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秋の全国交通安全運動 警備業、事故抑止を推進2023.10.01

秋の全国交通安全運動(9月21〜30日)に合わせ、静岡県警備業協会(立川勝彦会長)は、初となる会員による「交通安全宣言書」を静岡県警察本部に提出した。東京都警備業協会(村井豪会長)は、警視庁交通部管理官を講師に招いて道路交通法改正などについての研修会を行った。

静岡警協 県警に「宣言書」提出

静岡警協の加盟166社が作成した「交通安全宣言書」の提出式は、9月20日に県警本部で行われた。立川会長が同宣言書の趣旨を読み上げ、加藤悟交通部長に手渡した。

同宣言書の作成・提出は、協会初の試みとして業務委員会(山本順一委員長=静岡総合警備保障)の発案により行われた。

県内では昨年9月に浜松市内で、今年6月には御殿場市内で、それぞれ交通誘導警備員が交通事故により死亡した。県外でも同様の死亡事故が相次いだ中で、警備業が一丸となって交通事故抑止を推進していく一環として宣言書の作成を協会が会員に呼び掛け、実現した。

立川会長は提出式で「我々の仕事、特に交通誘導警備業務の現場は、警備員が交通事故の被害者になりかねない危険な現場でもあります。秋の全国交通安全運動に当協会を挙げて取り組み交通事故を減らすことは、県民へ安全安心を提供するとともに、警備員の労働環境改善にもつながると思います」と宣言の趣旨を説明した。

加藤交通部長は「力強い宣言書を提出していただいた。警備業務上も含めて早めのライト点灯、交通ルールの遵守など交通安全運動を推進していただきたい」と述べた。

東京警協 経営者研修会

東京警協・交通警備業務部会(久恒康裕部会長=第一総合警備保障)は9月21日、経営者研修会を都内で開催し、56人が参加した。

警視庁交通部の丸山佳高管理官・交通執行課執行担当は「道路交通を取り巻く情勢について」と題して講演した。

一定の台数以上の自動車を使用する事業所で選任される「安全運転管理者」の役割を述べた。同管理者が運転者の酒気帯びの有無を確認する際に、今年12月1日から「アルコール検知器をして確認を行うこと」などが義務化されることを説明した。

今年7月の法改正により、一定の条件を満たす「電動キックボード」は運転免許がなくても乗れるようになったことを解説。また、今年4月から自転車利用者はヘルメット着用が「努力義務」となったことなどを述べた。

あおり運転を厳罰化するため定められた「妨害運転罪」について、ドライブレコーダーで録画されたあおり運転の映像を交えて解説。あおられて焦る運転者の心理や、事故遺族の悲痛な心情を語った。

職場などでチームを組み無事故・無違反をめざす「セーフティドライブ・コンテスト」も紹介。交通事故抑止に向け、警備業の一層の協力を求めた。

講演に先立ち、久恒部会長は「法改正など新たな知識や情報を警備員に周知し、適正業務の推進に向けた教育指導を行う際に本日の研修内容を生かしてほしい」と述べた。

講演後、東京警協・衣川淳一専務理事は「交通の円滑化に警備業は貢献してきた。その誇りと自信を持って警備員は業務を遂行し、事故予防に万全を期してほしい」と、さらなる取り組みを呼び掛けた。

危機管理産業展2023.10.01

10月11~13日 東京ビッグサイトで

危機管理をテーマにした国内最大級の総合トレードショー「危機管理産業展(RISCONTOKYO)2023」と国内唯一のテロ対策専門展示会「テロ対策特殊装備展(SEECAT)23」が10月11日(水)から13日(金)までの3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される(主催=東京ビッグサイト)。

危機管理産業展は「防災・減災」「BCP・事業リスク対策」「セキュリティー」の3分野を中心に、生活やビジネスに関わるリスクに対処するための製品・サービスを展示。239社・団体が出展を予定しており、警備業からは全国警備業協会(中山泰男会長)と全日警(東京都中央区、片岡由文社長)が出展する。

併催するテロ対策特殊装備展は、激動の世界情勢や多発するテロ、凶悪犯罪などを背景に注目が集まる。95社・団体の出展を予定。警備業ではセントラル警備保障(CSP・東京都新宿区、澤本尚志社長)とセキュリティー(岐阜市、幾田弘文代表取締役)が展示を行う。

昨年は両展示会を合わせて約1万2000人が来場した。今年は前年を上回る1万5000人と予想される。

特集ワイド 「リスク対処」最新情報2023.10.01

警備業からは4つのブース

凶悪犯罪が増加し関東大震災の発生から100年が経った今年、「危機管理」への関心が高まっている。10月11日から13日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される危機管理産業展(RISCON)とテロ対策特殊装備展(SEECAT)は、あらゆるリスクに対処するための最新情報を発信する展示会だ。警備業から出展する4社・団体の展示内容について取材した。

