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クローズUP

いたる所で交通マヒ2018.2.21

警備員、北陸豪雪で出動

福井・石川両県を中心とした豪雪の被害は深刻だった。福井県の西川一誠知事は12日、県内企業に除雪作業を優先するための操業休止を要請する異例の措置を断行した。警備業界は除雪・排雪に追われ、業務どころではなかった。浮き彫りになったのは、警備業は今後の大雪に備えて自治体と除雪箇所の優先順位などを協議するなど、2号警備の協力体制を確立する必要性だった。両県の警備業協会に電話取材した。 

福井県警備業協会(吉田敏貢会長)の江戸義朗専務理事によると状況はこうだった。雪の積もった道路では車両がブレーキと発進を繰り返したことで路面がへこみ、でこぼこ道が現出した。国道8号の道路端には圧雪のくぼみに突っ込んで離脱したバンパーが散乱。

市民生活に欠かせない燃料油、自動車油は給油制限が実施された。石油会社の貯蓄タンクからガソリンスタンドに配油するタンクローリー車が交通渋滞で届かなかった。

警備員は通常の足となる自家用車で会社に向かうことができず、徒歩でたどり着いても除雪作業に掛かりっきりにならざるを得なかった。県警協は1996年、県警本部と〈災害時における交通誘導に関する協定〉を結んでいる。

江戸専務理事は「警備員は自社周辺の除雪作業と交通誘導が手いっぱいで、土砂災害や地震災害と違ってまとまった2号業務担当の警備員を派遣することは厳しい状況だった」と困惑を隠せなかった。

協定に基づき徹夜で交通誘導

石川県警備業協会(宮野浩会長)は、7日から11日までの5日間、延べ24人の警備員を午後8時から翌午前5時まで交通誘導に派遣。1997年に県と締結した〈災害時における交通誘導及び地域安全等に関する協定〉に基づいた対応だ。

当初、県からは1人でも2人でもいいから協力してほしいとの要請だった。金沢市内の道路は雪のため2車線が1車線になり、いたるところで大渋滞が発生した。協会は警備各社に窮状を訴え、除雪車と雪を運ぶダンプカーなどの誘導に徹夜で協力した。

14日からは4日間の予定で2回目の交通誘導隊員を派遣した。地域に寄り添う警備活動である。三田保専務理事は「協力してもらった警備会社には心からの謝意を伝えたい」と語った。

特集ワイド 「警備の未来」を紹介2018.2.21

SECURITY SHOW2018

今年で26回目を迎えるセキュリティーと安全管理の総合展「SECURITY SHOW 2018」(主催=日本経済新聞社)が3月6日(火)から9日(金)の4日間、東京ビッグサイトの東7・8ホールで開催される。AI(人工知能)を駆使して、スタジアムや都市のセキュリティーを確立する先進技術が集結する。

「SECURITYSHOW」は、1993年に東京国際見本市会場(東京都中央区)で開かれた「ストア・オートメーション・ショー」の特別企画「ストア・セキュリティ・ショー」がそのルーツで、今年で26回目の開催となる。セキュリティー関係企業180社が一堂に集結する今大会からは“警備の未来”が見える。監視カメラの映像をAIで解析することでマンパワーの負担を減らす、より高度で効率的な警備テクノロジーが多数紹介される。

警備会社は、「セコム」(東京都渋谷区、中山泰男社長)、「ALSOK」(東京都港区、青山幸恭社長)、「セントラル警備保障」(東京都新宿区、鎌田伸一郎社長)の大手3社が今年も出展する。そのほか、次の警備会社2社が出展を予定している。

「ユニティガードシステム」(東京都港区、八木陽一郎社長)は、新時代の接客・警備システム「UNIBOT(ユニボット)」を展示する。AIを活用した画像認証技術を導入した次世代型アプリケーションで、現在はソフトバンク製の人型ロボット「Pepper」用アプリケーションとして稼動している。例えば万引き等のブラックリストに載っている人の顔を登録しておくと、Pepper内蔵のカメラで発見しセンター等へ自動通知する。同社はこれからの人口減少社会に向けて、人的警備と機械警備の両方の利点を活かした新次元の警備「警備3・0」を提案、紹介する予定だ。

「タスクマスター」(山梨県甲州市、秋山一也社長)は、交通誘導警備で脇道から出てくる車両を事前に認知して警備員に伝える「脇道車両検知システム」を紹介。花火大会などのイベントで監視カメラの映像をもとに観客数を計測してAIが分析し、混雑や事故を予測して警備本部などに通報する「雑踏密度検知システム」も展示する。同社はAIを活用した警備システムを2号業務に特化して開発し、課題となっている警備員不足や警備業の社会的地位向上につなげようとしている。

大会まであと2年半となった「TOKYO2020」に向けて、各メーカーのセキュリティー技術革新も加速している。

NEC(東京都港区、新野隆社長)は、入退場ゲートやドアに設置することで顔認証による解錠を手軽に行える技術「NeoFaceAccsessContril」や、群集を撮影する広範囲カメラの映像からAIを活用してブラックリストの人物やVIPを瞬時に見つける最先端のシステムをデモを交えて紹介する。

システム計画研究所(東京都渋谷区、大津崇・門脇均社長)は、監視カメラ映像から侵入者や普段と違う異常を検知するAIエンジン「SENLI(センリ)」を展示。ディープラーニング(深層学習)を応用し少量のデータから高速学習でき、コストや負担の軽減に貢献する。

会場内の特設ステージでは、4日間で合計16のセミナーが開催される。日本防犯設備協会(保坂岳深会長)は、「2020」に向けた安全安心な街づくりの課題や取り組みについて講演する。