クローズUP
「テロ」「群衆雪崩」想定2023.09.01
鹿児島警協 国体を守る
10月の国民体育大会や全国障害者スポーツ大会などの大イベントを控え、鹿児島県警備業協会(上拾石秀一会長)は8月4日、「爆発物テロによる雑踏雪崩事故対処訓練」に参加した。会場の県北部・さつま町内の総合グラウンドには、自治体や警察、消防、医師会など関係者約100人が参集、連携のあり方や対処要領などについて確認、有事に備えた。
同種訓練には初参加となった鹿児島警協からは、理事で災害対策委員会の巽誠宣委員長(サンプラスワン)と「鹿警協支援隊員」に加え、研修のため支援隊員以外の警備員など計15人が参加した。
巽委員長は「テロ事案は不審者や不審物をいかに早く発見して無力化するか、雑踏雪崩事故は群衆をいかに細かく分断規制するかがポイント。相互の連絡・連携、事案に応じた対処のあり方について習得してほしい」と激励した。
訓練では、男が観衆の中に爆発物のような物を投げ込んで多くの観衆が一斉に避難し、観衆が将棋倒しになって多数の負傷者が発生したと想定。観衆の避難誘導や負傷者の救護・搬送のほか、緊急自動車の誘導、立入規制、指揮本部の設置・運用など一連の訓練を関係機関が連携しながら段階的に実施・確認した。
物体が投げ込まれた現場付近では、群衆で大混乱する中を警戒中の2人の警備員が連携して警察はじめ関係先への緊急通報、観衆の迅速退避の指示・誘導などを行うとともに、投てきの様子を目撃した第一発見者と見なし、警察による事後の状況聴取にも応じた。
避難者で殺到した階段付近での転倒による群衆雪崩現場では、警備員が消防などと連携、群衆や緊急車両の誘導に対応した。
訓練終了後の検討会では、支援隊員から「目の前に爆発物となると慌てるが、情報を共有して未然に防止することの重要性が理解できた」などの感想が聞かれ、警備員としてのテロ事案への認識や対処への理解を深めた。
「ジョブサーチ」に13社2023.09.01
宮城警協青年部 合同面接会開く
宮城県警備業協会(氏家仁会長)は8月21日、「セキュリティジョブサーチ(宮城県警備業合同面接会)」を仙台市青葉区内で昨年に続き開催した。
同協会青年部(小屋広和部長=日本パトロール警備保障)が企画・運営し、協会賛助会員の求人ジャーナルが協力。会員企業13社がブースを設置し、来場者に自社の業務内容を説明した。
転職を考えているという20代女性は「警備業を全く知らなかったがチラシを見て興味を持った。丁寧に説明してもらい、働くイメージがつかめそう」、10年以上前に警備員の経験があるという男性は「各社の研修や福利厚生の説明を聞いて、この10年で業界は変わり、以前より働きやすい職場環境になっている印象を受けた」と、それぞれ話した。
会場ではVR(バーチャルリアリティー)で交通誘導警備を体験するコーナー(機材提供=なのはな警備)、制服試着コーナー(協力=セフティ繊維)を設け、ユーチューブで公開中の「警備業紹介マンガ・警備のプロフェッショナル」を上映、親しみやすく警備業をPRした。
特集ワイド 障害者雇用が前進2023.09.01
厚生労働省は毎年9月を「障害者雇用支援月間」とし、都道府県や高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)と協力し障害者雇用の機運を醸成するとともに、障害者の職業的自立を支援するなど、さまざまな啓発活動を展開している。警備業を含む障害者雇用の現状や課題、各種支援策などについて、厚労省職業安定局障害者雇用対策課・西澤栄晃課長に寄稿してもらった。
2022年6月1日時点の障害者雇用の状況をみると、近年の精神障害者の雇用の増加も背景に、雇用されている障害者の数は19年連続で過去最高を更新し、61.4万人(前年比2.7%増)となるなど、障害者の就労意欲が高まるとともに、積極的に障害者雇用に取り組む民間企業が増加することなどにより、着実に進展しています。
22年度のハローワークにおける障害者専用求人数は24万486人であり、コロナ禍以前の19年度(25万2191人)を下回っています。このうち警備業の障害者専用求人数は5073人で、19年度(4654人)を大きく上回っています。警備業の障害者専用求人を職種別にみると、保安の職業が4681人(92.3%)、事務的職業は257人(5.1%)、その他の職業135人(2.7%)で、警備業では、保安の職業を中心に障害者採用の意欲は堅調です。
また、22年度のハローワークにおける障害者の就職件数は、10万2537件であり、コロナ禍以前の19年度(10万3163件)に近い水準まで改善しました。このうち警備業への障害者の就職件数は1043件であり、19年度(1010件)を上回っています。
