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中部地区連「警備員不足」を集中討議2019.11.21

信頼性向上へ〝ワンチーム〟で

中部地区警備業協会連合会(会長=小塚喜城・愛知警協会長)は11月11日、福井市内で6県の警協会長と専務理事による「会長会議」を開いた。全警協から中山泰男会長、福島克臣専務理事、小澤祥一朗総務部次長が参加した。会議の議題は喫緊の課題となっている「警備員不足」に絞り込み対応策などについて思うところを話し合った。

小塚会長は「直面している人手不足は実に厳しい現状という一言に尽きるのではないか。では、どうすればよいのか。いかに克服するのか。人材の確保に向けて知恵を出し、汗を流すことが求められているのです」と呼び掛けた。

同会長はその中で、愛知警協が今春から取り組む「スリー・アップ運動」((1)業界の認知度、ステータスを向上させるイメージアップ(2)経営基盤を向上させる料金アップ(3)警備員の処遇を向上させる賃金アップ)を説明、さらに活動を強化したいと述べた。

中山会長は<<警備業の信頼性向上>>をテーマに据え、次のように述べた。

「警備員の不足は一過性のものではなく、将来に向けて大きなリスクを伴った危機に直面している。巷間言われる“新3K”(きつい、休暇がない、給料が安い)は、とくに若者が警備業を敬遠する要因となっている。全警協と業界は一丸となって“ワンチームの精神”で成長戦略に取り組んでいきたい」。

会議で交わされた各県警協の主な意見と取り組みは次のようなものだった。

▽人手不足は突き詰めれば、原資をいかに確保するかに尽きる。「自主行動計画」の更なる浸透と実践を心掛けたい。

▽求人誌、求人サイトを活用しているが、経費がかかる割には費用対効果が低い。“なでしこ警備員”、退任自衛官など、個別の勧誘策を考えている。

▽労働局との連携を強め、働き方改革のプログラムに示された補助金制度の活用を図りたい。

年末防犯強化始まる2019.11.21

日通関西警送が訓練

不審な兆候を早期に発見し事件発生を未然に防ごう――日本通運関西警送支店(大阪市、山岸直樹支店長)は11月16日、同支店内で「2019年度年末防犯訓練大会」を開催した。同社では犯罪が多発する年末を控えたこの時期、警備員の防犯意識と技術の一層の向上を目的に、各地の拠点で訓練を実施している。

警備輸送事業部・藤代正司執行役員は「キャッシュレス化が加速しているが現金流通量は依然として増加。安全・コンプライアンス・品質に重点を置き、緊張を強いられる年末を乗り切ってもらいたい」と訓示した。山岸支店長は「年末防犯強化の取り組みがスタートした。この大会を通じて警備警戒の原点に立ち返り、『安全は全てに優先する』『強い組織を作る』『自分を律する』の3つを心に置いて業務にあたってほしい」と呼び掛けた。

大会では全警備員で警戒棒訓練を行った後、警戒棒と警戒杖の基本・応用操作、AEDの操作、襲撃対応・緊急通報、全国警備業協会委嘱講師による貴重品運搬警備業務1級(貴重品積卸要領)の模範演技などが行われた。

特集ワイド 許すな 特殊詐欺2019.11.21

警備業と警察、連携し注意呼び掛け

「ストップ! 特殊詐欺」――高齢者を狙う悪質な詐欺犯罪が後を絶たない。被害の未然防止に向けて、警備業と警察が連携した取り組みが広がっている。各地の警備業協会は11月1日「警備の日」広報活動の一環として、街頭などで注意を呼び掛けた。特殊詐欺の発生状況と新たな手口、警備業の取り組みをまとめた。

警察庁の「特殊詐欺発生状況」(11月1日発表)によると、今年1月から9月末までの特殊詐欺の被害は1万2382件(前年同期比424件減)、被害額222億5327万円(同50億8566万円減)となった。被害者の性別は女性75パーセント、男性25パーセント。被害件数・額ともに減少しているが、年末に向けて被害増大が予想されることから予断を許さない。

新たな手口では、百貨店、家電量販店、警察を名乗り「あなたのカードが不正利用されている」、また銀行や金融庁を名乗り「古いカードなので新しくする必要がある」などと言葉巧みにだます“キャッシュカードすり替え”が昨年より大幅に増えている。認知件数は今年9月末時点で2452件(前年同期比1611件増)、だまし取られたキャッシュカードで引き出された被害額は34億4030万円(同23億2081万円増)。