危機管理産業展は2005年から毎年、東京ビッグサイトで開催されている。今年は(1)セキュリティー(2)防災・減災(3)BCP・事業リスク対策――の3分野に関する展示を行う。

セキュリティー分野は「犯罪・事故から人・建物・設備を守る」をテーマに、オフィスや商業施設の監視・警戒や入退出管理、AIを活用した警備システムなどを紹介する。

防災分野は「あらゆる災害に対応するための備え」として避難用資機材や備蓄品、防災アプリなどの展示を行う。

BCP・事業リスク対策は「事業活動におけるさまざまなリスクに対処する」ために、緊急時の無線通信や安否確認システム、非常用電源などを出展する。

警備業からは全国警備業協会(中山泰男会長)と全日警(東京都中央区、片岡由文社長)がブースを出す。

全国警備業協会 資格制度を紹介

全国警備業協会は2014年に初参加し、今回で10回目の出展となる。

東日本大震災など自然災害発生時に出動した災害支援隊の活動をパネル展示したり、各都道府県警備業協会による「11月1日・警備の日」の活動を大型モニターで映して警備業の広報、アピールを行う。

警備会社の適正取引に向けた自主行動計画の取り組みやセキュリティー・プランナー、同コンサルタントなどの認定資格制度についても紹介する。

全日警 AI解析ソフト

全日警は、同社が提供するAI行動解析・画像解析ソフトウエア「SCYLLA(スカイラ)」を紹介する。

SCYLLAは既存の監視カメラを使用することを前提としており、さまざまな解析機能が搭載されている。具体的には次のような機能だ。

(1)破壊行為や転倒などの異常検出や万引きなどの不審行動検知(2)屋外を含めた煙や火災検知(3)マスク着用を含む顔認証(4)特定の人物をリアルタイムに発見する人物検索(5)一定の時間・範囲内の人・車両の検出(6)銃器などの不審物、マスク未着用などの検出(7)人流や交通量の分析(8)ドローン撮影など動く環境下での検知・解析――などだ。

この中で今回は「動く環境下での検知・解析」をメインに紹介する。ドローンに搭載したカメラや旋回カメラなどを用いて、その映像を解析するデモンストレーションをブース内で行う。検知の種類は「顔認証」と「破壊行為」の2分野で予定している。

テロ対策特殊装備店’23

テロ対策特殊装備展は危機管理産業展の併催企画として2007年にスタート、今回で17回目の開催となる。事前登録審査により来場を政府や重要インフラの関係者などに限定した「クローズドショー」で、国内外の最新のテロ対策資機材やシステム、サービス、情報が集結する国内唯一の専門展示会だ。

警備業からは、セントラル警備保障(CSP・東京都新宿区、澤本尚志社長)とセキュリティー(岐阜市、幾田弘文代表取締役)の2社が参加する。

セントラル警備保障 不正ドローン対処

セントラル警備保障は、テロ対策特殊装備展に初出展する。同社はこれまで官公庁向けにテロ対策資機材提供の実績を重ねており、展示内容は広範囲にわたる。

「カウンタードローンシステム」は、不正・未許可のドローンを検出・識別し、自動で制御の支配が可能。妨害電波や発射物体、目視が必要なく、三脚型や車載型、バックパック型と状況に合わせた運用ができる。

「空陸ドローン」は、建物内や通信が困難な区域内などで使用可能な都市型ドローン。一人のオペレーターが同時に複数機を操作でき、劣悪な通信環境でも高品質な伝送を実現する。

「防弾フローティングベスト」は、防弾ベストと救命胴衣の機能を持ち海上船舶の乗員や海上・地上部隊向け。汗の蒸発を促す3Dメッシュ構造だ。

「ヘラクレス」は車両突入を阻止する純国産バリケード。車両突入スピード時速80キロ以上にも対応する。折りたたみ収納式でキャスターで移動できる。

セキュリティー 「厳しい安全保障環境」

セキュリティーは、SEECATの第1回から参加してきた。田中敏郎副社長(東京支社長)は「日本は戦後最も厳しい安全保障環境に直面しています。専制主義国家によってパワーバランスが大きく変化しており対処すべき課題となっています。国内でも重大事件が発生しテロ対策が必要なことは明らかです」と指摘する。

今回は次の資機材の展示を予定している。

「ナイトビジョンゴーグル各種」として、同社の定番である夜間暗視装置、熱画像装置、レーザ距離計、ジャイロ式双眼鏡(暗視機能付)を展示。警備警戒や捜索救難、ターゲット捕捉などに効果を発揮する。

「赤外線水中カメラシステム・ダークウォータービジョン」は、水中における視界確保が可能なカメラシステム。水中の透明度が悪い環境下でも捜索、救難活動などの作業を支援することができる。

「携帯型大音響発生装置・ヘイリング」は、従来の拡声器やスピーカーとは異なる圧倒的な音圧と非常に限定された指向性を保持したまま音響効果を遠方まで到達させることができる。