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クローズUP

精鋭18人の「儀仗隊」2023.03.21

セントラル警備保障創業記念式典

セントラル警備保障(CSP・東京都新宿区、澤本尚志社長)は3月10日、東京研修センター(東京都町田市)で「創業57周年記念式典」を開催した。式典に先立ち午前9時、中庭に「儀礼隊」9人が整列。澤本社長が巡視を行ったあと、次のように訓示した。

「コロナ禍で創業記念式典は3年ぶりの開催となり、儀礼隊の皆さんにも久しぶりに集まってもらいました。CSPの警備の質の高さの象徴として、今後一層の活躍を期待しています」。

儀礼隊は記念式典終了後、研修センターと併設する森田記念館で物故社員の「慰霊式」に参列した。

同社儀礼隊は1970年に創設された。その目的は社内の式典・行事における警護を目的セレモニーや発表会、記者会見、VIP警護などの臨時警備業務などだ。勤務態度が優秀な警務職社員の中から、年齢や身長などの条件を満たした精鋭18人(2023年3月現在)で構成されている。

特集ワイド AI防犯カメラ2023.03.21

2月28日〜3月3日に開催された「SECURITY SHOW 2023」(主催=日本経済新聞社)は盛況だった。日本防犯設備協会(東京都港区、片岡義篤代表理事)が3月1日に開いたパネルディスカッション「AI防犯カメラの現状とRBSS認定基準化への取り組み」は多くの関心を集めた。警備業務の効率化と精度向上に活用できるAI防犯カメラの現状と動向を取材した。

日本防犯設備協会(以下・日防設)映像セキュリティ委員会の鈴木卓哉委員長(日本防犯システム)、大薮覚委員(i―PRO)、三田村圭介委員(ケービデバイス)、日防設RBSS委員会・寺島達雄委員長(JVCケンウッド・公共産業システム)の4氏が登壇し、それぞれの立場から報告を行った。

市場動向
鈴木卓哉氏(日本防犯システム)

防犯カメラ市場は2021年の調査では年間約600億円で、そのうち約75%をネットワーク(IP)カメラが占めます。IPカメラは25年には現在の108%成長、159万台が市場に出ると予想されています。IPカメラの導入先は店舗が約35%、オフィス・ビルが約23%で、合わせて5割超です。

昨今は、IPカメラの撮影映像をAIを活用して画像解析することが注目されています。AI画像解析の運用手段は「オンプレミス型」「クラウド型」「エッジ型」の3タイプに分けられます。

オンプレミス型は、ローカルサーバーにAIソフトを組み込んだタイプ。クラウド型は、カメラ映像がインターネットを介して送られるクラウドにAIを搭載するタイプです。両タイプに採用されているデータベースと連携したディープラーニング(深層学習)画像認識の市場は、21年は260億円でしたが、26年には1100億円と急成長が見込まれています。

エッジ型は、カメラそのものにAIのアルゴリズム(手順・手法)を組み込んだタイプで、解析情報をリアルタイムに得られます。クラウドと連携した場合は解析したデータを送受信するため通信量が少なく済みます。エッジ型カメラの市場は21年に76億円でしたが26年には431億円と予測されています。

セキュリティー分野でのAI画像解析は、顔認証や侵入検知、不審行動検知など、センサー機器では実現できない検知をAI画像解析が補う形で活用が進んでいます。今年はその活用がさらに本格化するといわれています。

技術動向
大藪覚氏(i―PRO)

画像解析は、静止画や動画などの画像データから必要な情報を抽出し「意味付け」を行うことが重要です。その工程で近年AIが活用され、解析性能の向上が注目されています。ディープラーニングはAI技術の手法です。ニューラルネットワークを多層化することで多くのデータ処理を可能とする技術で、画像解析の特徴抽出に適しています。画像データに意味付けする作業を「アノテーション」といいますが、それを進めることでAIの精度は向上するのです。

各社から「動体検知機能」を活用した製品が販売されています。その一つ「顔認証システム」は、顔検出と顔認識の2つの技術を融合したアプリケーションです。「車番認識システム」は、ナンバープレート検出と文字・数字認識の2つの技術を融合させています。人や車、バイク・自転車を識別することで、自動で追尾することができます。「密集検知・密集回避ソリューション」は、特定のエリア内の人数をカウントします。「骨格検知ソリューション」は、人の骨格を検知することで危険な行動に対してアラームを発します。

導入事例
三田村圭介氏(ケービデバイス)

AI防犯カメラの「動体検知機能」の運用は広がっています。導入事例として「人物検知+滞留検知」による不審者対策、「車両検知+滞留検知」で不法駐車対策ができます。「人物検知+侵入検知」で柵越えなどによる立入禁止エリアへの侵入対策が可能です。

仮想で設定したラインを越えた際の「ラインクロス検知」を活用し、不法侵入者や逆走車を防ぐことができます。記録映像を検索するときにAI検知した日時など条件を絞り込んで再生・確認することが可能です。

AIカメラの運用上の課題として、ユーザーと事前に即時性や正確性について合意しておくことがあります。適切な設置・調整の上、デモンストレーションなどを行い、ユーザーにAIの認証精度を確認してもらうことが必要です。

AI画像解析の実用化で省人化と効率化が進み、犯罪発生予測などにも活用されていくと考えられています。

製品の基準化
寺島達雄氏(JVCケンウッド・公共産業システム)

日防設は今、自主認定制度である優良機器認定制度(RBSS)の対象として「画像解析機能」の基準化を検討しています。AI活用の有無を問わない広い意味の画像解析です。

RBSS認証の審査対象として「共通機能」と「高度機能」があります。共通機能は認定機器が全て満足すべき必須の機能、高度機能は使用する場所や目的に合わせて選択する機能です。画像解析におけるAI活用は「高度機能」として扱う方向で考えています。基準化の具体的な検討は4月から開始し、24年3月に完了する計画です。

AI画像解析基準化の課題としてまず「使用目的の多様性」があります。例えば侵入検知と顔認証では求められる結果の正確性に差があり、要求水準を考慮する必要があります。機能や性能も多岐にわたります。

審査対象が多種に広がることも課題です。カメラ以上にサーバーなどの「組み合わせ機器」が画像解析の主機能となっている場合はそれも、審査対象となります。

3点目の課題は「審査方法の確立」です。審査は申請書類や技術報告書など提出された書面が中心となり、設置・調整方法、機能の裏付けデータ、取り扱い説明書、個人情報保護に配慮した運用も審査対象となります。