その手口はこうだ。まず犯人から「個人情報が流出している」などの電話が個人宛てにかかってきて、キャッシュカードと暗証番号を書いたメモを用意して待つよう指示される。その上で被害者宅を訪れた犯人から持参した封筒にキャッシュカードを入れるよう求められる。さらに封印を指示され、被害者が印鑑を取りに行っている間に犯人は用意してきたニセの封筒(無関係のカード入り)とすり替える。被害者はニセの封筒を封印すると保管を求められる。キャッシュカードが入った封筒は犯人が持ち去る――という犯行だ。

その他の手口では、息子や孫など親族を装って電話をかけ口座の凍結が必要などと称してキャッシュカード・預金をだまし取る“オレオレ詐欺”、郵便やメールで料金を請求する文書を送付し現金を口座に振り込ませる“架空請求詐欺”、融資を受けるための保証金などの名目で現金を口座に振り込ませる“融資保証金詐欺”――は、被害件数・被害額ともに昨年に比べ減少傾向にある。

市町村の職員を名乗り、税金の還付などに必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ口座に振り込ませる“還付金詐欺”は、被害件数・被害額ともに増加した。不特定の者に対してパチンコ攻略法などの虚偽の情報を提供し会員登録料や情報料などの名目で金銭をだましとる“ギャンブル必勝法情報提供名目の特殊詐欺”の被害額も昨年より増えている。

都内の被害状況をみると、認知件数は今年9月末の時点で2264件(前年同期比681件減)で被害額は48億8740万円(同16億4828万円減)。都内の被害件数は全国の18.3パーセント、被害額は22.0パーセントを占め、被害が集中している。

警備業と警察、連携し注意呼び掛け

警備業は警察と連携し殊詐欺の未然防止に貢献してきた。

今年5月に愛知県警備業協会(小塚喜城会長)と愛知県警が、ATMでの声掛け強化や社員・家族への被害防止機器普及を図る「特殊詐欺の被害防止に関する協定」を締結した。これまでに東京警協、石川警協、岡山警協、徳島警協なども、警察本部と特殊詐欺被害防止を目的とした協定を結んでいる。

11月1日「警備の日」には、各地の警協が警察と連携し、通行する人にチラシを配布して特殊詐欺への注意を呼び掛けた。

愛知警協は、県警本部と県内8か所で防犯キャンペーンを展開。協会の支部役員などが参加し、大型商業施設や駅、ATMコーナーなどで広報活動を行い、「特殊詐欺多発 ニセ電話にご注意を!」の文字が入ったボールペンを配布した。

岩手県警備業協会(阿部正喜会長)は朝の通勤通学の時間帯に、JR盛岡駅構内で県や県警本部と連携した振り込め詐欺被害防止キャンペーンを実施した。阿部会長と加盟会員ら28人が参加し、詐欺手口が掲載されたチラシ1500枚を駅利用者に配布した。同日午後には青年部会員11人が盛岡市内のアーケード商店街で県警所轄署と連携して「振り込め詐欺防止」の広報チラシを配り、買い物客などに注意喚起を図った。川崎秀規専務理事は「警備の日の広報啓発活動は今年で4回目となるが、警備業のPRとともに毎回、特殊詐欺防止を呼び掛けている。社会貢献の一環として今後も継続していきたい」と話す。

大阪府警備業協会(若林清会長)は、大阪市天王寺区内の複合施設のイベント広場で行った警備の日の広報活動の中で、天王寺警察署と連携して特殊詐欺防止を呼び掛けた。若林会長はじめ協会役員と総務委員、女性部会、青年部、事務局から43人が参加し「アポ電対策三箇条」と題して(1)お金の電話、それアポ電(2)アポ電、すぐ切り110番(3)アポ電対策、留守番設定――と標語形式でわかりやすく未然防止につなげるチラシを配布した。アポ電とは個人に電話をかけ家族構成や資産状況を聞き出した上で詐欺や強盗を仕掛ける犯罪のことで、近年被害が増加している。チラシの裏には防犯機能付き電話の使用など、対策を具体的に紹介して警戒を促した。