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徳島警協、4か月の出動完了2021.03.21

鳥インフル協定基づき

徳島県警備業協会(山下秀夫会長)は3月3日、徳島県との協定に基づき実施した鳥インフルエンザまん延防止を目的とした交通誘導警備業務を終了した。

業務は、香川県内と徳島県内の鳥インフルエンザ発生を受け、会員会社を中心とした17社が2020年11月6日から21年3月3日までの約4か月という長期に渡り実施した。

国道など主要幹線道路の県境6か所、阿波市内と美馬市内の養鶏農場周辺の消毒ポイント計14か所で、2人・24時間体制で行った。夜間は山間部で気温が低下、積雪もあり厳しい環境の中で取り組んだ。

徳島警協は2018年1月、香川県内で発生した鳥インフルエンザまん延防止のための警備員出動を受け、同年9月に徳島県と「家畜伝染病発生時における交通誘導警備業務に関する協定」を締結した。

山下会長の話 徳島県は全国有数の養鶏の盛んな地域。この大切な産業を守るため、感染防止の一助となれたことに誇りを感じるとともに、警備員らの奮闘に感謝しています。

20歳 警備なでしこ活躍2021.03.21

ナゴヤドーム警備隊員、胸骨圧迫続け人命救助

入社1年余の20歳の警備なでしこ(女性警備員)が胸骨圧迫とAEDで人命救助――。名古屋市東消防署(松岡英治署長)は2月26日、中京綜合警備保障(名古屋市、松本健一郎代表取締役社長)の2人の警備員に感謝状を贈った。

今年1月12日午後1時45分ころ、東区内の同社「ナゴヤドーム警備隊」警備室に「駐車場通路で人(男性作業員・66)が倒れている」と外線電話で連絡が入った。すぐに同警備隊勤務の鈴木美紀さん(20)が駆け付けて声掛けしたが意識・呼吸がなかった。鈴木さんは即座に胸骨圧迫を開始。続いて監視カメラで状況を確認した隊長の山川真樹さん(50)がAEDを持って現場に急行、電気ショックを施した。その後も2人で胸骨圧迫を続け、消防の救急隊に引き継いだ。

倒れていた男性はその後、後遺症もなく退院、社会復帰した。

鈴木さんは2019年入社で同警備隊が初の配属先。山川隊長は11年入社。同警備隊での勤務は2度目。社内や警備隊独自の救命訓練の成果が今回の人命救助につながった。

2人には今回の消防からの感謝状のほかに「社長賞」と「愛知県警備業協会会長賞」も贈られた。

特集ワイド2021.03.21

防犯設備士になる

人手不足が慢性的な課題となっている警備業は、ICTなど先進技術を活用して業務の効率化を図る取り組みが進められている。公益社団法人・日本防犯設備協会(日防設・東京都港区、片倉達夫会長)が制度事業として行っている「防犯設備士」の資格を取得、活用する警備業関係者が増えている。この資格は警備業にとってどのようなメリットがあるのか。

防犯設備士は、防犯設備機器に関する知識・技能を持つ“防犯のプロフェッショナル”として日防設が認定する資格だ。1992年2月に国家公安委員会認定事業としてスタート、今年30年目を迎えた。2016年からは、犯罪手口や防犯設備の最新動向を得られるよう3年ごとの資格更新制度を開始した。

防犯設備士の資格者は21年3月1日現在3万186人で、うち警備業関係者は4518人と約15パーセントを占める。警備業が資格を持つメリットについて日防設の制度事業担当部長・伊藤広氏は次のように話す。

「名刺に防犯設備士と記載することで、顧客に信頼感を感じてもらえます。自治体などが防犯設備を調達する際の入札仕様書には『施工、調達及び保守点検については、防犯設備士または総合防犯設備士の有資格者が行うこと』と記載されることもあるようです。防犯に関する幅広い基礎知識を得られるため総合的な見地に立ってさまざまな検討を行うことができます」。

伊藤氏は2冊のテキストを見せて、次のように説明した。

「受験を申し込んだ人には防犯設備士テキストの『防犯の基礎」と『電気の基礎』が配布され、事前に自主学習で習得してもらいます。『防犯の基礎』は犯罪の傾向や手口、対策、CP建物部品(防犯性の高い建物部品)などについて説明してあります。『電気の基礎』はセンサーや監視カメラ、出入管理設備、不正持ち出し監視設備などを解説してあります。防犯機器やシステムなどの知識を得ることができます」。

テキストは、防犯設備士委員会にオブザーバーで参加している講師陣が中心となって編集する。また日防設にはセキュリティーに関する分野ごとに12の委員会があり、編集に協力することもある。防犯機器は日進月歩であるため、テキストの内容は定期的に改訂・更新している。

防犯設備士の受験者数は3年前に増加した。これは「東京2020」の準備に向けた実作業が始まる前に資格をとる人が増えたためだ。反対に昨年はコロナ禍の影響で減少した。

防犯設備士を取得するためには、年4回(4月、7月、10月、1月)実施される防犯設備士養成講習を受講、資格認定試験を受験して合格することが必要だ。コロナ感染予防対策として21年度から“非接触型のIT化”に移行する。講習は講義動画をオンライン配信、時間と場所の制約がなく繰り返し視聴できる。試験(150分間)は全国47都道府県、280か所の会場で行い、受験日は2か月間の中から自由に予約できる。

費用(税込み)は4万4000円(受講料3万3000円+受験料1万1000円)。日防設会員は3万8500円(受講料2万7500円+受験料1万1000円)。募集、受講・受験方法などの詳細は、日防設のホームページhttps://www.ssaj.or.jp/に掲載されている。

防犯設備士の上位資格として総合防犯設備士がある。防犯設備士の資格取得後3年以上の実務経験があり、防犯システムの監査・コンサルティングができる能力が求められる。2002年にスタート、21年3月1日現在424人が保有している。警備業関係者は49人と約12パーセントとなっている。

総合防犯設備士は“セキュリティーのプロ中のプロ”として地域住民や警察、自治体関係者と連携をとり、地域の防犯活動を展開して安全安心に貢献している。総合防犯設備士を受験するために行う防犯設備士の「受験セミナー」の講師など日防設の教育活動にも参画している。

2つの資格制度事業を行う日防設は1986年、優良な防犯機器の開発・普及と防犯設備の設置に携わる人の技能検定や研修を目的に創立された。会員の主な業種は、防犯・セキュリティー関連の開発・販売・保守、警備業など多岐にわたる。

総会・委員会など協会事業活動に参画できる正会員は、セコムとALSOK、セントラル警備保障、全日警、セノン、東洋テックなど警備会社を含む76社。準会員や特別会員、賛助会員を合わせると会員数は272社となっている。