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クローズUP

「最低賃金」1~3円引き上げ2020.08.21

5都道府県では現行維持

コロナ禍を受けた厚生労働省の中央最低賃金審議会の7月22日答申「現行水準の維持が適当」以降、都道府県労働局が開催した「地方最低賃金審議会」での答申が相次いでいる。

8月14日現在、大阪と広島を除く45都道府県で答申が行われ、うち5都道府県では現行維持となったが、中央最賃審答申に示された「地方最賃審には公益委員見解を十分参酌し、自主性を発揮することを期待する」を受け、多くの地域で1〜3円引き上げられた。新たな最賃額は10月初旬にも発効する。

千葉警協青年部会「マスク」寄贈2020.08.21

児童福祉施設に1000枚

余ったマスクを必要としている場所に届けたい――。千葉県警備業協会青年部会(岩渕克人部会長=エムサス)は、部会員から寄せられたマスクを千葉県児童福祉施設協議会(川口学会長)に寄贈した。

マスクは、部会員所属の各社で余剰または使用しないものを6月半ばから約2週間かけて集めた。10社から寄せられたマスクの内訳は不織布マスク913枚、政府配布の布マスク(アベノマスク)68枚、他の布マスク35枚の計1016枚。

児童福祉施設協議会は、県内の乳児院や児童養護施設、児童自立支援施設など計51施設が加盟する団体。それぞれの施設長と職員約1000人の会員から構成される。

7月21日に協議会事務局「青い鳥ホーム」で行われた寄贈式には、岩渕部会長と高橋修吾(北総警備保障)・行方友紀(京葉商事)の両副部会長が出席。川口会長と山本裕子事務局長にマスクを手渡し活用を呼び掛けた。

岩渕部会長は「部会メンバーが行った県へのマスク寄贈をヒントに、社会貢献活動の一環として行った。11月の『児童虐待防止推進月間』のキャンペーンなど依頼があれば協力していきたい」と、今後の活動への抱負を語った。

特集ワイド2020.08.21

警備業の災害支援

 日本は自然災害が毎年のように発生する“災害列島”だ。全国警備業協会(中山泰男会長)は6月に開催した「基本問題諮問委員会」で、「警備業の災害時の役割明確化」を検討テーマのひとつに定め、専門部会を設置して協議していくことを決めた。警備業はこれまで、集中豪雨や大型台風、大震災など災害発生時に、警備員を動員し被災地の安全に貢献してきた。警備業の「災害支援活動」と「災害支援協定」の歩みをまとめた。

◇阪神・淡路大震災
(1995年1月17日)

兵庫県明石海峡を震源とし死者6400人超と未曾有の災害の被災地で、警備業は初の災害支援活動を行った。

大阪警協は1月22日〜2月28日に延べ1470人、兵庫警協は1月21日〜3月10日に延べ354人を動員し夜間防犯パトロールを実施した。同活動は高く評価され、95年度の全警協通常総会で警察庁生活安全局長から両協会に感謝状が授与された。

◇東日本大震災
(2011年3月11日)

東北地方を中心に死者・行方不明者合わせて1万8400人超の甚大な被害をもたらした。

全警協は、技術研究専門部員で構成する「支援隊」を組織し、3月22日〜28日、被災した宮城県七ヶ浜町で昼夜の警戒活動を行った。全警協から要請を受けた大阪警協、神奈川警協、千葉警協、埼玉警協、愛知警協は各々「支援隊」を編成、塩釜警察署生活安全課長の指示のもと3月29日〜5月2日、同町内で昼夜にわたる警戒活動を行った。

宮城警協は3月15日〜5月26日、延べ人員2415人・車両790台を仙台南警察署、仙台東警察署、塩釜警察署、石巻警察署に出動させ、生活安全課長の指示を受け犯罪発生地域・施設等の警戒活動にあたった。

同警協加盟15社は3月31日〜4月30日、延べ人員432人・車両130台を出動させ、石巻警察署生活安全課長の指示で、石巻市・東松島市・女川市の被災地で警戒活動を実施した。活動内容は付近の警戒のほか、震災に乗じた犯罪への注意などのチラシ配布、通学路における学童の保護活動などだ。

兵庫警協は仙台東警察署生活安全課長の指示を受けて5月19日〜27日、仙台市宮城野区内の犯罪被害防止のため昼夜の警戒活動を行った。

東京警協は5月12日〜20日、石巻警察署生活安全課長の指示のもと石巻市、東松島市、女川町の通学路で学童の保護活動を行った。

◇広島土砂災害
(2014年8月20日)

大規模な土砂崩れが、広島市北部の住宅地などで発生した。広島警協は9月5日〜10月4日、安佐南区と安佐北区を中心に管轄警察署の指示を受け、空き巣などの被害を防ぐ夜間の防犯パトロールを実施した。

◇平成27年9月関東・東北豪雨
(2015年9月9日〜11日)

北関東・東北地方を襲った集中豪雨で、茨城県常総市の鬼怒川決壊による水害などの被害をもたらした。茨城警協は9月16日〜24日、常総市内の被災地で防犯パトロールを実施した。

◇平成30年7月豪雨
(2018年6月28日〜7月8日)

西日本を中心に北海道や中部地方を含む広い範囲で発生した集中豪雨で別名・西日本豪雨。岡山県総社市内では交通誘導警備業務に従事中の警備員が濁流に流され2人が死亡した。

岡山警協は、倉敷市の委託を受け、真備町内の被災地に県知事と1995年に締結した「災害支援協定」に基づき警備員延べ739人を動員した。活動期間は7月21日〜8月31日の42日間で駐車場での交通誘導警備や公園の夜間警備、避難所の巡回などを行った。同活動はこれまで警備業が行ってきたボランティアではなく、警備業界初の災害支援協定に基づく有償活動として行った。

広島県内では安芸郡熊野町や坂町、呉市などで土石流や土砂崩れが発生。東広島市や三原市、竹原市、福山市などでは川が氾濫し床上浸水など被害が相次いだ。広島警協は7月30日〜8月28日、警備員延べ180人を動員し車両または徒歩により被災地の侵入犯罪を防止する活動を行った。県警本部と締結している「災害支援協定」に基づく事業としての活動が困難なことから同警協の「災害対策支援事業」として実施した。

愛媛県内では、西予市野村町の野村ダムが満水に近づいたため放流量を急増させ、肱(ひじ)川が氾濫した。下流にある狩野川ダムを放流したため大洲市でも氾濫が起きた。宇和島市吉田町では土砂崩れが発生した。愛媛警協は、延べ人員174人・車両85台が出動し夜間の巡回パトロールと駐留警戒をボランティアで実施した。

◇令和元年東日本台風
(2019年10月12日〜13日)

強い勢力で静岡県伊豆半島に上陸し関東地方と福島県を縦断した台風だ。

長野警協は10月21日、長野市から市内6か所の災害廃棄物集積所周辺における交通誘導警備の要請を受けた。長野警協は、前年の西日本豪雨で県との災害支援協定に基づき有償で警備業務を行った岡山警協に連絡。警備料金や夜間手当などを聞き、それをもとに同市に提示し了承を得た。同警協は岡山警協に続き有償による被災地警備を行った。警備は12月16日まで延べ812人が業務にあたった。

宮城警協は15日、被災地の大郷町から防犯パトロールの要請を受け、青年部を中心に即刻出動。同日の夜間から30日まで約100人の警備員が従事した。