが、新型コロナウイルスは新型変異株が誕生し予断を許さない状況です。

経済活動の正常化により、雇用や所得が改善し流通量の拡大で「AI」「IoT」を活用した警備需要の増大が予想されます。セノンも的確にビジネスチャンスを捉え更なる飛躍の年とできるよう社会の変化に対応していきます。

昨年も東京ドームや神宮球場、甲子園球場などに『守りの名手』の広告掲出を通じ、各種スポーツサポートに努めました。特に当社がスポンサーを務める東京ヤクルトスワローズは日本一に輝き、高津監督の人心掌握術や選手のやる気を引き出すマネジメント術は、企業運営においても大いに役立つものであり、広告効果以上に得るものが多いものとなりました。

緊急事態宣言などを経験した我々は、これまで以上に「人と人とのつながり」が重要であることを深く理解しました。一緒にいる時間が長かったり、情報交換の頻度が多かったりといった「強いつながり」だけではなく、ソーシャルネットワークで見られる「弱いつながりの強さ」もまた重要です。「弱いつながり」を持つ人は「強いつながり」では手に入らない多種多様な情報を入手できます。ここで多様な知の集積が行われ、掛け合わされることで、革新的なことを起こすことができるのです。

当社も社名の由来である「セキュリティイノベーション」の名に恥じぬよう、革新を起こす企業となるためにまい進していきます。

変革の大波、既成概念見直す
共栄セキュリティーサービス
代表取締役 我妻文男

新型コロナウイルス感染症という未曽有の困難の中で、警備業界を挙げて完遂した東京五輪・パラリンピック警備も終わり、いよいよ変革の時代が訪れようとしています。共栄セキュリティーサービスも、押し寄せる変革の大波に乗るべく、徹底的に既成概念の見直しに取り組んでいます。

例えば、日々顧客に提出する警備日誌は、印刷や押印が必要なのでしょうか。管制に電話機が必要と誰が決めたのでしょうか。

昨年末、既成概念と成功体験を否定し、新しい価値を肯定するためのコントロールセンターが稼働し始めました。DXの力を借りて、持続可能な成長のために変革を成し遂げていくつもりです。私たちの業界にも多くの既成概念が存在していますが、先頭に立って変革を推し進めていき、業界価値の向上にも貢献していければと思っています。

また、ダイバーシティ推進の一環として、積極的に女性を採用しています。東京五輪・パラリンピックでは多くの女性警備員が活躍し、女性警備員が活躍できる警備業務はたくさんあると思います。

当社は、女性が活躍できる職場環境整備を進めており、それは義務だと思っています。現在では正社員のうち25%が女性です。私は女性の雇用機会と活躍機会の提供をますます強化し、警備業界の景色を変えていきたいと考えています。積極的な採用活動は平均年齢にも表れており、正社員の平均年齢はここ2年半で10歳以上下がり、現在は33.4歳です。

激動の時代で、安全・安心でサスティナブルな社会を実現するべく、当社と警備業界が大きく貢献していくために、両者を変革してくれる若手の成長に大いに期待し、引き続き積極的な採用活動に取り組みます。

青年部を大きく育てる
東北地区警備業協会連合会 会長 氏家仁(トスネット 代表取締役社長)

東北地区警備業協会連合会は、警備業界の歴史を変えるのは「東北」との“合い言葉”を掲げ、信念を持って活動してきました。とりわけ昨年は、一昨年から続くコロナ危機の中、私たちはリスクや制度変化等と闘いながらも、第3回の「青年部サミット」を開催しました。東北地区連のみならず北海道警備業協会青年部も参加し、成果文書を取り交わし、また全国から同じ志の部員が結集し、青年部の夢と希望という名の根を大地に張り、青年部という「木」を大きく成長させました。

この青年部という名の木とそれを支える根は、警備業のウィズ・アフターコロナの展望を見据え、一人ひとりが汗と知恵を結束させ、チームとして業界を未来へとけん引する大きな木へと成長、これまでの警備業の歴史を塗り替える木の実を結び付け始めています。