就職件数を職種別にみると、保安の職業が827件(79.3%)、事務的職業が131件(12.6%)、その他の職業が85件(8.1%)となっています。また就職件数を障害種別にみると、身体障害者が415件(39.8%)、知的障害者が113件(10.8%)、精神障害者が451件(43.2%)、その他の障害者が64件(6.1%)となっています。このように、警備業への障害者の就職は堅調であり、障害者が就職する職種には広がりが見られ、多様な障害者が警備業界で活躍していることがわかります。
今後、雇用の機会の確保に更に取り組むことに加え、障害特性や希望に応じて能力を有効に発揮できる就職を実現することや、雇用後もその能力を発揮し活躍できるようにすることなど、雇用の質の向上に取り組んでいくことが重要です。併せて、多様な障害者の就業ニーズの高まりへの対応を行っていくことも必要です。
このため、22年に障害者雇用の質の向上を図るため、事業主の責務規定の見直しや、助成金の充実を行うとともに、多様な就労ニーズに対応するため、特に短い時間で働く精神障害者について、雇用率の算定対象にすることとした障害者雇用促進法の改正が成立しており、順次施行されています。
また、法定雇用率については、少なくとも5年ごとに定めることとされており、今般、民間企業の法定雇用率を2.3%から2.7%に改めることとし、24年4月に法定雇用率を2.5%に、26年7月に更に2.7%へと、段階的に引き上げることとしています。
特定の業種について一定の割合で障害者の雇用義務を軽減する除外率制度についても、25年4月に、一律10ポイント引き下げることとされ、警備業については現在の除外率25%が15%へ引き下げられることとなっています。
今後、厚生労働省としても障害者がそれぞれの特性に合わせて、その能力を十分に発揮し、活躍できるよう、しっかりと支援していきたいと考えておりますが、警備業界においても、障害者雇用の質に留意をしつつ、支援策も活用しながら、法定雇用率の引き上げや、除外率の引き下げに対応するようお願いします。
企業向け支援策と雇用率算定特例
(1)ハローワークにおける支援策
ハローワークでは、企業支援を専門に行う担当者を配置し、地域の関係機関と連携して、募集の準備段階から採用後の職場定着までの一貫した支援を行う「企業向けチーム支援」を実施しているほか、職場実習などへの支援も行っています。障害者の雇入れなど雇用に関する相談については、まずはハローワークにご相談ください。
(2)納付金助成金の充実
障害者が仕事を行うに当たって、作業施設や使用する機器の整備を行う場合や、仕事をサポートする社員をそばに配置する場合、職場への適応を支援する専門のスタッフ(ジョブコーチ)による支援を受ける場合などに助成を行っています。助成措置を利用する場合は、各都道府県にある独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の支部に相談してください。この納付金助成金については、24年度から充実を図ることとしています。
➀雇入れやその雇用継続に関する相談支援
障害者雇用に関する相談援助を行う事業者が、雇入れやその雇用継続を図るために必要な一連の雇用管理に関する相談援助を他の事業主に行った場合に支給される助成金が創設されるため、こうした相談援助事業者からの支援を受けることができるようになります。
➁加齢に伴う課題への対応
加齢により職場への適応が難しくなった方に、職務転換のための能力開発、サポートする社員の配置や、作業施設や使用する機器の整備を行った事業主に対する助成措置を新設します。
➂その他の支援の強化
障害者の雇用管理のための専門職や能力開発担当者の配置をした場合の支援や、サポートする社員の能力開発への経費助成のほか、企業でジョブコーチを配置した場合の支援の充実や、職場実習などを受け入れた場合の支援を新たに行います。
(3)雇用率の算定特例
23年度と24年度から、実雇用率の算定にあたる特例の創設を行うこととしています。
➀23年度〜
週20時間以上30時間未満で働く精神障害者を雇用した場合に、雇入れからの期間に関わらず、実雇用率上、1人をもって1人と算定できるようになります。
➁24年度〜
これまで実雇用率の算定対象とならなかった週所定労働時間が10時間以上20時間未満で働く重度の身体障害や重度の知的障害者、精神障害者を雇用した場合、実雇用率上1人をもって0.5人と算定できるようになります。