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クローズUP

児童の登校守る2022.04.21

埼玉警協「春の交通安全」に協力

埼玉県警備業協会(炭谷勝会長)は4月8日から15日まで、県内9か所で初めて小学校児童の登校見守りを行った。

6日に始まった「春の全国交通安全運動」を受け、同協会が県警本部交通部に社会貢献の一環として運動への協力を申し出た。

県内公立小の入学式と新学期初日となった8日は、県内2か所で見守りを実施。川口市内では県南支部(杉森智和支部長=大東管財)に所属する東京工事警備(東京都文京区、海原紀幸社長)の埼玉支社(川口市、新井純之支社長)の警備員2人が、川口署交通課の警察官5人とともに、十二月田(しわすだ)小学校付近で児童の安全な登校を見守った。

埼玉警協では初の取り組みとなった今回、期間中に加盟社の延べ18人の警備員が協力。秋の全国交通安全運動では、全6支部にさらなる協力を求め、多くの地域で児童の登校見守りを行う意向だ。

広がるウクライナ支援2022.04.21

佐賀警協、善意銀行に義援金

佐賀県警備業協会(島田浩二会長)は4月4日、ロシアの侵攻を受けたウクライナへの人道支援として義援金50万円を佐賀善意銀行(中尾清一郎頭取=佐賀新聞社社長)に預託した。協会創立50周年記念事業の一環で、都道府県警協によるウクライナ支援は全国初とみられる。

佐賀善意銀行は、預かった金品を福祉団体などへ配分しボランティア活動を推進する組織。義援金は県ユニセフ協会と日本赤十字社県支部を通じて救援活動に充てられる。

佐賀警協は3月23日の理事会で「50周年の節目を迎え、会員に向けた行事開催にとどまらず何らかの形で社会貢献ができないか」と協議した際に堺善治専務理事がウクライナ支援の義援金について説明。協会として贈ることを決めた。

翌24日に島田会長名で会員に「ウクライナ人道危機義援金の拠出について(協力依頼)」と題する文書をメールやファックスで送付、協力を呼び掛けた。

島田会長の話 地域の安全・安心を守る警備業者は、ウクライナの問題にも敏感に反応して活動すべきと考えました。

北関東綜警、会社と社員が寄付2022.04.21

北関東綜合警備保障(宇都宮市、青木靖典社長)は4月8日、日本赤十字社栃木県支部の支部長も務める福田富一栃木県知事を訪問、「ウクライナ人道危機救援金」200万円を寄付した。

青木社長がウクライナの惨状を伝えるニュースに心を痛めたことや、同社男性社員(38歳)が2016〜18年にキーウの日本大使館で「在外公館警備対策官」として勤務していたことがきっかけだった。

寄付金は、会社と社員が半分ずつ拠出。会社は役員会、社員は親睦会で拠出を決定した。

同社はこれまでにも、タンザニアやニカラグアなど多くの国々に在外公館警備対策官を派遣している。

特集ワイド 警備業の熱中症予防2022.04.21

交通誘導警備や雑踏警備など炎天下での業務が多い警備業は「熱中症多発業種」と指摘される。厚生労働省が5月1日からスタートさせる熱中症予防対策「クールワークキャンペーン」では、業界団体で唯一、全国警備業協会も主唱者として参画する。熱中症多発期を前に警備業での予防対策を考える。

厚生労働省の調査によれば、2021年に全国の職場で発生した熱中症による死亡者と4日以上の休業者を合わせた「死傷者数」は547人、うち死亡者数は20人だった。業種別では、建設業が最も多く128人(うち死亡者数は11人)、次いで製造業85人(同2人)。警備業はこれらに次ぐ“ワースト3”の65人(同1人)だった。

17〜21年までの過去5年間の警備業の死傷者数は、全業種中“ワースト5”の367人(同11人)。死傷災害に占める死亡災害の割合は、全業種平均2.7%に対し警備業は3.0%で全業種平均を上回っている。