青年部活動の活性化は、協会活動のバロメーターであり、青年部活動の積み重ねが業界の歴史を動かし始めています。歴史に「if」はなく、必然の積み重ねが歴史を動かすのです。

サミット開会式で私は、昨年と同様に「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、夢なき者に成功なし」と、古人の言葉を再び引用し声援を送りました。

音を立て歴史が動き始めつつあります。歴史の歯車を動かす力を青年部に与えてほしい。各県協会全てに青年部を発足させ、私たちの思いを発展・加速させていただきたい。東北の地が、青年部サミット発祥の地として、大義をもって全国に“東北魂”を発信したく決意するところです。

時代に合ったサービス
関東地区警備業協会連合会 会長 島村宏(日警 取締役会長)

新型コロナの拡大に伴い1年延期された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」が開催され、無事閉幕しました。数々の課題や困難を乗り越え、大会警備を完遂した警備関係者各位に慰労と感謝を申し上げます。

この大規模警備を成し遂げた我々警備業界は、その力量を世界に示すことができ、同時に国民の信頼も勝ち得たものと強く感じます。今回の警備を通じて得られた貴重な経験やノウハウは、これからの警備業界の発展に必ずや活かされるものと確信します。

一方、新型コロナの影響により、各種経済活動は低迷していますが、将来、この戦いに終止符が打たれ、アフターコロナの時代が到来することは疑いのないところです。その暁には、警備業界はエッセンシャルワーカーとしての新しい形の警備業務が求められ、我々は時代のニーズに見合った新しい事業サービスを提供するという企業努力が問われることになります。

その原動力になるのが次代を担う若い力であり、関東地区連内の青年部会のますますの強化・活性化に期待するところが大です。

今後は各県青年部の若い視点と発想による業務を展開し、それを業界全体の盛り上がりにつなげながら、警備業界が真の意味での「生活安全産業」として、更なる飛躍を期してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

「新たな日常」を先取り
中部地区警備業協会連合会 会長 小塚喜城(コアズ 代表取締役社長)

昨年は、一昨年から続く新型コロナウイルス感染症により、健康被害のみならず、経済にも幅広く影響が拡大し、これまでの経済活動や日常生活での常識が一変しました。

「国民の生命・身体・財産を守る生活安全産業」である警備業界はこの2年間、一時の停止も許されない、国民の日常生活に不可欠な業種、まさに「エッセンシャルワーカー」として厳しい環境の中、その職責を果たしてきました。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における警備JVによる大会警備の成功はその代表例であり、わが国民間警備の質の高さを国内外に示し、出口の見えないコロナ禍の中で業界に曙光をもたらしてくれました。

他方、当業界には「警備員の処遇向上等による慢性的な人手不足の解消」「経営基盤の強化、単価引き上げ、ダンピング防止」「ICTテクノロジーの活用」等健全な発展を促進していくため解決しなければならない課題もあります。

ウィズコロナ/ポストコロナの時代には、従来のビジネスモデル・慣習にこだわり、単にこれを維持することは衰退を意味します。「新たな日常」を先取り、IT化やイノベーションの推進を加速させることが重要です。

また、気候変動も影響し自然災害の頻発するわが国では、防災・減災対策や発災時の救援・支援にも注力しなければなりません。

豊かな自然に恵まれ、自動車産業を筆頭に「ものづくり」で調和のとれた発展を遂げてきた中部地域では現在、リニア中央新幹線の早期開業に向けた工事や地域の機能強化に向けた取り組みが進んでいます。

当連合会では本年も中部6県の共通課題に対し連携して取り組むとともに、業界の更なる発展に寄与してまいります。

合言葉は「近畿は一つ」
近畿地区警備業協会連合会 会長 宇多雅詩(全日本パトロール警備保障 取締役会長)

昨年、紆余曲折を経て開催された東京オリンピック・パラリンピックは、大会期間中553社の警備会社、延べ28万1千人の警備員が各地域での警備に従事し、無事故で任務を完遂しました。

彼らに対し、海外メディアから「他に例がないほど、フレンドリーで仕事に忠実な警備員はかつて見たことがない」と称賛され、東京五輪組織委員会CSO(チーフ・セキュリティ・オフィサー)の米村敏朗氏からは「警備に従事していた彼らこそが大会成功の真のヒーローである」と最大級の賛辞をいただきました。

さまざまなネガティブな批評、意見を受け続けた警備業の黎明期を知る者として、これらの言葉には隔世の感があり、万感胸に迫るものがあります。

作家吉川英治は「朝の来ない夜はない」と、自らに課せられた使命を誠実に全うし、何事もあきらめずに継続することの大切さを説いています。我々の業界にも、また暗く閉ざされたコロナ禍も、朝焼けの東山三十六峰の稜線のごとく目に映るのを実感しているところです。

近畿地区警備業協会連合会は、「近畿は一つ」を合言葉に、各府県協会の会長、専務理事また各事務局員が密なる関係をもって、会員のため、業界のためを旨として、施策実現のために一丸となれる組織づくりを進めてまいりました。

改めて、より一層協力関係を強固にし、全国警備業協会の旗の下、信頼される警備業界の未来のために尽力してまいる所存です。

中・四国の連携強化図る
中国地区警備業協会連合会 会長 村本尚之(ケイビ 代表取締役社長)

新型コロナウイルス感染症は収まることを知らず、世界的にも経済活動に大きな打撃を受けました。国内においては、9月末の緊急事態宣言解除後、新規感染者数の激減により、国の行動制限も解除され、ようやく平常が取り戻せるものと期待していました。 

その矢先、新たな変異株「オミクロン株」が世界各地へ急速に拡大し、一部の国では規制が強化されるなど、依然として厳しい状況から脱却できていません。

その中で、中国地区警備業協会連合会では先般、初のWeb会議を開催し、情報共有等を図りました。今年も引き続き、各県協会との更なる結束を図っていきたいと考えています。

一方で、自然災害に目を向けると、昨年広島県では、大きな被害はありませんでしたが、静岡県では土石流が発生し、甚大な被害をもたらしました。

近年、世界的にも気候変動による未曽有の災害が多発し、国内においても、毎年のように豪雨・台風・地震などによる被害が発生していることから、警備業界として万全なる備えが喫緊の課題となっています。

昨年、広域連携を深めるべく、第2回目の中国四国地区警備業協会連合会合同会議を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、延期せざるを得なくなりました。

今年は、ぜひとも合同会議を開催し、一層の連携強化を図りたいと考えています。

いまだ収束が見通せない新型コロナウイルス感染症の影響や深刻な人手不足などの諸問題が山積みで、今年も厳しい1年になると思われますが、生活安全産業としての警備業の使命を果たすべく、中国地区の各県協会が一丸となって、この難局を乗り切りたいと考えています。

アクションプランの実行
四国地区警備業協会連合会 会長 北川豊彦(讃岐 代表取締役会長)

昨年も新型コロナウイルスに振り回された一年間でした。コロナ禍が下火になってきた年末からは、新たな脅威である「オミクロン株」が世界的に拡散し、今後の感染状況が心配される2022年の幕開けとなりました。

このオミクロン株は新型コロナよりも感染力が強く、ワクチン接種をしていても感染することがあり、今まで以上の感染防止対策が必要です。

拡散させない対策を十分に取り、一日でも早く平穏な日常を取り戻す努力が必要不可欠です。

2年続いてのコロナ禍により、警備業界においても大なり小なり影響を受けたところですが、幸いにして東京オリンピック・パラリンピックが無観客ながら成功裡に終えられたことは、警備業界にも明るい兆しであるように思われます。