WBGT値

厚労省が2021年に策定した「職場における熱中症予防基本対策要綱」では、(1)WBGT値(暑さ指数)の活用(2)作業環境管理(3)作業管理(4)健康管理(5)労働衛生教育(6)救急処置――の6つの取り組みを示している。

WBGT値とは「湿球黒球温度」のこと。暑熱環境による熱ストレスの評価を行う際に用いる指数のことで、一般的には「暑さ指数」と呼ばれ、同値が高ければ高いほど熱中症発症の危険が増す。これからの季節、テレビなどの天気予報では、熱中症に対する注意を呼び掛けているが、その目安として使用されているのがWBGT値だ。

全国各地の同値は環境省が例年、熱中症が発生する4月下旬から同省ホームページの「熱中症予防情報サイト」で公表し、熱中症の発生が極めて高いと判断された場合には、気象庁と協力して「熱中症警戒アラート」を発し注意を促している。警備業でも現場で熱中症が発生する“危険の目安”としてWBGT値を活用したい。

3つの管理

日常の熱中症予防対策は(1)作業環境管理(2)作業管理(3)健康管理の「労働衛生3管理」に基づき行う。

作業環境管理について要綱は、直射日光や周囲の壁面・地面からの照り返しを遮ることができる簡易な屋根を設ける、適度な通風または冷房を行うための設備を設ける――などにより作業場所のWBGT値の低減を求めている。

しかし、建設現場やスーパー駐車場など客先(ユーザー)施設内で業務を行うことが多い警備業では、自ら熱中症予防対策を施した休憩施設の設置が困難な場合が多い。このため警備事業者は、自社警備員も客先の休憩施設を利用できるよう事前に警備業務発注者に協力を求めるとともに、休憩施設を日常利用する建設作業員やスーパー店員などにも警備員が利用することを周知する。

作業管理では、具体的な取り組みとして「作業時間の短縮」「暑熱順化」「水分・塩分の摂取」「服装」――がある。

作業時間短縮は、休憩時間などを確保して高温多湿作業場所での連続した作業時間を短縮すること。継続的な警備業務が求められる現場では、休憩時の交代要員の配置(増員)を発注者に求めることが欠かせない。

暑熱順化は、熱に慣れること。順化の有無は、熱中症発症リスクに大きく影響するため計画的な「暑熱順化期間」を設定する。

暑さに慣れていない新規採用者を、新任教育終了後すぐに炎天下の現場に配置することは避ける。ベテランであっても、気温が急に上昇した日は順化の効果が十分に発揮できない場合もあるため注意する。

また、暑熱順化は夏季休暇など長期の休みで現場を離れた際は、その効果が薄れてしまうので留意が必要だ。

水分・塩分の摂取は、最も効果的に熱中症を予防するための対策だ。現場警備員には、水分・塩分を作業前後と作業中定期的に摂取するよう指導する。喉の渇きをあまり感じない人、トイレを気にして水分補給を抑制する人もいるが、熱中症予防に水分・塩分が欠かせないことを周知し、確実な摂取を徹底させる。その際、摂取状況を警備員自身や現場のリーダーが確認できる「表」を作成し、現場巡察時には摂取状況を同表や声掛けなどで確認する。

服装は、透湿性と通気性の高い服装を着用する。警備服がこれらの機能を有しない場合には、身体を冷却する機能を持つ服(空調服や空調ベストなど)の着用や、冷水や流動性の氷状飲料などを摂取して身体の深部体温を下げる「プレクーリング」などを行う。

教育

糖尿病や高血圧症、心疾患、腎不全、感冒、下痢などは熱中症の発症に大きな影響を及ぼす。これら疾病を持つ人については、医師などの意見も聞き、配置する現場や勤務時間などを配慮する。

勤務当日の朝食の未摂取、睡眠不足、前日の多量飲酒、体調不良なども熱中症発症の引き金となる恐れがある。作業開始前の打ち合わせや上番時に体調の確認を行うとともに、新任・現任教育などで熱中症発症の仕組み・症状などを教育、従業員の熱中症に対する理解を深める。