警備の一端を担っていた警備員の方には「ご苦労さま」と労いの言葉を掛けさせていただきます。

四国地区連では、一昨年に続き昨年の春の総会は書面決議とし、秋の臨時総会は都合上12月に愛媛県で開催し、今後の青年部会の在り方等について協議したところです。

昨年の中国・四国地区連の合同会議は四国での開催を計画していましたが、諸般の状況から中止となりました。できましたら22年度に実施したいと考えています。

今後の警備業界の発展のためには、全警協の基本問題諮問委員会が検討テーマとしている「外国人雇用」「ICT・テクノロジー活用」「成長戦略に資する警備業法の見直し」「経営基盤の強化、単価引き上げ策」「災害時における警備業の役割の明確化」等についてアクションプランの実行を図っていくことが必要です。

警備業界を盛り上げていくためにも全国の警備業者が団結して各種対策に取り組んでいこうではありませんか。

加盟企業の発展に寄与
九州地区警備業協会連合会 会長 折田康徳(にしけい 代表取締役会長)

昨年8月の豪雨で佐賀県が大きな災害を被りましたが人的被害はなく、例年に比べれば自然災害は少ない年でした。九州経済成長の大きな要因だったインバウンドは復活していませんが、国内旅行は復活し始めており、経済的にも明るい兆しが見え始めています。

佐賀県では会長交代となり、新しい陣容で九州地区警備業協会連合会として活動を行っています。

警備業界はコロナ感染症の影響として売上は減少し、一時的に人手不足が解消されたように見えますが、いずれコロナ禍が収束した場合にはまた深刻な人手不足に直面することは間違いありません。

従来から警備員の処遇改善、前提となる適正価格の実現については、各県協会とも自主行動計画を推進してきましたが、昨年全国警備業協会から、基本問題諮問委員会が策定したアクションプランが示されました。各県協会長からは、プランに盛込まれた「経営基盤の強化、単価引き上げ策」について、経営者研修会での周知や自治体への要望書の提出、県建設業協会との意見交換会などを活発に実施し効果を上げているとの報告もあります。「ICT・テクノロジー活用」については、会員会社においてはその導入が簡単ではなく、協会で指導していく必要性が高いと思われます。

九州地区連は、さまざまな施策を積極的に推進し加盟企業の発展に寄与するとともに、厳しい情勢だった昨年から一転して今年がアフターコロナの年として警備業界が一層の躍進が遂げられるように努力します。

初詣まもる 埼玉・喜多院2022.01.01

シンテイ警備 200人体制

シンテイ警備(東京都中央区、得能芳明社長)は、喜多院(埼玉県川越市)の初詣警備を行った。

警備員は大晦日から三が日にかけて延べ約200人を配置。駐車場での交通誘導や境内で参拝客がスムーズに流れるよう案内を行った。今年は自粛で半減した昨年の50%増の参拝客でにぎわった。本堂の床には間隔を開けて並ぶ目印のシールを貼り、おみくじ販売所などに消毒液を設置した。

喜多院は例年、初詣客が約40万人訪れる人気スポット。シンテイ警備は1990年から30年余、初詣警備を担当している。

警備責任者の川越営業所・野本謙太郎所長は「昨年以上の人出を想定し、変異株にも警戒して引き続き感染対策を徹底しました」と話した。

「課題は低賃金の是正」
全警協・中山会長 岸田首相に訴え2022.01.01

全国警備業協会の中山泰男会長は12月27日、首相官邸で開催された「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化会議」に出席した。岸田文雄首相ら関係閣僚に警備業の最重要課題として「低賃金の是正」を訴えるとともに、「自主行動計画」を活用した課題解決へ向けた取り組みを説明した。

同会議は、中小企業が労務費や原材料を円滑に取引価格に転嫁できる環境を整備することを目的に、経団連など27の業界団体を集めて開催。同会議で政府は、価格転嫁を行いやすくする「施策パッケージ」などを提示した。

会議を受け全警協は同日、価格転嫁を求める政府からの要請文などを都道府県警備協会に通知した。